秘密の部屋 07 腰と背中に痛みを感じてデュークは目を覚ました。 周りを見渡すと薄暗くて気味の悪い場所に横たわっていたようだ。下にはなぜか水が溜まっていた。 「起きたかい?」 リドルが顔をのぞきこんでいた。してやったりな顔をしていたのでデュークは顔をしかめた。 「目的は?それに、お前俺とどこかで会ったか?」 懐かしい。なんだか、初対面じゃない。 「目的?それは君も知っているはずだよ?」 リドルがニヤリと笑う。 「それと、僕と君は長年の付き合いさ。君の前世でね。」 「前世?」 デュークが首をかしげる。前世の事など知っているわけがない。 「君の前世は蛇だよ。ただの蛇じゃない。」 「あのスリザリンの子孫がどう、っていうやつか」 デュークが口を挟むとリドルが一瞬目を瞬かせた。 「知っているんじゃないか」 「お前を夢で見ただけだ。」 デュークが体を起こそうとしながら言う。 だが、リドルはそれを許さなかった。起き上がろうとしたデュークに馬乗りになる。 もちろん体を支えていた両手を頭の上で拘束されたので、デュークは頭を打つ羽目になったが。 「何のつもりだ、リドル」 デュークが睨み付ける。 「デュークと僕の関係じゃないか」 ふふ、とリドルが笑いながら言った。ふざけるなとデュークは思った。なんで男とこんな体制をしなければならない。女子とならともかく。 デュークがしかめっ面をしているとリドルの端正な顔が近づいて来た。 デュークは逃げる暇もなくその唇に柔らかいものが当たった。 ちょっと待て。何だこれは。デュークの頭はショート寸前だった。無理もない。そちらの趣味など欠片も無いのだから。 ───沈黙が続いた。 「アバダケダ」 おっと危ない。口が滑った。デュークは咄嗟に唱えかけた呪文を止めた。 「ごちそうさま」 笑っているリドルの顔が腹立たしい。ふざけるな。 「さっさと目的を言え。この変態」 「僕の目的はね。デュークをもう一度僕の物だと分からせる事とハリーポッターを殺すこと──」 そこまで言うとリドルは目をぎらりと光らせた。 「そしてマグルの撲滅さ」 その声色にデュークはぞくりとした。彼は本気なのだ。きっとそれを成し遂げるためにはどのような犠牲も厭わない。 「俺をそれで、どうするつもりだ」 デュークを物にしたとして、一体何ができよう。 「君は非常に価値がある。君が思っている以上にね。君は───」 そこから続いた言葉にデュークは空いた口が塞がらなかった。何故そんな事をこいつが知っている。それを知っているのは極僅かな人間だけ。その中で最も闇の陣営に近いのは── 「ルシウスさんなのか──?」 呟いたデュークの言葉を拾ったリドルはどこかに視線をやりながら、さあねとだけ答えて口を開いた。 「そろそろ僕の魔力も限界だ。さっきのキスで君から少し魔力を貰ったけれど、それは取っておきたいんでね。しばらくお別れさ」 その瞬間デュークの頭に激痛が走った。意識が薄れていくなかデュークはリドルの君の友人も危ないかもね、という言葉だけを聞いた。 ←→ |