SMILE!
大神省吾
一階まで降りたおれは順調に校舎の中を進んでいた。外に出るために。
授業が始まっているのか、校舎内は静かだった。
「ねぇ、」
「……!」
突然、背後から手首を掴まれ、驚きで肩が震えた。
授業中だから、誰もいないと思っていた。それに後ろに人がいるなんて、思ってもいなかった。
ゆっくり振り向くと、そこには大神がおれの手首を掴んだまま立っていた。
「ちょっと一緒に来てくれる?」
「……え、」
大神はおれの答えも聞かず、歩き始める。手首を掴まれているおれは、どうする事も出来ず、大神について行く。
どこに行くのかも分からない。
大神の目的地につくまで、おれ達二人は一言も言葉を交わさなかった。
「ついた」
その言葉に、顔を上げると図書館のプレート
大神は図書館に入って行く。初めて入った図書館の広さに驚いた。二階まである。
大神に引かれどんどん奥に行く。図書館の一番奥、薄暗い所に扉がひとつあり、大神は制服のポケットから取り出した鍵でそこを開けた。
何で鍵持ってるんだろうと考えていると、大神は振り向き言った。
「鍵、盗んだわけじゃないから。一応、僕図書委員だから」
ああ、図書委員だから鍵を持っているのか。というか、大神は何故おれをここに連れて来たんだろうか?
大神はおれの背中を押し、そこの部屋に入れた。窓もない暗い部屋。大神が電気を点けてやっと明るくなった。
その部屋は狭く、人が五人入ればいい方。壁には天井まである本棚があり、埃を被った古そうな本がぎっしり詰まっていた。
「アンタさ、ちょっとは警戒したら?」
大神の声と共にガチャ、と鍵が閉まる音がした。
「……、」
その音に大神を振り向いた瞬間、
「……っ!」
ドンッと本棚に押し付けられた。その衝撃で、本がバサバサと音を立てて落ちた。
「……何、するんだ…」
至近距離にいる大神の肩を押す。そのおれの両手を、掴む大神。
「何だと、思う?江夏サン」
笑う大神。でも、笑っているのは口だけで目は冷めていた。
「…っ、離せ…ッ!?」
キス、されていた。真樹先生や岩代とは、違う。
ぞわと鳥肌がたった。
気持ち悪くて抵抗しようとしても、両手は大神に掴まれている。
「…ぅんっ…は……ん」
咥内に大神の舌が入ってきて、動き回る。
舌を絡め取られ、吸われる。
「…っふ…、ん…んっ…、」
大神は何度も何度も、そのキスを繰り返す。抵抗も出来ず、ただされるがままになっていた。
息ができなくて苦しい。
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