大好きだよ。(時かけ 千昭)
寒い。とてつもなく寒い。
首に巻いていたマフラーを風が入らないようにほんの少しだけキツくしめる。
通学路には同じように身を縮めながら道を急ぐ生徒達。その中に自転車を悠々とこいでいる生徒が居た。
「千昭!!」
寒くて出ない声を振り絞って名前を呼ぶ。気付いた千昭が自転車から下りてこちらに向かってきた。
「よっ」
「いつもより早いじゃん。どーしたの?」
「あ?俺が早いのはいつもの事だ」
「へぇ?ちゃんとオナって来たわけ?」
「お前。女がそーゆー事言うか、普通」
「あんた、私を女扱いした事無いでしょ。」「あ、バレた?」
「当たり前。」
千昭が笑う。反省してないなこいつは。
でも、私も笑った。
軽口を叩ける私の数少ない男友達の千昭。今年、転校してきた奴だけど馴染むのはとても早くて。昔からの付き合いみたいだと他の人にはよく言われる。
「で、千昭。真琴とはどうなの?」
「何で真琴が出てくんだよ」
「千昭の片想いの相手じゃん」
「ばっ、ちげーよ。」
「言ってな言ってな。あ、真琴だ!!」
「どこに?」
「やーい。騙されてやんの」
「てめっ!!」
私が指差した方向を馬鹿正直に見る千昭。それがあまりにも千昭らしくて、寒いのも忘れて笑ってしまう。
いいなー、こういう時間。
心の中で呟く。普通に過ごしているこの一秒一秒がとても大事に思えて。こういう時間がいつまでも続くかといえばそうでも無くて。
将来はバラバラになるのかな、とか。好きだって伝えたら私から離れていっちゃうのかな、とか。不安な事は数えきれないくらいあって。
くさい話かもしれないけれど、千昭の事は私にとってとても大切な存在で。他に変わりなんてない宝物で。それを失うのが怖くて一歩踏み出せない私がいて。
普通の時間でいいから。もう少しだけ一緒に居させてって思う自分の中に、もう少し進んだ関係になりたいって思う傲慢な自分も居る。
「観月。考え事か?どーせ夕飯の献立の事だろーけど」
「違うし。それは能無しの千昭だけだよ」
「は?ふざけんなって。」
「至って真面目ですよー」
やっぱ、いいや。この関係で。
これ以上進んだ関係じゃなくて、今の関係で私は十分幸せなんだ。
大好きだよ。
(ねー、千昭。馬鹿は風邪をひかないって知ってる?)
(俺が馬鹿だってか?)
(うんっ)
(てめーも馬鹿だろ!!)
(かもね)
(…はっ!?)
───────
分かんないぞ?最近ネタが無さすぎて…
ただ千昭とは馬鹿やってればいいから書きやすい。時かけは本当に書きやすい。
そろそろJUMPで書かないとなー
2010/11/20
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