BL長編変態ヤクザな話snatch(完結)
6
◇◇◇
翔吾の家に行かなくなって1週間が過ぎた。
3年になってまだ2ヶ月しか経ってないが、翔吾と仲良くなって、毎日のようにあの家に通ったせいで、酷く退屈に感じる。
そんなある日、学校が終わって家に向かっていると、車通りの少ない道路に差し掛かった時に、1台の車が俺の横にやって来た。
何かと思って見れば、黒いアルファード……。
テツだと分かった。
座席が高いから見えにくいが、ちらっと見たらテツ以外誰も乗ってないようだ。
「おい、待て、止まれ…!」
テツは窓を開けて偉そうに言ったが、無視して自転車を漕ぎ続けた。
翔吾と縁が切れた今は、テツに何か言われる筋合いはない。
「ちっ…、ったく、めんどくせーな」
テツは舌打ちすると、俺より少し先に進んだ所で車を左に寄せて止める。
──嫌な予感がした。
マズいと思ったが、逃げようがない。
テツは車から降りて俺の傍にやって来た。
「な……、なんだよ、なんで降りてくるんだ?もうあんたに用はない」
「こっちはあるんだよ、おとなしく乗れ、言っとくが、逃げられねーぞ、薬を打たれたくなけりゃ黙って座ってろ」
「あ……」
腕を引っ張られ、無理矢理助手席に乗せられてしまったが、薬を打つと言われて動けなくなった。
テツには慣れていた筈だが、久々に会うテツは……もろヤクザだ。
冷静に考えてみれば、テツが俺に優しく接していたのは、あくまでも翔吾の友達として見ていたからだ。
テツはシートを動かして自転車を後ろに積んでいたが、黙って座っているしかなかった。
やがて運転席に戻って来るとすぐに車を出したが、どこへ行くつもりなのか、もう前みたいに気安く聞ける雰囲気じゃない。
不安でいっぱいだったが、窓の外へ目を向けて、夕日に染まる空を見つめるしかなかった。
どんどん街から離れ、俺の知らない道を走っている。
人家も疎らに点在するだけで、荒れた畑や空き地があるだけだ。
幅の広い県道から脇道に入り、狭い山道を抜けて少し開けた場所に出た。
山を背に、ぽつんとマンションが立っている。
既に日が暮れているので、駐車場の四隅に立つ街灯がついていたが、見るからに古びた黄ばんだ街灯は、寒々しい白い光を放っていた。
テツはマンションの駐車場に入って行ったが、広々とした駐車場には車が1台しか止まってない。
建物を見上げて数えたら10階建てだったが、明かりの点いた部屋はひとつもなく、薄汚れた壁が駐車場の街灯に照らされているだけだ。
マンションも街灯と同じで古びた建物だが、人の気配が全くないのが不気味に思える。
何をしにこんな所に来たのか知らないが、テツは駐車場の端に車を止めてしまった。
何も言えずに硬直していると、車を降りて俺の方へ回り込み、助手席側のドアを開けた。
「降りろ」
すんなり従える筈がなかった。
こんな怪しげなマンションに連れ込まれるのは……ごめんだ。
「テツ、待ってくれ、翔吾の事は悪いと思ってる、だけど、俺は翔吾を嫌になったわけじゃなくて…ただ、怖かったんだ、な…?頼む、家に帰してくれ」
翔吾の事で報復をするつもりなら、それは違うと言いたかった。
「おおまかな事は若から聞いたが、若の事は関係ねー、いいから降りろ!」
腕を掴まれて強制的におろされ、ステップを踏み外して転けそうになったが、危ういところでテツに支えられた。
「あ、悪い…」
いつもの癖でつい詫びたが、テツは仏頂面で何も言わず、車をロックして俺の腕を掴んでくる。
「来い」
そのままマンションの方へ歩いて行ったが、ついて行くしかなかった。
こんなマンションに連れ込んで、一体何をするつもりなのか知らないが、薬を打つとか……勘弁して欲しい。
翔吾の家に泊まった時に、坊主頭を追っ払ってくれた時のテツは救世主だったが、今はそれが嘘に思える。
エレベーターに乗せられ、テツは10階のボタンを押した。
マズいと焦り、勇気を振り絞って話しかけてみた。
「なあ、聞いてくれ、翔吾の事が違うならなんなんだ…?もし俺を組に入れようとしてるなら、それは無理だから」
テツは何も答えてくれない。
険しい顔をして前を向いていたが、エレベーターが着いたら、腕を掴まれて外へ引っ張り出された。
拉致されるって、きっとこんな気分なんだ……。
そんな事が頭に浮かび、今すぐ逃げ出したかったが、全力で走ったとしても階段がどこにあるのかわからない。
エレベーターだと逃げるのは不可能だ。
地に足がつかないような思いで歩くしかない。
テツは真っ直ぐに廊下の突き当たりへ向かって進み、1番端の部屋の前で止まると、ドアノブに鍵をさしてドアを開けた。
「入れ」
振り返って俺に向かって言ったが、真っ暗な部屋の中を見たら血の気がひいた。
「い……いやだ、こんなの嫌に決まってるだろ」
堪らなくなって後退りした。
「いいから入れ!」
「うわっ……!」
腕を掴まれて部屋の中に向かって突き飛ばされ、前に倒れ込んで廊下に両手をついた。
恐る恐る顔を上げたら、廊下の先に部屋が見えたが、暗い部屋の中はガランとしていて何も無く、生活感を全く感じられなかった。
「さっさと靴を脱げ…!」
「う……」
真後ろから怒鳴られ、ビクビクしながら靴を脱いだ。
「ほら立て、来い」
腕を掴まれて部屋の中に引っ張って行かれたが、手前の部屋はやっぱり何もなかった。
だが、ふと隣の部屋を見たらベッドが置いてあり、テツはベッドに向かって歩いて行く。
もしかして……と不安が過ったが、まだそうと決まったわけじゃない。
「あの……」
ベッドのすぐ脇まで来て、ビビりながら話しかけた。
「なんだ」
「違ってたら…ごめん、だけど、その……テツは親父さんと特別な仲だって言ってたし…、もし……俺を相手に……って考えてるなら、俺は無理だから」
テツは俺より背が高い。
下から見上げ、遠慮がちに怖々言ってみた。
「親父との事はとうに終わった事だ、友也ぁ、おめぇ…自分の立場が分かってねーようだな、そんな事が言える立場じゃねーんだよ、俺が何をしようが黙って従うしかねー」
予想が外れて欲しかったが、やっぱり……。
「こんなの…誘拐だろ、犯罪じゃん」
だったら、警察に通報してやる。
「はははっ、おお、構わねー、お前が拉致られましたって訴えでりゃ、犯罪成立かもな、けどよー、もし……他人に言えねーような恥ずかしい事をされたらどうだ?」
警察などなんとも思ってないのか、それとも俺を馬鹿にしてるのか……。
そんなのわかる筈がなかったが、笑い飛ばして怖い事を言う。
「どういう…意味だ」
張り詰めた空気に包まれていたが、それでも何とか聞き返した。
「こういう事だ…!」
テツは答えるのと同時に俺の体をホールドし、体が浮いてベッドに投げ出された。
「うっ……!」
起き上がろうとしたが、上にのしかかられて身動き出来ない。
「おい、よく聞け!俺らにかかわって、ただで済むと思うな」
俺に馬乗りになって言い放ち、上着を脱ぎ捨ててベッドの下に放り投げた。
──広間で見た光景が浮かんできた。
あんな事……嫌に決まってる。
「退けよ、退いてくれ……!」
シーツを掴んで起き上がろうとしたが、両肩を押さえつけられて凄まれた。
「ジタバタするな!じっとしねーか!」
「くっ…」
焦って逃げる口実を探したら、テツが姉貴の事を口にしていた事を思い出した。
この際…姉貴の事を持ち出して誤魔化そうと思った。
「待っ…待って!ほら、テツは前に姉ちゃんを紹介して欲しいって言ってただろ?」
「おお、なんだ、紹介する気になったか」
すると、テツは興味を示して体を起こした。
「あ……、うん」
姉ちゃんには悪いと思ったが、ピンチを切り抜ける為には仕方がない。
「そいつはいい、お前と姉ちゃん両方か……、悪くねー」
「え……」
「俺はバイセクだ、男女両方いける、姉弟纏めてモノにしてやる」
──そうだった。
よく考えたら、テツはバイセクシャルだ。
慌てて姉貴の事を取り消した。
「い、今のは無し…!やっぱ姉ちゃんはダメだから」
「ひでぇ弟だな、姉ちゃんをダシに逃げようと思ったのか?」
──ギクッとした。
「それは…」
もしかしたら……、初めから見抜かれていた。
「いい加減な事を言って誤魔化せると思ったら大間違いだ、だが…いい事を聞いた、姉ちゃんに手ぇ出されたくなけりゃ、おとなしくしな、言っとくが、女をやるのは慣れてる」
テツの言葉に背筋が凍りついた。
今更悔やんでも遅いが、迂闊に姉貴の事を口にしたばっかりに、逆手にとられてしまった。
もう……逃げ道はない。
テツは一瞬笑ったように見えた。
シャツを脱ぎ捨てて、そのままかぶさってきたが、抵抗出来なかった。
──キスされた。
唇を吸われて鳥肌が立ち、無精髭が顎やほっぺたに当たり、気持ち悪くてたまらなかった。
でも…事実俺をこんな所に連れ込み、こんな真似をする位だ。
姉貴に手を出すというのも、ただの脅しとは思えない。
拳を握って我慢するしかなかった。
一体どうなるのか、何をされるのか……不安と恐怖が増す中で、まっ裸に剥かれて首筋や胸板にキスをされた。
テツはズボンをはいたまま、唇や舌で肌をなぞっていた。
この部屋は最初に見た隣の部屋とは違い、天井に張り付く照明の豆電球がつけられている。
オレンジ色の小さな明かりを見ながら、被さるテツの重みを感じていた。
早く終わって欲しい。
それだけを願って顔を背けていたが、それだけでは終わらなかった。
「い、いやだ……!」
浣腸をされそうになって逃げ出そうとしたら、うつ伏せに転がされて押さえつけられた。
「うるせーな、騒ぐな…!」
太ももに馬乗りになられて動けなくなり、肛門に浣腸のノズルをねじ込まれた。
「ううっ!」
ひんやりとした薬液が直腸に流れ込んできた。
「やだ……気持ち悪い」
浣腸なんかした事がなく、尻穴から入った液体に違和感をおぼえたが、そんなに経たないうちに腹がしぶり始めた。
腸がギューっと締め付けられ、強烈な便意が襲いかかってくる。
「んー!あ、あ、やばい、出る……トイレ」
上体を反らし、トイレを探して隣の部屋に目を向けたら、テツが片腕を掴んできて、腕を強引に背中へねじ向けた。
「うっ、なにする……」
「へっ、こっからがお楽しみだ」
カチャッと音がして手首に何かハメられた。
「なっ、なにを……」
「くっくっ……」
──金属の感触。
ヤバいと思って反対の手を前に突き出した。
「まさか手錠…?嘘だろ……、やめっ、外せよ」
予め用意していたのかもしれないが、反対側の腕も掴まれてしまい、強引に後ろに回されてまたカチャッと音がした。
後ろ手に手錠をかけられた。
腹が立ったが、漏れそうになってそれどころじゃなくなり、尻穴を締めて必死に堪えた。
「うっ、ううんー!はあ、はあ、あっ」
「いいぞ、もっと苦しめ」
テツは背中に被さって俺の顔を覗き込んで言ったが、手錠を使うとか……酷すぎる。
「どうしてだよ……俺があんたに何をしたって言うんだ、はあ、はあ、うっ……!」
便意が弱くなったのを見計らって文句を言ったが、腹に力を入れた途端に腸が蠢き、中から汚物を押し出そうとする。
「うっ、く、ううーん……!く、苦しい、腹が痛てぇ」
ベッドの上で脱糞するとか……想像しただけで恐ろしいが、肛門がヒクヒク痙攣して、内側からの圧力に負けてしまいそうだ。
今はテツを責めるよりも、頼み込むしかない。
「た…頼む……手錠を外して……くれ」
「おお、いい面だ、友也ぁ、おめぇ苦しげな面をすると…なかなか可愛いぞ」
だが、テツは俺の頭を撫でてふざけた事を言う。
最低な奴だと思ったが、腰から背中にかけてゾクゾクするような悪寒が走り、体が小刻みに震えだした。
「う"っ…!」
ひときわ強い便意が襲ってきて、ベッドに顔を埋めて耐え忍び、便意の波が通り過ぎたところで涙目で訴えた。
「漏れる……はあ、はあ、嫌だ……ここで漏らしたくない、頼む……トイレに」
「じゃ、いちいち騒がずに、素直に俺に従うか……?」
テツは条件をだしてきたが、迷っている暇はなかった。
「従う……だから……頼む、早くしてくれ」
「よし、今言った事、忘れるな、手錠はあとだ、連れて行ってやる」
テツは背中から退いたが、手錠を外さずに俺をベッドから降ろした。
玄関の方へ向かって歩いて行ったが、漏れそうになるのをギリギリ我慢していた為、強い便意が襲う度に立ち止まってやり過ごした。
テツはニヤついた顔をしていたが、トイレは玄関から近い場所を右に曲がった所にあった。
ちょうど突き当たりだが、何とかそこまで漏らさずに辿り着いた。
俺は手を使えないのでテツがトイレのドアを開け、便座の蓋も開けたが、テツは俺を座らせた後も開け放したドアの所に突っ立っている。
「テツ、外に出てくれ……、はあ、はあ」
出すところを見られたくない。
強烈にしぶる腹を感じて必死に頼んだが、体はとっくに限界を超えている。
トイレに座った事で歯止めがきかなくなり、肛門から便が噴き出した。
「はあ、はあ……うっ……」
静かな空間に汚い音が響き、悪臭が立ちのぼってくる。
みっともなくて泣きたくなったが、体は開放感に浸って楽になっていく。
「人前で糞を垂れる気分はどうだ?ドMなら興奮するんじゃねぇか…、な、おい、どうなんだよ、今ので感じたか…?っはっはっ」
テツは茶化すような事を言って面白がっている。
──惨めだった。
「ひでぇ……こんな事……ううっ」
「泣いてるのか?たかがこんな事ぐれぇーで、ガキだな、ほら、来い」
脱力感と共に涙が溢れ出していたが、泣きながら無理矢理立たされた。
テツがトイレを流した後で外へ連れ出され、トイレのすぐ脇にあるドアの中に押し込まれた。
さっき通りがかりに見て何となく分かっていたが、ここは浴室だ。
テツは下を脱いで全裸になると、電気をつけて中に入ってきたが、何気なく股間に目がとまって慌てて目を逸らした。
できるだけ見ないようにして横目で見たら、シャワーを手に取って湯を出し、シャワーヘッドを外している。
今度は何をするつもりなのか……戦々恐々とした気持ちになって、涙は止まっていた。
「おい、しゃがんで尻を出せ」
斜め後ろから指図してきたが、尻なんか出せる筈がない。
「もう……いやだ、勘弁してくれ」
「おい、さっき約束したばかりだよな……?いいから座れ!」
拒絶できる立場じゃなかった。
肩を押され、テツに背中を向けてしゃがみ込んだら、尻にシャワーの湯をかけられた。
手を拘束されてるせいで、膝をついてないと倒れそうになる。
膝を踏ん張ってバランスをとっていると、テツは尻を手で撫で回し、指で肛門に触れてきた。
「どれ、具合を確かめてやる」
「う……」
そんなところを触るとか、異常としか思えない。
「ここに突っ込むんだ、キレーに洗わねーとな」
顔を顰めていると、指先が肛門の中へ入り込んできた。
「ふっ……、くっ」
直腸が指の感触を敏感に捉え、体が強ばっていた。
「きれーなアナルだ、さすがは初物だな、中の粘膜が指を挟み込んでくる」
テツは褒めたが、ちっとも嬉しくない。
排泄する為の器官に指を入れる事自体、背徳的な感じがして罪悪感すら感じたが、指の腹で直腸を弄られるうちに、ビリビリとした刺激が走った。
「う、んんっ……はぁ、あ」
痛みの類だと思って身構えていたが、何かが違う……。
痛みではなく、表現し難い感覚をおぼえる。
「ん……、くっ……ハァハァ」
ビリビリはちんこの根元に響いてきて、体から力が抜けていくようだった。
「友也、お前、アナルいけるんじゃねーか……?」
テツは変な事を言ったが、そんなわけはない。
「何言って……違っ」
否定しようとしたら、シャワーのホースが入ってきた。
「うっ…!」
「ふっ、ま、そのうち分かるだろう」
テツは何か言ったが、直腸に湯がどんどん流れ込んできて……それどころではない。
人肌に近い温度の湯は、あっという間に腸内を満たしていく。
そんなに経たない内にテツはホースは引き抜いたが、また便意が込み上げてきた。
「テツ、トイレに…」
「ここで出せ」
頼んでみたが、却下された。
足を踏ん張ったまま、テツに尻を晒して汚水を垂れ流すしかない。
1度溢れだしたら、堰を切ったように噴き出した。
耳障りな音を立ててテツの前で排泄すると、テツは床を湯で流して再びホースを入れてくる。
「うぅっ、はぁ、はぁ……」
こういう事に慣れているらしく、腸内にある程度湯が溜まったらホースを引き抜き、俺はまた排泄する。
もう……どうでもよくなった。
テツは同じことを数回繰り返して作業をやめた。
「よし、立て」
手錠のかけられた腕を掴まれて立たされたが、おとなしく従った。
テツは浴室のドアを開け放ち、洗面台の下の扉からバスタオルを出して俺の体を拭っていったが、それが済んだら俺をベッドに連れて行った。
ベッドに座ってテツを見ていたら、テツは投げ捨てた上着を拾い上げてポケットを探っている。
浅黒い肌も暗い部屋ではよく見えなかったが、そういえば…今日は金のペンダントをつけてない。
「手錠を外してやる、外したら仰向けに寝ろ」
俺が従順になったせいか、やけに機嫌がよさそうだ。
ポケットから出したのは手錠の鍵だったらしく、手錠を外してくれたが、ふと家族の事が頭に浮かんできた。
母さんや姉ちゃんは、俺が遅く帰っても気にする事はないし、父さんはいつも仕事で遅く、俺の事など把握してない。
3人共、まさか俺がこんな目に合ってるとは、想像すらしないだろう。
手が自由になったら、テツの指図に従って仰向けに寝た。
「足を開け、M字開脚だ」
「わかった…」
M字開脚とか、そんな格好をするのは相当恥ずかしかったが……やるしかない。
意を決して足を広げたら、テツは何か容器を手にして俺の股間に屈み込んできた。
局部が丸見えになっている筈だ。
自分じゃ見れないし、見る事もない玉裏や鼠径部……肛門まで……。
そんな箇所をテツに見られてるのかと思ったら、顔が熱くなってくる。
死んだつもりになって目を閉じていると、肛門に何かが挿し込まれた。
さっき手にしていた容器には、ノズルがついていたらしい。
ひんやりとした液体が直腸の中に注入され、溢れ出した液体が尻の溝に伝ってどろっと垂れていった。
「うっ……」
すぐに指が入り込んできたが、風呂場では感じなかったぬるっとした感触を感じる。
ローションだとわかった。
指はアナルを押し広げるように肛門のひだをなぞっていく。
さっき浴室で感じたビリビリを感じるかと思ったが、ひだをなぞるだけでは何も起こらなかった。
ただ恥ずかしいのをひたすら我慢していたが、指が中に入ってきて、粘膜を弄り始めた時にあの感覚が襲いかかってきた。
「んうっ…!」
体がビクッと震えたが、ローションのせいで指は大胆に動き回る。
「なるほど…おもしれー」
テツは俺の反応を見て楽しんでいるようだったが、指は第2関節まで入り込み、最初は1本だったのが2本に増やされた。
テツは2本の指を出し入れして、指が直腸の粘膜を擦り上げて往復する。
ビリビリは増すばかりで、体の中を摩擦されたら快感を感じる。
「はあ、あっ、うっ……」
「友也、お前……エロいな、初めてアナルを弄られて、いきなり勃起する奴は珍しい」
テツに言われて勃っている事に気づいたが、有り得ない事態に動揺した。
「俺……違うから、絶対違う……、ゲイじゃねーから」
「ゲイを差別しねーと、若にそう言ったんじゃねーのか」
つい口走っていたが、テツに突っ込まれて慌てて取り繕った。
「差別じゃねー、そういうつもりはない」
「若に同情してるんだろ、男に囲まれて育ったからそうなったと、若は卑屈になってる、お前にもそう言ったんじゃないのか?」
「そうだけど……」
「そんなのは関係ねー、周りがどうだろうが、ならねぇ奴はならねぇ、お前がそんな風に安っぽい同情心を抱いたせいで……若は期待した、あわよくばお前といい仲になれるんじゃねーかってな」
「そんな……俺はただ自分は自分だから、割り切って付き合えればって、そう思って……」
「それこそ勝手な言い草だ、そうやって差別してねーだとか、軽々しく口にする奴ほど、実は差別主義者なんだ、自分にその気がねーなら、はっきり言うべきだったんだ、ホモを見たら吐き気がすると」
「そんな事言えるわけがねーし……」
「馬鹿だな、いいか?下手に期待させて、生殺しにする方がよっぽど残酷なんだ、それが証拠に……お前は若を傷つけた」
「俺は……」
テツの言葉が胸に突き刺さった。
俺はやっぱりただの偽善者に過ぎない。
「ふん、所詮ガキなんだよ、けど、その吐き気がするゲイに…今から仲間入りだ、良かったな」
罪悪感を感じたが、そんな事を言うテツ自身の気持ちが気になった。
テツは関係ないと言ったが、テツは翔吾の乳母兼補佐だ。
俺にこんな真似をするのは、やっぱり翔吾を傷つけた事に対する報復に思えてくる。
「テツ、あんた……やっぱり翔吾の事を」
「ふっ、ま、好きにとりな」
テツは肯定も否定もせずに、体を起こして自分のナニにローションを塗り始めた。
「あ、あの、待っ……待って……くれ」
「今更怖気付いても、遅せぇぞ」
それを見たら、翔吾の事を考える余裕がなくなった。
もう目を背ける事は出来ず、テツの手元を凝視していた。
テツのナニは自分のモノよりも大きく感じ、猛々しく反り返っている。
そんなモノをアナルに入れられるのかと思ったら……腰が引けた。
「む…無理だ、そんなの入れるとか……出来ない」
「待てこら!」
腕を立てて起き上がろうとしたら、両足首を掴まれてひっくり返された。
「うわっ!」
「ケツの穴にシャブぶち込むぞ、おとなしくしろ…!」
シャブと聞いてフリーズしていた。
そんな物を入れたらどうなるのか、考えただけで恐ろしい。
仄暗い中で、勃起したナニが黒い影となって見えたが、その先端をアナルにあてがわれても、抗う事は出来なかった。
堪らなくなって顔を背けたら、生温かな肉の塊がアナルを押してきた。
中には既にローションが入れられている。
ヌルヌルになった先端は、あっさりアナルのひだを通過して中に入り込んでくる。
「くっ…うっぅ」
当たり前に指よりは大きい。
テツが腰を沈めると、すりこぎのような硬い肉塊がジリジリと奥に入り込み、腹の中が重苦しくて息が乱れたが、テツとこんな行為に及ぶ事自体、悲しくて悔しくて……逃げ出したくなった。
「う"っ……、はあ、はあ、俺…謝る……翔吾に……もう一度謝る、だから…こんな事」
翔吾に謝罪してテツに許して貰おうと思ったが、テツは前に体を倒して覆い被さってきた。
「やめとけ、これ以上下手に関わって、傷口に塩を塗るような真似をするな」
「けど……あんたは…、俺にムカついて…だからこんな真似を」
「関係ねーと言ったはずだ、俺が動くのは、あくまでも親父の為だ」
テツはまた否定した。
親父さんの為に動くと言ったが、それが何を意味してるのか、テツは何を言いたいのか……俺には分からなかった。
肉塊が根元まで入ったら、テツはゆっくりと動き出したが、竿が腸壁を摩擦すると異様な感覚が襲う。
「ふっ!う"っ、んん……!」
差し込まれたら、ハラワタを抉るような圧迫感に呻き声が漏れ、引く時は排便してしまいそうな感覚をおぼえる。
たいして痛くはなかったが、決して気持ちのいい感触ではない。
体の中でテツを露骨に感じ、屈辱感に苛まれた。
童貞を捨てる前に男に抱かれるとか……悲しすぎる。
テツは俺を抱いて腰を揺らしていたが、耳元にかかる息が徐々に乱れていった。
ゆさゆさと体が大きく揺れ動き、薄目を開けたらオレンジ色の明かりが滲んで見えた。
「出すぞ、中に出してやる」
「う、あ……!あう、うっ!」
テツは荒々しく動き出し、体が壊れるかと思った。
体内を抉る感触に呻き声を漏らすしかなかったが、テツは不意に動きを止めてグッと奥を突いた。
竿を咥え込んだアナルが、脈動をはっきりと伝えてきた。
「はあ、はあ、あっ…」
こんな事……夢だと思いたかったが、間違いなく現実だ。
「う、はぁー、たまらねぇ」
テツは耳元で息を荒げながら言ったが、俺はテツが満足するまで呆然としていた。
体が離れた後で、テツに連れられてシャワーを浴びに行った。
「中で思いっきり出したからよー、腹ぁくだすぞ、腹を下して俺の事を思い出せ、っははっ」
テツは俺に湯を浴びせながら楽しげに言ったが、俺はうわの空で聞いていた。
「これで終わりだと思うな、俺が迎えに行った時は車に乗れ」
腰の辺りが怠く、身も心もボロボロになったような気がしていたが、テツは追い討ちをかけるような事を言った。
「まだ……付き合わせるつもりなのか……」
「おう、未成年者に対する淫行、略取、脅迫、そんなとこか……?」
「分かってて…やるんだ」
「当たり前だ、約束しろ」
犯罪だとわかった上でやるとか、まともな話は到底通用しそうにない。
「わかった…」
「待ちな」
渋々承諾して浴室から出ようとしたら、後ろから腕を掴まれ、抱き寄せられてキスされた。
「ふ、うっ!」
髭があたる感触は、もううんざりだ。
藻掻いて離れようとしたら、片手で後頭部を押さえつけて、無理矢理舌をねじ込もうとする。
「う"っ、んっ……」
口を閉じて抵抗したが、片腕で勢いよく背中を締め付けられ、堪らず口を開けてしまった。
「あ"っ……う"っ」
舌が強引に入り込み、好き勝手に口の中を動き回る。
ぬるっとした感触に背筋がぞくっとしたが、こんな事になって……今更抵抗しても無駄だ。
──抗う気力が失せて、体から力が抜けていった。
「いいか、約束は守れ、守らねー時は……わかってるだろうな」
「……ああ」
テツと約束を交わし、フラフラしながら浴室から出た。
それから、服を着てマンションを出た。
車に乗ったあとは、ずっと外を眺めていた。
初めは真っ暗な景色だったが、街に近づくにつれてネオンや人家の明かりが目につくようになった。
だけど景色なんか全く目に入らず、悪夢のような出来事がこれから先も続くのかと思ったら、この世の不幸を全部背負い込んだような……そんな気分になっていた。
テツとは、ひとことも言葉を交わさなかった。
やがて住宅地から少し離れた場所にやって来ると、テツは目立たない場所に車を止めて話しかけてきた。
「おい、友也、俺はお前の家がどこにあるか知ってる、どうする、家の前まで送ってやろうか…?」
いつ調べたのか知らないが、用意周到なのが怖い。
それに家まで送るとか、そんな事を親切に言うのも不気味だ。
「いや、ここでいい……」
当然、その場で車を降りる事にした。
俺が降りたらテツは自転車をおろし、俺は自転車を受け取った。
「約束を忘れるな、逃げたりしたら、姉ちゃんが身代わりになるぞ」
家の方へ自転車の向きを変えて跨ったら、テツは俺が漕ぎ出す前に念押ししてきた。
「わかってる、じゃ……」
仕方なく振り向いて返事を返し、ペダルを漕いで自転車を走らせた。
テツは暫く止まっていたが、俺が細い脇道に入ったら、エンジン音がして走り去った。
ポケットから時計を出して時刻を見た。
午後10時を過ぎていたが、家までは5分もあれば到着する。
家に入ったら、母さんは台所で洗い物をしていた。
キッチンへ入ると、気配に気づいて振り返った。
「友也、遅かったわね、また友達の家に行ってたの……?」
「ああ……」
俺が遅く帰るのはいつもの事だから、母さんは気にしてないようだ。
「ご飯まだでしょ……?そこに置いてるから、温めて食べなさい」
「ああ、うん」
なにも変わらない。
いつもと同じ光景だったが、それがやけに悲しく思えた。
ひとまず……腹が減った。
空腹感は気分を憂鬱にさせる。
椅子に座って、食卓の上に並べられたおかずをつまみ食いした。
「友也ー、またこんな時間まで、あんた本当に友達のとこに行ってるの……?」
──と、姉貴がやってきた。
姉ちゃんはすぐに余計な事を詮索する。
また始まったとうんざりしたが……だったらこの際、何を疑ってるのか、探ってみようと思った。
「決まってるだろ、じゃあ、他に何があるって言うんだ……?」
「あのアルファード……ヤクザみたいな男……、あんたは違うって言ったけど、なんか気になる」
鋭いところを突いているが、姉貴が具体的に何を怪しんでるのか、気になった。
「で…?もしそれが俺だとしたら、姉ちゃんは何を疑ってるわけ?」
「うーん、わかんない、わかんないけど、ああいう所って、今人手不足なんでしょ……?勧誘とか」
姉貴にバレる筈はないが、内心ほっとした。
「バッカじゃね…?俺みたいなこんな弱っちいのが、勧誘なんかされるわけねーだろ」
「ふむ、まあ、確かに……」
姉貴は一応納得したようだったが、その時、急に腹が痛くなってきた。
「うっ……やばい」
「ん…?なに」
「腹がいてぇ、トイレ……」
慌てて立ち上がったら、姉貴は呆気にとられてポカンとした顔をしていたが、ひとこと返してトイレに向かった。
──最悪だ。
テツが言った通り……腹を下した。
確かあの時…『腹を下して俺を思い出せ』と言って笑ったが、腹立つー!
「くっ……最低……」
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