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「お前はどうやってここに来た?」
『あの〜、ドンキホーテさん、何でそんなに質問攻めにするんですか?』
「今質問してんのは俺だ。答えろ」


・・・理不尽な。溜息が出る。


『ハァ、ここには船で来ました』
「客船か?ああ、そりゃねェな。お前のナリだと」
『ちょ、失礼な』
「海賊船か?」


何気鋭いなこの人。


『何で海賊船なんですか』
「勘だなァ?言えばお前が厚着した内にある小刀のせいか」
『!』
「普通の一般人が易々と持っているとは思えねェな」


何で分かったんだよ!めっちゃ焦るんですけど!


『え?小刀?そんなもの持ってませんよ物騒だな〜』
「なら探ろうか?」
『ハレンチ!ヘンタイ!サワラナイデ!』
「うるせェな」
『ちょっマジやーめーろーやー!』
「ほらあった」
『あーあー』


小刀取られた・・・マジどうしよう。

誰か助けを呼ぼう。エースにでも・・・


「ひずにお金持ってるか?」
『あるよー』
「ちゃんと船の位置を確認してから行くんだぞ」
『分かってるよー』
「知らない人には付いて行っちゃダメだぞ」
『本当にアンタは僕を何歳だと思ってんだ』



・・・・・・エースには頼らない。自力で何とかしてみせる。

僕はキッ、と目の前のモフモフピンクコート野郎を睨む。


「あァ?何だよその目は」
『僕は、』
「?」


僕は・・・!


『何が何でもアンタから逃げる!』
「逃げるのか。一戦やるって言うかと思ったぜ」
『ウラァァァアアア!!』


んーー!んーーーー!!自分の持てる力全てを使ってこの見えない拘束から逃れようとする。

全然動かねェなコンチクショウ!!


「フッフッフッフッ、無駄だ。お前がどうやったって動くことはできねェ」
『チクショォォオオオオ!』
「お前がどの海賊か教えるってんなら離してやるぜ?」
『え、マジっスか』


僕の頑張りは一体何だってんだ。


『僕は白ひげ海賊団でっす!』
「嘘つけ」
『ええええぇぇええぇええ!!』


本当のこと言ったのに!!


『本当ですよ!!僕は白ひげ海賊団!』
「全然そんなのには見えねェ」
『本当だっつの!これでも2番隊に所属してんだからな!!』
「うるせェ」
『スミマセンデシタ』


めっちゃ凄まれたァァァア!怖ェェェェエ!(泣)


「でも確かにこの島には白ひげの船が着いてたな・・・」
『! だしょ!でしょ!そうでしょ!』
「だが白ひげのとこにお前みたいなチンチクリン居たかァ?」
『あ、新しく入ったんですよ!』
「ふぅん・・・?」


僕を見てニヤッ、とするドンキホーテさん。激しく帰りたい。

つかいつまでこんな寒い所に立たせておくつもりだ。足が冷たい。

思わず寒気に体をブルリと震わせる。


『っくしゅっ!!』
「何だ?寒いのかァ?」


くしゃみが出たんだ当たり前だバーロー。僕は元から寒いの苦手なんだバーロー。


「仕方がねェなァ、近くの店に入るか」


仕方がねェなァ、って何だコノヤロウ。アンタのせいだろーがコノヤロウ。

前を行くドンキホーテさんと共に(不服ながら)足を動かす。動かされる。

着いた店はレストランだ。え、何この高級感溢れるとこ。こんな格好の僕が入っていいのか!?それを言うならドンキホーテさんもだけど!!

でもそれは無用な心配だったようで。何故ならドンキホーテさんがレストランに入った瞬間にサッ、とキッチリスーツを着た人がドンキホーテさんに寄り、ドンキホーテさんの二言三言ですぐに案内しだした。どんな力を持っているんだ。


「こちらへどうぞ」


丁寧な口調で案内された所はVIPルームなのだろう。このレストランで一番に高いところなのだろう。

うっわ高そー……。

ただ黙ってついてきた、こさせられた僕はボケッ、としてしまった。


「フッフッフッ、アホな顔晒してんじゃねェよ」
『だって凄い高そうなとこですけど・・・』
「どこがだ、普通だ」
『何言ってんだねアナタは』


ドンキホーテさんの金銭感覚?はおかしいんじゃないかな。


「とりあえず座れ」
『ぅおぅっ』


いきなり拘束解けた!倒れるかと思ったー。

と、その時次々にウェイトレスによって料理が運ばれてきた。みんな美味そう・・・!よだれが沸いてきた。


「食えよ」
『え、えぇっ!いいんですか!?』
「フッフッフッ」


思わない言葉に椅子に勢い良く座りさァ食うぞ!!となった時にハッとなる。


『ドンキホーテさん!僕こんな高いの払えないですよ!』
「今更何言ってんだ。俺の奢りに決まってんだろう」
『えっ?じゃァありがたく』
「切り替え早ェな」


うはっうまーーー!これは船のとちょっと迷うぞ!あっ、でもやっぱり船の!と見せかけてこっちのが美味い!!


「フッフッフッ、美味そうに食いやがるな」
『だって美味しいですし!アレッ、ドンキホーテさん食べないの?』
「俺は腹減ってねェ」
『じゃァ何でここに来たんですか』


思わず手を止めて聞く。


「お前が寒がったからだろうが」
『意味分かりません。てか寒かったのはドンキホーテさんのせいだって分かってます?』
「だから飯食わせてやってんだろうが」
『そうですね!激しくありがとうございます!』


まァ、不問に模すとしよう。こんな豪華なの食べさせてもらってるし。

フッフッフッ、とまた笑い出した。よく笑うなー。


「お前現金な奴だろ」
『ほうふへ、ゴクッそうですか?』
「最初っから飲み込むなら飲み込んでから言えよ」
『ふひはふぇ、ゴキュッすみません』
「死ぬか?」
『スミマセンモウシマセンカラ』


冗談だって通じて!


「それでお前本当に白ひげ海賊団か?」
『だからそうだって言ってるじゃないですかー』
「何でお前は白ひげ海賊団にいるんだ?」
『なんやかんやで!』
「ハッキリ答えろ」
『えぇー・・・』
「もしかして言えないようなもんなのかァ?」


ニヤッ、としながら僕を見るドンキホーテさん。


『そうでも無い気がするよーなそうじゃないよーな』
「じゃァ話せ」
『ああ、そうですか。じゃァ言いましょう。僕は神s「嘘付け」まだ神しか言ってないじゃないですか!』
「死ぬか?」
『んもう好きですねそれ!!』


あーもうどうでもいいや。また嘘付けとか言うだろ。


『僕は俗に言う《落とし子》です!!』
「なるほどな」
『えっ、納得?』


納得されたァァァァア!アレ!?ヤバくねコレ!?


『え?信じちゃうんですか?信じれますか?いいんですか?』
「嘘か?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘でっす☆』
「嘘付け」
『ええええぇぇ!返された!』


もう意味分からないよこの人!どういう思考回路だ!


『えぇっとー・・・ドンキホーテさん、美味しい料理ありがとうございました。こんな豪華なところで本当にありがとうございました!一生忘れません!それでは!!』
「フッフッフッ、どこに行くんだ」
『逃げますゥゥゥ、っ!!』


またあの見えない拘束・・・!


「待て、逃げんのはいいがお前の能力を教えろ」
『え?能力?』


何でそんなの聞くんだ。


「言わねェと、死ぬか?」
『えええええっと、翼が生えて飛べます意思疎通ができます!もう行っていいですか!それと海軍には僕の事言っちゃダメですよ!』
「実際にやって見せろ」
『えぇ、はいぃ。つか後半無視?』


素直に翼を出してはためかせて、心の中で念じてドンキホーテさんに言葉を伝える。

翼を出した時、ドンキホーテさんの眉が少し動いたように見えたが、気のせいだっただろうか。


『はい、やってみせました。早く解いて下さい』


言うとフッ、と拘束が消えたのを感じ、安心する。


『あ、何で聞いたんですか?』
「お前が知ることじゃァねェよ」
『そうですか。あ、もう一度言いますけど海軍に伝えるのはダメですよ』
「どうだろうなァ?」
『ダメですから!約束してください!』
「約束だァ?そんなもんするかよ」
『ええええええ』


口元はニヤニヤのままだ。


『とにかく言わないでくださいね!信じてますから!』
「あァ?信じる?」
『僕の《落とし子》だけは信じたんで。僕もそれだけ信じときます』
「・・・フッフッフッフッフッ、訳分からねェ」
『ただもうめんどうなんで。とにかく信じます』
「フッフッフッフッ、また会えるといいなァ?」
『もう充分です。料理ご馳走様でした!それでは!』


僕はドンキホーテさんにお辞儀を最後に見もせずダッ、とダッシュで走り外に出る。そして一目散に船に帰った。

出迎えたのは案の定エースだった。


「アレ?ひずに何も買わなかったのか?」
『あ、エース!ちょっと聞いてよ!超桃鳥から逃げてきた!』
「? 超桃鳥?から逃げてきた?・・・!?動物に襲われたのか!?」
『いや、動物じゃないけど・・・とにかく逃げた』
「どこか怪我してないかひずに!」


エースが凄い顔して心配の言葉を言う。怪我してたらまず僕は船医かナースのところに行くよ。


『大丈夫だよ!!僕はあんなの怖くもなかったし!逃げるのも簡単だったし!楽勝だったし!』


いやちょっと、ちょっと怖かったけど、ちょっと逃げるの手こずったけど、でもちゃんと逃げれたし!


「そうか、それは良かった。」


ホッとした顔で頭をぐしゃぐしゃされた。


「何かあったら意思疎通しろ、って言ったろ?そしたらすぐに助けに行ったのに」


ホッとした顔もつかの間、すぐに怒った顔になった。


『ぜ、全然あんなの怖くなかったってば』


思わず身じろいでしまった。


「今回は怪我とか無かったから良かったが、次に何かあったらすぐに言うんだ」
『・・・はい』


ふっ、とまた何時もの笑顔に戻ったエースを見て思わず安心する。ドンキホーテさんの時とは別の意味で緊張していたからだ。


「とりあえず、明日は一緒に買い物に行くぞ」
『はーい』


エースはたまに分からない。僕が色々悪戯をしても何でも許してくれるのに、こういう時は本気で怒るんだ。

そして本気で心配してくれる。と言ってもコレもまた何時もの事だけど。

そんな優しさに甘える僕はまだ親(エース)から巣立つのは無理そうだ。


* * *


「よォワニ、久しぶりだなァ?」
「テメェか・・・何の用だ」
「《落とし子》・・・勿論聞いた事あるよなァ?」
「それがどうした」
「さっき偶然見かけてな、これが退屈しのぎには持って来いな奴でなァ?」
「興味ねェ、切るぞ」
「まァ待てって、そいつの能力だ」
「・・・」
「そいつは翼が生えて飛べる。翼の色は、」


「銀色だ」


「・・・何が言いたい」
「フッフッフッ、何も。言いたかったのはコレだけだ。じゃァな」
「・・・」


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