SMILE! 3 「誰もはっちんの事、迷惑だなんて思わない。はっちんの事支えたいって思うから、こうやって様子見に来るの。……ちぃも皆もはっちん大好きだから」 …大好、き あんまり言われた事のない言葉 いつだっておれは嫌われていた。 でも、黒川はおれを好きだと言ってくれた。 「……ありがとう」 気恥ずかしくて、俯きながらお礼を言った。 「どういたしまして!今度何かあったら相談して?ちぃがはっちんの相談相手になってあげるから」 それもいいかもしれない、と黒川に向かって一度頷いた。 「生徒会と風紀の事は、いいや」 「……え?」 それを、聞きにきたんじゃないのか? 「どっちにしろ、生徒会と風紀には会うはめになってただろうし。まあ食堂っていう場所はまずかったとは思うけど」 やっぱり食堂はまずかったのか。今度からは気をつけよう。 「はっちんに対して、親衛隊が動くと思う。でもその時は、迷惑とか考えないで、ちぃ達に助けを求めて欲しい……必ず」 真剣な顔をする黒川に、おれは頷くしかなかった。 「約束だよ?」 「……ああ…」 たぶんきっと、この約束は守れない。嫌なんだ、自分で何もしてないのに誰かに助けを求めるのは。 「じゃあちぃはそろそろ戻るね」 テーブルに置いていたパソコンを抱え黒川は玄関の方へ向かった。 「……く、ろかわ…」 「なに?」 「……ほんとに、ありがとう」 黒川のおかげで、少し心が軽くなった。おれひとりだったら、いつまで経っても落ち込んでいたかもしれない。 「いーえ。じゃあ、はっちんまたね!」 黒川はにこりと笑って、帰っていった。黒川の後ろ姿を見届けてから、ベッドに倒れ込む。 矛盾した気持ちが、ぐるぐると頭の中を回る。相談したい。何を?大神の事?でも、したくない。 助けて欲しい。でも、ひとりで何とかしたい。 黒川は相談相手になってくれると言った。でも… いつもこう。でも、ばっかり。 優柔不断な自分に腹が立つ。 何をどうすれば、このぐるぐる回る矛盾を解消する事が出来るんだろうか…? . [まえ][つぎ] [戻る] |