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30:【会いたかったァァァ!!】


僕とエースは体力の続く限りは途中に島があろうと寄らずに、そのまま移動し続けた。

あ、寝たりするところは下宿とかホテルとかに泊まったんだけど勿論部屋別だよ。と言うよりエースが同室を許さない。

僕がエースの部屋遊びに行くとすぐ返すんだぜ。全く、修学旅行か!いや、修学旅行だったらもっとはじけてるよ。夜遅くまで恋バナとかではじけるもんなんでしょうね!

夜に男女一緒はダメなんだって。風呂ならOKだったくせに何なんだエースは。

全然一緒の部屋でも僕はいいんだけどなァ・・・むしろそっちのがまだ安いっしょ。全く!お金もったいないでしょうが!

そんなこんなで僕らの旅は続いた!!!

え?道中の話?そんなの省き省き!長いんだから!アレ以上にあったことぐらいしかないって!特にない!

エースが何故か溺れたりエースが急に何故か視界が悪くなってストライカーから落ちたりエースの帽子が何故か海に浮いてたり、特に何も無かったかな!!

そして僕らは予定より少し早い、2日前にアラバスタの国に着いた。

エースに言ってまずアラバスタの港町"ナノハナ"に向かう。確かそこからだったハズだし。

その行く道途中にルフィの手配書を人に見せたりしたが、まだ誰も見た人は居ないようだ。やっぱりまだアラバスタに上陸はしてないようだった。

聞いた人々の雰囲気は、どこか諦めた表情の人が多かった。何を諦めたのか、それはこれから先に起こる事に関係している。

諦めた表情の人は多かったが、中には目に闘志を燃やしている様な人もいた。きっとその人達は反乱軍なのか、それとも・・・。

物語を知っている僕だけど、何が起こるか分かっている僕だけど、あまり干渉しない事に決めてる。

まっ、ちょっぴりお手伝いはしちゃうかもだけどね。


* * *


ナノハナに着いて数日の下宿での朝、起きて顔洗って頭を覚醒させる。


『エースー!おはよー!』


そしてエースの部屋の前に行ってドンドン、と扉を叩いた。


「んー、おはようひずに・・・」


少しまだ寝ぼけ眼のエースの顔が出てきた。


『今日も張り切って行こー!』
「ふぁぁ〜・・・ひずには元気だな」
『だって今日こそは船があるかもしれないし!』
「ま、そうかもな!」


早く麦わら海賊団にも会いたいし!


『にしてもナノハナ結構人多いねー』
「港町だしな〜」


数日の朝の習慣みたいになった、ナノハナの沿岸を沿って麦わら海賊団の船を探す。

のんびり歩くと端から端までで昼頃までかかる。ここ数日で船が町の人々からは死角になりそうな所は確認済みだ。

ゆっくり歩くうちに確認した死角の一つに着く。が、船は無く。

次の死角へ。だが無く。

ちょっとショックだ・・・。

次の死角、無い。次、次、うーん・・・次。

日が高く上り、昼前。

だんだんとお腹が空いてきた。


『エースー、今日もダメかなー・・・?』


テンションがすんごい下がってしまった僕の声はそれと比例して暗い。


「そんな事まだ分からねェじゃねェか。まだもう少しあるんだ。探そう」
『うん・・・』


そしてとうとう端まで来てしまったが、


『なァァァァァアアアい!!!』
「無かったなァ・・・」
『あーあー・・・じゃァ明日かなー・・・』
「落ち込むなひずに!腹も減ったし、飯食おうぜ!食ったら元気出るからよ!」
『うん・・・』


とぼとぼと町へ戻って飯屋に行く。もくもくとご飯を食べる。うん、ここ美味しいね〜。


「ここ美味ェなおやっさん!」
「ああ、どうも」
『ここ美味しいねおやっさんさん!』
「・・・ああ、どうも;」
「ひずに、なんでおやっさんにまた"さん"付けてるんだ?」
『アレ、おやっさんが名前じゃないの?』
「ああ、なるほど」
「(粕[得したァ!?;)」


エース、僕ボケたんだけど。納得されたら僕だけ恥ずかしいんだけど。気づいて。


「それにしてもアンタ、よく食べるね」
「美味いし、俺はまだまだ入る、(ガシャン)」
『アレ?エース?』
「えええええ!?;」


急にエースが肉を指したフォークはそのままに、料理に顔突っ込んだ。ああ、寝たんだな。何時もの事だ。

途端気づいた客達がざわつきだした。皆一様に突然死したと思い始めている。いや、死んでませんよ?


「"砂漠のイチゴ"?」
「赤いイチゴの実の様な姿をした毒グモだ」
「間違って口に入れちまったら数日後に突然死ぬ」
「そしてその死体には数時間」
「感染型の毒がめぐる」
「だから誰も近づけずにい・・・ってそこの譲ちゃん離れろ!危ないぞ!!」
『え?譲ちゃん?譲ちゃんなんてヤダ!坊ちゃんって呼んで!!』
「狽「や君何言ってるんだ!?;」


譲ちゃんはイヤだ!!坊ちゃん、いやイケメンと呼んでくれ!!


「その旅人には感染型の毒が・・・!」
『坊ちゃんじゃなくてイケメンって呼んでくれたら離れるぜ☆』
「「「ハァ!?;」」」


誰か呼んでくんないかなー。


「ぷほ!!?」
「「「うわ!!生き返った!!!」」」


そうこうするうちにエースは起きてしまった。あーあー。


「ん?」
「だ・・・大丈夫?」


何が何だか分からない風のエースがキョロキョロと辺りを見回す。そこに一人の女の人が話しかけた。


「ん」
「狽ォゃああ」


そしてエースはその女の人のスカートで顔を拭いた。何やってんだね君は。


『アホゥエース、女性の方のスカートで顔を拭くんじゃありません』
「ふう・・・いや〜〜〜まいった・・・」


え、何無視?つかよく口の中のもの続き噛めたな。


「寝てた」
「「「寝てたァ!!?」」」


ガーン!!と効果音が付くほど驚いた客達。

まァびっくりしてもおかしくないよね。


「ありえねェ食事と会話の真っ最中にっ!!?」
「しかも続きを噛み始めた!!」
「しかし何の騒ぎだいこりゃ」


もぐもぐと驚いている人達に向かって事も無げに言うエース。


「「「おめェの心配して騒いでたんだよ!!!」」」


しゅばっ!!と効果音が付くほどの勢いだ。面白いな〜。


「この店はコント集団を雇ってんのかい?なァひずに」
『だよねー、面白いよねアハハハハ!』
「いやそうじゃねェがまァ・・・無事ならよかった」


おやっさんが安心した表情をしたのもつかの間、またエースは料理に顔を突っ込んで寝だした。


「「「うをいっ!!!」」」


これにはおやっさんもツッコミをした。

その後もエースと僕は満腹になるまで食べる。

食べ終わった後エースがおやっさんにルフィの手配書を見せながら話しかけた。


「こんな奴見たら教えて欲しいんだ。麦わらかぶった・・・」


エースがそう言った時後ろから声が掛かった。


「よくもぬけぬけと大衆の面前でメシが食べられるもんだな」


ん、この声・・・


「"白ひげ海賊団"二番隊隊長がこの国に何の用だ、"ポートガス・D・エース"」


途端に店内がまたざわつきだした。


「し・・・"白ひげ"!!?海賊"白ひげ"の一味か・・・!!?」
「そういやあいつの背中の刺青見たことあるぞ」
「なんでこんなとこに・・・!!?」
「え!!?」


エースが口元を笑わせながら振り返る。それと同時に僕も声の主を見た。


「・・・・・・弟をね、探してんだ」
『おー!スモーカーさん!』


おーやっぱりスモーカーさんだ!やべェ、格好いいな。

緊迫した店内で話し出すエース。


「で?俺はどうすりゃいい・・・!?」
「大人しく捕まるんだな」
「却下。そりゃゴメンだ」


なんだろう、エースが別人みたく見えるぞ。あ、これが元なんだよね。そうだったそうだった。


「そこのお前も仲間か?」
『え?僕?』


いきなり話掛けられ詰まる。が、まァ答えよう。そうさ、僕は


『僕h「なわけねェか、お前みたいなガキが」ちょっ!!』


ええええええ!!なんか前も似たような事あったようなァァァ!?

ちょっと、いやかなりがっくりしている僕を傍らに、2人は話す。


「・・・おれァ今別の海賊を探してるとこだ。お前なんかの首なんかにゃ興味ねェんだがな・・・」
「じゃ見逃してくれ」
「そうもいかねェ」


スモーカーさんは構えだした。途端に体から煙が出る。


「おれが海兵で、お前が海賊である限りな・・・!!!」
「やっほーーーーーーーう!!!!」
「つまらねェ理由だァ・・・楽しくいこうぜ」


ん、何か聞こえたような?

"?"と僕が首を捻った時だった。


「ロケットォー!!!」
「ぐあァ!!!」
「を!!?」


ボコォォン!!


『え?』


僕の横ギリギリで今何かが突っ込んでスモーカーさんとエースを一緒に壁を何枚も貫通するほどぶっ飛ばした。

本当に一瞬の出来事にぽけっ、とした僕の耳に聞き覚えのある声。


「うはーーーーっ!!!メシ屋だ!!!ハラへったー!!!」


瞬時に僕の隣に座ってフォークとナイフをキンキン鳴らしている。


「おっさんメシメシメシ!!!」
「・・・ああ、でも君・・・逃げた方が」
『ルフィ・・・!!!』


思いっきり目を見開いて呟いた。



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