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秘密の部屋
04

「綺麗な蛇だ。さぁ。こちらに来るんだ」

デュークと同じ黒髪の美少年がデュークの事を呼んでいた。夢だと分かっているデュークは少年の方へと向かう。

シュルシュルと静かな音を立てて床を這いながら。不思議と蛇の体は思い通りに動かせた。

デュークは黒い蛇だった。その体は光を浴びて銀色に光っていた。

「いい子だ。」

少年がデュークの黒い体を撫でてくれた。なんだかこそばゆくてデュークはするりと少年の腕に絡みついた。

「知っていたかい?君は偉大なあのスリザリンの蛇の子孫なんだよ。」

少年が未だ腕についているデュークを軽くほどきながら言った。

「僕の名前はリドル、スリザリンの後継者さ。君もスリザリンの蛇の唯一の子孫。お似合いだろ?今日から君は僕のものだ」

少年、リドルが妖しげに笑った。女の子達が見ていたらきっと黄色い歓声をあげるだろう。

「デュークだ。君の名前はデューク」

リドルはそう言ってまた笑った。




そこでデュークは目が覚めた。目の前にはいつもの景色が広がっている。隣ではドラコが寝ていた。何も変わっていない。

あの夢はいったいなんだったのだろうか?デュークは考えた。ただの夢では無い気がする。それだけは分かった。

ただ、あのリドルという少年が分からなかった。スリザリンの後継者・・・?聞いた事もない。

デュークはずっとその夢の事ばかり考えていた。

ドラコがデュークに何を話しかけても、あぁだとかうんとしか答えなかったのでドラコはつまらないらしく、クラッブとゴイルを引き連れてどこかに行ってしまった。それすらもデュークは気づかなかった。


「車を盗み出すなんて、退校処分になってもあたりまえです!!」

デュークは大広間に響いたその声でようやく気がついた。

この声は、ウィーズリー夫人だ。
どうやらロンがお叱りを受けているようだ。

その時のドラコの顔と言ったら。ハリーとロンが処罰を受けるだけですんだと聞いたときの顔が嘘のようだった。

目がらんらんと輝きはじめる。
またハリー達をバカにしようとしているのだ。

ドラコもそんなに構うなんて物好きだな、とデュークは思った。

授業を適当に受け、中庭を通りがかった時だった。ハリー達がいたのだ。もちろん、ドラコは近づいていく。仕方なくデュークもついていった。

「写真にサインしてくれますか?」

小さな体に不釣合いな大きなカメラを持った少年がハリーに懇願するような目をして聞いた。

「サイン入り写真?ポッター君はサイン入り写真を配ってるのかい?」

ドラコはわざと響くような声で言った。周りのスリザリン寮生がニヤニヤする。

「みんな、並べよ!ハリー・ポッターがサイン入り写真を配るそうだ!」

ドラコが大声を出す。

「あ、俺。もらっていい?いつか売れそうだし、記念に」

デュークが茶化す訳でもなく真面目にハリーに言った。

「デュークもふざけるなよ!僕はそんなことしていないぞ!」

ハリーが怒ってしまった。デュークは肩をすくめた。

「君、やきもち妬いてるんだ」

少年がドラコに向かって勇敢にも言い返した。その体はクラッブの首の太さぐらいしか無いというのに。

「妬いてる?何を?僕は、ありがたいことに、額の真ん中に醜い傷なんか必要ないね。頭をかち割られることで特別な人間になるなんて、僕はそう思わないのでね」

クラッブとゴイルが後ろで笑いをこらえているのをデュークは感じ取った。


「なめくじでも食らえ、マルフォイ」

ロンが言うとクラッブは拳骨を作り脅すようにさすり始めた。

「言葉に気をつけるんだね、ウィーズリー。これ以上いざこざを起こしたら、君のママがお迎えにきて、学校から連れて帰るよ」

ドラコが甲高い声で「今度ちょっとでも規則を破ってごらん」とウィーズリー夫人の真似をした。

案外似ていたものだから、近くに居たスリザリン寮生は声をあげて笑った。

「ポッター、ウィーズリーが君のサイン入り写真がほしいってさ。彼の家の一軒分よりももっと価値があるかもしれないな。」

ドラコがニヤニヤ笑いながら言う。さすがに雰囲気が悪くなってきたと思ったのかデュークは笑うのをやめた。

「いったい何事かな?いったいどうしたかな?」

その時ギルデロイ・ロックハートが大またでこちらに歩いてきた。その派手なローブにデュークが吐き気を催したのは秘密の話だ。

そして、ロックハートはハリーをそのままどこかへ連れ出してしまった。

「ポッター今度はロックハートの奴とサイン入り写真を配るらしい」

ドラコがまた笑いながら言う。流石にそろそろデュークはしつこいなと思い始めてきた。

「ドラコ、次はあのロックハートの授業だ。急ぐぞ。遅れたら厄介だ」

デュークはため息をつきながら、ドラコに伝える。
ドラコもあの人が鬱陶しいのでいく事にしたようだ。

ロックハートの授業は実に馬鹿馬鹿しかった。

急に、自身についてのペーパーテストを始めたあげく、ピクシーを暴走させてしまうほどあの先生は無能だったのだ。いや低脳といっても間違いではないかもしれない。

思わずピクシー相手に死の呪文を唱えそうになったデュークを誰も責めはしないだろう。

もし、デュークが魔法でピクシー達の動きを止めなかったのならばスリザリン寮生達にロックハートが呪いをかけられていたかもしれないのだから。




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