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賢者の石
10

「デューク!!デューク!!」
「あ?」

ドラコが息を切らせながらこちらに向かってきた。デュークは何事かと振り返る。

「ポッターの奴、ドラゴンを連れてくる!とうとうアイツに恥をかかせてやれるんだ」

ドラコが得意げに言った。

「土曜日の真夜中だ。ウィーズリーの兄弟が引き取りにくるらしい。そこを先生につきだしてやるんだ」
「夜中?おい、ドラコ。お前も見つかったら先生から罰則受けるぞ?」

ドラゴンの話を先生が信じてくれるとは思えない。ドラコは本当に大丈夫なのだろうか?デュークは不安になった。

「僕は大丈夫だ。それに、減点されてもデュークがその分稼いでくれるだろ?」
「・・・まぁな」

今まで、デュークはコツコツと点を稼いでいた。デュークの学力は授業で質問された事にたいしてかつて一度も間違えた事のなく有名だった。そのため、授業では必ずと言っていいほど点を貰っている。

「デュークも来るかい?」
「あー。俺はやめとくよ」

ドラコの誘いをデュークは歯切れ悪く断った。

「それじゃあ、楽しみにしてなよ」
「期待せずに待ってる」

翌日、寮の得点を記録している大きな砂時計のそばを通ったデュークは頭を抱えた。ほら、言わんこっちゃない。

グリフィンドールが150点も減っている事に皆は目を取られていたが、スリザリンも20点引かれていた。ドラコが見つかって、その後にハリー達が見つかったというところだろう。

――あの有名なハリー・ポッターが寮の点をこんなに減らしてしまったらしい。何人のバカな一年生と一緒に。

そんな噂が流れていた。かの有名な英雄は一夜にして嫌われ者になってしまったようだ。レイブンクローやハッフルパフでさえ敵に回った。

「ポッターを見たかい?あの情けない顔を」

ドラコがデュークに言った。

「まあ、見たぜ?有名人になるってのも考え物だよな」

デュークが肩を竦めて答える。

「まあな。デュークも十分有名人だろう?」
「俺は別のジャンル」
「確かにな」

しばらくドラコは上機嫌だった。グリフィンドールが大幅に下がったおかげでスリザリンが寮対抗でトップに躍り出たからだ。


ある朝、朝食のテーブルにマクゴナガル教授からドラコに手紙が届いた。



――処罰は今夜十一時に行います。
玄関ホールでミスター・フィルチが待っています
マクゴナガル教授――


「僕、罰則があるんだった・・・」

ドラコが青白い顔をさらに青白くさせて絶望的な顔で言った。デュークが手紙を覗き込む。

「大丈夫か?俺、ついていこうか」
「いいのか?」

デュークは本気でドラコが心配だった。彼がハリー達と一緒で何もしない訳がない。

ついていく、とデュークが言ったあとのドラコは少し気が楽になったようだった。




あきゅろす。
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