Snatch成長後編BL(完結) 32、揺れ動く心 ◇◇◇ 「友也、やっと君と……」 店長室に入ったら、椅子から立ち上がって感動に浸りきっている。 「あ……、ああ」 真顔で見つめられると、ちょっと腰が引ける。 「僕は長い間、ずっと我慢してきた」 「うん……」 「ようやく君と2人きりで会える、売り上げは後回しだ、金庫に入れて行こう」 「車は……」 「駐車場に戻ってくる、止めときゃいい」 「そっか……」 帰りは駐車場に送ってくれるという事だし、促されて一緒に店を出た。 駐車場に歩いて行くまで、翔吾は肩を抱いていた。 助手席に座ると、車はすぐに動き出した。 「戻らなきゃいけないし、あんまり遠くは行けないな」 ハンドルを握って、車を操りながら話しかけてくる。 「そうだな」 「今日はシティホテルってわけにはいかない、ラブホテルになるけど我慢してくれ」 「うん、どこでも構わない」 高そうなホテルは見晴らしがいいし、何となく気分はいいが、星がいくつだとか、そんなものに興味はない。 「そうそう、木下がマンションに遊びに来てるようだが、なにをしているんだ?」 不意に竜治の事を聞いてきたが、テツが話したんだろう。 「ああ、ただ話をしてるだけ」 水野のコスプレショーは機密事項だ。 「ふーん、あんなに殴りあったのに、よく仲良く出来るな、ま、でも……雨降って地固まるって言うし、本音を言わずにネチネチやるよりマシか、テツも木下も、本音でぶつかるからな、それがかえって良かったんだろう、ははっ……、なんだか男らしくていいな」 確かにその通りだ。 「うん、あの2人は似てるところがある、竜治さんは浮島の人間だから田上組長の指図に従ってるけど、ほんとはいい人だよ、子供好きだしな」 竜治には酷い目に合わされた事があるが、どうしても憎めない。 感情的になってやり過ぎる所があるが、必ず後で間違いに気づく。 間違いに気づいたら潔く非を認めて謝るし、あんな厳つい顔をしていても、意外と優しいところがある。 「友也は木下の事が好きなんだな」 「うん、人として、男として好きだ」 「そうか、惚れた腫れたは別ってやつか、僕の事もそれと同じなんだろうな」 翔吾は自分の事へ話を振った。 「っと……、それは」 図星だが、今まさにラブホへ向かってる状況で、ハッキリそうだとは言い難い。 「ふふっ、わかってる、君は……テツに惚れ込んでる、それを承知で僕は君を欲しがる、つい意地悪な事を言いたくなるけど、本当はテツに奪われたんじゃない、もし僕があのまま君と付き合っていても、相思相愛ってわけにはいかなかっただろう、君は女にも惹かれるし、好きな女が現れたら〜多分そっちに行ったと思う、僕には君を惹き付ける力がない、要するに……テツには勝てないって事だ」 翔吾は本音を明かした。 だったら、俺も嘘はつけない。 「ごめん……、俺はテツだけだから」 さっきは躊躇したが、やっぱり……テツの事は正直に話すしかない。 「だよな、悔しいよ、ほんと……、それにパパはさ、僕の気持ちなんか無視して女とくっつけようとする、なんかね、無理にでも会わせたら、そのうち当たりがでるんじゃないかと思ってるみたい、見当違いもいいとこだよ」 翔吾はそれに対してひと言ぼやき、見合いの話に触れた。 「あの〜それって、実際会うんだろ? どこで会うんだ」 まだ詳細を聞いてないし、ちょっと聞いてみたい。 「いつか行ったパパの行きつけの料亭とか、カフェの個室」 「ふーん、で、話をするわけ?」 「最初はパパや仲人役が同席するけど、パパは必ず一緒にいる、で、よくありがちなパターンだよ、『あとは若いお2人で〜』って、2人きりにされる」 翔吾には悪いが、具体的に聞いたらめちゃくちゃ興味が湧いてきた。 「うん、それで?」 「向こうはモジモジしてる、悪いけど、僕は端から興味無い、だから黙ってる、大体さ、狭い空間に女といるだけで吐き気がするんだ、誰がそんな奴の機嫌なんかとるか」 案の定というか、予想通りな展開だ。 「うん、まあ……、だけどさ、それじゃ、その空気のまんまそこにいるわけ?」 ただ、気まずい空気の中にいるのは耐え難いだろう。 「いいや、『悪いが、僕は君には興味ない』と言って立ち去る」 翔吾の気持ちになればわからない事もないが、相手はポカーンになるような気がする。 「で、バイバイするわけ?」 「ああ、部屋から外に出たら、その辺にパパと林がいる、パパは走ってやって来て『翔吾、またか』って、ごちゃごちゃ言ってくるけど、僕は予め黒木を待機させてる、無視して店の外に出て黒木の車に乗り込む、そしたらさ、パパは慌てて走ってきて『コラァ、黒木、待て!』って怒鳴る、しかも林がさ、すかさず車の前に立ち塞がるんだよ、あいつ、超ウザイ、だからさ、僕は窓を開けて、まずパパに『黒木は今や僕の側近だ、僕の命令には逆らえない』そう言って〜、次に林に向かって『林、退け!』って怒鳴る、そしたら林は退くから、黒木に車を出せって命じる、黒木はパパにペコペコ頭を下げて車を出す、ま、そんなとこだよ」 なんか……親分VS若頭って、何気に凄いシチュエーションだ。 これがもし他人同士なら、それだけで内部抗争ぼっ発になりそうだが、実の親子だからそれで済むんだろう。 「そっか〜、だけどさ、困ったもんだな、その気がないのに紹介しても無駄だと思う」 「だろ? パパはさ、周りで孫の話を聞いたりして、羨ましくなったんだ、で、自分はニューハーフの彼女を作りながら、僕に女を紹介する、矛盾しまくり〜」 「そうだよな〜、確かに矛盾してる」 「で、イライラしてたところにハルさんが倒れた、黒木に任せるって言っても、夜だけだしな、あいつなら僕の代わりを十分やれる、僕にとってはチャンス到来だ、ああ、ハルさんには悪いけど……、それにさ、テツにも悪いとは思ってる、でもこの際、憂さ晴らししたいよ、僕が僕らしくある為にも」 「そうか……」 自分らしくありたい……。 考え方は三上と似ている。 ふと同情しかけたが、それじゃダメだ。 この度は付き合うが、翔吾のイライラを解消しなきゃマズいだろう。 そうするうちにラブホテルに着いた。 ガレージ式だから気楽だ。 翔吾について行き、部屋に入った。 昼に三上、夜には翔吾、日付は変わってるので同日ってわけじゃないが、続けざまにラブホに来たのは初めてのような気がする。 「はい、これ」 そして、例のブツを渡される……。 「うん……」 みんな気遣いは忘れないらしい。 俺はまたしても準備をする事になるが、この調子だと……一生便秘には縁がなさそうだ。 用意を済ませてシャワーを浴びていると、翔吾が入ってきた。 「友也、もう洗った?」 「ああ、ざっと流した」 髪はそんなに長くないし、シャンプーをして体を洗い終えたところだ。 「あ……、ほら、どうぞ」 シャワーを翔吾の方へ向けた。 「ああ、ありがとう、なあ、体を洗ってくれないか?」 すると、リクエストがきた。 「ああ、いいよ、スポンジないから手のひらでやるけど、いい?」 ホテルによっては使い捨てのを置いてる場合もあるが、スポンジは通常置いてない。 手のひらにボディーソープをつけて背中から洗っていった。 俺より背が高いし、肩や背中にも筋肉がついている。 顔は昔とさほど変わってないから、顔だけ見たら想像できない体だ。 「翔吾、鍛えてるんだな、すげー筋肉、高校生の時と比べたら全然違う」 筋肉がついたのは知ってるが、筋トレを続けてる分益々逞しくなっている。 「うん、僕は男しか愛せないし、でも……だからって……負けない」 翔吾は自分がゲイだという事をコンプレックスに感じてるようだが、こんなにいい体をしていたらそんなのは問題じゃないように思えてくる。 背中から尻、足を撫で回していったが、そのまま前に手を回して、体の前部を洗っていった。 胸板も前より厚くなってるし、腹筋は勿論割れている。 「すげーな、なんかエッロ〜」 何となくエロく感じた。 「ふふっ……、ほら、ここも」 翔吾は俺の手を掴み、チンコを握らせる。 「あ〜、そ、そこは〜」 「どう? すっかりその気だ、君に洗って貰ったりしたら……たまらないよ」 巨根が手の中でびくついている。 「参りました……、到底勝ち目はありません」 何故か無条件に白旗をあげたくなる。 「やだな、なに言ってるんだよ、友也だって小さくないじゃん、平均的なサイズだ」 「へぇー、平均なんだな」 ソコのサイズについて、正確な事を聞いたのは多分初めてだ。 「ああ、ちょっと待って、後は自分でやるよ」 「うん、じゃあ、俺は先に出てる」 「わかった」 自分でやると言うので、先に出る事にした。 浴室から出て何気なく見れば、翔吾は三上と違ってちゃんと脱衣籠にスーツを脱いでいる。 しかもちゃんと畳んであるが……。 こういう何気ないところで、育ちの良さがチラッと垣間見える。 バスローブを羽織ってベッドに歩いて行った。 この部屋も確かめずに入ったが、乙女チックな雰囲気ではなく、ごく普通の白い壁紙にありきたりなベッドだ。 ベッドの端に座っていると、翔吾もバスローブを着てやってきた。 「友也、待たせたね」 隣に座って肩を抱いてくる。 「いや……、何回目かな、こういうの」 特に意味もなく呟いた。 「本当は……嫌なんだろ? 僕に抱かれるの」 だが、翔吾は疑うように聞いてくる。 「え、いや……、そういうわけじゃ」 顔を見たら不貞腐れたような表情をしているが、さっき呟いた事が気に触ったのかもしれない。 「じゃあ……、単に付き合ってって言って、僕に付き合う?脅さなきゃついて来なかっただろ」 なんだか雲行きが怪しくなってきた。 シャワーを浴びた時は機嫌が良さそうだったのに、これからって時に責めるような言い方をする。 「そりゃ……テツに悪いし」 翔吾は自分で『テツにも悪いと思ってる』って言ってたし、素直に答えた。 「うわっ!」 なのに、突き飛ばすように押し倒してきた。 「……ムカつく」 真上から睨みつけて言うと、唇を重ねてきた。 「んっ……」 噛み付くように吸って、息もつかせぬ勢いで舌を突っ込んでくる。 荒々しいキスに面食らったが、体重をかけてのしかかるから、苦しくなって闇雲に藻掻いた。 「ん……んっ!」 けれど、両手首を掴まれてベッドに押さえつけられた。 気を悪くしたのはわかるが、急に豹変してムカつくとか……翔吾はそういうタイプじゃない。 息苦しさの中で軽くパニクっていると、翔吾はキスをやめてベッドに上がり、俺の腕を引っ張ってきた。 「こっちに来い」 力任せにグイッと引き寄せる。 「ち、ちょっと……、なに? なに怒ってるんだ」 引きずられて真ん中辺りで仰向けになったが、怒ってるなら、ちゃんと訳を話して欲しい。 「今は僕のモノだ」 翔吾は一言言って俺のバスローブの紐を解き、前をガバッと開いて被さってきた。 胸板に舌が這い回り、乳首を捕らえて刺激する。 舌が蠢く度に体の力が抜けていったが、不意を突くように痛みが走った。 「い"っ……つ」 乳首を噛んだらしい。 「ちょっ……」 甘噛みって感じじゃなく、マジで痛い。 やめるように言おうとしたら、舌先でつつくように舐め回す。 「あっ……」 それをやられたら、ふっと力が抜けていく。 力を抜いて身を任せていると、油断したところでまた噛み付いてきた。 「いっ……つ!」 体が強ばったが、また舌先でつついてくる。 これって……わざとやってるらしい。 ちょっと痛かったが、機嫌が悪そうだし、ここは抗わない事にした。 翔吾はそれを繰り返しやってきた。 痛みと快感がごっちゃになって変な気分だったが、Mな部分を刺激されて被虐心が高まり、結局は快感に繋がっていった。 翔吾は不意に起き上がってバスローブを脱いだ。 すぐにまた被さってきたが、今度は脇腹に舌を這わせ始めた。 片手でチンコを扱きながらやるから、竿はガチガチに硬くなっていく。 舌は脇腹から下腹部に向かい、根元周辺を這い回る。 「んん……、うっ」 竿がビクついて先走りを垂らし、たまらなくなって身を捩ったら、下腹に噛み付いてきた。 「痛てぇ〜、翔吾……噛むのは無し」 肉を噛まれちゃ堪らない。 思わず口走ったが、翔吾は黙っている。 やっぱり……まだムカついてるようだ。 何気なく呟いただけなのに、こんなにへそを曲げるとは思わなかった。 参っていると、再び起き上がってローションを手に取った。 手のひらに出して自分のチンコに塗りたくり、俺の足を開かせてアナルに垂らしてきたが、作業的に淡々とやっている。 濡れ光る巨根が重そうに首を振っているが、それを見たら……俄に緊張感が増してきた。 三上の時は余裕をこいていられたが、翔吾はそうはいかない。 親父さん、翔吾、竜治、この3人とやる時は、いずれも覚悟が必要だが、前回翔吾と浮気をしたのは10数年前になる。 三上に『巨根は痛かったり、苦しい場合がある』と説明したが、あれは大袈裟に言ったわけじゃなく、事実だ。 翔吾は膝をついて合体する体勢をとった。 竿を握ってアナルに押し当ててきたが、一気にいかれたら堪らない。 「あ、あの……、お手柔らかに」 手加減するように頼んだが、翔吾は俺を見ようともせずに、無言で巨根をねじ込んできた。 「うぐっ! ううっ、ちょっ待って……、ゆ、ゆっくり」 久々はやっぱキツい。 圧迫感がハンパなくて息が詰まる。 苦しくて呻いていると、翔吾は俺の上に被さってきたが、初っ端から激しく動き出した。 「う"っ、うあぁっ、ちょっ、ああっ!」 腸の粘膜が太竿に絡みつき、引きずり出されそうな感覚を覚える。 「テツは独り占めして……ずるい、僕は体を鍛えた、テツみたいに強くなりたい、SEXだって経験を積んだんだ、負けない、負けたくない!」 悔しげに言って壊れそうな勢いで突いてくる。 「うっ、うっ、やめっ……、キツい」 肩を掴んで押し返したが、逞しくなった体はびくともしない。 翔吾がこんな乱暴なやり方をした事は、今までに一度もなかった。 太竿が出入りする度に体が強ばったが、程なくして、体内の竿が膨らむのを感じた。 突き上げが更に激しくなり、太い杭が体内を抉って呻き声が漏れたが、じきにおさまると思ってひたすら耐えた。 「あう"、うぐうっ!」 涙が滲み出し、周りの景色が霞んで見える。 もう勘弁してくれと願った時に、翔吾はぐっと深く突いて動きを止めた。 力強い脈動が、アナルや腸壁から伝わってくる。 終わった……。 息を荒らげてぼんやりと天井を見たら、脱力感が襲ってきた。 「っ……、友也……」 翔吾は俺をぎゅっと抱き締めて名前を呼ぶ。 体重がモロにかかって息が苦しかったが、とにかく動きが止まったので……助かった。 「翔吾……、なに怒ってるんだ? なあ……ハッキリ言ってくれ」 急に不機嫌になった理由を聞きたい。 「怒ってない、ただ……イラついただけだ、ごめん、ついカッとなって……」 どうやら冷静さが戻ってきたらしく、耳元で謝ってきた。 「うん……、無茶するからさ、苦しかったけど、いいよ……大丈夫だ」 アナルはギリ切れずに済んだ。 「すまない、最近不安定で……、今のは多分八つ当たりだ、好きな相手に八つ当たりするなんて、最低だな、テツに負けて当然だ」 翔吾は気落ちした声で言ったが、それでムカついた理由がわかった。 「いや、辛いなら吐き出せばいい……、俺の前で気取る必要なんかねぇし」 やっぱり、親父さんが女を紹介する事が原因だ。 翔吾が普段気にしないようにしてる事……。 つまり自分がゲイだという事だが、女と会う度にそれを意識せざるを得なくなる。 「君はずっと変わらない、いつもそうやって僕を励ましてくれる、僕は……情けない、どんなに鍛えても、昔の弱かった頃の僕が顔を覗かせるんだ、いきがって喧嘩をしたところで、結局……みんなが恐れるのはパパだ、僕はオカマでゲイで……組を継ぐ資格なんか無い、そう思ったらガックリくるけど……、なんだかやたら悔しくなって腹が立ってくる、なんかさ、色んな事が頭の中でぐるぐる回って……、兎に角、悪かった」 繊細で感受性が強いのは、昔と一緒だ。 「翔吾……、構わねぇって、俺はさ、どんな翔吾も翔吾だと思ってる、実際に翔吾はすげー強くなったし、めちゃくちゃ立派にやってると思う、これ、マジだからな」 翔吾だけじゃなく、みんな色んな側面を持ってる。 それが普通だし、俺は全部ひっくるめて翔吾の事を大切な人だと思っている。 「じゃあ、また会ってくれる?」 だが……そう来られると、ちょっと困る。 「あ……、っと〜」 「やっぱり……だめなんだ」 翔吾はしょんぼりして寂しげな顔をする。 「あの……、わかった、でも……テツにバレたらマズい、だからそこんとこは……その」 断らなきゃ……って思ったが、翔吾は今情緒不安定になってるし、そんな状態で無下に断われない。 「ああ、わかってる、ミノルとの事は言わないよ、それに会うとしても、テツにバレないようにする、それならいいか?」 「うん……」 また約束をしてしまったが、馬鹿なのは自分でもわかっている。 「よかった……、ありがとう、我儘言ってごめんな」 翔吾は安心したように体を預けてくる。 「うん……、いいよ」 仕方がない……。 体内の竿は勢いを失っているが、体はまだ繋がったままだ。 背中を抱き締めたら、翔吾はキスをしてきた。 翔吾らしい……優しいキスだ。 自然と気分が高まり、2回戦目になだれ込んでいった。 プチ後書き イチジクは常用しない方がいいです。 癖になるのでwww腸が自力で頑張ろうとする力を弱めます。 リアルで多用はよろしくないです。 これはあくまでも創作の中の話なので(笑)。 ちなみにイチジクらしき物はアメリカしかない模様(・ω・ = ・ω・)?多分そうだった……。 だから、ない国では……以下割愛(*≧▽≦) [*前へ][次へ#] [戻る] |