アイマイモコ 09 最後まで不服そうな顔をしながらみんなと教室を後にした秋。 そんな秋の印象というのが、最近少しだけ変わった気がした。…いや、それほど俺は秋といる時間が多くなったからだと思うけど… って、今日みんなの誘いを断った理由を忘れるところだった。 俺は目的を思い出し、その目的の場所へと向かった。 「陸」 「……」 ――目的の場所とは陸のこと。 「話しがある」 「…俺はない」 「俺があるんだっ!」 見渡せば、教室にはもう俺と陸しか居なかった。 好都合と言えば好都合。 だけど仮に、周りにクラスメートがいても構わないと思った。 しかしこういう風に自分の思った事とは裏腹に、うまくいかないことだって時にはある。 だけど夕べ、俺の中で少しだけ吹っ切れたことがあった。 俺は手を合わせて言った。 「頼む、5分で良いから…」 何がどうっていうのはまだ分からない。けど、とにかく今は、陸と話さなければ何にもならない事だけは確かだ。 しかし頭を下げた俺を余所に、陸の口端は吊り上がった。 「で、その頼んだ5分で、今度は何を企んでるんだ」 「は?な、何も企んでなん―」 「お前の言葉にもう説得力なんてないんだよ。帰れよ、もう俺には構うなって言っただろう」 「………」 思わずネガティブになってしまう陸の一言。だけど確かに、俺の言葉には説得力がなかった。 やっぱり甘くはなかった。 この話し合いには時間と忍耐力と辛抱とそして… 陸への信頼が必要だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |