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SMILE!
7



「…僕は滝矢菊、二年で風紀委員だよ」

「俺は滝矢咲、同じく二年。一応風紀副委員長」

「同じ苗字なんだな!」

「俺達、双子だし。…当たり前でしょ」


そう言った咲は何か変だった。


「双子?全然似てないじゃん。オレ双子って絶対似てるんだと思ってた、」


赤塚の言葉に咲が反応した。
泣きそうだけど怒っている、そんな顔をしていた。


「…当たり前じゃん、俺達は、二卵性なんだからさ」


声が震えていた。


「何だ、それ…よく分かんない。双子ってさ、そっくりなんだろ?同じ人間が二人いるのって面白そうだよな。…でも、先輩達は違うんだろ?」

「だから、二卵性だって、」


咲また震える声で説明しようとしていたら、バンッと、誰かがテーブルを叩いた。それは菊で、食堂にいる誰もが驚いていた。


「…ちょっと君黙ってくれる?」

「っな、なんだよ…!」


確実に菊は怒っていた。
それは赤塚以外の全員が分かっている事。


「同じ人間がいたら面白そう、だって?…ふざけた事言わないでよ。僕達を君のおもちゃにしないでくれる?…それと、これ以上…僕の大切な弟を傷付けないで」


菊は咲の手を取って、食堂から出て行った。しーんとなる食堂にまた空気の読めない声が響く。
あの先輩達ワケわかんない、と。


「ワケわかんないのは貴様の方だ、赤塚風大。世間知らずも大概にしておけ」


風紀委員長は赤塚を睨みつけ、そう言った。


「依鈴、そこの用務員を管理室に連れて来い」

「……え…お、れ?」

「八さん、すみません…ついて来てくれますか」


頼んでいるように聞こえたが、強制だろう。わかったと、小さく頷く。


「おかーさん、滝登も行く!」


腕に抱き着いてきた滝登をどうしようかと悩んでいると鈴が答えてくれた。


「戸谷も一応風紀委員なんで大丈夫ですよ」


滝登が風紀委員…?
なんか信じられない。


「依鈴…!俺も行っていいか?」

「武伊…、ああわかった、来い。お前と話したい事がある」


鈴と矢沼の雰囲気がピリピリしているような感じがする。


「…八さん、行きましょう」

「……わかっ、た」


鈴と武伊、風紀委員長と共に歩き出す。


「ポチー!また会おうなぁ」


後ろから但馬が手を振り、加賀谷はニヤニヤと笑みを浮かべ、岩代は興味なさそうな顔をしていたが、じっとおれを見ていた。
香西と大神、鶴岡は赤塚と話していた。

食堂から出る時、一際強い嫉妬の視線があった事におれは気付かなかった。



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