SMILE!
食堂 side.依鈴
八さんと別れた俺達は、騒がしいであろう食堂へ向かう。
あー、もうちょっと八さんと一緒にいたかった。
「依鈴、今日も来てると思う?」
菊が嫌そうな顔をして言う。それは俺も咲も同じ。
「来てるだろ」
「あの子、ちょっと苦手だなあ」
「僕も」
あの子というのは、外部生の赤塚風太。
可愛い顔をしていると、思う。直接話した事はないが、近くから見た限り、明るく素直で誰とでも仲良くする。
八さんとは正反対な奴だ。
生徒会には気に入られ、赤塚はそのうち生徒会に入るんじゃないだろうか。生徒会だけじゃない。何かと赤塚はいろんな生徒を虜にしている。
そのせいで野放しにされていた親衛隊は、赤塚を妬み、恨んだ。
赤塚は嫌がらせを受けているが、そんな事は気にしていないみたいだった。いつもは、親衛隊の嫌がらせを放置している生徒会も、赤塚には本気なのか、気まぐれなのか、親衛隊から守っている。
「依鈴って、八さんの事どう思ってるの?」
「あ、それ俺も気になる!」
急にそんな事を言われ、眉間にシワを寄せる。
「どうだっていいだろ…」
二人を置いて、いつの間にかついていた食堂に入る。
食堂に入れば、すでに騒がしく、会長以外の生徒会と赤塚がいるのが見えた。
「やっぱ、いるね」
「ああ」
「僕、先に二階行くね」
菊は騒がしいのが本当に嫌らしく、風紀と生徒会専用の二階席に向かった。
「依鈴、頼んだから!」
「は?おいっ咲!」
咲は菊の後を追いかけて、行ってしまった。
咲、お前副委員長だろ。頼んだってなんだよ。はあ、とため息をついて、騒ぎの中心に向かう。
向かう途中に聞こえる半木様、カッコイイ!と言う声は無視。
「あ、依鈴」
俺に気付いた生徒会書記、矢沼武伊が声をかけてきた。
「武伊、何の騒ぎなんだ」
「あの三人がさ、」
武伊はそう言って目線を向けた。目線の先には、副会長と香西先輩と茉がいた。茉は同じクラスで仲は良いほうだ。
三人は赤塚にべったりくっついていた。
「風太を二階席に連れて行こうとしてるんだけど、大神が拒否してるんだ」
大神省吾、何かと問題の多い生徒だ。もちろん親衛隊持ち。確か赤塚と同室だろう。セフレが会長並に多いらしい。至る所で、ヤっている姿が目撃されている。
薄紫色の長い髪に右の目元には泣きボクロ。
赤塚の隣には大神の他にもう一人座っていた。仮風紀委員一年の戸谷滝登。
お前もか、戸谷
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