「兄貴ー兄貴どこー?」
学から助けを求め呼んで来るのは珍しくて、自ら学の元へ駆け寄った。
「どうした、虐められたか」
「違う」
確かに、虐められたような顔をしていない。全く逆だ。
「じゃあ何があった?」
「えっと……」
もごもごと口ごもり、手を胸の前で弄り出す。
「お……」
「お?」
「おちんちんが変っていうか、なんて言うか」
耳を疑ったが、とても困った顔の学を見る限り、嘘ではないのが分かった。
「どうやったら治るの?」
口調までもがいつもより弱々しい上に、頬が上気してすごくいやらしい気がする。
「……おいで」
二人の部屋へと場所を移した。
「何か刺激のあるもんでも見たのか?」
などと聞いても正直に答えてくれないのは分かっていた。もちろん、首を横に振る。
気付かれないよう後ろ手に鍵を閉めて、学のベッドの上に行くように促す。股に手を潜り込ませて、じっと待つ学は、まるで囚われのお姫様のようだ。ベッドの手前の柵を倒す。
「足はこっち」
勉の方へ足を向けさせた。服からでは、それは分からない。
ズボンの止め金を外し、
「脱がすぞ?」
と、聞いたが返事をせず、そっぽを向いて目を瞑る。
ズボンに手をかけ、勉も意を決して脱がした。
「……っ」
勉の手で下半身を剥き出しにされてしまう。
(おぉぉ!! まなのまら様)
すぐにでもしゃぶりつきたい衝動を抑え、冷静を装い観察をする。昔よりは成長しているも、まだ未発達で小さい。
「野崎学君は、最近おちんちんが変になる、と。何か変な物を食べましたか?」
急に医者が問診をするような口調になり、戸惑いながらも首を横に振った。
「何か想像したり?」
再び首を横に振る。
「では、今はどうですか?」
「……むずむずしたり、たまに動く」
「ほう、まな君、これは少し厄介ですぞ」
不安を煽るよう、勉に有利な方向へ持って行く。
「えっ、治らない!?」
「勉様にまっかせなさい。……っつーことで、触診を始めます」
「っ!」
分からない言葉を言われたが、勉が触ろうとするのを見て、足を閉じた。
「や、やだ、触んな……っ」
「触診とは触って診ることです。っつか、触らないと症状わかんねぇし」
初めての学には、それが嘘か本当か分からない。嫌そうにしたが、諦めて足を開く。
「……っ、っう」
少し触れた瞬間、体が跳ねる。微妙な力加減で触られ、なんとも言えない感覚に、変な声が出そうだった。
「まな君のおちんちんは白くてとても不健康そうですね〜」
ふざけた口調に睨むが、じっと見られている事の方が恥ずかしくて、布団を引き寄せて顔を隠す。
触っていた所為で、少し芯を持っていた。
「あ、あにき。まだ?」
「ん〜そうだなぁ」
このまま触り続けていれば、完全に勃起してしまう。学の年齢的にまだ精通はしていないだろうが。
「袋も異常なし」
「ふあぁ」
「筋も」
「っ」
「これで触診は終了です。特に異常は見当たりません」
異常なしの言葉に、これまでにないくらい喜ぶが……。
「では」
安堵したのも束の間だった。
「健康状態を保つ為に、今からやる事を定期的にして下さい」
笑顔でまだ終わっていない事を告げられ、脱力した。
勉の手が上下に扱く。
「うぅ……ん」
布団に顔を埋め、見ようとしない。
「……まなー見てねぇとやり方が分からんだろ」
「やーぁ」
「また変になったら俺にやってもらうか?」
「んー」
それは嫌だったのか、チラッと見て来る。困らせた眉が可愛らしかったが、やっぱり恥ずかしかったようで、再び布団のお世話に。
学の処理をするのは勉からすれば、願ってもない事だから、無理して見させようという気はこれっぽっちもなかった。
「まな、触った事は?」
「なーいー」
質問に対する返事が、どんどんお粗末になってゆく。
「気持ち良いか?」
「知らんー」
「凄い熱いけど大丈夫か?」
「もー聞くなぁ」
笑いたいのを堪え、皮の被ったペニスをゆっくり剥くと、学は小さな悲鳴を上げた。
「ん?」
「兄貴、い、たぃ」
「ヒリヒリすんだろ? ちょっと我慢しろ」
それでも痛がる声をあげる。
「あ、兄貴ぃ」
更には、息も荒くなり、鼻水を啜る音がして、勉も変な気分になりそうだった。
「……まな、我慢しないと大変な事になるぞ」
「大変な事って?」
「まながもっと泣いて叫ぶ事になるかもな」
「や、やだぁ」
「じゃあ我慢出来るか?」
二度頷く。それから、学は布団を強く握り締め、勉に委ねた。
「っ、っん、ん、い」
「まな、足開け」
言われた通り足を開き、その間に勉は移動する。
「ひゃ!?」
ぬるっとしたものがペニスを濡らし、学は驚いて顔を出した。
「な、何やってんだよ!?」
「何って、しゃぶってんだよ」
この光景を見た学が暴れるのは分かっていたから、勉はしっかりと両足を腋に挟んでいた。
「いや! 止めろ!」
「分かった分かった」
と、言ったが再び舐める。小さい為、根元まで口にすっぽり覆われていた。
「ひ、ぁっ」
「まなは可愛いな」
「喋んな……!」
言われた通りに、黙って口に含み、舌で遊び続けた。
「ちが、もっ止め、て……あぁっ!」
初めての刺激に早くも達したが、やはりまだ精通はしておらず、体を跳ねさせただけだった。
「はぁ、はぁっはぁ」
学には反論したり、質問をする気力もない程、ぐったりとさせている。そして、落ち着いた頃には、眠りについてしまった。
「良いおかずが出来ました」
合掌をして、勉は部屋を出て行った。
2012.07.13 完成
2015.05.17 加筆