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秩序と選ばれし者
何もないはずだった。
初めから何も始まらないはずだった。

だが、いつしかその秩序とも呼べる静けさは崩れ始めていた。誰が予測しただろう、こんなにもたくさんの『セカイ』が生まれ、成長するとは。

それぞれは時に、互いに干渉しあいながら。
時に互いを知らずに戦いながら。

全ての『セカイ』には、壊してはならない領域と侵してはならないルールが伴われ、それはそれで上手くやっていた。残酷だと言われようが下される罰、卑怯だと言われようが名声と共に生き抜く罪すら内包してまでもである。

そしてそれらを丸ごと破壊してしまうような危機が迫った時には、“ヒーロー”が現れるのが普通だった。元々あった自らの平和や、恋人のために身をなげうって気が付かぬうちに名も知らぬ人々まで救う――そんな英雄が。

既に救われた『セカイ』は、再び襲い来るであろう影に怯えつつも危なっかしい日常を過ごしていた。
未だ耐えている『セカイ』は、まだ見ぬ希望を延々と待ちながら悠久の中を彷徨っていた。

そしてまた今も、新しい『セカイ』が生まれ、長い永い物語が綴られていくのである。

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