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BL長編変態ヤクザな話snatch(完結)
Snatch17tangle
◇◇◇

週のど真ん中。
今日はテツが戻って来る。

夕べ俺は色々考えた。
普通の高校生に戻り、元の自分を取り戻す……。

火野は翔吾とは学友だから……と言った。
確かに翔吾とは話が合うし、一緒にいて楽しい。
ただ、火野は三上については知っていたが、翔吾についてどこまで知っているのか、そこはアバウトだ。
例えば、翔吾がゲイだと知っていたとしても、俺との関係は単なる友達だと思っているのかもしれない。

けど、言われてみれば……。
今のところキスをされただけで、ただの友達レベルだ。
それに翔吾は無理に迫ってきたりはしない。

火野は翔吾以外とは縁を切れと言ったが、もし元の俺に戻ろうって……本気でそう思うなら、体の関係を持つ2人とは縁を切った方がいい……という事だろう。

三上はどうでもいいし、むしろ縁を切りたい。

だけどテツは……。

俺は今も……テツから連絡が来るのを待っている。

でもそれは、本来の俺なら有り得ない事だ。
火野はヤクザと関わったらろくなことがないと、そんな事も言っていたが、あながち間違ってないのかもしれない。

このままテツと付き合っていたら、パイパンだけじゃなく、いずれタトゥーを入れさせられるだろう。
テツはバイで…格好良くてモテるし、俺に向かって堂々と浮気すると宣言して…俺には浮気するなと釘を刺した。

男女関係なく気に入ったら手を出すが、飽きたらそれで終わり。

もしそうなったら、俺はテツの事をさらっと忘れ、何事も無かったように、元の自分に戻れるんだろうか……。

ハッキリ言って自信はない。

俺は朱莉のようにはなりたくない。

夕べ色んな事を考えるうちに、三上が言った事はほぼ嘘じゃないかと思えてきた。
あいつはテツとは比べものにならない位、最低な奴だからだ。

だから三上が言った事は関係ない。
俺が朱莉に会って1番ショックだったのは、朱莉がテツの名前を口にした事だ。
あんな風に未練をひきずるのは…悲しすぎる。

本来の自分に戻る為には、どうしたらいいか考えた。
その結果、翔吾と付き合えば簡単なんじゃないかと思ったが、それをやったら俺自身最低な奴に成り下がる。


結局何も決められないまま、会いたい気持ちだけが膨らんでいた。

それを隠して休み時間に翔吾と会話する……。

「源ちゃん、今日でテツと交代だ、ね、源ちゃんのスマホの番号教えたげよっか?」

「何言ってるんだよ、意味わかんねー」

名刺を貰ったし、火野の電話番号を知っているが……盛大にすっとぼけた。

「あはは、だよねー、でもさー源ちゃん、またストイックな生活に戻るんだー、夜明け前に起きて木刀素振りとか、よくやるよね、ほんと」

翔吾は変人みたいに言うが、そんな事はない。

『何か困った事があったら連絡しろ』か……本当にいい人だ。

かっこいいし……。

「友也?」

「ん、ああ……」

「何考えてるのかなー?源ちゃん……じゃなかったら……、他の誰か?」

「そんなのいねぇよ」

「冗談だよ、じゃあー、今日はうちに寄れる?」

「あ、でも…、親父さん、帰ったばかりだろ?邪魔しちゃ悪い」

「ふふっ、親父は真っ直ぐ帰らない、どうやら最近気に入った相手がいるらしいの」

「ん、もう年だからそういうのは無しだって言ってなかった?」

「へへーん、いい薬があったらしい」

「薬?」

「ヤバいやつじゃないよ、ほら、サプリメントみたいなやつ」

「そうなんだ、へえ……」

「どんな相手か聞きたい?」

「いや、別に……」

「シーメール」

「シーメール?なにそれ?」

「巨乳でー、アレがついてる」

「アレって……、ひょっとして……チンコ?」

「そう、ニューハーフだね」

「ニューハーフ、ふーん……」

「興味ない?」

「全然ない」

あのいぶし銀な厳つい親父さんが、巨乳チンコと……。
想像したくもなかったが、そんな事はどうでも良かった。


帰りがけに翔吾の屋敷に寄り道する事になり、テツと会う事になってしまったが、テツは旅行先からムカつく電話をしてきて、それっきりだ。
翔吾との経緯を知る筈もなく、俺がいきなり寄り道したら……上手くリアクションしてくれるか、それが不安だった。



だが、そういう時に限って時間がすぎるのが早い。

屋敷の玄関をくぐる時がきた。

覚悟を決め、翔吾のあとについて玄関に入ったら、予想どうりテツが出迎えた。
内心穏やかではいられなかったが、テツは頭を下げているから、俺がいる事にすぐには気づかなかった。

「若、お帰りなさいやし」

「うん、友也も一緒だよ」

テツが頭を上げかけた時に、翔吾が俺がいる事を伝えた。

「え…」

すると、テツは驚いた顔をして俺を見る。

「そう…ですか」

マズいと思ってすぐさまテツに声をかけた。

「久しぶりにお邪魔します」

「お、おう…、友也、本当に久しぶりだな」

テツに向かって頭を下げたら、取り繕うようによそよそしく言葉を返した。

「上がって」

「ああ、うん……」

とりあえずほっとしたが、問題はこの後テツがどう振る舞うかだ。

屋敷に上がって翔吾の部屋に入ったが、テツは部屋にはついてこなかった。

「友也、隣いい?」

「ああ…」

ソファーに座ったら、翔吾はこないだよりもラフな感じで聞いてきた。
OKしたらべったりとくっついて座り、俺の腕に腕を絡めてくる。

別に構わない……。
そう思ってはみるが、こんなところをテツに見られるのは……やっぱり抵抗がある。

「ね、たまには一緒に宿題やろっか?」

テツが来ない事を願っていると、翔吾が宿題をやろうと言い出したので助かった。

「あ、うん、そうだな」

カバンは自転車の荷台に括り付けたままだ。
自転車は玄関の脇に置かせて貰っているので、すぐに取りに行った。

靴を履いて玄関から外に出たら、自転車まで歩いて行って荷台のゴムを外しにかかったが、背後に人の気配がして何気なく振り返ってみた。

すると、テツが壁伝いにこっちに歩いてくる。

なにしに来たのか知らないが、たまたま通りかかったのなら、素知らぬ顔で通り過ぎて欲しい。

ピリピリとした緊張感に包まれたが、テツは俺の横で立ち止まった。

「おい、友也」

「あ……、ちょっとヤバいだろ」

声を潜めて話しかけてきたが、俺はハラハラしながら答えた。

「分かってる、あさって祭日だろ、昼から会おう、また連絡する、いいな?」

「分かった」

テツは俺の肩を軽く叩いて玄関から中に入って行った。

「はあ……」

肝を冷やすというのは、こういう事なのか……。
にしても、わざわざ言いに来なくても電話すれば済む事なのに…無駄に冷や汗をかいた。

我に返って外しかけのゴムを外し、荷台にぐるぐるっと巻いてカバンを手に翔吾の所へ戻った。

再び翔吾と並んで座り、宿題を一緒にやっていったが、英数字と記号が羅列する数式は、見ているだけで眠気を誘う。

「うーん……、もう……無理」

シャーペンを投げ出してソファーに背中を預けた。

「しょーがないな、じゃあ、僕がやってあげるよ」

「ほんと?助かるー、じゃ、あとはお願いします」

「ああ、任せといて」

翔吾はクラスの中じゃ成績はいい方だし、ここは素直に親切に甘えよう。

額に手を当ててぼんやりと天井を眺めていたが、昨夜は色々な事を考えてろくに眠れなかった。

うつらうつらしているうちに、本格的に眠くなってきた。

フカフカしたソファーが睡魔を誘い、瞼を閉じて寝入っていると、不意に柔らかな感触が唇に触れてきた。

「う……、翔吾?」

目を開けたら翔吾の顔が目の前にあったが、いつの間にか俺の正面にいる。

「キス……いいよね?」

片膝をソファーに乗せ、上から見据えて聞いてくる。

「あ…、ああ……」

断れずにOKしたらドアをノックする音がした。

「若、いいですか?」

──テツだ。

「どうぞ」

「あ、あの…、ちょっ」

焦って離れようとしたが、翔吾はテツに返事を返して俺の両肩を押さえつけてきた。
体重をかけてるせいで動けず、抵抗する間もなくキスされた。

「んっ…!」

その直後にドアが開く音が聞こえ、少し間を置いた後でテツの声がした。

「邪魔してすみません」

「あ、待って!行かなくていいよ」

翔吾は急にキスをやめて俺の前から退いたが、俺はテツと目が合ってしまい、動揺して目を泳がせた。

「いや、けど…」

「いいって、ほら入って」

「へい、じゃ…失礼して」

「座ったら?」

「あ、ああ…、はい」

テツは翔吾に言われて向かい側に座ったが、顔を背けるわけにはいかず、目のやり場に困った。

「ふふっ、テツ聞いてくれる?友也ね、僕との事を考え直してくれるって、そう言ってくれたんだ」

翔吾は嬉しそうに俺との成り行きをテツに話したが、テツはさっき俺と目が合った時に、眉を顰めて困ったような顔をしていた。

「そうですか、それはよろしゅうございました、これで残り少ねー学生生活を楽しく過ごせますね」

どう答えるのか……気が気じゃなかったが、落ち着き払った様子で祝福するような事を言った。

「うん、テツも…喜んでくれる?」

「そりゃあ、勿論でさ」

「だよね、テツはいつも友也に絡んでたし、暫く来なくなって寂しかったでしょ?」

「ええ、そりゃ…、友也をおちょくるのは、退屈しのぎにゃちょうどいい」

「ふふっ、じゃあ、また前みたいに友也をいじめて遊べるね?」

「そうさせて貰いやす」

「懲りないねー、テツは」

「はははっ、体を鍛えても使い道がねーから、体力が有り余ってるんでさ」

2人はごく普通にやり取りをしているが……どことなく不自然な感じがする。

「おい友也、覚悟しろ」

まるで針のむしろだったが、テツが俺に振ってきてぎょっとした。

「あ……、いや、それはちょっと……ははっ……」

無理矢理笑って誤魔化したら、テツは意地悪くニヤついた顔をする。

「へへー、じゃ早速やるか?」

この薄氷を履むような状況下で……まさかとは思ったが、テツは立ち上がって俺の背後に回り込み、両腋に手を突っ込んでぐいっと持ち上げた。

「え?ちょっと、いきなり?嘘だろ?」

「来い!」

「い、いや、あのさー、再会したばっかだろ……、は、はなせ!」

「へへっ、どうだ!」

確かに以前と同じように振る舞った方がいい。
それはわかるが、何も今すぐにやる事はないだろう。
技をかけられるのは嫌だったが、ソファーから引きずりおろされ、部屋の真ん中で組み敷かれてしまった。

テツは以前やった縦四方固めという寝技をかけてきたが、これは柔道の技で上半身は腕でガッチリ固められ、下半身も跨るような格好で抑え込まれる。
簡単に言えば、仰向けになった俺にテツがのしかかり、力一杯抱き締められるようなものだ。

まだ体の関係を持つ前も、こういう寝技をかけられるのは妙に気恥ずかしかったが、今はその時とは違って変にドキドキしてしまう。

「苦しい……って、や、やめろよ…」

「手加減してやってるぞ、逃げてみろ」

「む、無理だって、ギブ!」

「だめだなー、マシーン貸してやるから鍛えろ」

「嫌だ、やりたくねぇ、つか退いて!」

「テツ、寝技得意だもんねー」

翔吾がやってきて意味深な事を言ったが、上から見下ろされて言われたら、非常に気まずい……。
翔吾と目を合わせられず、勘弁してくれと思いながら目を瞑ったら、テツは腕を立てて起き上がった。

「よし、今日はこのくらいで許してやる」

「はあ、無駄に体力使った……、俺さ、この後自転車漕いで帰らなきゃいけないんだからな、まったく……」

本音を言えば、精神的にかなり疲れた。

「テツ、友也を送ったげて、アルファードなら自転車積めるからあれで送ったげて」

「分かりやした」

「あ、悪いからいいよ」

「遠慮しなくていい、あんまり遅くなるとあれだし……、今日はここまでにしよっか」

「あ、ああ、そうだな」

今日はお開きという事になってほっとしたが、翔吾がテツに俺を送らせるとは思わなかった。
意外な気がしたが、取り敢えずテーブルの上のノートや問題集を片付けなきゃならない。
ソファーの方へ戻ろうとしたら、翔吾が目の前に立ち塞がった。

「ん?」

翔吾は俺と同じくらいの背丈なので、同じ高さで見つめ合う格好になる。

「友也、キス、もう1回いい?」

テツは俺の後ろにいる。
翔吾から見れば正面にいる事になるが、テツがいるにもかかわらず、キスをしていいか聞いてくる。
テツが見ている前で……本当は拒みたかったが、動けなかった。

すっと顔が近づき、軽く唇に触れて直ぐに離れた。

「今日はありがとう、またちょくちょく来てくれる?」

「ああ…、またお邪魔させて貰うよ」

翔吾は笑顔で聞いてきて、俺が返事を返したら納得したように頷いた。



その後でテツに送って貰う事になり、翔吾に見送られて屋敷を後にしたが、嬉しそうに手を振る翔吾を見たら……気が重くなった。

「おい…」

繰り返し溜め息をついていると、しばらく経ってテツが話しかけてきた。

「ん…」

「おめぇ、俺がいねぇ間に若とよりを戻したのか?ったくよー、何故今になって急によりを戻す、若とは友達じゃなかったのか?」

テツは翔吾との事を責めるように言ったが、それなら俺だって言いたい事がある。

「よりを戻したわけじゃない、俺は自分なりに考えてそう決めたんだ、あんたは旅館で女とイチャついてたんだし、別にいいだろ、翔吾は元々友達だ、コンパニオンだかなんだかしらねぇけど、そんなのにサービスされて喜んでるよりは、よっぽどマシだ」

「へっ、おめぇ妬いてんのか」

「そんなんじゃねー、気に入ったら男女見境なく手をだすような人間と、一緒にされちゃ困るって事」

「あのな、大人には付き合いってものがあるんだ」

「俺には理解できねーし、したくもない、火野さんみたいに真面目な人間だっているんだからな」

旅行で何をしてきたのか知らないが、付き合いだと言い切ってしまうところが腹が立つ。

「ほおー、火野に会って、あいつが気に入ったか?確かに奴は変わってるからな」

「すぐにそこに結びつける、それ自体おかしい」

「ちょっと待て、おめぇ、火野と何かあったのか?」

「あるわけねーし、大体あの人ノーマルだろ、バツイチって言ってたし」

「ふん、わかるものか、ああいう奴は逆にあやしい」

「あんたが穢れ過ぎてるんだよ」

「言ってくれるじゃねーの、ほんとお前って奴ぁ、とことん可愛げのねーガキだな」

「ちょっとどこ行くんだよ、道が違うだろ」

「うるせー」

「翔吾が待ってるんだ、早く送ってくれ」

「若か、ふっ……」

「なに笑ってるんだ?」

「いや、なんでもねー」

テツは自分の事を思いっきり棚に上げ、火野の事を疑い、翔吾の事を口にしてニヤリと笑ったが、黙っていたらラブホにインする可能性大だ。

「とにかく、ラブホはだめだからな」

一応釘を刺したが、言い合いをしてる間に車はいつもの道からかなり離れていた。

「な、さっきからどこに向かってるんだよ」

「こっちだ」

どこに行くのか聞こうとしたら、テツは不意にハンドルを右へ切ってよく分からない場所に入って行った。

「ん?なにここ、駐車場?」

中に入ったらだだっ広い駐車場だったが、街灯は角にあるだけで真ん中辺りはかなり暗い。

「んん?なに?」

よく見たらあちらこちらに車が止まっていたが、テツはそれらの車から離れた場所に車を止めた。
俺はなにかあるのかと思って辺りを見回したが、駐車場の周りはぐるりと樹木に囲まれている為、向こう側に何があるのかまったく見えない。

「なあ、なにしにこんな所にきたんだ?」

「へへー、いいからこっちへ来い」

一体なんなのか聞いたら、テツはニヤニヤしながら腕を掴んできた。

「えっ……」

こういう顔をする時は……十中八九エロい事を企んでいる。

「あの、まさかとは思うけど……、まさかここで何かやろうとか、そんな事考えたりしてねーよな?」

「よく分かったな」

やっぱり当たりだった。
こんな場所で何かやろうとか……変態にもほどがある。

「いやちょっと、ここなんだかしらねぇけど、なんかの駐車場だろ?何考えてんだよ」

「そんなにびびるな、ここは公園の駐車場で、そういう事をするスポットだ」

腕を掴む手を振りほどいていたが、怪しげなスポットだと聞いて……興味が湧いた。

「それって…もしかして車ん中でって事?」

「そうだ、止まってる奴らもそういう事をやりに来てんだよ、皆離れて止まってるだろ?」

テツの言葉を聞いて改めて駐車場を眺めたら、確かに駐車場に止まっている車は、互いに距離を置いている。

「ほんとだ、確かに離れて止まってる」

「よし、分かったらやるぞ」

俺はまだ半信半疑だったが、テツは有無を言わさず襲いかかってきた。

「え、あ…、ちょっと、待っ」

「時間がねー、おとなしくしろ」

「いや、でも……」

狼狽える俺を無視してのしかかり、シートを倒して強引に唇を塞いだ。

「んん…!」

いくらスポットだと言われても、こんな場所で……車の中で……。

「うう……ん」

誰かに見られるんじゃないかと思ったらヒヤヒヤしたが、頭を押さえつけられて貪るように唇を吸われたら、急速にエロい気分が高まっていった。
髭が顔を擦り、舌が入り込んで口の中をなぞりあげると、頭の中が逆上せて馬鹿みたいに昂ってくる。

誰かに見られたらマズいと思ったが、マズいと思えば思うほど……興奮が高まっていく。

背中を抱く手を下に滑らせて股間を弄れば、予想通りそこは硬くなっている。
硬くなった竿をギュッと握って煽ったら、テツはキスをやめて俺の股間に手を伸ばした。

「おめぇ、こんなにおっ勃てるようじゃ救いようがねーぞ」

「誰のせいだよ」

「へへっ、褒めてやってるんじゃねーか、おめぇは変態としては優秀な方だ」

意地悪な事を言って慣れた手つきでファスナーを下げ、ズボンの中に手を入れてきた。

「う……」

張り詰めた竿を握られて体が強ばった。

「待ちな、これじゃ無理だ」

テツは運転席に戻り、俺の方へ身を乗り出してパンツからチンコを引っ張り出した。

「まさか、フェラ?」

「へっ、おめぇにゃ特別にやってやる、その代わり、おめぇをイかせたら次はお前がやれ」

俺は周りが気になって窓の外に目を向けたが、テツは俺の方へかがみ込んでるし、そばに来て窓から中を覗き込まない限り、俺達が何をやってるかわからない。
それよりも…まさかテツがフェラするとは思わなかった為、直ぐにそっちへ意識が戻ったが、チンコを口に咥えられて腰の辺りがぞくっとした。

「んうっ…!」

テツは喉奥までガッツリ咥え込み、竿全体を吸い上げてねっとりとストロークさせる。

「うわ、あ…、す、すげー」

吸い上げた直後に、裏筋やカリ首の溝を舌先で刺激してくるから、早くもチンコがビクつき始めた。

「あっ、だめだ」

フェラされた経験は朱莉しかないが、朱莉よりも上手いような気がした。
かがみ込むテツの背中に手をあてていたが、ジュボジュボ音がするほど吸い上げられ、あまりの気持ち良さにあっという間にイきそうになってきた。

「だ、だめだ、出る…、ティッシュ……、車汚しちゃマズいだろ」

黒い上着を握り締めて訴えたが、バキュームするようなフェラに射精感が襲った。

「ああ、もうだめだ、出る、うっくっ、ハァハァ、ごめん出すよ、うっ!」

尿道を通り抜けた精液がビュッと飛び出し、目が眩むような快感が襲ったが、テツは俺が出したやつを飲んでいるようだ。

「嘘……飲んでんの?はあ、はあ、あっ」

信じられなかったが、テツはチンコを口から出そうとしない。
快楽に浸るしかなかった。
脈動がおさまると、テツは運転席に戻って何食わぬ顔でシートに背中を預けたが、俺は何となく悪いような気がして、萎えたチンコをしまいながら聞いてみた。

「あの……」

「ん?」

「俺、あんたに生意気な事ばっか言ってるけど、でもさ、こんな事までして貰っていいわけ?俺はあんたから見たらガキでカタギで……ただの高校生だろ?あんたは組じゃ立場は上だし、なんか……俺、悪いよ」

「バカな事を言うな、てめぇの立場を振りかざして付き合うつもりなら、端からそうしてら」

寺島が言った通りだった。
テツは立場抜きで俺と向き合おうとしている。
なにげに嬉しかったが、もうひとつ聞きたい事がある。

「そっか……わかった、じゃあ…、飲んだりして気持ち悪くねーの?」

「慣れりゃなんともねー、よし友也、おめぇやれ、きっちり飲むんだぜ」

「うう、やっぱそうくる?俺、飲めるか自信ねーな」

想像しただけでキツそうだったが、取り敢えずテツの方に身を乗り出した。
ファスナーを下げてチンコを出していったが、上手くやれるかどうか…全然自信はない。

「息をとめて一気に飲み込め、吐くなよ、車汚したらやべぇからな」

車の事を言われて緊張尚更したが、テツがやってくれたのに俺がやらないわけにはいかない。
握った竿を口に頬張って、テツがやったようにやってみた。
吸い上げてゆっくりストロークさせ、舌を動かして裏筋を刺激したら、チンコがビクついて我慢汁を垂らした。

「いいぞ、上手いじゃねーか」

テツは俺の背中を撫でて声をかけてきたが、俺は頭を揺らしてひたすら同じ事を繰り返した。
そうするうちに、テツは気持ち良さそうに吐息を漏らし、太ももをギュッと強ばらせた。
感じてるんだと思ったら、妙に興奮した。
もっと感じさせてやろうと思って一生懸命やってるうちに、いつの間にか夢中になってフェラしていた。

「おい、出すぞ」

竿や口周りを唾液塗れにしながらフェラに没頭していると、テツは俺の背中を軽く叩いて言い、言った直後にチンコが脈打って精液を飛ばした。

「ん"……!」

ヌルヌルとした粘液が舌や粘膜に粘り付き、言われたように慌てて飲み込んだが、鼻から抜ける匂いにえづきそうになった。

「う"っ!」

チンコを口から出して、口を手で押さえて吐き気を堪えたが、口の中に精液の混ざった唾液が溜まっている。
気持ち悪くて涙が滲んできたが、テツの膝に突っ伏して耐えていると、いきなり抱き起こされてキスされた。

「んん!」

不意の出来事にびっくりしたが、舌が入り込んで口内を舐め回し、精液混じりの唾液を舌で掬いとっていく。
口の中を綺麗にしてくれてるんだとわかった。
見かねてそんな事をしてくれてるんだろうが、ドSで独裁者で変態なテツは、いつも隙を突いて優しくする。

狙ってやっているのだとしても、抱き締めずにはいられなくなる。

顔が離れた時には気持ち悪さがなくなり、心の底に潜めた想いが湧き上がってきた。

「なあテツ…」

「ちょい待て、ナニをしまってやらねぇと、出しっぱなしじゃ風邪をひいちまう」

すると、テツは色気も素っ気もない事を言ってゴソゴソとチンコをしまい始め、出かかった言葉は笑いと引き換えに引っ込んでしまった。

「ぷっ…」

ちょっと残念に思う反面、安堵する自分もいた。

「よし、いいぜ、で、さっき何を言おうとしてた?」

テツはチンコをしまって聞いてきたが、もう言えなかった。

「フェラ、気持ち良かった?」

「おお、またやれ」

「飲むのは嫌だ」

「俺が慣らしてやる」

「拒否ったら?」

「そりゃおめぇ、手錠と鎖の出番だ」

「好きだなー、そういうの…」

「おう、それより…、ぼちぼち送って行かねーとな、友也……来い」

来いと言われて頷き、抱き合って求められるままに唇を重ねたら……火野の忠告が薄らいでいた。





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あきゅろす。
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