銀色の犬(銀魂 銀時)
2/14。世界中の男たちが待ちに待った日がやってきた。
そう、バレンタイン。
海外では花束やカードを贈る事が多いそうだが、日本では女性から男性にチョコレートを贈る事が多い。
寒さがだんだん和らいでくるこの季節。
男たちは飢えたハイエナのごとくチョコを求める。この男、坂田銀時も例外ではなく、誰かチョコを与えてくれるものはいないかと街を歩いていた。しかし、このマダ男。チョコをくれるような人間がいるわけもない。
泣く泣く万事屋にかえるも、そこに居るのは眼鏡にチャイナに可愛げのない部下。
まるで絵にかいたようなマダオにチョコをあげるほど優しい女の子はいない。何より、チョコが勿体無い。男はまた心の中で泣くのであった。
「観月ちゃん。そのナレーションは何?銀さん目から豚汁っぽいもの出てきそうなんだけどォ」
「事実ですから。」
観月が言い放つと、銀時は死んだ魚のような目をすぅ、と細めた。暴言を吐かれるのに慣れているからか、めげるような素振りを見せない。打たれ弱いふりして打たれ強いのだろう。なんて厄介な上司なんだ。観月はそう思った。
「そういえば観月ちゃん。銀さんにチョコないわけ?」
「パワハラで訴えますよ。あ、そうだ。お妙さんに作っていただきましょうか?」
「やめてっ!!お願いですからそれだけは!!土下座でもなんでもするから許してくださぁぁぁアアアいっ!!」
銀時はその時、観月の唇がにやりとつりあがるのを見て嫌な予感がした。
「ふふふ。何でもするんですよね?ほら、土下座は?」
「え、え?観月ちゃんどうしたの?え?」
「男に二言なんてありませんよね?ほら、土下座して謝ってくださいよ」
鬼畜にも観月はそう言った。銀時の口がピクリピクリと痙攣する。
「こ、これで・・・よろしいでしょうか、観月様」
「無様な上司ですね」
「観月ちゃん、ドS過ぎない?俺が本来そっち側なんだけどォ」
部下に向かって土下座をする上司の銀時を見て、観月は満足そうに笑った。
あ、可愛い。素直に銀時はそう思った。
しかも、スカートの中から生足がちらちらしていて、その美味しい事といったら言葉にも表せられない。
「観月。その変態が観月の中身を覗いてるアルネ」
「そう。神楽ちゃん、ありがとう」
「イテっ!イテテテ…!!」
神楽がご丁寧にも忠告してくれた。土下座で下がっている頭を思いきり踏み付ける。
「犬の餌なら机の上にありますけど?いります?」
観月が銀時に言う。机をチラリと見ればそこには待ち望んでいた、チョコレート。綺麗にラッピングされてある。
「いるに決まってるだろーが。観月ちゃん可愛いコトしてくれるじゃないの」
「何言ってるんですか?私は犬の餌といいましたが?」
「え?」
「貴方が私の犬になるというなら考えますが。」
「犬でいいからチョコ下さぁぁあああい!!」
「頼み方というものがあるでしょう?」
「チョコレートを下さいご主人様ぁあああ!!」
「よろしい」
ニヤリとではなく純粋に笑った観月が銀時には、また可愛く見えた。あれ?コイツって部下じゃなかったっけ?
銀色の犬
(観月ちゃん素直じゃないね)
(観月ちゃん?ご主人様の間違いでしょう?)
(こんな部下いやだぁぁああああ!!)
─────
なんかBLちっくに見えるのは気のせいだ。
気のせい気のせい。うん。気のせい。
一応バレンタイン企画です。
皆さんはチョコを作る予定はあるのでしょうか?(笑
記録的な寒さに雪が降ったこの冬ですが、
寒さにまけず、これからも更新していきたいと思います。
2010/02/02
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