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尻子玉BL短編、河童、時代物風
ある昼下がり、文太は川沿いを歩いていた
◆◇◆◇

「うわあーっ!」

足を滑らせて川へ落ちた文太は、叫び声をあげてじたばた藻掻いたが、着物が濡れて上手く泳げない。
というより、文太は泳げなかった。
川は容赦なく流れ、大男の文太を木の葉のように押し流す。

「助けてくれーっ!」

このままじゃ溺れ死んで土左衛門だ。
文太は死に物狂いで藻掻いた。

そうするうちに着物が脱げて褌だけの姿になった。

「ごぼっ、ぐはっ」

さっきよりは動きやすくなったが、季節は早春、川には雪解け水が流れ込んでいる。
肌を刺すような冷たい水は体を凍えさせ、文太は腕を動かせなくなってきた。

ごぼごぼっと水を飲んで川の中に沈んでいった。

キラキラと揺れ動く水面。
薄れゆく意識でぼんやり眺めていると、腰に何かが巻きついてきた。
気になったが、それを確かめる余力は残ってない。

腰に絡みついた物体は腕だったが、緑色をしていて肌は鱗状、指の間には水かきがあった。
更に、背中には亀のような甲羅、頭には皿が乗っている。

それはこの川に住む河童だった。
河童は文太の尻を弄って溝をなぞり、肛門へ指を挿し込んだ。

「っ、ぐっ!」

文太は溺れ死ぬ寸前だったが、尻の穴に入り込む感触に体をビクリとさせた。
河童は長い指を動かして内臓を引っこ抜くつもりだったが、文太が反応したのを見て手を止めた。
引っこ抜く代わりに、もう一度指をグリグリ動かしてみた。

「がぼっ、ぐっ!」

文太は体をビクつかせて口から泡を吐いた。
この人間は体格がいい、それに尻の穴も敏感だ。
河童はいい事を思いつき、文太を抱き抱えて水面に顔を出してやった。

「がふっ!」

文太は息を吸い込み、同時に飲んだ水を口から噴き出した。
溺れ死ぬと思っていたら、何者かに助けられた。
しかしたった今死にかけて、なんなのか確かめる余裕はなかった。

河童は文太が息を吹き返したのを見て、文太を水面に浮かべた状態で上流へ向かって泳ぎ出した。

「な、なんなんだ……」

文太は訳が分からずキョロキョロしたが、自分を助けたのは河童だとわかった。

「か、河童……」

河童は尻子玉を抜く妖怪だ。
そういえば、さっき尻の穴に何かが刺さった。
なのに、ハラワタを抜かずにどこかへ運んでいる。
一体どこへ連れて行く気なのか、どこかで切り刻んで喰らうつもりなのか……。

文太の頭には様々な事柄が浮かんだが、どれも悲観的な物ばかりだった。


河童は上流へやってきた。
木が鬱蒼と茂る岸辺に上がり、文太をズルズル引こずって運ぶ。

「な、なにする気だ……、おらを食うのか?」

文太は恐怖で縮みあがる思いがしたが、河童は答えずに文太を洞穴に連れて入った。
洞穴の一番奥に藁が敷いてあるのが見えるが、手前には人間の骨がバラバラになって散らばっている。
やっぱり食うつもりなんだ。
文太は地べたに這いつくばってガタガタ震え出した。

「た、頼む、生きながらに食うのは……やめてくれ」

どうせ食われるとしても、痛い思いはしたくない。
文太は河童に向かって頼んだ。

「食わぬ」

河童はあぐらをかいて座ると、文太を見据えて言った。
その股間には立派なイチモツが突き出している。
文太はイチモツに目がいったが、今はそれどころじゃない。

「食わねぇ? どういう事だ」

河童がなにをする気なのか、戦々恐々としていた。

「お前はいい体をしている、それに尻の穴が敏感だ」

「はあ?」

文太には、河童が何を言いたいのかわからなかった。

「食う代わりに卵を産ませる」

「はあ? 卵ー?」

河童の言葉を聞いて益々混乱した。

「じゃあ……おらに河童の卵を産ませる気なのか?」

文太は少し考えて意味を理解したが、あまりの事に目が点になった。

「そうだ」

「い、いや、そんな馬鹿な」

河童は当然のように返事をしたが、そんな話は聞いた事がない。

「え、わ、わぁー!」

文太がポカンとしていると、河童は文太に飛びかかり、太い首にガブリと噛み付いた。

「いてぇっ!」

牙が突き刺さって文太は顔を歪めたが、河童は文太を抱いて唾液を注入する。
文太がどんなに暴れようが、妖怪である河童の力には敵わない。
唾液が体内に入ると、河童はすっと体を離した。

「うっ、なんなんだよ」

文太は噛まれた箇所を触ってみたが、手にべっとりと河童の唾液がついている。
気持ち悪くてしかたがなかったが、体に異変が生じ始めた。

「な、なんだ……」

体中が熱く火照り、腰から背中がゾクゾクする。

「これで卵を産める」

河童は種付けを前に昂っていた。

「そんな馬鹿な……」

文太はまだ信じてなかったが、尻の穴がウズウズする。

「っ、これは……」

ジリジリと生じる淫らな疼きに困惑したが、河童の股間は更に大きく膨らんでいた。

「人間よ、こっちに来い」

文太を抱き寄せて、わざと陰茎を擦りつける。

「やめねーか、気持ちわりぃ!」

文太はぬるぬるとした陰茎がびくつくのを感じ、ゾッとして叫んだ。

「よもやま話も……真実になる」

河童はぶつくさ言って文太をうつ伏せに倒すと、尻をグイッとかかえあげる。

「わ、わあ、よせ、そんな、あわわ……」

文太は焦りまくったが、河童は邪魔だとばかりに褌を外した。

尻の穴を見たら収縮して蠢いているが、それは唾液が効いた事を示していた。
河童はここ数年ご無沙汰だった為、玉袋には大量の種が詰まっている。
陰茎はパンパンに張って緑色に濡れ光り、人よりも大きな亀頭が、ダラダラと汁を垂らす。
文太は尻を掴まれ、こりゃ紛れもない真実だと思った。
そんな事は冗談じゃない。
必死に逃げようとした。

「や、やめろ!」

地面を引っ掻くと爪の中に土がめり込んできたが、そんなのはお構い無しで、がむしゃらに洞穴の入口に向かって手を伸ばす。
洞穴の入口は草木で覆われている。
ここは上流の薮の中だ。
いくら騒いでも獣すらおらず、薄明かりしか入ってこない。

河童は張り切って陰茎を握ると、尻の穴へ挿し込んでいった。
中は熱々で、快楽が全身を包み込んでいく。

「ああ、よきかな……」

つい口走っていたが、文太は大きな塊を入れられて顔を歪めていた。

「ううっ!」

河童の陰茎が体内に入り込むなど、身の毛もよだつ事だった。
けれど、河童は腰を突き出して根元まで挿し入れた。
しかも……あまりの気持ちよさに、入れてすぐに射精した。

「よきかな……、よきかな」

同じ台詞を繰り返し呟き、背中をぶるっと震わせて種を放つ。
陰茎はドクリドクリと脈打って、文太の腹の中に種を撒き散らしていった。

「ひぃ……! おらの尻ん中に……なにか入ってきた、いやだ、いやだ」

文太は生暖かい体液が流れ込むのを感じ、頭を振って嫌悪する。

「卵を沢山産め」

河童は文太の尻を撫で回して言ったが、一回目の射精を終えて陰茎を引き抜いた。
亀頭がぬぼっと抜け出し、文太は反射的に体を強ばらせたが、体の中の異変に苦悶した。

「はう、あ……、はあ、こ、こりゃ」

下腹が張って苦しいが、どういうわけか淫らな疼きが湧き出してくる。

河童は文太を藁の上に運んだ。

「う、うう……」

文太は腹を押さえて体を丸めたが、下腹がボコボコっと歪に膨らんでいった。

「卵……」

河童が期待して見つめる中、文太は腹がしぶって堪らなくなってきた。

「外へ、外……」

いくら河童の前でも、糞を垂れるところを見られたくない。
外に出たかったが、腹の中から何かが押し出されてきた。

「はっ、あうっ!」

文太が呻き声をあげた瞬間、尻の穴から卵がぬるんと出てきた。
河童はすかさず卵を拾いあげてわきへ置き、次が出てくるのを待った。

文太は苦しげに呻き、もうひとつ卵を捻りだしたが、自分が鶏のように卵を産んだ事に恐れおののいていた。

「い、嫌だぁ! うぐっ、ああ!」

しかし、どんなに否定しても卵は次々と体内から押し出されてくる。

全部で5つ。
そこまで産んで、文太の腹はぺしゃんこになったが、文太は気がおかしくなりそうだった。

「あ"あ"あ"ぁ"……」

茫然自失で藁の上に転がっていると、河童は卵をどこかへ運び出し、すぐにまた洞穴へ戻ってきた。

「まだ産め」

「おら、い、いやだ……、頼む」

文太はやめてくれるように懇願したが、河童に抱き寄せられて身動きできない。

河童は文太を向かい合わせに抱き直すと、下から陰茎を挿入した。

「くあっ、やめろーっ!」

狭い空間に文太の叫び声が響いたが、河童は大きな陰茎で文太を抉りあげ、再び射精に向かった。



それから丸1日が経過した。

文太は繰り返し尻穴を犯され、卵を数十個産んでいた。

「あ、あっ」

体は淫欲に支配されている。
自ら四つん這いになって河童を受け入れていた。

「よきかな、よきかな」

「はあ、あっ、あっ」

河童は念仏のように呟いて文太の中に種を放った。
気持ちよさそうに種付けを終えたら、文太が卵を産むのを待つ。

「んん……、はああっ!」

文太は四つん這いのまま卵を産み落としたが、卵を産む事すら快感に変わっていた。

卵は一度に5つ産まれる。
5つ産み落とした後は、河童が卵を持ち出すのをぼんやりと見送り、尻を上げて河童の帰りを待った。

河童が戻ってくると、文太は自ら尻穴を晒している。
河童は文太をいたく気に入り、珍しく体を愛撫する事にした。

藁に寝かせ、長い舌でぴちゃぴちゃ肌を舐め回す。
文太は河童を抱いて身を捩り、下へ手を伸ばして太く長い陰茎を握った。
河童はニヤリと笑い、起き上がって文太の顔にまたがる。
陰茎を乱暴に文太の口へ突っ込んだが、文太は憑かれたように夢中でしゃぶりついた。

河童はこれ程淫らに振る舞うなら、これを利用しない手はないと、そう思い立った。

文太は更に数十個卵を産まされたが、河童はそこで種付けを終了し、文太を洞穴から外に連れ出した。

文太は木の洞の中に連れて行かれ、祟り神に引き渡された。

「おいてけ」

「はい」

河童が居なくなり、文太は異様な姿をした化け物の懐に抱かれたが、頭が惚けて思考が回らなかった。

何もわからぬうちに祟り神に弄ばれ、異質な陰茎を突き込まれた。

祟り神の姿はぶよぶよとした大きなぬめる物体だ。

体中から、無数の陰茎が飛び出している。

それらはぬめぬめと這いまわって文太の体に巻き付き、尻穴や口の中に侵入する。
文太は虚ろな目をして喘ぎ、出入りする陰茎に感じていた。

祟り神は文太の陰茎を見てニヤリと笑い、ぬめる物体で陰茎を包み込んだ。

文太は体をぴくっと震わせ、くぐもった呻き声を漏らしたが、祟り神は興奮気味に息を吐き出した。
尻穴に刺さる陰茎がドクンと跳ね、びゅるびゅると種を撒き散らし、文太は焦点のズレた目を宙に泳がせる。
口の中の陰茎も同じように跳ね、流れ込む体液を必死に飲み込んだが、尿道の中にぬめる物体が入り込んできた。

「ぐふっ!」

尿道に入り込むぬめる物体は、狭い管の内部を往復し始めた。
文太は化け物の体液を浴び、尿道を刺激されて天にも昇るような快感に襲われた。
尿道口の隙間から白濁汁を垂らし、呻き声を漏らして悶え狂った。

「よきかな、よきかな……」

祟り神も河童と同じ台詞を口にする。
文太の腹にたっぷりと種が入り込み、陰茎はズルっと引き抜かれたが、文太は腹が膨らむのを感じた。

「あ、あ、あぁ」

卵とは全く違う感触だった。
蠢く物体が腹の中で暴れ回り、文太は体を震わせて苦悶したが、背筋に淫靡な快感が走り抜けて行く。

祟り神が見守る中、小さなぬめる物体が尻穴から這い出してきた。

「ふっ、あっ!」

ずるりと外へ排出されると、文太は体をびくつかせ、淫らな痺れに酔いしれる。
醜悪な化け物の分身は、ズルズルっと動いて木の洞から這い出し、あてもなく森の中へ姿を消していく。

祟り神は再び文太を懐に抱え込んだ。

「よきかな……よきかな」

文太は念仏のような呟きを聞いていたが、自分が何者なのか、何故こうなったのか、何もかも分からなくなっていた。






1年後、下流の岸に奇妙な物体が打ち上げられた。

人間の遺体のようだが、まるでスルメのように萎びている。

それは間違いなく、文太の変わり果てた姿だった。









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