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SMILE!
3



「……鈴、」


近くに来た鈴に話しかける。
聞きたい事がある。前までのおれだったらありえない事だ。
この学園の事を知りたいなんて思ってもいなかった。
でも、知りたいと思った。
紅の担当にならなければ、こんな事は思わなかったはずだ。ただの用務員のままだったら、何も知らないでいた。


「はい、何ですか?」

「…鈴は、紅と生徒会を、どう思ってるんだ…?」


鈴は風紀委員会で、中立の立場。でも、生徒会についている。風紀委員会も、生徒会と同じなのか気になった。


「…俺は、正直言って、どっちも嫌いですよ。八さんは、生徒会と紅の事聞きました?」

「……少し」


そうですかと言った鈴は、真面目な顔をしていて、遠くで聞こえる滝矢兄弟の楽しそうな話し声が不釣り合いだ。


「親衛隊を野放しにしている生徒会も、その親衛隊を暴力で潰している紅にも、賛成は出来ません」


じゃあ何で、鈴は…風紀委員は、生徒会についているんだろう。
鈴はそれを汲み取ったのか、ゆっくりと話し始めた。


「風紀が生徒会よりなのは、委員長のせいなんですよ」

「……委員、長…?」


風紀委員長…どんな生徒なんだろうか。その委員長のせい、ってどういう事なんだ?


「委員長は……上総先輩は、めんどくさい事はしないんですよ」


上総というのは、委員長の名前だろう。めんどくさい事はしないって、それで委員長が務まっているのか?


「生徒会についていれば楽。それが上総先輩の考えです」


それでいいんだろうか…
おれが言える事じゃないけど、間違っているんじゃないか?
親衛隊からイジメを受けている生徒を助けようと思った事はないんだろうか。
委員長じゃなくて鈴自身は…何もしないのか?とは聞けなかった。


「……そう、か」


モヤモヤする感情を抑え、鈴と離れて水やりを再開した。
ぼーっと、無心に水やりをしていると八さん?と呼ばれた。
隣にいたのは、赤い眼鏡をかけた滝矢咲。


「……な、何だ…?」


びくりとしながら、隣を見ると滝矢咲はニコッと笑った。


「いやただ八さんと話してみたいなあって思って。あ、俺の事は咲って呼んでください」


人懐っこいと思った。明るくて、元気で、友達もたくさんいるんだろうな。ちらりと鈴の方を見ると、あっちには滝矢菊が鈴と話していた。



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