[携帯モード] [URL送信]

蒔田さんの恋の行方
2


え、え、…なんで俺だけこんな空気なのかな…

周りを横目で見渡すと、握手を交わしていたり、笑いあったり、色んなコミュニケーションを取り始めていた。


目の前の現状が変わっている事を願いつつ、
目線を前に戻すと、1ミリも変わっていなかった。


そこには、ずっと俺の事を上から鬼の様な形相で凝視する、人物がいた。

どういう人が指導者になってくれるのか、上手くやっていけるのか、優しい人だったらいいななんて、少し緊張しながら考えていたのに、その緊張を超えて、よく分からない感情が押し寄せていた。


取り敢えず、挨拶は、しないと…だよな。

泳いでいた目線をバッと上げて、
先輩の後ろの壁を見ることにした。直視は…出来ないです。

これで少しは、目を合わせてると誤魔化せるだろ。



「初めまして。
私、真木田 眞御(マキタ マオ)と言います。
初めてで不慣れな事は多いと思いますが、手厚いご指導よろしくお願い致します。」


言い終えた後、最敬礼で締めた。

数秒のはずなのに、時が長く感じる。
相変わらずの、視線も感じるし…。


俺、やってけるかな…。



「真木田くん。」

……

俺、何かしたかな。


「真木田くん。」


……


でも、そういえばこの人って…


「真、木、田、くん」



「…へ?、え、あ、はい!!」


気が付くと、いつの間にか、耳の横に顔があり、耳元で名前を呼ばれている状況になっていた。


「少し、場所を変えて、話そうか。」


その人は、元の位置に戻ると
付いてこいとばかりに先に歩いていってしまった。



ほんとに、なんなんだ、あの人…




[*前へ][次へ#]

2/5ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!