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長編
春 3

長い道を抜けると、梺まで続く川に出た。
川沿いには草木が生い茂り、洗練された空気と匂いが全身に染みいるようだ。



しばらく2人で歩いていたのだが、ふいにエイが歩みを止めた。


全く、何事かと話かけようとすると、いきなり目の前から姿が消えた。





花を摘んでいる


いや、それは間違えないのだが一体なぜ。



「サク、見てごらん。」

そう言って手渡されたのは、クローバーだった。


葉は、四つ葉



幸福をもたらす葉だった。



「これは、私からの願いですよ。どうか、サクが幸せでありますように・・・とね。」



呆れた。全く、なんだよその満面の笑みは。何言ってんだよ、幸せになって欲しいのは、むしろお前の方なのに。



お前がオレの幸せを願っているように、オレもお前の幸せを願っている。オレは、お前さえいれば幸せだ。





”ありがとう”なんて素直に言えないオレは、真っ赤に染まった顔を見られたくなくて、顔を背けたままクローバーに手を伸ばそうとした・・・その時



「・・・・・・・・・・・・ッイ・・・!!」




一瞬置いた後に急激な痛みが体を走った。引き裂かれるような感覚に、何時もからは考えられないエイの叫び声もどこか遠くにしか感じられなかった。






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あきゅろす。
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