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アイマイモコ
13

「あれ?いないね?」
「うーん…」
「宮沢くん飲み物買いに行ったんじゃないかな?」
「あーそうだね!」

お昼になり、レジャーシートを敷いた木内たちはキョロキョロしていた。
どうやら木内たちは陸を探してるみたいだったけど、見つかりそうにもなかったから探すのを諦めて、お弁当を広げて無邪気に手を合わせた。

「じゃあ先に食べてよっか?」

「「「賛成ぇぇー!」」」



「……」

なんとなく、女子たちの会話に聞き耳をたてていた俺はお弁当を中断して靴を履いた。

「あれ?瑞樹どこいくの?」

「あー…ちょっとのど渇いたから飲み物買ってくる」

「おう!」

本当になんとなくだったんだ。






「…‥」

その頃1人、少し離れたベンチでコンビニで買ったと思われるパンをかじっていた陸。
陸は、特に美味しそうに食べるでもなく、なんとなく口に入れてるだけといった感じで食べていた。


「なーに1人で孤独なんか気取ってるんだよっ?」

「…‥!」

陸は聞き覚えの有りすぎる声に一瞬目を見開いて振り向いた。

そこには、腕を組んで不適に笑う瑞樹が立っていた。…が、すぐに振り向いた顔を元の位置に戻した。

「なんか反応くらいしろよ。…それに、こんな人気のないところで何飯なんか食ってんだよ陸」

「…‥」

「ちっ、シカトかよ…」

陸は瑞樹を無視して黙々とご飯を食べていた。
その態度に舌打ちをした瑞樹。

「へぇ?…陸は、男には随分ふてぶてしい態度するんだな?‥あぁそっか!お前は女好きだから女には優しくするんだよなぁ?だから人気者なんだぁ…女にはっ!」

「…‥」

「下心見え見えなんだよ!」

「……」

瑞樹の棘のある口調にも、顔色1つ変えずにそれでもパンを食べ続けた陸が、今度は感情も表に出さずに口を開いた。


「──そうかもしれないな」

「…は?」

「お前の言うとおり、絶対に下心がなかったとは言い切れないかもしれないな?」

「…‥」

「…だから否定はしない」

淡々と陸はそう言うと、ベンチから立ち上がり、空になった飲み物と食べ物をゴミ箱に投げ捨てこの場を後にした。
まるで陸の心には、俺が存在していないような‥どこかよそよそしい話し方をしていた。

その時俺は、女子たちが陸を探していたことを思い出した。

「おい、陸!」

「なんだよ」

「じょ、女子が探してたぞ?」

「あっそ」

「…‥おい!どっち行くんだよ陸。みんなは向こうだぞ?」

戻るのかと思いきや、みんなのいる方向とは逆の方を歩こうとしていた陸。それを止めようとする俺に、陸は足を止めて肩越しに振り返った。

「余計なお世話」

「は?」

「お前もどっか行けよ?…それと、もう俺の事はほっといてくんない?」

「‥っ、な、なんだよその言い方はよ!せっかくお前に教えてやったのに…!」

「別に頼んでねぇし」

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