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長編
夏 1

緑の葉が生い茂り、強いくらいの日がさす夏がやって来た。



それはいい…人波がおさまったことで、「桜」の下も随分と静かになった。


だが……



「暑い。有り得ないぐらい暑い。」
と日影で涼みながら大声で叫んでみる。
だが、暑さは一向に変わらず、むしろ、余計に暑くなったように感じる。


「暑いのはわかりますが、もう少し静かに叫んで下さい。」

「たく…エイこそ、よくそんな涼しい顔してられるよな。」


オレの横に座っているエイはそう言い放った。
だが同時に、あつっくるしい長い髪を一つにまとめている所を見ると、やはり暑いことは暑いらしい。



まったく、素直じゃないね……



(本当には、雨でも降ってくれれば少しは涼しくもなるんだろうけど……ま、雨なんか降っちまったらエイとも会えないからな……)



そんな事を思いながら空を真っ直ぐに見上げてみる。
木の上で地上より随分離れてるせいか、空はより大きく、澄んで見える。




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あきゅろす。
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