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SMILE!
2



何があるか、なんておれには分からない。誰にも分からない。
ただ分かる事は、これだけじゃ終わらないという事だけ。
きっと、今からが本番なんだと心の奥底で感じた。


「そろそろ帰らねぇとな。借りた服は明日の夕方返しに来るから」

「……分かった…」


ベッドから立ち上がり、扉に向かう木野を呼び止める。


「……木野…、」

「あ?どうした」

「……いろいろ、迷惑かけて…すまない…」


おれひとりだったら、立ち直る事も出来なかっただろう。
だけど、木野がいたから、苦しさも悲しみも少し取り除く事が、出来た。

忘れる事は出来ないけど、それを乗り越える事は出来る。いつになるか分からないけど、いつかきっと…


「オレがやりたくてやった事だ。お前が元気になったんなら、それでいい」


じゃあまた明日なと木野は帰って行った。

ばたっとベッドに仰向けに倒れ、手の中の携帯電話を見つめる。あまり使った事のない綺麗な携帯電話を開き、電話帳を見る。今まで三人だったのが五人増え、一気に八人になっていた。

電話番号とメールアドレス
意味もなく、ずっと見つめた。
しばらくして携帯電話を閉じ、枕元に置いた。
まだ晩御飯を食べていなかったが、作る気にもなれなかったし、食べる気にもならなかった。
立ち上がり部屋の電気を消し、ベッドに寝転ぶ。そのまま布団を頭まで被り、ぎゅっと目を閉じる。

明日、学園は休みだ。
二日間の休み。
休みだからといって、親衛隊の嫌がらせが止まるとは思えない。
むしろ、学園が休みだからこそ、何かあるんじゃないだろうか

…また、同じ事になったらどうすればいい?思い出すと、背中の傷がズキと痛くなった。それを振り切るように、ゆるく首を振った。

今考えても仕方ないと、ベッドの端の方で寝ていたシマを腕に抱いて、眠りについた。



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