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今は夕方、ひずにはもはや意地で走る・・・いやスピード的に歩いていると言ったほうが正しい。足を引きずっている。只今41周目。
足が限界なのだ。もはや前にだすのが億劫になっているが意地である。
キフリはもう終わらしていたがひずににそっと付いて行っている。
「初めてにしてはかなりやるじゃねェかよ、でももう限界だろ?無理に続けてたって明日できなくなるだけだ」
だからもう止めとけよ、そう言ったキフリであったが、
《いっやっだっ!》
「!?ひずに?何か言ったか?」
ぎぎっ、と顔をキフリの方に向け"?"という顔をする。
さっき頭・・・いや、心にひずにの声が聞こえた気がしたが・・・気のせい、なのか?
首を傾げつつも付いていくのだった。
・・・42周目、限界は来てしまった。
エースとマルコに見えた、という地点でバッタリ倒れてしまったのだ。
慌ててひずにの傍に寄る三人。キフリが仰向けに直す。
はぁっ、はぁっ、と大きく息を吸うが足りないとばかりに空気を吸うひずに。
「わァアァァァァアア!!ひずに!!ひずにっ!!大丈夫かァァァァアアァァ!!!」
「エースうるさいよぃ!とりあえず移動するよぃ」
「無理するから・・・」
その時、
《うるっせェェエェェ!!!》
「「「!!?」」」
喋れる状態じゃないはずのひずにの声が三人に聞こえた。
いや、心に響いたというのだろうか、とにかくひずにの声が聞こえた。
《でももう今日リタイア〜・・・アカン、死ぬ》
「ひずに、喋ってないよな・・・?」
《え?何だ?何で皆そんな顔してんの!聞きたいけど声に出なーい!》
「ああ、こいつは喋ってないよぃ」
「でも、聞こえるぞ!?どうなってんだ!?」
"???"といった顔をするひずに。
「隊長達、俺がひずにに付いて居たときも"こんなこと"、ありました。一度」
「"こんなこと"って・・・この、ひずにの声が心に響く、ってことか?」
「はい、そうです」
《え?何それ》
「今も聞こえたよぃ」
《え?何?どういうことですか》
「確かに聞こえるな・・・」
《ちょっ、何の話してんだコイツ等。クッソー!喋れない!!酸素プリーズ!!》
「酸素欲しいなら俺がやるぞ、人口呼吸で」
《人口呼吸やめろォォォォォオオオオ!!!》
「うるせェよ!!」
ペシッ、とひずにの頭をはたくキフリ。うっ、という顔になりつつも息は大きく吸ったまま。
とにかく・・・。
「分かんねェしとりあえずベッドに運ぶか」
「そうだな」
「はぁあ〜全力で否定しなくてもいいじゃねェかよ」
訳分からない、といった顔をしながら運ばれるひずにであった。
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