SMILE!
5
「いやー、でもお前が本当に鍵だとはなあ。ま、座れ」
ぽんぽんとベンチを叩く加賀谷。
じーっと加賀谷を見ていると、加賀谷は笑った。
「何もしねぇから、座れ」
「………」
加賀谷と少し距離をおいてベンチに座る。
「あの馬鹿せいだろ、その傷は」
「………」
馬鹿って赤塚の事なのか?というか赤塚しかいないだろう
「思考回路が幼稚園児以下の馬鹿。アイツ一回人生やり直した方がいいと思わないか?」
おれにそんな事言われても。それに赤塚とまだ三回しか会った事ないし、あんまり話した事もない。
「自分さえよければそれでいい。そういう奴だなアイツは」
「……赤塚…嫌い、なのか?」
「嫌いっていう感情すらアイツにはわかねぇなあ……興味がない。まぁただ、アイツがこの学園から消えてくれれば嬉しいがな」
これ以上この学園がおかしくなる前に。そう言った加賀谷は真剣な顔をしていて、おれは思わず息を呑んだ。
「噂をすれば本人登場。しかも日向と一緒か」
「……え?」
加賀谷が見つめる先には赤塚と、たぶん生徒会であろう黒髪の生徒がこっちに向かって来ていた。
「じゃあな、江夏八。あの馬鹿と会いたくないからなあ」
ベンチから立ち上がる加賀谷。ぽんと頭を軽く叩かれた。
「ひとつ、良い事教えといてやるよ」
おれの耳元に顔を近付けて加賀谷は一言、オレ達は対立したくてしてるわけじゃない、と。
「…は?…そ、れって、」
どういう事なんだ、と聞く前に加賀谷は足早に去っていった。
加賀谷は、いや皆、対立したくはないのか?
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