SMILE!
囮 side.千里
はっちんに生徒会と風紀の事を、聞かなかったの、こうちゃんに怒られるかなぁ…
まあ、こうちゃんなら分かってくれるよね。
それより問題は大神省吾。今は親衛隊よりも、問題かも
最後までしてないのは助かった。レイプされて、そう簡単に立ち直れるもんじゃない。特にはっちんは、自分で抱え込むタイプみたいだから。
ちぃが立ち直れたのは、こうちゃんとみぃちゃんのおかげ。
助けてくれた。二人が助けて、ちぃの力を必要としてくれた。
だから、紅に入った。こうちゃんの命令なら何でも聞くし、何だってする。
ま、こうちゃんはあんまり命令しないんだけど。
「ただいまー」
ガラリと皆がいる部屋の扉を開ける。最初に声を返してくれるのはいっつもみぃちゃん。
「おかえりー、千里。はちゅ、どうだったー?」
「いつもと変わらなかったよ」
大神くんの事は、はっちんと約束したから言っちゃダメ。
「ばっちり生徒会と風紀とは、接触してるみたいだから、親衛隊動くと思う」
「アイツは、動くのか?」
ゆきちゃんが言うアイツ。
「まだ分からない。でも赤塚くんとはっちん…制裁対象が二人いるから、べに様が動く可能性は高いよ」
「晃雅、どうするー?」
「馬鹿犬を使う」
はっちんを使う。それはつまり、
「……囮、」
ぽつりと、つっくんが呟いた。
「晃雅、いいの?そんな事したらはちゅは傷ついちゃうよ?」
みぃちゃんの言う通り。こうちゃんが動けば、はっちんは無傷ではいられない。それは精神的にも、肉体的にも
きっと学園全ての生徒から目の敵にされる。赤塚くん以上に。
でも、そうすれば確実にべに様は動く。はっちんを自らの手で潰すために。
「馬鹿犬が傷つこうが、関係ねえ。親衛隊が動くなら傷つく事には変わりねえだろうが」
それはそうだけど、こうちゃんが動くと規模が大きくなる。
「はちゅが傷つくのやだなー」
みぃちゃんの言葉に驚いた。みぃちゃんはちぃと同じでこうちゃんの言う事は必ず聞いていたから。
「美涼、」
「大丈夫だよーん、晃雅の言う事に反対しない。だから、そんな低い声出さないでよー」
みぃちゃんは、笑ってそう言ったけど後ろに持っていた傘を握り締めていた。
ちぃだけにしか見えてない。
みぃちゃん、本当は嫌なのかな。でも、こうちゃんがべに様を潰したいと…願う理由を知っているから、ちぃ達は何も言えない。
「ちぃはこうちゃんの命令なら従うよ」
ちぃが言うと、ゆきちゃんとつっくんも頷いた。
「オレも従うぜ」
「………ん」
「…馬鹿犬が傷つく事が嫌なら、守りゃいいだろうが。そのくらい、お前らなら出来んだろ」
そうだ、守ればいい。
何かあったら言って、とはっちんには言ったし、はっちんが助けを求めてきたら守って助けてあげればいい。
「やっぱ晃雅には敵わないなー」
そう言ったみぃちゃんはもう傘を握り締めてはなかった。
べに様を見つけて、潰せば、終わる。全てが終わるその時まで、はっちんを守るんだ。
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