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短編集BL小説(鬼畜、色々あり、1部長編あり)ちまちま新作を更新中
■■Escape3(最終回)
ありがちな……になってすみません^^;















◇◇◇

連れ戻されて1週間が過ぎた。

外から芳しい匂いが漂ってくる。
近所の雌が発情したらしい。
体がムズムズする……。

今は真夜中で、俺は兄貴と一緒にベッドで寝ている。
兄貴は能天気に爆睡中だ。

この強烈に悩ましい匂いは、人間にはわからない。
俺達猫は鼻がきくから、窓を閉めていてもフェロモンがプンプン匂ってくる。
ムズムズがおさまらない。
──こうなったら……。

「ニャウッ……!」

兄貴の腕にしがみついて腰を振った。

「ん……、う……ん」

両手で腕を抱いて股間を擦りつけたら、兄貴は小さく呻いて顔を動かしたが、目は覚まさない。
段々気持ちよさがヒートアップしてきて、本能に任せて猛然と腰を振りまくった。

「ニャッ……(あっ……)」

快感が突き抜け、チンコから子種が飛び出した。

「うっ……、うーん、な、なんか腕が……」

と同時に兄貴が目を覚ましてしまった。
慌ててパッと飛び退いたが、兄貴は腕を確かめている。

「あぁ"? な、 なんだこりゃ……、濡れてんぞ」

パジャマを濡らしたのは俺の子種だが、知らんふりして顔を洗った。

「タマ、お前……また俺を無断使用しやがっただろう」

だが、バレている。

「ニャ〜ン」

甘えて誤魔化そう。

「ったく……、盛ってばっかだな、玉ぁ切るか」

兄貴は濡れた箇所をティッシュで拭きながら、恐ろしい事を言った。

「ニャーっ!(絶対嫌だ)」

腕に爪を立てた。

「痛てぇな、こら……、大体よ、脱走するのはそのせいだろう、知ってるぞ、お前、こっからちょっと離れた場所にあるボロいアパート、そこの住人に愛想振りまいて懐いてるだろ、潜伏先はバレてんだよ」

潜伏先までバレてるとは……さすがだ。
いや、今は感心してる場合じゃない。

「ニャ〜〜〜ン」

声を振り絞って鳴き、兄貴の顔に向かってケツを晒した。

「ぶはっ! やめろ、ケツの穴が鼻に当たったじゃねーの、勘弁しろよ、お前らケツ拭かねーんだからな」

兄貴は俺の体をグイッと押して遠ざける。
ケツを嗅ぐのは猫にとって当たり前のことだ。
じゃあ、兄貴のを匂ってやる。
隙間から布団の中に潜入した。

「あ……、なにしてんだよ」

兄貴のケツに鼻をくっつけて匂いを嗅いだ。

「ちょっ……、こら、この変態猫が」

「ニャーっ!」

とっ捕まって腕に抱かれた。

「まったく、ほんっと変な猫だな〜、あん時……お前を拾った時だ、お前の兄弟はカラスにバラバラにされちまってた、あと5分遅かったらお前も食われてただろう、俺がたまたま見つけてよかったわ、あんなとこに捨ててよ、誰かが拾うと思ってんだろうが、そんな甘かねー、誰かが気づくより先に、飢えたカラス共の餌食だ、こんな変な猫はそうはいねぇ、俺はお前のお陰で癒される、へっ……、こんな事ぁ誰にも言えねー、俺が猫を可愛がってるだなんて、内緒だからな」

叱られると思ったら……逆だった。
兄貴は物凄く嬉しい事を言ってくれた。
なんか泣けてきた。

だから……顔を舐めた。
犬の真似をして何度もぺろぺろ舐め回した。

「なっ……、犬かよ、つーか……舌がザラザラして……、痛てぇ、なはははっ!」

兄貴は痛がってるが、喜んでいる。
俺達猫の舌は犬と違ってザラザラだけど、猫だって犬並みの愛情表現はできる。
尻をくっつけるのが嫌なら、これしかない。
執拗に舐めた。

「ちょっ、わ、わかった、なんかほっぺたがヒリヒリしてきた、タマ、玉は切らずに置いてやる、その代わり脱走するな、わかったな?」

思いが通じたのか、玉切りは無しにしてくれた。

「ニャ〜ン」

脱走はしない。
約束する。





◇◇◇



平和な日々が続いた。
兄貴は美味しい缶詰を与えてくれる。

いつも帰宅時間はバラバラだし、不意に仲間がやってくる事もあるが、俺は知らんぷりしている。
仲間は俺を見て『猫なんか飼ってるのか』と言ってニヤニヤする。

猫を飼ってなにが悪い。
無視してベッドの上に行った。

フェロモンは相変わらず漂ってくる。
外に行きたい。
行きたくて堪らない。
この煮えたぎる思いを爆発させたいと、本能が叫んでいる。

「おいタマ、もう帰ったぞ」

兄貴がやって来て言った。

「ニャ〜」

あの仲間はいなくなったらしい。
それなら安心だ。
俺をジロっと見て、バカにしたようにニヤつかれたら腹が立つ。

「なに猫の真似してるんだよ」

「えっ?」

兄貴は妙な事を言ってガバッとかぶさってきた。
潰れる……と思ったら、潰れてない。

「ええっ、あ……」

自分を見て驚いた。
俺が……真っ裸の人間になっている。

「タマ、へっ、今日は可愛がってやるからな」

兄貴も裸だが、ニヤニヤしながら顔を近づけてきた。

「え、に、にゃあ……?」

わけがわからない。
パニックに陥ったが、唇を塞がれて益々びっくりした。
これって、兄貴が女とやってる事だ。
どうして……何故俺が?
俺は猫だ。

混乱しまくってる間も唇は吸われているが、唇を吸われるって……こんな生々しい感じなんだ。
唇のない猫にはできない事だが、何かの異変が起きて人間になったとしても、そもそも俺は雄だ。

どうして兄貴が俺を女代わりにしてるのか、そこんとこもわからない。
わからないが、体を触ってくる。

「よっしゃ、んじゃ本番だ」

兄貴は下に行って俺の両足を抱えあげた。
ガバッと足を開かされたが、猫の時とは違う。
人間の足だから、なんだろう? 恥ずかしいような変な感じがする。

「お前はいっつもケツを擦り付けてくるからな、そんなに見せたいなら、じっくり見てやる」

「えっ……」

兄貴は俺の股に顔を埋めた。
そりゃ……俺はいつもケツを晒す。
愛情表現だからだ。
だけど今は……こんな状況で……明らかにおかしい。
なのに、肛門にヌルッと舌が触れてきた。

「ひっ……」

俺達は猫同士で挨拶する時に尻を嗅ぐが、肛門を舐められるのは初めてだ。
温かなヌルヌルした舌が肛門を這い回り、腰の辺りがゾワゾワし始めた。

「ニャ……、ニャんか変だ、あ、兄貴ぃ〜」

堪らず兄貴を呼んだ。

「悪い事ばっかするからな、へへっ、悪さができねーようにしてやる」

兄貴はお仕置のつもりでやってるらしいが、あんなにケツを嫌がっていたのに、嘘みたいにぴちゃぴちゃ肛門を舐めまくる。

「ひ、ひぃ……、やっ、やめて、もう悪さはしません」

ゾワゾワが酷くなり、ギブアップした。

「駄目だ、今夜はこのケツ穴をいただくぜ」

兄貴は舐めるのをやめてくれたが、むくっと起き上がって自分の股間へ手を伸ばす。
手でチンコを握ったが、見慣れてる筈なのにやけに大きく感じる。
一体何をする気なのか……。
ハラハラしながら見ていると、兄貴はチンコを肛門に入れようとする。

「ニャーっ……、ま、待って! 駄目、お尻が避ける」

肛門は親愛の情を示す為に使うが、チンコを入れる場所じゃない。

「悪ぃが、そうはいかねーんだな、いくぞ」

「ニャッ、ニャーっ!」

焦って逃げようとしたが、体がかたくて……いつもみたいにグニャリと捻る事ができない。

「諦めろ、お前は俺に飼われてる身分だ、主人の命令にゃ背けねー」

兄貴は普段絶対に言わないような事を言って、チンコを中に押し入れてきた。

「ニャッ……! ニャウーッ!」

肛門が裂けそうになって叫んだ。

「おおー、キツキツだな〜」

兄貴はグイグイ押して奥に入れてくる。
硬い棒を突っ込まれたようで、痛くて涙が滲み出してきた。

「ニャ……! ニャウ……、はぁはぁ」

いつも優しい兄貴が、こんな乱暴な真似をするとは思わなかった。
腹が立ってきて、腕や肩、背中を闇雲に引っ掻いた。

「ふっ、ちょいと痛てぇが、その爪は刺さらねーぞ」

兄貴はニヤリと笑って意地悪な事を言う。
確かに……人間の爪は爪の先が丸いから、猫の爪みたいにブスッと刺さらない。

「ニャ……、どうして……ニャ……、いつも優しいのに、何故いじめる」

多分、人間の姿をしてるせいだ。
だから……意地悪する。

「誰がいじめてんだよ、可愛がってやってるんだ」

兄貴はしれっと言った。

「じゃあ、チンコ……抜いて、俺、人間じゃない」

だったら、こんな無茶はやめて欲しい。

「お前、俺が女とやってる時に邪魔したんだからな、身代わりになるのは当たり前だろうが、俺がイクまで待て」

「いくまでって……」

俺がケツに猫パンチをして邪魔したから、兄貴は俺を女の代わりにした。

「む、無理ニャ……、お尻が……破れる」

理由はわかったが、今でもいっぱいいっぱいなのに、動いたりしたら……肛門がビリッとなる。

「俺の事、好きか?」

兄貴はマジな顔で聞いてくる。

「好きニャ……」

命の恩人だし、優しいし、大好きだ。

「俺もだ、お前の事が好きだから抱きてぇ、じゃ動くからな」

好きだから……抱く。
そう言って兄貴は動きだしてしまった。

俺は痛くてニャーニャー鳴いた。
肛門の粘膜が切れる寸前で、内臓が引き摺り出されそうな気がした。
早くいってくれ……と一途にそう思って、兄貴の下で藻掻き、刺さらぬ爪で引っ掻いた。

「ニャッ……ニャッ!」

チンコはどんどん硬くなるし、肛門が痛みを越えて熱く感じ始めた。
もう本当に壊れるって感じた時に、兄貴はピタっと動かなくなった。
チンコを突っ込んで気持ちよさそうに息を吐いたが、俺は顔中が涙でドロドロになっている。
涙で顔が濡れるなんて、生まれて初めて体験した。

お尻がズキズキしたが、お尻の中でチンコがピクピク痙攣するのがわかった。

兄貴は俺の中に子種をだしたようだ。
俺は兄貴と交尾をしてしまった。
雄なのに……。

「いい子だ、うめぇ缶詰食わせてやるからな」

兄貴は頭を撫でて満足そうに言った。

俺と交尾してそんなによかったのか……。

頭を撫でられるうちに痛みが遠のいていった。

「よく寝てるな、へへっ……、これだから猫は堪らねぇ」

ハッとして目を開けると、兄貴が優しく背中を撫でていた。

「ニャ……」

いつもとおんなじように、パジャマを着て寄り添っている。

今のは夢?

「目ぇ覚めたか、腹減っただろ?」

兄貴は顔を覗き込んで聞いてくる。

「ニャッ……、ニャー」

恥ずかしくて目を合わせられない。

「そうか、じゃ、餌をだしてくるからよ、ちょっと待ってな」

目を逸らして返事をしたら、兄貴はご飯を用意しに行った。

俺は夢とは思えないリアルな夢に、頭が逆上せてボーッとなっていた。

「ニャッ……!(あっ……!)」

だが、不意にお尻が心配になった。
座った体勢で前屈みになって肛門を確認したら……無事だった。

──よかった。

「ほら、餌だ、降りてこい」

ホッとして座り直した時に兄貴が戻ってきた。

「ニャーン」

高級マグロ缶詰の匂いがする。
ベッドから飛び降りて食べに行った。

「へへっ、そんなにうめぇか」

餌にがっついたら、兄貴はそばにしゃがみ込んで俺を見ている。
こういう時、いつもなら尻をあげて喜びを示すのだが、今は出来なかった。

尻を晒すのが怖い。

「ははっ、そんなにうめぇか、よく食うな〜」

背中を撫でられてビクッとした。

あれはただの夢だ。

それなのに、唇を吸われた感触が蘇ってくる。

俺は兄貴の事が好きだが、それとは違う……胸がキュンとするような思いが込み上げる。

だけど、今は食べる方が先だ。

夢中になってガツガツ食っていると、兄貴は水も用意してくれた。

俺は茶色のシマシマ模様をした、そこら中にいる普通の猫だ。

それなのに、兄貴は世界一優しくしてくれる。

もしまたあの夢を見たら……。

お尻は痛かったが、どうせ夢なんだし……もう1回やってみたい気もする。

高級マグロ缶は美味かった。
全部平らげて、お座りをして顔を洗う。

「へっ、完食か」

兄貴は空になった容器を掴んで言ったが、見慣れた笑顔を見たら……もう一度抱かれてもいっか……って、どこかで期待する自分がいた。








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