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BL長編変態ヤクザな話snatch(完結)
Snatch34tempted
◇◇◇

親父さんと会った日は、帰る前に翔吾の部屋に寄ったが、黒木はちゃんと黒服を着てソファーに座っていた。

翔吾は黒木の向かい側に座れと言ったが、俺は何か嫌ーな予感をおぼえながら座った。

なんとなく黒木から目を逸らしていたが、翔吾は黒木の事など眼中に無いといった様子で、初っ端から親父さんとの事を聞いてきた。
仕方なくざっくり話したら、苛立つように舌打ちして……いきなりキスをしてきた。

殺気を感じた……。

しかし、どうしようもない。
キスを終えた時には、鋭い眼光が真っ直ぐに俺を睨み付けていた。

そんなに睨まれても困る……。
俺だって、本当は翔吾とこんな真似をしたくない。

だが最悪な事に、翔吾は黒木に俺を送らせると言う。

焦った……。

『イブキ君は……?』と聞いたら、今買い出しで留守だと言い、『じゃあ寺島さんは……?』と聞いたら、事務所に行ってると言う。

結局、黒木に送って貰う羽目になった。

黒木の車に乗る前、遠慮してるふりをして後ろに座ると言ったが、前に乗れと言う。
仕方なく助手席に座った。

話す事がないから黙っていたら、黒木の方から話しかけてきた。

「おめぇ、若に惚れてるのか?」

「いえ、こんな事言ったら翔吾に悪いけど、友達だと思ってます」

「じゃ、ハッキリ断れ」

「断りました、黒木さん……ホテルで一緒だったんだし、知ってるんじゃないですか?」

「わりぃ、あん時は真面目に聞いてなかった」

「最初は俺を見て面白がってた癖に…」

「あぁ"?今なんか言ったか?」

「いえ」

「じゃ、嫌々か」

「俺は翔吾とは友達でいたい、例えそういう関係になっても……それだけです」

「そうか、だったらいい、矢吹とは連絡とってねーのか」

「はい」

「俺はその件に関しちゃよく知らねぇ、ひとまず、おめぇの気持ちを聞いて安心したが、俺の前で若とイチャイチャするな」

「いや、そう言われても、俺は奴隷みたいなものだから……、なにも言えません」

「くっ、奴隷か……、羨ましい」

「えっ……?」

「……ったくよー」

「あのー、今、羨ましいとか……聞こえましたが?」

「空耳だ」



黒木が聞いてきたのは、案の定翔吾の事だった。
俺は嘘偽りない気持ちを明かし、黒木も一応納得はしたものの、それでも……イチャつくのを目の当たりにしたら、やっぱり嫉妬するんじゃないかと思った。

だけど、その日から翔吾とは会えなくなった。
組関連の付き合いもあるらしいが、親父さんのシノギ関連で色々と覚えなきゃいけない事があるらしい。
親父さんは不動産業、産廃業、風俗など、手広くやってるらしいが、表立ってやってるわけじゃなく、名義は全く別の人物だったりするようだ。



◇◇◇

目的もなくダラダラと過ごすうちに、あっという間に1週間が過ぎていた。
竜治からのメールは、くるのが当たり前となっている。
夜中にきたやつを朝起きてチェックするのが日課だ。

この日も朝起きてメールを開いてみたら、『今日、昼からデートしないか?』と書いてある。
結びにハートの絵文字つきだ。

思わず顔がニヤケていたが、面白い写真を撮ったから送る……とあった。
写真って……一体なんなんだろう?と思いながら開いてみると、真っ裸で吊り下げられた男が写っていた。
パッと見ただけで強烈なインパクトだが、体中傷だらけで血が滲み、顔は赤黒く腫れ上がって誰だか分からない状態だ。
酷たらしい写真に思わず目を背けたくなったが、どこかで見た事があるような気がして、じっくりと見てみた。

このガッチリとしたガタイに坊主頭……。

───三上だ。

ぐったりと項垂れていて、意識を失ってるようだが、ハッキリ言って……生死すら危ういように思える。

唖然として背筋が寒くなった。

特に説明はないから詳細は分からないが、直ぐにメールを閉じた。

竜治は憂さ晴らしになると思って、わざわざ写真を送ってくれたんだろう。
確かに俺は、三上がどうなろうが知るか!って、そう思った。
だけど、この写真を見てせいせいした気分になるか?と聞かれたら……むしろ逆だ。

つまり……破門、絶縁されるという事は、こういう事なんだと思って……ゾッとした。



約束の時間は、午後1時。
家には誰も居ないから、家の前に迎えに来て貰う事にした。

2階の窓から下を眺めていると、見慣れた黒いヴェルファイアがやって来た。
ふと『降りて来ないかな……』と期待したが、竜治は車から降りる気配はなかった。

───当たり前だ……。
苦笑いして、振り切るように下へ降りて行った。

車に乗ったら、竜治は俺を見てニヤリと笑う。

「久々だな」

「そうですね……」

俺が答えたら納得したように前に向き直り、アクセルを踏み込んだ。

「写真見たか?」

「はい」

「すっきりしただろう」

「ええ、まあ……」

「なんだ、浮かねー面だな」

「俺は……、三上さんにムカついてました、ただ、なにもあそこまで……」

「それだけ恨みを買ってたって事だ、奴がでけー面が出来たのは霧島のおやっさんのお陰だ、ああなったら丸腰もいいとこで……これまで奴に痛い目に合わされた連中……、ま、三上の場合、殆どが下っ端だが、今まで自分の事を兄貴と呼んでた奴らから報復される、この稼業も一応人望が大事なんだ、奴がああなったのは、自業自得ってやつだ」

「そうですか……」

「おめぇの事は氷山の一角だ、あいつは下っ端の女にまで手をつけるクズだ、仲間の女に手を出すのはルール違反もいいとこだが、ゆすりたかりにゃ長けた野郎だったからな」


三上がリンチを受けたのは、組織から追放された事だけが原因ではないようだ。
竜治の話を聞いたら納得するしかなかったが、竜治が『野郎だったからな』……と過去形で言葉を結んだ事に、やっぱり背筋が寒くなる思いがした。

「まあ、もう済んだ事だ、奴がどうなろうが、おめぇが気に病むこたぁねー」

「はい……」


何となく言葉が途切れてしまい、行先は竜治に任せて黙っていたが、車は街からどんどん離れ、辺鄙な山の方へ向かって行く。

どこに行くのか気になって聞いたら、思いもよらない事を言った。

「温泉?」

「ああ、今日は泊まるぞ、いいな?」

「え…」

しかも……強制的に言われて困惑した。

「駄目か?」

「い、いえ……いきなりだったんで」

「夏休みに入ったら泊まると言ってただろう」

「あ、まあ…」

「じゃ、いいな」

「はい…」

正直……面食らったが、断わる理由はなかった。






着いたのは山の中の温泉宿だ。
夏休みで日曜日という事もあるのか、日中は家族連れで賑わっていたが、宿まで来るのに2時間近くかかった事もあって、あっという間に夕方になった。

子供は休みでも、大人は明日から仕事だ。
土曜から宿泊していたと思われる家族連れは、夕方には殆ど居なくなった。

俺は竜治と2人で、和室二間とインナーテラス、それに風呂やトイレの備わった部屋に居た。

母さんには連絡した。
俺はこんな風に誰かと会う時は、スマホの電源を落としている。
親父さんがじかに連絡してくる事はないから、今は翔吾だけに『姉ちゃんが煩いから、電源切ってる事がちょくちょくある』と言ってある。
電話を入れた後で電源を切った。


景色が見渡せるテラスには、テーブルと椅子が置いてある。
竜治は座敷に胡座をかいて座っていたが、俺はテラスの椅子に座り、外の景色を眺めていた。

なにもないただの山だ。
大して面白くもない上に、暮れゆく景色を見ていると、どことなく物悲しい気持ちになってくる。

「ここの風呂はな、ちゃんと温泉をひいてある、いちいち浴場に行かなくても温泉に浸かれる、しかも岩風呂風にしてあるからな、雰囲気も悪くねーぞ」

「そうですか…」

風呂の説明を聞いても、今ひとつテンションが上がらない。

「ちっとも楽しそうじゃねーな」

竜治は俺のそばにやって来て真後ろに立つと、両肩をがしっと掴んできたが、ずっしりとかかる重みにため息が漏れた。

「日が沈むこのくらいの時間って、意味もなく憂鬱になるんですよねー」

「俺じゃ不足か?」

無意識に口にしたつもりだったが、不意に問いかけられて胸がチクリと痛んだ。

「いえ…、そんな事は」

「矢吹はそんなによかったか?」

「いえ、そういうんじゃ…」

「ま、いい……、あんまり遅くなってもアレだ、露天風呂にでも浸かるか」

「あ、はい」


竜治はテツの事を口にしたが、しつこく追求してくる事はなかった。
カバンを持って立ち上がったら、先に体を綺麗にしておけと言われ、もしかして風呂でやるつもりなのか?と思ったが、聞き返す事は出来なかった。

準備を済ませた後で、竜治の後について行った。

竜治はこの宿の女将とは顔馴染みらしく、宿に着いた時に女将が出てきて親しげに話をしていた。
それとなく2人の会話を聞いていると、予め予約を入れていた事が分かった。


「おい、木下じゃねーか」

露天風呂に向かう途中で、誰かが後ろから竜治を呼んだ。

「おお、如月…、なんだこんなとこで……骨休めか?」

竜治と共に振り返ったら、客と思われる男がニヤついた顔で立っていた。

「へへっ、まあな」

「女か?」

「そんなとこだ、おめぇは……」

「ああ、こいつはな、親戚のガキだ、休みで退屈そうにしてたから、連れて来てやった」

「へえ、……のわりにゃおめぇとは似てねーな」

「そりゃ親子でも似てねー事もあるんだ、別におかしかねーだろ」

「けどよ、おめぇ…自分とこのガキは一緒じゃねーのか?」

「ああ、カミさんが他へ連れてった」

「ふーん、そうか……」

「ま、ゆっくり楽しみな、俺は露天風呂に行ってくらぁ」

「お、おお……、おめぇもな、それじゃまた」


如月という男は、開襟シャツから刺青を覗かせていたので、同業だという事は一目瞭然だったが、竜治は俺の事を親戚の子供だと言った。
どうやら、テツみたいにバイセクを公言してるわけじゃなさそうだが、如月は俺を怪訝な顔で見ていた。
もしかしたら、竜治がバイセクだという事をどこかで耳にしてるのかもしれない。


「あの……、今のは」

「ああ、ありゃうちのもんじゃねーが、知り合いだ」

「そうですか……、あの……、大丈夫でしょうか……見られたらマズいんじゃ」

「ああ、あいつは……おめぇんとこの人間で特に親しくしてる奴はいねーからな、大丈夫だ」

「そうですか……でもあの、竜治さんは」

「心配するな、こまけー事をいちいち気にしてちゃ、キリがねぇ、どこも歩けなくなるからな、はははっ」

俺はテツにバレる事と、竜治の事が心配になったが、竜治はあんまり気にしてないらしく、笑い飛ばして軽く流した。


「あっ、竜さん、露天に行かれるの?」

それからさほど歩かないうちに、背後からまた声をかけられた。

「おう」

「またタオルもって来てないんでしょ?」

「おお、よく分かってるな」

「もう竜さんったら、あたしが用意するのをあてにしてるでしょ」

「ここの女将は美人な上に気がきくからな」

「いやですよー、うふふっ、お上手言って……、わかりました、はい、2人分のタオルと浴衣」

「おう、わりぃな」

「お食事はお酒を先にお召し上がりになられますか?」

「だな…」

「じゃあ、何かあてを見繕ってお出しします、じゃ、ごゆっくりどうぞ」

「おお」


声をかけてきたのは宿の女将さんだった。
そう言えば、タオルや浴衣は部屋に置いてあったような気がするが、女将さんは分かっていたかのようにタオルと浴衣を渡した。
竜治はそれだけここを利用してきたという事だろう。
だけど、竜治に持たせたままじゃ悪い。

「あの…、俺が持ちます」

「ん、そうか」

脱衣場へ行ったら、客は誰も居なかった。
ロッカーにカバンと脱いだ服を入れて鍵をかけ、鍵のバンドを手首に通した。
腰にタオルを巻き、竜治について浴場へ出る扉の前に歩いて行ったら、竜治がサッシの引き戸を開けた。
すると、目の前はかなり広い露天風呂になっていた。
岩風呂というのか、石で出来ていて湯船の中にもいくつか岩がある。
周りは山に囲まれてるから、景色はいまいちかもしれないが、いかにも露天風呂といった感じでいい雰囲気だ。

かけ湯をしてざっと体を洗い流し、竜治を待って一緒に湯船に浸かった。

「ふう、気持ちいいな」

「そうですね…」

俺は竜治とは人1人分くらい間をあけて、肩まで湯に浸かっていた。

「こっちに来な」

「あのでも……誰か来るかもしれないし」

2人きりだし、当然そうなるとは思っていたが、いつ誰が来るとも分からない。

「じゃ、その岩の後ろに回れ」

だが……上手い具合に大きな岩が近くにある。

「あ、はい…」

「ほら、来な」

仕方なく岩の後ろ側に回ったら、予想通り腕を引っ張ってきた。

「あ、あのっ……」

後ろから抱き寄せられて焦ったが、首筋に噛み付くようなキスをする。

「こういう場所でやるのがおつなんだよ」

いつガラッと扉が開くか、気が気じゃなかったが、竜治は勃起したチンコを尻の谷間に当てがった。

「へへっ…」

竿の凹凸がアナルから蟻の戸渡りに向かってグリグリ摩擦し、艶かしい刺激に嫌でも体が反応してしまう。

「んっ…」

「このまま……入れるぜ」

竜治は前戯もそこそこに本番をやると言い出し、本当にここでやるつもりなんだと思ったが、こうなる事は……準備をしろと言われた時に何となく分かっていた。

「ローションねーからな、ちょいと痛てぇぞ、けど……いっぺん出しゃあとは楽になる」

亀頭がアナルに触れたらチンコがピクリと跳ね、血液が一気にそこに集中するのがわかる。

「あ…」

「さすがにきついな」

先端がギシギシ軋むようにアナルを押してきて、ローション無しじゃなかなか入りそうになかったが、湯の中で勃起した竿がゆらゆらと左右に揺れ動き、待ち侘びるようにピクンと跳ねた。

「ん…」

体の奥がじわりと熱くなり、体を抱く太い腕に掴まったら、アナルにヌルッとした感触を感じた。

「先走りでいけるか?はえーとこおめぇん中に入りてぇって……涎を垂らしてるぜ」

竜治は乳首を摘み上げて亀頭をグイグイ押し付けてきたが、何度か繰り返すうちに亀頭がズブッとはまり込んできた。

「んんっ!」

襞が内側に捲れ込み、チクリと刺すような痛みを感じたが、痛みはほんの僅かなものだ。
それよりも、体内を蹂躙する圧倒的な存在感に熱い吐息が漏れた。

「あ……っ、ハァ」

「先走りが潤滑油になったな、このままいくが、大丈夫か?」

竜治はカリ首まで入れて止まっているが、中途半端に咥えたままじゃ辛い。

「大丈夫です……、やってください」

「それじゃいくぞ、しかし……ローション無しでやったら……、こりゃ中が……相当絡みついてくるな、やべーぞ、もう出ちまいそうだ」

ズズッ…っと軋みながら竿が奥へ進み、怒張した竿がビクリと跳ねるのを感じたが、ローションが無い分、竿の形や浮き出た血管まで、やたらとリアルに伝わってくるようだ。
思わず声が漏れそうになったが、誰か来たらマズいと思って、手で口を塞いで必死に堪えた。

「ん"……!くっ、んっ……」

「よーし入ったぜ、最初はゆっくりだ」

竜治は根元まで入れると、底に膝をついて足を踏ん張り、俺の両膝を抱え上げて上下に揺らし始めた。

「あ"っ、くっ!ハァ、ん!」

湯船の中はある程度深さがある為、膝は湯面から出ているが、体は胸から下が湯に浸かった状態だ。
体が揺れると周りの湯が緩やかに波立った。
竿はゆっくりと長いストロークで出入りしているが、竜治が興奮しているせいか、いつもに増して怒張しているように感じる。

「わざわざ溜めておいたんだぜ、中にたっぷり出してやるからな」

低い声で被虐心を煽る事を言われ、体がゾクッとして前立腺が疼いた。

「んん……は、ぁっ……!」

「はあ、はあ、出すぜ、奥に種付けしてやる」

堪らず仰け反ったら、竜治は俺をしっかりと抱え直して抽挿を早めていった。
湯面がちゃぷちゃぷ波立って飛沫が飛び散り、湯が顔にかかって目や鼻に入ったが、俺は手で口を塞いでギリギリ声を封じ込めた。

「いいか?イクぜ」

ズンと響く衝撃に一瞬目が眩み、裏返った声が漏れた。

「ヒ……グッ!」

体内に熱い体液がびゅっと飛び散り、内側からグッと押されて股間の竿が痙攣した。

「あっ……!ぐっ……!ふう、はあ、ハァ」

竜治は抱えた足を放し、背後から俺を抱き締めて竿を突き入れてきた。

「はあ、たまらねぇな……、おい、気絶しなくなったな、へへっ、おめぇを俺の色に染めてやるからな」

息を荒らげながらちょっと気になる事を言ったが、体内の竿がドクンと脈打ったら、気持ちよすぎてなにも言えなくなった。

「あ……はあ……ふっ、ハァハァ」

「エロい穴だな…、咥えたまんまひくついてるぞ」

竜治は結合部に触れ、滲み出した精液を塗りつけるように指でなぞり、たった今いたぶられたばかりの体がじわりと疼いた。

「ん……っ」

「このまま抜かずにやるぜ」

チンコは勃起したままだ。
温泉の熱気と体の熱が一緒になり、頭がぼーっとして惚けたまま頷いたら、カラカラっと引き戸が開く音がした。
誰かが入って来たらしい。
胸から下は見えないとはいえ、男2人が密着してるのを見たら、明らかにおかしいと思うだろう。

「あ…の……」

前のめりになって竜治から離れようとしたが、逆にぐいっと引き戻された。

「かまうか、文句は言わせねー、このままだ」

「あの、で、でも……」

竜治は見られてもやるつもりらしいが、俺は焦りながらそれとなく聞き耳を立てた。
かけ湯をする水音から、やって来たのは1人だけのようだったが、如月という事も有り得る。

「如月さん……じゃ?」

「やつは今頃女とやってる最中だ」

小声で言ったら、竜治は答えながら竿をズルリと引き抜いた。

「んく……っ!」

シリコンがアナルを摩擦し、危うく声をあげそうになったが、強引に反対側に向かされて座位の体勢にさせられた。
竜治はすぐに竿を入れようとしたが、俺は腰を捩って抵抗した。
見られながらやるのは何度か経験したが、ここは露天風呂で不特定多数の人が利用する場所だ。
いくらなんでもさすがに嫌だった。

「だ、だめ……です…」

「へへっ…」

侵入を阻止しようとして足掻いたが、竜治は片腕で易々と俺を締め付け、握ったチンコをアナルにねじ込んだ。

「ふっ!う"っ……!」

中に出された精液が侵入を容易にし、竿がズブズブっと奥に入り込んできた。

「っはっ!……んっ……んっ!」

後からやって来た人はまだ体を洗っているらしく、今の所は大丈夫だと思って安心したら、顎を掴まれて無理矢理唇を塞がれた。

「んふっー、んんっ……!」

息苦しさから逃れようとしても、頭の後ろを押さえ込まれて動けない。
湯気の熱気に包まれながら、ねじ込まれた舌に口内を掻き回され、暑さで酸欠になって頭がクラクラし始めた。

「ふっ……ぁぐ…う…」

「もっと狂え……、狂わせてやる」

竜治はニヤリと笑って強く突き上げ、我慢出来ずに声が漏れた。

「あぐっ!う…あっ…!」

「そうら……派手に乱れろ」

続けざまに荒々しく揺さぶられたら、周りを気にする余裕はなくなり、湧き上がる快感に嬌声を上げるしかなかった。

「あうっ!ああっ……!ううんっ!あぁっ!」



「おい、兄ちゃんよ」

だが、竜治は不意に動くのをやめ、横に向いて誰かに声をかけた。

「あっ、すみません!」

分厚い肩に縋りついて竜治と同じ方向へ目を向けたら、俺と同い年くらいの若い男がびびって逃げようとしていた。

「待てコラ!」

「あの、すみません!なにも見てません、どうか許してください!」

多分、竜治の刺青を見てびびったんだろう。
タオルで股間を隠して湯の中に立っているが、顔面蒼白な状態でペコペコ頭を下げている。

「おめぇ、さっきからずっと見てただろう、こういうのに興味あるのか?」

「いえ、その……」

「怒りゃしねぇよ、どうなんだ、言え」

「は、はい…」

「よし、こっちに来な」

あとからやって来た男はこの男に間違いないが、竜治は男を手招きして呼び寄せ、男は怯えたように傍にやって来て湯に浸かった。

「おめぇ、いくつだ?」

「20歳です」

「男とやった事あるのか?」

「いえ…」

竜治が男に質問すると、男は恥ずかしそうに答える。

俺は竜治の行動を不可解に感じたが、竜治はニヤリと笑っていきなり立ち上がった。

「んっ……!」

落ちそうになって咄嗟に肩にしがみついたが、竜治は俺のケツを抱え込んで竿を突き入れた。

「あううっ……!」

小休止で静まった体が叩き起され、堪らず声をあげていた。

「友也、こいつに見せてやりな、おめぇが気持ちよくなるとこをよ」

竜治は俺の尻を男の方へ向け、見せつけるようにチンコを出し入れする。

「ああっ、待っ…!あうっ!」

他人にそんなとこを見られるとか、恥ずかしくて顔から火が出そうな位熱くなったが、ケツが竜治の腰にぶつかる度に自分の体重がモロかかって、竿が勢いよく突き刺さる。

「そうら、そろそろドライに堕ちるぜ」

竜治は尻臀を鷲掴みにして竿を突き入れ、俺は羞恥心に塗れながらドライイキしていた。

「っ、あぁっ!や、やめっ…!」

体がガクガク震え出し、もう見物人どころじゃなくなった。

「おい、これがドライイキってやつだ、へへっ、面白ぇか?」

竜治は俺の肩越しに話しかけているから、見物人は真後ろにいるんだろう。

「はい……、た、堪んねーっす」

男は声を上ずらせて答えた。
本当にそっちのけがあるらしく、丸見えになった結合部を見て、興奮しているようだった。

「おい、兄ちゃん、次はおめぇにやらせてやる、今から種付けするからな、よく見てな」

竜治は嫌な事を言ったが、尻臀を両脇からがっちりと抱えるようにして掴み直し、アナルを激しく突き上げてきた。

「うあっ……!あぁっ!待っ……、激しっ……!んああっ!」

シリコンが弱点をまともに擦り上げ、蕩けそうな快感が体中を嬲り、竜治にしがみついて太い首を抱き締めた。

「いくぜ、奥に飛ばしてやるからな!」

竜治は息を弾ませて竿をねじ込み、張り詰めた竿が脈打って体液を飛ばした。

「あうっ!はあっ……あっ……ハァハァ」

熱い迸りがドクドク流れ込み、ふっと力が抜けて手が離れそうになったが、竜治は俺を抱いて湯船に体を沈めた。

「はあ、駅弁上手くいったな」

満足そうに言って大きな手で頭を撫でてくる。

「はあ、はあ、あうっ……」

竜治の肩にぐったりと寄りかかり、体内を満たす体液に充実感を感じていたが、アナルはひくついて竿を締め付けている。

「へへっ、まだ締めてきやがる、ったくエロいなーおめぇは……、よし兄ちゃん、立ってみな」

「あ、はい……」

「興奮したか」

「い、いえ、その」

「やらせてやる、その代わり3Pだぞ」

「え、でも…いいんですか」

「へへっ、初体験させてやるよ」


竜治は見物人と一緒に3Pをやると言い出したが、肉欲が先に立って拒否出来なかった。
竜治に抱えられて風呂の外に出された。

「友也、四つん這いだ」

よろつきながら四つん這いになると、男は竜治に指図されて俺の後ろへ回り込んできた。

「入れてみな」

「は、はい…」

男の息遣いが聞こえてくる。
初めてで緊張と興奮で昂っているんだろう。
竜治に促されて、チンコを中へ突き入れてきた。

「うぐっ!」

一気に突っ込まれ、目の前に火花が散って床に額をつけたが、男はぎこちない腰使いですぐに動き出した。

「おめぇ、童貞か」

「はっ、はい、はあ、はあ」

「そうか、1回ずつゆっくりとやってみろ」

「は、はい、はあ、はっ、でも……、も、もう出そうっす」

「ははっ、初めてなら仕方ねぇな、中にぶちまけてやりな」

「い、いいんっすか?」

「構わねー、やれ」


竜治が中に出すように言うと、男は乱暴に竿を出し入れし始めた。
亀頭が闇雲に壁を叩き、男の腰が尻にぶつかる度にパンパンと乾いた音が響いた。

「くっ……!う"っ……!あ"っ!ハァハァ、うぐっ!」

床に手をついて衝撃を受け止めたが、乱暴で闇雲な突き上げは、トロトロになった体内を掻き混ぜて余計に感じさせる。

「あ、出る!うっ……うぅっー!」

男は華奢な体に似合わず、力強く貫いて射精し始めた。
俺の腰を引き寄せてチンコを思いきり突き入れ、肌に指を食い込ませて俺の中に熱い体液を放った。
脈打つ竿は、竜治のような圧倒的な存在感は無いが、勢いよく跳ねて精液を撒き散らした。

「あふっ…、っ、ああっ……!」

股間で揺れる竿が、萎えたまま淫液を垂らしていた。

「友也ぁ……、おめぇ最高にいい面ぁしてるぜ、兄ちゃんはおめぇが初めての相手だ、きっちり種を搾り取ってやりな」

竜治は俺の体を撫で回して言ったが、俺は石の床のひんやりとした感触にうっとりとしていた。

「はあ、はあ、あ……っ」


男はチンコを引き抜いてその場にへたりこんだ。
初体験を終え、気が抜けたんだろう。

俺はアナルから溢れ出す精液を感じて、茹だるような熱気に包まれていた。

「あっ………ハァハァ」

竜治に2回、見知らぬ男に1回、計3回も種付けされたのに、体はジリジリと焼けるように疼いている。

「うっ…」

目眩がして横向きに倒れてしまったが、竜治に仰向けに寝かされた。

「はははっ、まだくたばるのははえーぞ、連続で種付けだ」

竜治は俺の両足を肩にかけて被さり、真上からチンコを突き入れてきた。

「っあっ!」

ズンっと重い衝撃が腹の底まで響き、鞭で打たれたような強烈な快感が走ったが、竜治はトロトロになったアナルをグチャグチャに掻き回す。

「これだけ濡れてりゃ少々乱暴にやっても大丈夫だ、どうだ、シリコンが当たるだろう」

凸凹した竿が襞を摩擦してズボッとハマりこむと、結合部からピュッと精液が飛び散り、青臭い淫臭が辺りを覆い尽くす。
雄臭い淫臭は、鼻腔を通り抜けて脳内まで達し、麻薬のように意識を狂わせる。

「ふっ……、あぁーっ、あうっ!ああっ!」

厚みのあるずっしりとした体にしがみついたら、竜治は起き上がって膝をつき、男を呼び寄せて俺の顔のすぐ脇に座らせた。

「よし、兄ちゃんのちんぽをしゃぶってやれ」

男は膝をついて前屈みになり、握ったチンコを唇に押し当ててきた。
淡い色をした亀頭は、先走りを垂らしてドクンと跳ね、俺はそうするのが当然のように男のチンコを頬張った。

男は肩をピクリと震わせ、恥ずかしそうに目を伏せたが、チンコはガチガチに勃起してビクついている。
先走りを舌で舐め取り、微かに塩気を帯びた粘液を飲み込んで、亀頭全体を大胆に吸い上げた。

「うっ…、はああっ、だ、だめだ、出る!」

男は情けない表情をして口走り、竿が大きく首を振って精液をピュッと飛ばした。

「っ、ん、うう……!」

口の中にパッと生臭い体液が広がり、舌に粘りつくぬめる粘液を飲み込んだら、竜治が体を倒してかぶさってきた。
男はすっと身を引いたが、竜治は3Pに興奮しているのか、色黒な顔をほんのりと赤く染めている。

「兄ちゃんのザーメンはうめぇか?」

ニヤついた顔で問いかけながら、シリコンで前立腺をゴリッと擦り上げた。

「ん"ぐっ…!」

反射的にうめき声が漏れたが、間髪入れずに俺の膝を抱え上げて腰を大きく揺らし始めた。

「イクぜ、兄ちゃんのを足して4発目だ」

「う、あっ、ああぁっ……!」

激しい抽挿に顔を左右に振って悶えたら、猛る竿がぐっと奥を抉って精液を放った。
熱い体液が力強い脈動と共にドクドクと流れ込み、染み入る熱が体中を淫らに痺れさせた。

「っあ……、はあ、はあ、ああっ……ああぁっ!」

溜まった熱がどっと溢れ出し、汗が噴き出して頭の中で何かが弾けた。


竜治が満足して竿を抜き去ると、俺は竜治と男の2人に支えられて湯に浸かったが、竜治は俺の目の前にやって来て男を自分の横に立たせた。

「両方いっぺんにしゃぶれ」

言われるまでもなく、両手で竿を握って交互にしゃぶったら、萎えた竿は見る間に硬さを増していき、竜治は浴場の縁に座って俺の腕を引っ張った。
体毛の生えた太股に片手を添え、突き出した竿を握って咥えた。
赤黒い亀頭を一心に舐めまわしていたら、後ろに回り込んだ男が俺の腰を掴んだ。

「友也、兄ちゃんに思いっきり突いて貰いな」

男は無言で俺のケツを浮かせると、アナルにチンコを挿入してきた。

「ん"ふっー!」

粗野な突き上げに体が硬直したが、俺は異常な興奮状態に陥って、チンコを喉奥まで咥え込んだ。
竜治は深く息を吐いて、俺の頭を優しく撫でてきた。

「おめぇ、フェラ上手くなったな、親父さんの仕込みか?」

俺に語りかけるように呟いていたが、俺は体内を激しく突かれて昂り、夢中で竿に貪りついていた。

「中がドロドロで……、き、気持ちいい」

すると、口の中の竿がドクンと跳ねて精液をビュッと飛ばした。

「うっ、上達し過ぎだ……、もういっちまったじゃねーか、はあ、いいぜ、最高だ」

「んぐっ、んっ……」

俺は吐き出される精液を飲み干したが、意外にも竜治の方が先にいって、後ろの男はまだイキそうにない。

竜治は満足したら俺から離れ、湯に浸かって岩にもたれかかった。

「ふう、兄ちゃんはわけぇから元気だな」

どうやら先にドロップアウトしたらしいが、後ろの男は荒々しく腰を打ち付けてきた。

「くはっ、あうっ!」

背中に湯が飛び散って視界が揺れ動き、首を反らして床を掻いたら、男は腰を強く打ち付けて止まった。

「うっ、くっ!」

脈動と共に放たれる熱は、終わりのない快楽を与えてくれる。

「ハァハァ、あ……、あうぅ……」



それからしばらくの間、俺は若い男に抱かれていた。

座位で男に貫かれ、抱き合ってキスをした。

「ん、んん……」

「っ、また出そう…」

意識が混濁する中であやふやに男を見たら、ズンっと奥を突かれ、半勃ちのチンコが精液をダラダラと吐き出していった。
俺は2度目のトコロテンをしていた。

「ふあっ……あふっ、あうっ、あううっ……!」

強烈な快感が体の中心を突き抜け、遂に訳が分からなくなってガクンと力が抜けた。


───気づいた時は若い男は居なかった。


俺は気を失っていたらしく、竜治に抱かれて洗い場でシャワーを浴びせられていた。

「う…、俺……」

「おお、気ぃ失っちまったからな、ぬるめの湯を浴びせてやったんだ、大丈夫か?」

「は、はい…」

「ちょうど都合のいい奴が来て、楽しめたな」

竜治はニヤついた顔で言ったが……俺は笑えなかった。
起き上がって竜治から離れようとしたが、目が眩んで足元がふらついた。

「まだ立つな、倒れちまうぜ」

見知らぬ相手と3Pをやった事はショックだったが、感じまくった事は……もっとショックだった。

「すみません……、俺、先に出ます」

「おい、どうした、何か気に食わねぇ事があるなら、はっきり言え」

こんな事……もしテツなら絶対にやらないと思う。

「いえ、あの……、少しだけ…ひとりにさせてください」

兎に角竜治から離れたかったが、腕を掴まれて無理矢理引き止められた。

「そうはいくか、あんなに感じてたのに、ひょっとして……3P嫌だったのか?」


竜治からしてみれば、ちょっとした遊びのつもりだったんだろう。
だけど、俺は……一旦ハイになったら、自分でも制御がきかなくなる。
正気に戻った時はいつも自己嫌悪に陥るが、今はその繰り返しだ。

だから、嫌な事はできるだけ考えないようにしてるのに、こんな事をされたら……さすがに無理だ。

ひとりになって頭を冷やしたかったが、竜治は手を離そうとはせず、詫びを言った上で、こんな事は2度とやらないと約束した。

そこまで言われたら……折れるしかなかった。



風呂を出て部屋に戻ったら、奥の座敷に布団が並べて敷かれていた。
この旅館は、竜治の都合に合わせて動いてくれるらしい。

それから程なくして、ちょうどいい頃に酒や料理が運ばれてきた。

貝細工が施された座卓に料理が並べられたが、竜治はまず酒に手をつけた。
テツはビールを飲んでいたが、竜治は日本酒だ。

しかもテツとは違って、酌をしなきゃいけないような……変な使命感に駆られてくる。

「遠慮せず、ほら食え」

「いえ……あの、気が付かなくてすみません……、お酌します」

「おう、そうか?そいつはいいな、じゃついでくれ」

「はい…」

うちの父さんは、家で酒は飲まない。
誰かに酒をつぐとか、そんな事は初めてだ。
青いガラス製の洒落た徳利を持ったが、注ぎ方とか……マナーを知るわけがない。
片手で掴むのは何となく無作法な気がして、右手で徳利を掴み、左手を徳利にあてがって猪口に酒をついだ。

「へへっ、わりぃな」

竜治は照れ臭そうな笑みを浮かべ、ついだ酒をひと息に飲み干した。
満更でもなさそうなので引き続き酌をしたが、料理を食べるように言われ、酌をしながら料理をちょこちょこつまんだ。

すると、暫くして女将が挨拶しにきた。
着物をびしっと着こなした若女将は、竜治と同い年くらいに見えるが、お世辞じゃなく、本当に美人だ。

女将が去った後にまた違う料理が運ばれてきたが、竜治は少し酔っているようだった。

「友也ぁ、おめぇー、俺の妾になれ、男妾だ」

「え…」

いきなりとんでもない事を言い出し、呆気にとられたが、酔っ払いのいう事だから真に受けない方がいい。

「あのー、無理です」

だが……キッチリ断った。

「そうか、そりゃー若頭と親父、2人してつるんでちゃ厳しいか……、うーん、しかし、言わなきゃ分からねー、バレなきゃいいんだからな、やっぱりなれ!」

「いや、あの……無理なんで」

「矢吹か、ったく、奴はおめぇをふったんだ、諦めろ!」

「テツの事はもういいと思ってます、ただ、あなたは初めに言いましたよね?自分は奪おうとは思ってない、スリルが楽しいとか……、俺は遊びだと思ってましたが?」

「友也、おめぇ……、よくそんな口がきけるな」

「あの、助けて貰った事は感謝してます、それは嘘じゃなく本当です、けど…、そんな簡単に惚れたり出来るものじゃないし、第1、あなたには奥さんや子供がいる」

「そんなもん関係ねー、いつまでも矢吹に執着しやがって、何故俺になびかねー、言ってみろ!」

「テツは……確かに無理矢理だった、だけど……それまでに、そうなる前に……一緒に過ごした時間がある、だからです」

「っ…」


本当は、こんなにムキになって言うつもりはなかった。
竜治は言葉に詰まったように押し黙ってしまい、俺は……申し訳なくなってきた。

「あの……、生意気な事言って……すみませんでした!」

「いや……いい、俺は三上の件で人望が大事だと言ったが……、まさにそういう事か、おめぇを落とすには、随分時間がかかりそうだ」

頭を下げて謝罪したら、竜治は決まりが悪そうに苦笑いしながら言った。

「すみません……」

俺はただ謝るしかなく、もう一度頭を下げた。




夜遅くなって食事も終わり、シメに出されたデザートを食べていると、誰かがドアをノックした。

「木下、ちょっと邪魔してもいいか?」

「おお、構わねー、入りな」

竜治はあれからほどほどに飲んでいたので、程よい感じでホロ酔いをキープしている。
機嫌を悪くするような事もなかったが、暑いと言って諸肌を脱いでいた。

やって来たのは如月だったので、俺は遠慮して、竜治の脇から離れて座り直した。

「どうした、女とよろしくやってんじゃねーのか」

「へへっ、まあな、あれから楽しんでたが、ちょいと中休みだ」

如月は浴衣の前をだらしなくはだき、喋りながら竜治の隣に座ったが、何気なく俺の方をチラッと見た。

「そうか、で、いつまで泊まる」

「明後日にゃ帰る、しかしよー、まだ高校生くらいだろ?温泉なんか来ても退屈なんじゃねーか?なあ、っと……名前は……」

竜治は何食わぬ顔で言葉を返したが、如月は俺に話を振ってきた。

「友也です」

「おお、友也か、温泉は面白ぇか?」

単なる好奇心なのか……その辺はよくわからないが、如月がここに来たのは、俺の事を探る為だろう。

「はい」

「おい、よしてくれ、こいつの親はカタギだ、俺は親戚だから慣れてるが、おめぇみてぇな厳つい男に気安く話しかけられちゃ、縮み上がっちまう」

「厳つい?よく言うぜ、おめぇの方がよっぽど厳ついじゃねーか、背中に毘沙門天なんか背負ってよー」

「ははっ、おめぇの龍は生きてるか?」

「おう、ピンピンしてるぜ、見せてやる、へへっ、どうだ」

竜治はそれとなく如月を俺から遠ざけたようだが、如月はまんまと乗せられて、自分も諸肌を脱いで背中を晒した。

「はははっ、確かにイキがいい、艶々してらぁ」

如月の背中には昇り龍が描かれていたが、2人は刺青の話題で盛り上がり、その後はシマがどうだとか、マージンがどうだとか、どこぞの誰がどうしたとか……俺には分からない話をし始めた。

俺は眠くなってきて、座ったままうつらうつらしていたが、竜治が気づいて先に寝てろと言うから、先に布団に入って眠った。





「友也、眠ったか?」

「ん……」

夢の中に居たら竜治の声がして、重い瞼をこじ開けた。

「腕枕してやる、来な」

掛け布団をはぐって手招きしているが、俺はふと時間が気になった。

「あ……今何時……ですか?」

「1時だ、ほら、来い」

「あ、はい…」

もっと寝たような気がしていたが、意外に時間が経ってなかったらしい。

「よし、今日は何もせずに、このまま抱いて寝てやる、俺もな、おめぇとの時間を作る事にした」

竜治は意気込んで言ったが、腕を借りながら何気なく見たら、はだいた浴衣をちゃんと着直している。
3Pに及んだ事は、やっぱりどこか蟠りを残してはいたが、こんな風に誠意を見せられたら、水に流してもいいような気がしてきた。

「俺、あんな失礼な事言って、ほんと……申し訳ないです」

「ん、ああ、もういい、俺もな、酔った勢いでつい言っちまったのがいけなかったんだ」

「あの……今更だけど……、俺、竜治さんに買われて良かった、もし違う人だったら、今頃どうなってるか…」

「そんなこたぁもういい、それよりな、その手……やめといた方がいいぞ…、またやりたくなっちまうだろ」

襟に手を入れて肌を弄ったら、困った顔をして目を逸らした。

「俺は……構いません…」

「構いませんって……、あのな、俺がこんなに堪えるこたぁ滅多にねぇんだぜ、なのによー、勃っちまったじゃねーか…、ったくよー」

「はい」

「はいじゃ分からねー、どっちだ、やっちまっていいのか?」

「だから、その……大丈夫です…」

「よし」

竜治はガバッと起き上がって、上に乗っかってきた。

「おい、評価下げるなよ」

「あ…、はい、大丈夫です」

やたら渋い顔で聞かれ、思わずクスッと笑ったら……唇を塞がれた。

貪るように吸われたら、無節操で淫奔な体が性懲りも無く昂り、のしかかる大きな体に制圧される事を望む。

本当に欲しい物を頭に描きながら、与えられる喜びに喘ぎ、悶え、欲しがり、惰性で繰り返す快楽に溺れるしかない。




きっと適当にやれる。

明日は明日の風が吹く。

悦楽に耽り、成り行きに任せるしかなかった。






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あきゅろす。
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