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25:【器のでかい人間】
『よいしょよいしょよいしょっ!!』
「それそれそれ」
『わっせいわっせいわっせい!!』
「ほらほらほら」
『おいしょおいしょおいしょっ!!』
「はいはいはい」
『どすこいどすこいどすこい!!』
「え、何その掛け声」
『もうネタ切れだからだっ!!』


はい!今ので分かったと思うけど僕とキフリは今特訓中さ!!(いや分かんねェだろbyキフリ)

さっきから力の入る掛け声をしながら翠万色でキフリに攻撃しているんだけどね!これが腹立たしい事にコイツひょいひょいと気の抜ける避け方をしおって!(お前の掛け声も気が抜けるbyキフリ)


『オラオラオラオラオラァ!!!』
「にしてもひずに、今日は一段とやる気だな」
『今日こそキフリを倒してみせらァ!!』
「HAHAHA無理無理、後852日足んねェ」
『え、何かリアル』
「ほい」
『あ゙っ』


不覚にも一瞬のうちに後ろに回られ、首元を銃の銃把(グリップ)の底でしたたか殴られ意識が遠のきかけた。


「ふふん、まだまだだな」
『ゔー・・・』
「こんな風に倒れてるところをバーン、ってな」
『ゔーー・・・』
「ってやる前に跨るとかな」
『ゔ・・・』
「んでそっから服脱がすとk『てっめ何してんじゃァァァアアア!!』おわっ」
『お前マジセクハラとかってな!!もっと可愛い子にやれ!!いや、むしろ僕がする』
「お前も何言ってんだ。お前が何時まで経っても起き上がらねェから俺が気合入れてやろうとしたんじゃねェか」
『いらねェよそんな気合』
「んでもっかいや『オラァァァアアアア!!』言い終わって、ないんっ、ですけどっ!!」


チクショウ!!今度こそ負けねェ!!


『覚悟ォォォォォオオオ!!!』


* * *


「よしよし、お前は良く頑張った」
『うっ、グスッ』
「泣くな・・・俺の胸を貸してやるからよ」
『うぇっ、うぇっ』
「よぉしよぉー・・・グハッ!」
『誰がテメェの胸なんか借りっかァァァアアキフリのバーカバーカ!』
「グッ、人の腹殴っておいて何だその態度は」
『たまには手加減してくれたっていいじゃないかァァァ(泣)』
「手加減なんかしたらお前の為になんねェだろうが」
『うー・・・』
「まァまた明日頑張れって。俺を超えてみせよ」
『っ、次は負けないんだからっ!!』
「それ、昨日も聞いた」
『覚えてなさいよっ!!』
「四日ぐらいずっとそれだよな」


ウワァァァアアアァアア!!キフリのバーカバーカ!!

僕は泣きながらエースのところに行く。


『エースエース!またキフリに負けたァァァ(泣)』
「そりゃァやっぱり戦歴の差だろうな」
『そんな差なんてもんがあったら僕一生勝てないって事なんじゃないの?』
「まァ分からねェじゃねェか。まだまだ先はあるんだしよ。ひずにも絶対キフリに勝てる日が来るって」
『そうかな・・・うん、僕頑張るよ!』
「そうそう、ひずには向上心だけは人一倍あるからな!」


エースがニコニコしながら僕の頭を撫でる。


「いいぞ、ひずには絶対でかくなる」
『身長・・・毎日牛乳飲んでるけどでかくなんかなんないよ・・・なんだろ、骨だけ太くなっていってるような・・・』
「ははっ、そっちじゃねェよ」


苦笑しながらエースは言う。


「ひずには大物になるって意味だ」
『大物っては親父やエースみたいに?』
「俺はとにかく、親父みたいにな」
『ないない!僕は親父やエースを支えれる位の強さで丁度いいんだから』
「強さもあるけどよ、それだけじゃねェよ」
『?』


分からなくて首を傾げると、エースは答えた。


「親父みてェな、器のでかい人間に、だよ」


「器のでかさなら、強さなんて関係ないだろ?お前も充分、でかくなれる」


エースは笑いながらぐしゃぐしゃと僕の頭を撫でて行ってしまった。


『・・・・・・』


器のでかい人間かァ・・・。

ふむ。


『キフリくーん』
「ん?まだやる気かよ?」
『いやいや、さっきは腹殴ったり"バーカバーカ"なんて言って悪かった』
「何だよいきなり」
『それと今まで言っていた悪口陰口、謝ろうと思う』
「はい?」
『キフリなんかに絶対彼女なんてできねーよ、とか、アイツ絶対ナルシスト、とか、ヘタレのくせに、とか』


僕は指折り数えながら言う。


『童貞なんじゃね、だとか』


そう言った瞬間ピキッという音が聞こえた。


「ふぅ〜ん、俺の知らない所でそんな事言ってたの〜?」
『うん、だから謝ろうと』
「へぇ〜・・・言っとくけど、俺はな・・・」
『ちょっ、銃向けるなよ』
「俺は童貞なんかじゃねェェェエエエ!!!!」
『わわわわわわわわ!!!』


えっ!何で謝ったのに撃ってくるの!?ちょちょちょ!!ただ素直に謝っただけじゃないか!!わわわ二丁だ!!あれはマジだ!!ヤベェェェエエ!!!!

僕はあの時飛べる事を忘れて怒れ狂うキフリから必死に逃げた。

エース、僕は間違えていたのかな・・・?



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あきゅろす。
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