アイマイモコ
08
──ストン
「ん!これでよし!」
「瑞樹、今の何の手紙?」
「同窓会の返事!」
放課後。学校を出ると秋に「寄りたい所がある」と言って、近くの郵便局のポストを探して同窓会の返事を送った。
「行くのか?」
「あぁ行くよ!」
今の俺だったらみんなと普通に話せるだろうし。
ただ‥中学1年と言えば、陸と初めて同じクラスになって、そして出会った場所。同窓会に行ったら間違いなく俺と陸は気まずくなるだろう。
なんか‥面倒くさいな。
「あ…。陸だ」
「え?」
郵便物をポストに入れてから程なくして、前方から少し小走りをした陸がこっちに向かってきたのだ。
俺と秋は思わず立ち止まってしまった。だけど、
「……」
肩にカバンを引っ掛けて小走りをしてた陸は、まるで俺たちなんて最初からそこにいなかったように此方を1度見ることもなく、素通りをした。
急いでいたから気付かなかったのか??いや違う、今のは俺達のことを完全に無視したんだ。
「っ、なんだよ!嫌な感じ!」
「まぁ、俺達縁切ってるんだし当然なんじゃねぇ?」
「そうだけど…‥!」
なんか一言くらい‥声掛けてくれても良いじゃねぇかよ。
「…‥瑞樹はさー、どうして陸の事になるとそんなにムキになるんだよ??」
「ム、ムキになんて…!」
ムキになんて‥なってないよ。
なるはずないじゃないか!
あんな、俺が掴まえようとするとすぐにどっかに行っちゃうような奴なんて!
それがもどかしくて何度もイライラなんてしてない!
「…瑞樹。行こう?」
「……うん」
そう優しく言った秋は黙って俺の手を引いてくれた。
その手は、俺を支えてくれてるようにも見えるけど……秋だって陸に裏切られたんだ。全然悲しくないわけはないんだ。
だから、今度は俺が秋の手を握り返したあげた。
「秋、俺ハンバーガーをおもいっきり食いたい!」
「マジで!?俺もそんな気分」
「あははははは!」
陸の…陸のバカ野郎。
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