月のそばで眠りたい (時かけ 千昭) 「功介って医学部行くつもりなんだよね」 「今さらだな」 功介が口元を押さえながら笑う。話しながらも真琴や観月には到底理解出来ない難しそうな本を読んでいる功介は本当に頭がいいんだな、と観月は思った。 「千昭はどうするのかな…?」 「本人に聞いてみればいいじゃねーか」 「だってアイツ、いっつも誤魔化すもん。しかも、ずっと真琴の事見てるしさ」 観月はそこまで言って切なくなった。千昭がいつも見ているのは観月ではなく真琴。観月と笑いあっていても大切なのは真琴なのだ。 「まあ、千昭は真琴の事が好きだもんな」 「あーあ。好きになってくれる人だけを好きになれたらいいのにね」 「そんなに便利なら失恋なんて言葉ないだろ。」 「もしもの話だってば。まったく、医学部目指すやつは頭がかたいんだから」 観月は拗ねたように机に突っ伏す。教科書にくしゃりと皺が入った。それを見て功介がまた笑う。 「私はね?別に恋が叶わなくてもいいんだー」 「へぇ?」 「たださ。千昭に気付いて欲しいんだ。私が千昭の事好きだって」 「ふーん」 適当に相槌を打つ功介を若干睨みつけながら観月は言葉を続けた。 「ってな訳で。本日、沢村観月は失恋します!!」 「馬鹿なやつ。ま、観月らしいけどな」 「ありがと。そんな功介が好きだよー」 「おいおい、浮気か?」 観月の言葉に功介がニヤニヤする。 「観月なんかに好かれたら苦労するだろうな」 「功介は恋愛対象外だから安心しな」 観月がピシャリと言い放つ。コイツはすぐ憎たらしい事を言う。 その時、千昭と真琴がお互いに軽口を叩きながら教室へ入ってきた。観月と功介の目が合う。 「観月。清々しくフられて来い」 「おうともよ」 観月は胸をはって功介に応えた。 月のそばで眠りたい (千昭ー。私あんたの事好きだよー) (あっそ。って、はァ!?) (ってな訳で真琴と楽しくやってろ。) (ちょ、待てよ) (私は功介と楽しくやるから) (意味分かんねーっての!!) ─────── 私が意味分からない←ぇ とりあえず、 千昭夢か功介夢か分かりませんが 一応千昭夢とさせていただきます。 2010/10/09 ←→ |