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賢者の石
04
手紙が来る時間、ネビルに思い出し玉が届いたようだ。
たまたまドラコとグリフィンドールのテーブルのそばを通りかかったのだが、ドラコがネビルの持っていた玉を引ったくった。ハリーとロンが喧嘩腰で立ち上がった。デュークは喧嘩が始まるかな、と呑気に思っていたがマグゴナガル先生がさっと現れた。

「どうしたんですか?」
「先生、マルフォイが僕の『思い出し玉』を取ったんです」

ドラコはすばやく玉をテーブルに戻すとクラッブとゴイルを従えてするりと逃げた。さて、逃げ遅れたデューク。もともと逃げるつもりもなかったが。

「君がネビルだな?」
「う、うん。そうだけど」
「あぁ、デューク・ナイトレイだ。カエルはきちんと届いたか?」
「あっ。君が届けてくれたんだっ!ハリーからちゃんともらったよ」
「なら、良かった。もう見失うなよー」

デュークはドラコの消えた方へと急いだ。

「デュークってスリザリンのくせに威張って無いよね」

ハリーが呟いた。

「グリフィンドールに来てもいいぐらいなのに…」
「デュークなら居ても悪くないかも」

そのロンの言葉に皆はツンデレを感じたとか感じてないだとか…。


その日の午後三時半、飛行訓練は始まった。グリフィンドールと合同なため、どことなくピリピリしている。マダム・フーチは短い白髪で厳しそうな人だった。

「みんな箒のそばに立って。さあ、早く」

ドラコの隣にいたデュークは箒も隣の場所を取った。

「右手を箒の上に突き出して。そして、『上がれ!』という」

皆が口々に「上がれ!」と叫び始めた。デュークも仕方ないのでやる事にした。

「上がれ」

箒が飛び上がりデュークの手に収まった。次に、マダム・フーチは箒にまたがる方法をやってみせた。ドラコが箒の握り方を間違っていたらしく、指摘されていた。

「さあ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。箒はぐらつかないように押さえ、二メートルぐらい浮上して、それから少し前屈みになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ──1、2の──」

ところが、ネビルがフライングをして地面を思い切り蹴った。戻ってこいと言われてもどう戻ればいいのか分からない彼はどんどん上がっていってしまった。

あれでは落ちる。そう思ったデュークは一度降りた箒にまたがるとネビルに向かって飛んで行った。先生が下で何か叫んでいるが気にしない。

ネビルが落ちる寸前になんとか首根っこを持ったが重い。デュークはネビルの体重を支えきれず段々落ちていった。ガーン!!ネビルがうつぶせに墜落した。デュークは箒でバランスを取っていたので無事だったが。

ネビルの箒はユラユラ漂い何処かへ行ってしまった。マダム・フーチがネビルを見る。

「手首が折れているわ。あの高さからこれだけで済んだのはナイトレイのおかげね。感謝しておくのよ」

先生が言った。

「私がこの子を医務室に連れていきますから、その間誰も動いてはいけません。箒もそのままにして置いておくように。特にナイトレイ、あなたよ。クィディッチの『ク』を言う前にホグワーツから出ていってもらいますからね」

先生が涙で顔をぐちゃぐちゃにさせたネビルを連れて行くとドラコが大声で笑い出した。

「あいつの顔を見たか?あの大まぬけの」
「ドラコ、やめとけよ」

デュークはそう言うものの他のスリザリン寮生たちもはやし立てたので諦めた。

「デュークが助けてやったのに情けないやつだ」

はあ、デュークはため息をついた。これでは、自分がグリフィンドールに恩を無理矢理着せているようなものではないか。

「ごらんよ!ロングボトムのばあさんが送ってきたバカ玉だ」

ドラコが高々と差し上げた『思い出し玉』は陽に当たってキラキラと輝いていた.




あきゅろす。
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