アイマイモコ
07
「なぁー秋?」
「んー?」
「あいつってさー…」
「あいつって、誰?」
「…っ、」
今日は外が少し暑いから教室でお昼を食べることにした。
陸と喋んなくなってからは、俺と秋は2人でお昼を食べるようになったのだ。
「…陸のことだよ!!」
「…で?その裏切り者くんがどうかしたの??」
「いや、別に大したことじゃないんだけど、あいつってさー成績良いの??」
「……成績?」
「あぁ。さっき職員室に行ったら先生がそう言ってた」
俺の知る限りでは、陸の成績はそんなにいい方でもなかった気がする。
ノートの上で呑気に寝ていて先生に頭を叩かれるなんて日常茶飯事だった。それであとで、中学の時の友達の雄大に泣き寝入りするんだ。俺に泣き寝入りしなかったのは俺より雄大の方が頭が良かったから。
そういえば陸は雄大と今でも連絡とってるのかな?
「良いと思うよ?」
「…え?」
「成績。陸はかなり良いみたいだよ。まだテストとかやってないからわかんないけど、小テストの時はみんなに教えてたし」
「……」
「体育の時は子供みたいにはりきってるし英語と数学は結構予習していたしね」
「…ふーん。秋って陸のことよく見てたんだな?」
「…‥。そりゃー俺たち、親友だったから‥」
「…っ、」
親友‥かぁー。俺もそうだよ。
俺にはどこからどこまでが親友かは良くわかんない。けど…いつも陸は俺の弱音を真剣に聞いてくれた。
自分の兄貴にだって「ウジウジするな」で、片付けるようなつまらない内容でも陸はいつも最後まで聞いてくれた。
「……っ」
どうして頭の中から追い出して遠くへ突き放そうとするほど、陸の昔のことが次々に思い出してくるんだろう‥。
けど、どうすれば良いのか1人で考える事ができない。
こんな事、秋に相談できない。
陸をもっと嫌いになりたい!けど嫌いになりきれない。
あいつを嫌いになれば…このモヤモヤもきっと晴れるだろう。
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