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BL長編snatch(完結)ヤクザと高校生
Snatch43coexistence
◇◇◇

マンションの部屋に戻ったら、買ってきた物をテーブルの上に並べてみんなで食べたが、テツは再び絡んできて暴君と化した。
その都度火野さんが間に入ってくれたが、夕方になって火野さんと姉貴が部屋を出て行くまで、繰り返し絡んでいた。
2人がいなくなって急に静かになったが、それは姉貴や火野さんのせいじゃない。
好きなだけ暴れて疲れたのか、テツがソファーの上でくたばっているからだ。

「散々暴れて……あんたの方がよっぽどガキじゃん」

体の横の狭いスペースに無理矢理座り、だらしなく眠りこけるテツの肩口に両手をついた。

「酒くせーな……、へへっ……復讐してやる」

首筋にキスをしたら、汗ばんだ肌は塩っからい。

「ふっ……、うす塩味だ」

犬みたいにぺろぺろ舐めまくってやった。

「ん……うっ、な……何してる」

テツは寝ぼけ眼で話しかけてきた。

「やられたら、やり返す」

「う……、はあーあ、そうか……、構わねー、やれよ」

てっきり嫌がると思ったが、手を上に伸ばして背伸びをすると、そのまま俺の背中を抱いてくる。

「じゃ、遠慮なくやるからな」

上着は暴君と化した時に脱いでるから、気が変わらないうちに、シャツのボタンを外していった。

「へへー、だったら、おめぇはこっちを脱げ」

テツは俺のズボンに手をかけると、前を開いてずらしていったが、構わずにシャツをはだき、乳首を摘み上げて耳朶を食んだ。

「なあ、あんたも乳首感じるんだろ?」

「さあな、内緒だ」

「内緒って事は感じるんじゃねぇの」

「へへっ…」

やってるうちに段々気分が乗ってきて、互いに息づかいが荒くなっていった。

「たまらねぇ……、もう脱ぐ」

一旦起き上がって邪魔なズボンを脱ぎ捨てていったら、テツも起き上がってシャツを脱いだ。

「よっしゃ、そんじゃ見せてやろうじゃねぇの、鍛えあげた鋼の肉体をな!っははっ!」

ハイテンションに笑い飛ばし、脱いだシャツを床の上に放り投げたが、そう言えば、テツは入院中に体がなまったとぼやいていた。
でも、俺が見る限り殆ど変わってない。
割れた腹筋や逞しい腕を見たら、ボルテージが急上昇した。

「やべぇ、勃ってきた」

「俺も準備万端だぜ、へへー」

「テツ…」

「ああ、やたら興奮するぜ」

求めあうように抱き合って唇を重ねた。
片足だけソファーに乗せた中途半端な体勢で、顔を傾けて唇を吸ったら、ザラつく無精髭が肌を引っ掻いた。
息継ぎすら惜しむように舌を絡めあい、ぬめる感触を追いかけ回したら、逆に追い詰められて息苦しくなった。
背中に指を突き立てて堪えようとしたが、尻臀をぎゅっと掴まれてくぐもった声が漏れた。

「ん"っ、ぅっ……!」

「はあ、このままやりてーとこだが、こういう時に中断しなきゃならねぇのがアナルの欠点だな、折角盛り上がってんのによー、萎えちまう」

テツはキスをやめて残念そうに言ったが、股間はテントを張っている。

「これのどこが萎えてるわけ?」

チンコをギュッと握って聞いた。

「へっ、なあ友也、俺のちんぽが好きか?」

テツは反対に聞き返してきたが、今更恥ずかしいも糞もない。

「ああ、好きだ」

「じゃ、俺の事も好きか?本体の方だ」

「ああ、好きに決まってる」

「クックックッ……、いいぜ、遂に落ちるとこまで落ちたな」

俺は真面目に答えたつもりだが、テツは面白がっている。

「あのさ、俺、ふざけてねぇから」

「ほお、そうか……、そういう事なら、おめぇにひとついっときてぇ事がある」

「なんだよ」

「一緒に暮らそう、卒業したらここに住め」

ムキになって言ったら、急にマジな顔をして意表を突くような事を言い出した。

「え、一緒に暮らす?」

「なんだ、嫌か?」

「い、嫌じゃねぇ…」

突然の話に唖然となったが……嫌な筈がない。
むしろ一緒に暮らしたかったが、手放しで喜べる状況じゃなかった。

「なら決まりだな、ほら、体をキレイにしてきな」

だけど、テツは嬉しそうだ。

「……わかった」

頷いてトイレと浴室がある方へ歩いて行ったが、準備を進めながら、自分の事や家族の事について改めて考えてみた。

父さんは社畜の鏡だ。
俺の事は母さんに任せっきりで、興味を抱く暇すらない。
だから……父さんは除外するとして、問題は母さんだ。
母さんに心配をかけるような真似はしたくないが、俺の事よりも、まず姉貴と火野さんの事がある。
もし姉貴が、火野さんとの結婚を反対されて家を出る事になれば、それだけでちょっとしたお家騒動だ。

今は俺の事を考える余裕はない。
同居の事は先送りにして、準備を済ませた後で家に電話をいれた。
母さんに友達んちに泊まると言ったら、また姉貴と被ってしまった事もあり、グチグチと文句を言っていたが、長くなりそうなので適当に誤魔化して電話を切った。



気持ちを入れ替えて、腰タオル姿でテツの所へ戻ったら……ソファーにセイコが座っている。

異様な光景に怯み、数メートル前で足を止めた。

「おう、済んだか」

テツはタバコを灰皿で揉み消したが、片腕でセイコの肩を抱いている。

「あのー、一体何をされてるんですか?」

「セイコがな、おめぇが戻ってくるのを待ってたんだ」

「で?そこに座ってると?」

「そりゃそうだ、こっちに来な」

「すみません、俺はセイコの事は嫌いなので、さっさと磔台に戻してください」

「おめぇな、そんなんじゃモテねぇぞ、女にゃ優しくするもんだ」

「どうしても3Pをするつもりですか?」

「おお、やる……、なあセイコ、だろ?やりてーよな?おー、なるほどな、しゃぶりてぇ…つってるぞ」

「くっ……」

俺が同居の事で真剣に悩んでる間に、磔台からセイコをおろし、くだらねぇ芝居を見せるとか。
馬鹿馬鹿しさを通り越して……ムカついた。

ツカツカとソファーへ歩いて行くと、セイコの両腋を掴んで抱え上げた。

「おお、やっとヤル気になったか」

「こんなもん……、キショいんだよ!」

ソファーの後ろにあるダンボールへ、セイコを叩き込んでやった。

「あっ!友也、おめぇーひでぇ真似しやがるな、あーあ、まるで死んじまったようだ、ピクリとも動かねぇ」

「テツ!」

「っははっ…!ああー笑える、あはははっ、ムキになってやんの」

「悪ふざけがすぎる!」

「なんだよ、そう怒るな」

おちょくられてムカついたが、腹立ち紛れにいいことを思いついた。
この機会に言ってやる。

「俺はセイコより……、あんたを抱きてぇ!」

「なにとち狂ってんだ?」

「本気だ」

「いやいや、そいつはダメだ、俺はとっくの昔に封印した、ケツにゃ呪いがかかってる、開けたりしたらとんでもねぇ事になる、この世の終わりだ」

テツはまた訳の分からねぇ事を言い出した。

「あのさ……」

「ほんとだぜ、ケツから禍々しいもんが出て来るんだ、おめぇなんぞ、あっという間に食われちまうぞ」

誤魔化されるもんかと……そう思ったが、テツの言った事が映像化して頭に浮かびあがり……笑いがこみ上げてきた。

「くっ、クソっ……くくっ、あははっ、よくそんな話が咄嗟に浮かぶよな?おかしいだろ」

「へへっ…、来いよ」

結局、はぐらかされて隣に座った。

「ほんと、あんたは変なヤクザだな」

「ああ、ヤクザなんてやつぁ、みんな頭がイカレてるんだよ、ま……、肩肘張るのが俺らの商売だからな、けどよー、おめぇの前じゃ気を張る必要がねぇ、それが妙に居心地がいい」

テツは俺の肩を抱いてしんみりと話す。

「それ、本音?」

もし本音なら嬉しい。

「ふっ……、奥の部屋はおめぇの為に空けてるんだ、へへー、糞優しいだろ?」

だが、テツは俺の質問には答えなかった。
またはぐらかされたような気がしたが、俺の為に部屋を空けてると聞いたら、同居の事を真面目に考えなきゃいけないような気がしてくる。

「よし、始めようぜ」

けれど、ソファーの上に押し倒しされてTシャツを捲られた。

「あ……」

「感じるかどうか、試してやる」

テツは小さな突起を唇で挟んでペロリと舐め、鋭利な刺激に体がビクっと反応した。

「んんっ!」

「こりゃあ、やっぱりピアスのせいだな」

「え、それで……こんなに?」

「多分な」

そんな事で感度が変わるものなのか半信半疑だったが、濡れた舌がぬらぬらと這い回り、小さな突起に触れる度に淫らな刺激が走る。

「あ、あぁ、ヤバイ……」

「ほら、舐めろ」

「アグっ!」

エロい舌使いに感じていると、不意に口の中に指を突っ込まれた。

「あ、あぐ、う?」

わけが分からず、指を咥えたまま聞いた。

「フェラするみてぇにしゃぶるんだよ、やってみろ」

しゃぶれと言われてキョトンとしたが、兎に角やってみる事にして、ゴツゴツした太い指を舐め回していった。
だけど、感度の上がった突起をいたぶられたら堪らなくなる。
体の芯が疼き、勃起した竿が痛いくらい張り詰め、ただ指を舐めてるだけなのに……変に興奮する。
テツはズボンを穿いたままだ。
勃ち上がる竿が布越しに肌を擦っているが、我慢できなくなって片手でズボンの前を開いた。
勃起した竿が飛び出して手の甲に当たり、熱を帯びてビクリと跳ねる。
指の腹で亀頭を撫で回し、追い立てるように裏筋を擦っていくと、テツはいきなりガバッと起き上がった。

「っ、もう我慢できねー!」

ズボンと下着をいっぺんに脱いでその辺に放り投げる。

「ワイルドだな……、野生かよ」

半ば呆れながら言ったが、テツはお構い無しに俺のチンコを握ってニヤリと笑う。

「へへー、おめぇも勃ってんじゃねぇか、指舐めで感じやがって、この変態が」

「ああ、変態で構わねー、それより早くやろう」

何を言われても構わない。
体の昂りを早く静めて欲しかったが、テツは何気なく背もたれの下に手を伸ばした。

「ちょっ…、まさか……」

嫌な予感がしたが、案の定、セイコを引っ張り上げた。

「おめぇはセイコだ」

「忘れたと思ったら……しつけー、それはやだっつってるじゃん」

テンションだだ下がりだ。

「うるせー!つべこべ言わずにやるんだよ!」

「そんなー、糞優しいテツはどこに行ったんだ?」

人形込みで3Pとか、そんな馬鹿げた事は避けたかった。

「たかがドールとやるだけで、いちいち刃向かうおめぇがおかしい、ほら、セイコは下だ、早くしねぇとおめぇを磔にすっぞ」

「ううっ……鬼ぃー」

だが、磔は嫌だ。
仕方なく従う事にした……。
俺が一旦退いたら、テツはセイコをソファーにうつ伏せに寝かせた。
被さるように言われ、嫌々寝バックの体勢になった。

「うう、何が悲しくて人形のパンツをずらさなきゃならねぇんだ」

泣く泣くセイコのパンツをズラし、チンコを挿入していったが……ローションが仕込んであるらしく、スムーズにインできた。

「あっ……」

中はヌルヌルしていて、包み込まれる感触が……意外に気持ちいい。

「あれ?」

こんな筈じゃなかったが、気持ちよくてつい腰が動いた。

「んだよ、やってるじゃねぇか」

「いや、あの、ええ……」

困惑しながらセイコを突き上げていると、尻臀を開かれてローションを垂らされた。

「おっしゃー、いくぞー」

テツは威勢よく宣言して、勃起した竿をアナルへ押し入れてきた。

「んうっ!」

ここ最近禁欲状態だったせいか、竿が体の中を擦り上げると異様に感じる。

「う、くっ、ハァハァ、あっ……」

寝バックだからチンコが前立腺を直撃する事はないが、体内を抉られるだけで体の中が疼いて堪らない。
当然チンコにも伝わり、竿は悲鳴を上げるようにビクつき始めた。

「ハァハァ、テ、テツ……、このまま出して…、いいのか?」

「おう、思いっきり出して孕ませてやれ、っははっ!」

イキそうになって焦りながら聞いたら、テツは馬鹿な事を言って笑ったが、今はそれどころじゃなかった。

「うっ!う、あ……、ハァハァ、っあ…、き、気持ちいい」

ぐっと突いてセイコの中に出したら、テツがぐっと体内を抉りあげ、あまりに気持ちよくて頭がクラクラした。

「おお、締まる、やっぱ3Pも悪くねぇな……」

テツは満足げにぶつくさ呟いていたが、いくら気持ちよくても……無機質な人形じゃ温もりは得られない。

「もう、気が済んだろ…、俺……人形なんかいらねぇ、あ、あんたを抱き締めたい」

「そうか、よし、セイコはこの位で許してやる、いっぺん抜くぞ」

テツは一旦退いて俺を引っ張り起こし、セイコを背もたれの後ろに落とした。
ドサッと音がしたので、セイコは無事ダンボールに戻ったようだ。

「さてと、ぼちぼち本気でやるか、ベッドに行こう」


───ようやく普通にやれる。

場所をベッドに移して抱き合ったら、肌に触れる温もりが心地良かったが……テツは萎えたチンコを痛めつける。

「セイコの中にローションたっぷり入れたからな、ちんぽがぬるぬるだ」

「うっ、だめだって」

「へへー」

敏感になった亀頭をぬるぬる擦られたら堪らない。

「っの……、反撃だ」

やられっぱなしじゃ腹が立つ。
テツの竿と俺のチンコを2本まとめて握り、ゆるゆると扱いていった。
俺のは萎えていたからやりづらかったが、竿と竿が擦れ合う生々しい感触に反応し、すぐに勃ち上がってきた。

「おお、いいぞ、なかなか上手い」

横向きで体を密着させて扱いたら、テツは俺の背中を抱いて気持ち良さそうに目を細めたが、どちらからともなく顔を近づけ、そうするのが当然のように……唇を重ねていた。
啄むように軽く吸ったら、強く吸い返されてキスにのめり込んでいった。
いつの間にか手が疎かになっていたが、テツは顔を離して上に被さってきた。

「いいか……?」

「……当たり前だ」

深くゆっくりと息をしながら迎え入れると、反り勃つ竿が狙ったように前立腺を押してくる。

「んあっ!はあっ、い、いきなり……かよ」

「へへー、おめぇの体は熟知してるからな」

揺れ動く背中に掴まり、キスをしながら与えられる快楽を貪っていたら、不意に勢いよく突かれて息が詰まった。

「ぐっ…!」

キスから逃れようとしたが、頭を抱き込まれて逃げられない。

「ふっ、んん!」

2度、3度と続けて腰を打ち付けられ、鼻から声を漏らして悶えていると、急に浅い抽挿に切り替わってふっと力が抜けた。
手が背中から滑り落ちていき、唇がすっと離れた。

「あ、ハァハァ…」

「へっ、いくぜ」

ぼんやりとテツを見ていたら、意地悪くニヤリと笑った。

「ま、待っ……」

「オラぁ……!」

ヒヤリとして止めようとしたが、無視された。
テツは前立腺を思いっきり突き上げ、下腹部全体がギューっと締め付けられ、体中を震撼させるような衝撃が走った。

「くっ、ああっ!バカヤロー!」

頭にきて怒鳴ったが、衝撃はあっという間に快感に変わり、体中が小刻みに震えだした。

「ハァハァ、あ、あぁっ……駄目だ……、た、たまらねぇ」

「な、壊れるぐれぇーやっちまっていいか?」

「い、いい、好きにしてくれ」

体が茹だるように熱くなっていた。

「そんじゃひとまずカウントダウンだ、いくぜー、5、4、3……、うっ、やべっ……もたねぇ、出すぞ」

テツはひときわ大きく揺れ動き、力強く奥を突いて止まった。

「う……あっ!」

体内にパッと体液が飛び散り、体が硬直してビクンと跳ねた。

「あっ……ハァハァ、あぁ……」

甘い痺れが染み入るように広がって、脈動する竿に合わせるように股間の竿が痙攣した。

「はあ、はあ、ドライイキしやがったか、アナルがひくついてっぞ、ったく……エロい体だぜ、病みつきになるんだよ、やめられねぇ」

チンコは瀕死の半勃ち状態で、ダラダラと半透明の粘液を垂らしているが、テツは興奮気味に繰り返し竿を突き込んできた。

「ハァハァ、あ……っ、あう、ああ、あうぅ」

下腹が疼いて堪らなかったが、何物にも代え難い喜びで体中が満たされ、震える手で汗ばんだ肌を抱き締めていた。



1回戦目を終えた後。
テツは一服して、シルバーの洒落たリングを自分のチンコにハメた。
根元にハメて突いてきたが、特に違和感はなかった。
リングをハメたのは長持ちさせる為らしいが、正常位から屈曲位に移り、前立腺をゴリゴリやられ……それが延々と続く。

頭はクラクラになり、目がぼやけてきて『もう、勘弁してくれ』と言ったが、そのまま抱き起こされて座位で突かれた。

「も、もう……、あ、ああ、ハァハァ、む、無理ぃ……」

「壊れても構わねぇっつったよな?」

「い、言った……けど、こんな…、マジで……目が回る」

「駄目だ、気が済むまでやるからな!」

テツは俺を抱いて下から激しく突き上げてくる。

「う、ううーっ、ああー……前立腺がぁ……、とれちまうぅー」

チンコはフル勃起したままをキープして、体内をゴリゴリ擦り上げるから、頭がゆらゆら揺れ動いてテツの肩に掴まった。

「そう簡単にゃとれねぇ」

「目が……チカチカ……する」

いい感じで視界が白く霞んできた。

「コラ、寝るな!」

だが、ほっぺたをペちペち叩かれて、無理矢理意識を保たされた。

「う………っ」

「まだまだ寝かせねぇぞ」

テツは直ぐに動き出し、体中が痺れて強烈な快感が湧き出してくる。

「た、頼むっ……もう……ヤバイ」

「ようやく好きにやれるんだ、今日は徹底的にやる」


よくそんな体力があるものだと、心の隅で思ったが、体位を変えて再び貫いてきた。

「あああ………やべー……三途の川が……」

「嘘つくんじゃねぇ、コラ起きろ!」

目が霞んで意識が飛びそうになったら、顔をペちペち叩かれる。

「いてぇ……顔が……おたふくに……なっちまう……」

「はははっ、そんなに強く叩いてねぇ、大丈夫だ」


今までで最悪最強クラスの快楽地獄だ……。

好きにしてくれ……とか、言わなきゃ良かったと悔やんだが、地獄から逃れる事はできない。


「降参するから……リングを……外して……」

今はただ……さっさと逝って欲しかった。

「まだ午前3時だ、朝までにゃ時間がある」

「ごめん……ついてけねぇ……、おや……すみ…なさ」

「へへー、ついてくるんだよ!オラ!気合を入れろ!」

「ヒイッ!………あ"ーっ、俺……、ううっ……」

「泣くなよ……」

「俺……あんたと……、すげー嬉しい……けど……ずっと体が震えっぱなしで……体ん中がビリビリして……キツイ……マジで……」

「しょうがねぇなぁ、わかったよ、じっとしといてやる」

「リング……外さねぇの?」

「へっ、あたりめぇだろ」

「ううっ………やっぱ鬼だ、ケツ……壊れちまう」

「壊しゃしねぇ、きっちりローション足してるからな」

「いいよ……じゃ、マグロだ、カチカチに凍った……冷凍マグロだからな」



テツはまだまだヤル気らしいから、俺は冷凍マグロになる事にした。


だけど……いくらマグロ化しても、キツイものはキツイ。


背面側位から寝バックに移ったが、意識が飛びそうになると、耳や首に噛み付いてくる。

「いてぇ……歯型がつくー……」

「歯型か、おっ、いい事を思いついたぞ」

「な……なにを?」

この状況でいい事というのは、ほぼ良くない事と思っていいだろう。

「うっ!いっ………!」

また噛んだのかと思ったら、首を強く吸っている。

「何して……」

「へへっ、キスマークつけてやった」

「え……、いや……それ、ヤバくね?」

キスマークなんかつけられるのは初めてだし、言われるまではなにをしているのか分からなかった。

「何がヤバイ、俺がつけたんだぞ、喜べ」

「だけど痣ついたら……もうじき学校始まるし……」

どんな状態になるのか……それもよく分からないが、アバウトに痣になるのはわかる。

「へへへっ…」

「あっ……何してっ……ちょっと、やめっ……」

なのに、テツは面白がって肩や首に吸い付いてくる。
手をついて腕を立てようとしたが、体は既に嫌という程嬲られている。
背中にのしかかって体内を抉られたら、責苦のような快楽が体中を麻痺させた。

「はあー、たまらねぇな、へへっ」

「あ……ほんとに……ヤバ……イ」

「おいコラ、寝たらキスマークつけるぞ」

テツは脅して首に吸い付いてきたが、もうなにをされても無駄だった。

痛みすら感じなくなって……意識が現実から離脱した。





息苦しくて目覚めたら、テツの腕が胸の上に乗っかっていた。
俺の方へ向いて片腕で体を抱き、真っ裸で眠りこけているが、ろくに寝てないんだから当然だろう。

壁掛け時計の針は午前10時前を指している。

腕はずっしりと重かったが、退かすのは嫌だったのでそのままにして話しかけた。

「本当に……一緒にいられるんだな」

髪を撫でたら、刈り上げた箇所が柔らかなブラシのように手の平を擦った。

「ん……、う……」

テツは小さな声を漏らしてゴロンと仰向けになったが、目を覚ます気配はない。

「へへっ…」

夕べの仕返しをしてやろうと思い立ち、首に顔を寄せて思い切り吸い付いてやった。

「うっ……、な……なんだ」

「へへー、仕返ししてやった」

テツは目を覚ましたが、首には赤い痣がくっきりとついている。

「なんだ……そんな事か……」

しかし、全く気にしてない。

「いいのか?」

「別にー」

ちょっとガッカリした。

「それよりおめぇ、首の辺りがとんでもねぇ事になってんぞ」

「えっ?」

テツに指摘されて見てみたが、鏡じゃなきゃよく見えない。

「ちょっと……」

嫌な予感がして、ベッドから降りて洗面所へ行った。

「あっ!ちょっと、なんだよこれ!マジかよー」

鏡を見たら……首から首の付け根、肩の後ろに至るまで、そこら中に痣がついている。
無数につけられたキスマークは、最早キスマークというよりは……何かの病気にでもかかったように見える。

「クックックッ……」

鏡の中にしたり顔で笑うテツが映り込んできた。

「テツ……!どうしてくれんだよ、これじゃ病気じゃねぇか」

「ほら、シャワー浴びるぞ」

振り返って文句を言ったが、腕を掴まれて浴室に引っ張りこまれた。
テツは後でキスマークのとり方を教えてやると言う。
本当にとれるか不安だったが、納得するしかなく、一緒にシャワーを浴びて部屋に戻った。


俺は来た時の服を着て、テツはいつもの服装でソファーに座り、適当な物を食って食事を済ませた。

というのも、テツは昼から用があると言ったからだ。
食事が済んだら、テツは火野さんに電話をかけていたが、一緒に出るわけじゃなさそうだ。
姉貴はまだゆっくりできるらしい。
俺はテツが出るついでに送って貰うから、姉貴より先に帰宅する事になる。

ゆうべはリングで執拗にやられ、早く離れてくれと願ったが、いざ別れるとなったら……急に時間が惜しくなってきた。

照れ臭さよりも寂しさが勝り、テツの体に縋るように寄り添った。

「へっ、急に素直になったな」

テツはニヤニヤしていたが、俺はふとある事を思い出した。

「パイパンはどうすんの?」

「あのなー、せっかくいいムードになってんのによー、パイパンか?」

「気になった」

「そうだな、おめぇは薄毛だからそのままでいい」

「薄毛?」

「なんだ、間違っちゃねぇだろ」

「あ、うん、なんかハゲみたいだけど、まぁいっか……、じゃ、パイパンはやんなくていいんだな」

「ああ、構わねー、それより……ゆうべはたっぷり楽しめた、また泊まれ」

「ああ、うん……、泊まる」

これからは自由に会える……。
それは分かっているが、キスマークのとり方を教えて貰った後で、さりげなくテツの肩に頭を乗せ、部屋を出るまでずっとそのまま寄り添っていた。




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あきゅろす。
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