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ShamanKing


「名前、忘れ物は無い?」

「多分大丈夫。」


荷物をまとめ終わった頃、お母さんが尋ねて来た。とりあえず必要だと思ったものは用意したので、大丈夫だとは思うが、それでもまだ不安だったのだ。"多分"というのは私の口癖みたいなもので、小さい頃は自然とその単語を口に出すたびに、自分は心配性なのだろうかと悩んでいた。

結局結論は出ていないが、今となっては出そうとも思っていないから、そんなに気にしてはいない。


「3番線の電車に乗ったら終点まで行って乗り換えて、ふんばりヶ丘駅ってゆーところで降りるのよ。」


地図を開き鉄道を指でなぞりながら言う。教えてくれるのはいいんだけど、コレ本日13回目だから…。
昨日は19回聞いた。ちゃんと数えていた私を褒めてほしい…。

心配性なところは完璧お母さん似だな…


「おじいちゃんに一言伝えていくのよ。おじいちゃんも心配してるんだから…」


初めての一人暮し。
初めての東京。

じいちゃんは最後まで反対していたっけ…

正直、私はじいちゃんが苦手だ。怖いし、何かと煩いし…。今まで何度怒られてきた事か…泣かされてきた事か…。どんな人より私を泣かせた回数はじいちゃんが1番多いだろう。


「じいちゃん…」


襖を開けると、鼻につく畳の匂い。嫌いじゃないけど好きでもない、小さい頃から嗅いでいた、じいちゃんの部屋の匂い。

じいちゃんはその部屋の真ん中に座布団を敷いて座っていた。


「名前…入ってきなさい…」

「はい…」


いつも以上にびくびくしていたかもしれない。私はじいちゃんに出された座布団の上に腰を下ろした。もちろん正座。


「支度は済んだのか?」

「あ…はい…そろそろ家を出ようかと…」

「そうか…」


じいちゃんは俯いて目を閉じると、再び私に向き直り、


「森羅学園…だったか…?」

「通う学校の事?そうですけど…?」


いきなり学校の話をしてきた。


「…うむ…
あの学校には知り合いの孫も通っておる。」

「え…?そうなんですか…?」

「その知り合いもよろしくと言っておった。」

「…わかりました」


じいちゃんには日本中に沢山の知り合いがいる。
みんな仕事関係の人ばかりらしいが詳しい事はよく分からない。


部屋を出ようと襖を開けた時…


「名前…手を出したものは…やり通せ…諦めたりはするな…」

「うん…」


じいちゃんの顔が一瞬、不安の色に染まった気がした。





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