SMILE! シマ 水やりを終えてプレハブに戻る。プレハブの入口を見ると、シマがいた。 「シマ」 名前を呼ぶとシマは走って来た。 「んにゃぁー」 スリスリと身体を脚に擦り付けてくるシマを抱き抱える。 シマは大切な奴だ。 おれがここに勤め始めて、少したった頃にひょっこり現れた。それからはずっと一緒にいる。 しま模様の猫だから、シマ 理事長にも許可は取ったし、シマはシマでよく学園の敷地内を散歩しに行っている。 可愛くて、癒される。 シマはオスだけど、本当可愛い。 「また、散歩行ってたのか?」 「にゃぁ」 よしよしと頭を撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。 シマ相手だと、普通に話せる。 シマは何も言わないし、こっちの言葉さえも伝わってるかどうか分からない。 だから、嫌われる事もない。伝える言葉を選ばなくていい。 扉を開けて中に入って、シマを床に降ろす。 ベッドに倒れ込むと、すぐにシマが来て顔を舐めてきた。 「…シマ、痛い」 猫の舌はザリザリしてて、痛い。例えて言うと…紙やすり。 「…ん…痛…」 ペロペロと唇を舐めたかと思えば、軽く唇を噛まれた。 シマは噛み癖がある。 まあ、甘噛みだからそんなに痛くはないけど…… 「明日、入学式か…」 ため息をつく。 人が多いのは嫌いだ。 顔を舐めるのを止めたシマが、おれのすぐ隣に丸くなった。 それに癒され、シマの寝顔を見ていたおれもいつの間にか眠っていた。 . [まえ][つぎ] [戻る] |