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SMILE!
携帯電話



「…そうか、わかった」


木野はおれから離れ、ベッドの上に置いてあった服を取るとおれに渡した。


「服着ろ。あー、あと江夏、お前ケイタイ持ってっか?」


服を着ながら、ベッドの横にあるサイドテーブルを指差す。


「……そこ、の…引き出しの中」

「…は?」


木野はポカンとした。
何かおかしな事を言ったか?
携帯電話は良仁さんが、一応持っていてねとわざわざ買ってくれたが正直使い道がない。良仁さんに買って貰うまで携帯電話というものを使った事がなかったおれはいまだにメールの仕方がよく理解出来ていない。
電話は自分からかける事はなく、かかって来たのを出るだけ。
電話帳には、良仁さんと桐也先生と真樹先生の三人のみ。三人共おれが携帯電話を持ち歩いてないのを知っているため、電話がかかってくる事は滅多にない。
でも良仁さんは一週間に一度くらいのペースで夜に電話をくれる。良仁さんとは、たまにしか会えないからだろう。


「あのなぁ、ケイタイは持ち歩いこそ意味があんだぞ。引き出しって…お前……」


木野は、引き出しからおれのストラップも何も付いていない白い携帯電話を取り出し、自らの携帯電話もブレザーのポケットから出した。
木野は自分のとおれの携帯電話を操作していた。向かい合わせて何かしている。


「……何、してるんだ…?」

「お前、いつの時代の人間だよ。赤外線だ、赤外線」


赤、外線…?
なんかよく分からないが、そういう機能があるんだろう。操作し終わったのか木野は携帯電話をおれに手渡した。


「明日から絶対持ち歩け。オレの番号は登録しといた、ついでに晃雅達のもな」

「……え、」


木野の番号登録はまあいいとして、何故隠岐のまで?しかも晃雅達という事は、もしかして紅全員分か?
明日から持ち歩けって…


「何かあったら連絡しろ。オレじゃなくてもいい」


いいな?と念を押してきた木野におれは頷いておいた。



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