アイマイモコ
06
「うげぇ‥結構重いなぁ!」
ちぇ。なんで俺がてめぇの次の授業の教材を持っていかなきゃいけないんだよ!
朝のHRが終わり、トイレの帰り道に鉢合わせした俺に先生は優しそうに「この教材を職員室に頼む!」とだけ言って走り去った。…ムカつく。しかも結構重いし!
あーあ。秋も一緒だったら楽だったのになぁ!
というわけで、俺は重い足取りで職員室に向かってる途中だ。
「失礼しまーす」
相変わらず職員室の重苦しい雰囲気はあまり好きになれない。
そんな事を言ってても仕方ないと自分に言い聞かせ、俺は先生の指示通り先生のデスクに教材をボンと置いた。
「はぁーー重かったぁ」
運動もしてない俺には、少し体力の必要な雑用だ。もう二度と頼まれないことを願いたい。
「─どうしたんだ?宮沢」
「…!」
(…え?宮沢?)
ところが職員室を出ようとしたところで、斜め前からの先生の声に思わず俺の足は止まった。
見るとそこにはうちの担任と陸がいたのだ。
「…り‥く?」
「宮沢。お前この前の小テストの結果がボロボロだぞ?」
「…すいません」
「この前どころか、最近、お前の成績も一気に落ちてるぞ?」
「はい…」
「…‥なぁ宮沢?こんな事言うのも酷なんだが…アルバイトがハードで、勉強に支障が出るならやめた方が良いんじゃないか?」
「…え」
「だってお前も勉強とバイトの両立は大変だろ?‥な?宮沢」
「…っ、そ、それは無理です!すいません先生!今度は気をつけますから‥だから!」
「んーまぁ‥お前がそんなに言うなら仕方ないけど、あんまり無理するなよ?成績落としたら奨学金も取消されちゃうんだからな??」
「はい!」
「……」
え…奨学金って‥?
確か‥奨学金の対象って、学年でトップを取らないとダメなんだよな??
そういえば、俺が転入してきた初日にこのクラスには俺の他に、もう1人成績優秀な奴がいるって先生が自慢気に話していた気がする。
あれって陸のことだったんだ?
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