13:【寝る子は育つらしい】
なかなかに剣筋はいいひずに。さすが全国優勝者。
マルコの鬼のような、むしろ鬼畜的指導の元、初めの頃よりは格段に動きなどが良くなってきていた。
そして体術では相手にキフリで組み手をしている。
もっぱらキフリがひずにからの攻撃を受け流している。
最初は体術と聞いてアニメのようなアクロバティックや大げさな動きなどを想像したひずにであったが、実際はそんなものではないことを知る。
マルコはひずにに小回りや小刻みな動きなどを得意とさせた。体の小ささを利用してのことだ。元より女であるから力は男より劣るが、でもテクニック次第で変わってくる。
そして今日もひずには特訓に励んでい
なかったりした。
「たく、どこ行ったんよぃアイツ」
「ひずにーーー!!どこ行ったんだァァァァ!!はっ!?まさか家出・・・!?」
「んな訳あるかよぃ、ここ以外にひずにが行く所はないだろぃ」
「分かんねェじゃねェか!ひずにー!パパだぞー!出ておいで!!」
「(あ、確かに疲れるよぃ)」
少しげんなりしたマルコ。
そんな中、ひずにはどこに居るのかというと、
「グララララ!!よく寝るやつだ!」
『Zzz・・・』
実は親父の膝の上で昼寝中だったりした。最近寝てばかりだ。
普通なら親父にこんなことできないだろう事でもひずにならOKである。親父は本当にひずにが大事。
親父の広い足の上でぐっすり眠る。親父の膝の上で寝るということは甲板で寝だしたころからそうであったりした。
実はエースが傍にいるということに抵抗を感じていたり。そういうお年頃だ。
そんなとこにキフリがやって来る。
「親父〜ひずに見てな・・・あ、居た」
「静かにしやがれキフリ!ひずにが寝てんだから」
「えっ、わ、分かった・・・」
「それで何しに来たんだァ?」
「あ、ひずにを探していたんだ。特訓の時間なのに居ねェもんだから」
「たまには特訓を休みにしたっていいだろうが。いつも頑張ってんだ、今日ぐらいいいだろ」
ひずにと離れたくないようです。
「・・・親父、"親父"?」
「アァ?何だよ」
「・・・・・・・・・・・・やっぱりいいや」
何か、エース隊長と同じ空気があるような・・・、そんな事を思うキフリ。あながち間違っていない。
さて、隊長達にどう言おうか、親父が休ませろって言ってるんだしさすがのマルコ隊長も何も言わないだろう。
よし、と決めて親父の部屋を出ようとした時だ。
ドドドドドド・・・、物凄い勢いで走る音が聞こえる。あ、まさか・・・。
冷や汗を流したキフリの予感は当たった。
「(バンッ!!)親父ィィィィ!!大変だっ!!ひずにが家出しだぁっ!!?」
「うるせェ!!ひずにが寝てんだ!!!静かにしろ!!」
↑殴りました。
「はっ、えっ?ひずに?あ・・・よよよ良かったァァアァひずにィィィ!」
「たく・・・さっきからどやどや来やがって!ひずにが起きちまうだろうが」
そこで突然ひずには起き上がった。
『親父の「〜しやがれキフリ!」のとこからグッモーニンしてましたおはよう諸君』
「!ひずにが起きちまったじゃねェか!まだ寝てていいんだぞ?」
「それって親父のセリフで起きたんじゃ?」
ごもっとも。
『ん〜!もうバッチリ起きちゃったからいいよ!親父の膝は寝やすいね。安心できるっていうか』
「グララララ!いつでも寝に来い!俺ァ歓迎だからな!」
『ありがとう親父!じゃァ特訓頑張ってくる!』
「ああ、怪我すんなよ!グララララ!」
「・・・何この扱いの差」
「エース隊長、行きましょうか」
フンフン♪鼻歌しながら先頭を行くひずにの後ろをちょっと複雑な顔で行くエースとキフリであった。
その後ひずにはマルコにお説教を喰らいました。罰として100周に+20周追加されましたとさ。
next
←前次→
戻る
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!