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BL長編変態ヤクザな話snatch(完結)
Snatch40bond
◇◇◇

テツが撃たれて9日目。
朝方、まだ眠りについてる時に……もぞもぞと蠢く感触をおぼえた。

「ん……」

見れば、テツが布団に潜り込んでいる。

「ちょっと……何やって……」

また欲求不満になり始めたらしい。

「いいじゃねぇか……ケチケチすんな」

「そういう問題じゃ……」

「へっ、勃ってるじゃねぇか」

寝起きで頭がぼんやりしてるのに、テツはチンコを握って嬉しそうだ。

「分かってる癖に……生理現象だ、ベッドに戻れ」

そんなのは朝勃ち以外の何ものでもないが、よく見たらテツはパンツ一丁になっている。

「69でフェラだ」

やる気満々らしい……。

「駄目だって…」

寺島が寝る真横で69をするのは嫌に決まっているが、テツは俺を無視して69の体勢になった。

最近は火野さんに買って貰ったジャージを着ている。
介護するのにはジャージが楽だからだが、ジャージのズボンは腰がゴムだ。
下着ごとずるっと一気に引き下げられ、焦って寺島を見たら、寝返りをうって背中を向けた。

まさかとは思うが、見て見ぬふりをするつもりじゃ……。

なんともいえない気持ちになったが、チンコがテツの口に咥えられてしまい、腰が抜けそうな程の快感が込み上げてきた。

「んうっ……」

「おいコラ、早くやれ」

もうやるしかない。
急かされてパンツをズラしたら、チンコは腹につきそうな程反り勃っている。

だけど、ほんとの事を言えば、俺の方がテツよりも禁欲状態にある。
意識が戻るまではそれどころじゃなかったが、意識が戻っても、朝起きたらゴザや布団を退かし、テツに食事をとらせ、薬を飲ませ……喉が渇いたと言えば飲み物を差し出し……体を動かさないからマッサージはやらなきゃならない。
寺島と交代だからまだ助かってるが、やる事は山ほどあり……これプラス見舞い客だ。
ようやく1日が終わって、さっさと寝てしまいたいところだが、寝る前には床にモップをかけてゴザや布団を敷く。
ちゃんとした病院なら、看護師や清掃業者がやってくれるが、ここは闇で診て貰ってる小さな個人医院だ。

エロい事を考える余裕はなかった……。

溜まった欲求はすぐに溢れだし、あっという間にイキ果ててテツの口内に射精した。

「う……くっ……!」

テツは亀頭を吸い上げ、鈴口に舌を突っ込んで精液を舐めとっている。
いつもより丁寧にやってるように感じた。

「はぁ……」

恍惚とした気分に浸っていたが、射精する快感はそんなに長くは続かない。
賢者タイムに突入して竿はふにゃふにゃになり、エロい気分は嘘みたいに消えていった。
なのに……テツはやめようとはせず、擽ったくて堪らなくなってきた。

「っ、ん……うぅ……、テツ、もう…」

「へへー、苦しいか」

やけにしつこいと思ったら、わざとやってるようだ。
このままじゃ延々やられるので、先日のディープスロートをやる事にした。
擽ったさを堪えながら、反り勃った竿を強引に自分の方へ向かせて頬張り、ひと息に喉奥まで咥え込んでいった。
突き当りまできたら吐きそうになって苦しいが、我慢して包み込むように咥えていると、テツは我慢出来なくなってチンコをしゃぶるのをやめた。

「うっ……、またそれか」

互いに横向きの体勢でやっている。
片手でテツのケツを弄りながら、亀頭を喉でギュッと挟みつけると、竿が根をあげるようにビクつき始めた。

「くはっ……、た、たまらねぇ…、うっ…!」

数秒ともたず怒張した竿が跳ね、喉奥に精液が降りかかってきた。
脈打つ竿を捕え、ぬめる体液を飲み込んでいくと、テツは快楽の波にあわせてケツを硬く強ばらせる。
俺にイカされて苦しげに息を乱す姿は、何気に征服欲を満たしてくれる。

勢いを失った竿を口から出したら、どちらからともなく互いにパンツを戻したが、テツはベッドには戻ろうとはせず、俺の隣に寝転がった。

小さなスポットライトの明かりが、オレンジ色の弱い光でテツを照らし、腹に巻いた包帯がサラシのように見えた。

「それ、ひと昔前のヤクザみたいだな」

「ま、今も昔も俺は多分ヤクザだ、はははっ…、それよりな、友也、おめぇには聞きてぇ事が山ほどあるが……、こんなとこじゃゆっくり話せねぇ、治ってからだ」

テツは前世もヤクザだと言って笑い、俺の事に話を振ってきたが、テツの聞きたい事はだいたい分かる。
竜治と何をしたか……多分、そんなとこだろう。
でも俺は話すつもりはないし、今は隣の寺島が気になって仕方がない。

「おい、どこ見てる、よそ見するな」

寺島に目を向けたら、顔を掴まれて無理矢理テツの方へ戻され、唇を塞がれてしまった。

「んんっ……」

こんな事をしていたら夜が明けるし、寺島が寝たフリをしているとしたら悪い。
藻掻いてやめさせようとしたが、貪るように吸われて力が抜けていった。
強引に挿し込まれた舌は、精液の匂いを纏いながら傍若無人に動き回る。

あれから寺島は、電気シェーバーを持ってきていたが、テツはいつもちゃちゃっと適当に剃って終わりだ。
剃り残した髭の先端が小さな針のように肌を引っ掻き、ヌメる舌とは対象的な刺激を齎したが、鋭利な刺激は逆に淫らな気分を高めていった。
堪らなくなって衝動的に背中を抱いたら、唇がすっと離れて啄むように触れてくる。

テツはキスが上手い。
様々な経験を得た今も……つくづくそう思う。
表向きは粗野で横暴に振る舞うが、実際は繊細で……器用で……恐ろしく勘がいい。

「はあ……、またやりたくなっちまった」

キスでぼーっとなったところに低い声で囁かれたら、思わずくらっときてその気になりそうだったが、おとなしくベッドに戻って貰わなきゃ困る。

「続きはまた今度、ほら、行こう」

「ふうー、わかったよ…、けどよー、おめぇはやりたくねぇのか?」

「え?」

「ケツだよ」

「あ……ああ、そっか、忘れてた」

言われてみて思い出したが、今はそれどころじゃない。

「ほんとは欲しいんじゃねぇのか?」

「ちょっ……、もう駄目だって言っただろ?」

性懲りも無く尻を撫で回してくるから、キツく言った。

「ちっ……、わかったよ」

テツは嫌々ベッドに戻ったが、ほっとくとパンイチで寝るから、着いて行って浴衣を着せた。

「ほら、風邪ひくから着て」

「な、一緒に寝ようぜ」

「傷を治すのが先だ、あ……、まだもうちょい眠れるな、んじゃ、おやすみー」

「ったくよー、いいじゃねぇか……つめてぇな」

本当は俺だって一緒に寝たいが、それはあとのお楽しみにとっておく。

テツを寝かせて壁掛け時計を見たら、まだ5時前だった。
寺島は背中を向けたまま動かない。
もしかしたら本当に寝ているのかもしれないが、まだ起きるには早すぎるし、布団に潜ってもうひと眠りする事にした。





「おーい、お二人さん、まだ寝てるのかね」

医者の声で目が覚めた。

「あっ……」

起き上がって窓を見たら、暑苦しい夏の日差しが照りつけている。

「寝すぎた……」

時計を見たら9時すぎだが、寺島は疲れが溜まってるのか、まだ眠っていた。
声をかけて寺島を起こし、バタバタとやる事を済ませて椅子に座ったら、医者はその間にテツの診察や手当てをしていたが、寺島は椅子に座らずに食料を調達してくると言って出て行った。

「……んだよ、騒がしいな」

「お前さんの為に働いとるんだ、文句を垂れる前に、まず感謝しろ」

「そうか……、ああ、そういや……そうだ、わりぃ……」

テツは寝た状態で医者に背中を向け、ぶつくさ文句を言っていたが、医者に注意されて眠そうな声で素直に謝った。

「よし、終わったぞ」

「お世話になります」

「ああ、ちょっと待て」

処置が終わり、医者に向かって頭を下げたら、医者は待てと言って部屋の外に出て行ったが、すぐにまた戻って来た。
手に何かを提げてきたが、折りたたみ式のテーブルだったらしく、それをベッドの傍にひろげて置いた。

「今更出しても遅いが、わしもどこに置いたか忘れてしまってな、もう頭がボケとるんだ、やっと思い出して持ってきた、良かったら使ってくれ」

「はい、ありがとうございます」

「ん、先生、テーブル出してくれたのか?」

寺島が早々と戻ってきたが、近くのコンビニにでも行ったんだろう。

「ああ、ようやく探し出したんだ、遅くなったが、使ってくれ」

「わりぃな」

「じゃ、わしは外来の客を診察してくる」

傍にやって来て医者にテーブルの礼を言ったら、医者は客を診ると言って部屋を出て行ったが、先生は気まぐれに一般の患者も診ているようだ。
森先生は小さな町医者といった感じで、例えるとすれば『赤ひげ先生』と言ったところだろう。

テツは早朝の暴挙が堪えたのか、診察の最中にうとうとし始め、そのまま眠ってしまった。

虎も眠っているうちは、ただの猫……。
そんな事を考えていたら、寺島が先に食べようと言うので、テツには悪いが先に食事をする事にした。





午後になって、体でも拭こうかと話していると、久しぶりに翔吾がやってきた。
あれ以来プッツリと連絡が途絶えていたが、今日は黒木とイブキを従えている。

翔吾は真っ直ぐに俺の傍にやって来て、黒木とイブキも後ろについてきたが、イブキはテツに向かって頭を下げた。
俺は翔吾が何を言いにやってきたか、なんとなく分かっていたので、翔吾を見る事ができなかった。

「友也、親父が……友也の事は諦めろって言った、やっぱり、親父にとってテツは特別なんだ、だから……テツがこんな事になって、僕よりテツを選んだ」

思った通り、親父さんは翔吾に話をしたようだが、翔吾は納得がいかないらしく、親父さんが私情でテツを庇ったような言い方をした。

「若、そいつは違いますぜ、おやっさんは誰よりも若の事を可愛がってる、だから俺のような世話係なんかつけたんだ」

テツは起き上がり、言い聞かせるように言った。

「うん、テツはいつも僕の傍にいてくれた、親父が何を言おうが……友也を僕に譲ってくれるよね?」

だが、翔吾は親父さんの言いつけを無視して、感情に訴えてきた。

「すみませんが……、こればっかりは譲るわけにゃまいりません」

「そんな……僕の事、いつも助けてくれただろ?」

「すみません……」

それでもテツはひかなかった。

「じゃあ、友也は?」

翔吾は縋るように聞いてきたが、俺もテツと同じだ。

「翔吾の事は……1番の友達だと思ってる」

馬鹿の一つ覚えのように、同じ台詞をただ口にするしかない。

「そっか……、じゃあ……これからは、僕は友也がテツとイチャつくのを見なきゃいけなくなるんだ、テツ、それってもしかして報復?」

「そんなチンケな真似はしません、俺は補佐から外して貰って、屋敷を出るつもりです」

翔吾は俺には返さず、テツに皮肉めいた言葉を浴びせたが、テツは思わぬ事を言い出した。

「え……、補佐をやめて……屋敷を出る?なにそれ……」

俺も驚いたが、翔吾はもっと顕著だった。
急に顔色を変え、さっきまでの強気な態度が一変し、酷く取り乱した様子を見せている。

「親父にはキチンと話すつもりです、補佐には黒木がつくのが妥当かと」

「ちょっと待って、そんなの許さない……!」

「若、こんな事いったら笑われちまうかもしれませんが……、本音をいや寂しい、まだガキだった若をずっと世話してきて、それが当たり前のようになってた、風呂に入れたり、飯を食わせたり、夜中に寂しがって……、こっそり部屋を抜け出して、知らぬ間に布団に潜り込んでた事もありましたね、けど……、若は随分立派になられた、もう俺の手は必要ねぇ、補佐としてなら、黒木の方が優秀だ」

「そんな、テツ……」

「勝手を言ってすみません、ですが、もう決めた事です」

「あ……、僕を置いて出て行くんだ、そんなの……酷い」

「組を抜けるわけじゃねぇ、屋敷にゃちょくちょく寄らせて貰います」


俺は2人のやり取りを黙って見守っていたが、翔吾の態度はあまりにチグハグで滑稽に思えた。
テツを皮肉っておきながら、引き止めようとしているからだ。

だけど、2人の間に親子のような絆がある事は、薄々分かっていた。

翔吾は確実に成長してる。
もしここで、再び優柔不断な態度をとったりしたら、それは翔吾の足を引っ張る事になる。


「翔吾、居なくなって嫌なのは、本当は俺じゃなく、テツなんじゃないのか?」

「何言って……、僕は……両方いて欲しい」

「それは……我儘だ、俺さ、翔吾が組を継ぐって決めた時から、何気なく翔吾の事を見てたんだけど、段々若頭っぽくなってきたなって、そう思うんだ、たまに親父さんの姿と被って見える事もある、だからさ、そんな我儘言わないで……カッコイイ翔吾でいて欲しい」

「僕がカッコイイ?本当に……そう思う?」

「ああ、本当だ、それと…、もう……ごちゃごちゃ言いたくないからハッキリ言うけど、俺はテツの決めた事に従う、翔吾とは親友でいたい、それだけだ」

「友也……」

翔吾は悲しげな顔をして俺を見たが、もうこれ以上言う事はない。

「若、俺は友也の代わりにはなれねぇ、矢吹とも違う、けど、補佐としてつくなら自信はあります、何も望んじゃいねぇ、ただ補佐として可愛がってくださりゃそれで結構だ、それでもお嫌ですか?」

その場は静まり返ってしまったが、黒木が翔吾の傍にやってきて話しかけ、顔を覗き込んで問いかけた。

「黒木……、別に嫌なわけじゃない、ただ、テツも友也もいっぺんに失うとか……」

「失うわけじゃねぇ、友也は別としても、矢吹は違う、親子盃を交わしたら家族も同然だ、どこに行こうが……何をしていようが、家族はそう簡単にゃ縁は切れねぇ、そうでしょう?」

「ああ……そっか……そうだね、つい……忘れてたよ」

「ターニングポイントっすよ」

「ターニングポイント?」

「新たなスタートです、若はこれからもっと立派にならなきゃ、その為にゃ何かを変える必要がある」

「新たなスタートか……」

「そうです、独り寝が寂しけりゃ……俺が喜んで付き合います」

「え……、ああうん、まあ…、それは置いといて……、分かったよ、黒木、お前がそこまで言うなら……、これから先、よろしく頼む」

「勿論です」

翔吾は今ひとつ浮かない顔で頷き、補佐役を黒木に任せる事に決めた。
黒木の事は相変わらず部下として見ているんだろうが、黒木の私情がたっぷり詰まった説得は……満更でもなかったようだ。


「友也……、しばらく頭を冷やしたいから……連絡できないかも」

「分かった……」

「ごめん、落ち着いたら必ず電話するから」

「ああ、待ってる」

「黒木、イブキ、行くよ」

翔吾は俺に断りを言うと、黒木とイブキを従えて部屋を出て行った。


「イブキをひきとめようかと思ったんですが……、若や黒木が一緒じゃマズいと思いまして……、ま、電話でもいいっすね」

寺島は全く口を挟んで来なかったが、3人が出て行った後でテツに話しかけた。

「ああ、構わねぇだろう、竜治の番号は……確か火野が知ってる筈だ、友也、お前は奴の番号やら何やら……履歴も含めて全部消せ、いいな?」

「ああ…」

「で、寺島、おめぇは……まずイブキに話をして、それからいつ会わせるか、段取りしろ」

「はい、分かりました」

イブキと竜治の事は気になるが、俺はひとまず竜治のデータを消さなきゃならない。
履歴を埋め尽くすメールには、随分助けられた。
惜しいような気がしたが、テツが竜治の電話番号を俺に聞かなかったのは……腹が立つからだろう。

カバンからスマホを取り出したら、寺島は早速火野さんに電話をかけていた。
電源をいれて何気なく画面を見ていると、待ち受け画面が立ち上がった途端、大量の着信履歴が送られてきた。

───姉貴だ。
10日近くも家をあけてるし、当たり前といえば当たり前だが、退院までもうひとふんばりだ。
竜治のデータを全て消していった。

「友也、火野の兄貴がお前と話がしたいらしい」

「え、そうですか?分かりました」

ちょうど消し終えた時に、寺島に声をかけられて電話を代わった。

『おお、友也か、聞いたぜ、イブキと竜治を会わせる事になったんだってな、ま、竜治とは切れた方がいい、良かったじゃねぇか』

『はい、あの、話って……、もしかして姉貴の事ですか?』

『そうだ、舞さんはおめぇが竜治と一緒にいると思ってる、俺も初めは雑用を手伝ってると……そんな風に言ってたんだが……今日で9日目か?さすがに誤魔化すのも限界になってきた、で、もういっそ、兄貴との事をバラした方がいいんじゃねぇかと、そう思うんだが……、どうだ、やっぱり無理か?』

『それは……無理です、迷惑かけてすみません』

『そうか……、分かった、なんとか誤魔化してみる』

『すみません……』

大量の履歴を見た後だったし、姉貴の事だとは思った。
火野さんは困り果てたように言ったが、誤魔化すように頼むしかない。









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