誰もいない日向でお昼寝をしようとしたときだった。
「マコ、キスしても良い?」
「??」
ミナトの顔は少し赤い。
「ちゅーだ」
「ちゅう?」
首を傾げた様が、ミナトの欲を奮い立たせる。
「知らないなら、何事も経験だな」
ミナトの顔が近づいて、口と口が触れた。一瞬のこと過ぎて訳が分からず、口元に手を当てて俯く。
「どうした」
「これがキス? なんか、恥ずかしいね」
「兄弟なんだ、恥ずかしがることじゃない」
ミナトは顔が赤いだけでなく、息と……口調も若干、荒いような気がする。少し怖くなった。
「そう、なの?」
「うん」
マコは困った顔をして後ろに下がろうとするも、手を握られそれも不可能になった。
もう一度キスをされる。
「にゃう…ん」
いつも以上に近い上に、やはり恥ずかしくてドキドキしてしまう。同じ血が流れる兄弟だが大人っぽくて、落ち着いた印象の顔立ちでマコとは異なった顔。十歳も離れている事を考えれば、当たり前なのかもしれないが、ミナトと同じ年齢になったとして、同じ様な容姿や性格になるとはとても思えなかった。
ミナトは急に大人しくなったマコをじっと見ていた。
「……相変わらず可愛いな」
たがが外れてきたのか、マコがちゃんと拒まないからなのか、キスを何度もする。
そして、抱き締めると尻尾の辺りを弄る。それはいつもより豪快でいやらしくて、マコには違和感でしかない。
「ゃ…ん……何でお尻触るの?」
「マコが可愛いからだよ」
「に?」
明らかに顔にはてなが浮かんでいた。
「ふふ、気持ち良くない?」
「んー…? ん? ……ぅんっ」
ミナトから聞いたのに、返事を遮ってキスをした。
「……コ」
「お、兄っ」
喋ろうも、ミナトはその都度、邪魔をする。
「マコが困ってる」
そう呟き、顔を綻ばせては溜め息をついた。
マコの唇を舌がなぞる。小さな口の中に割って入ろうとしたとき。
「お兄ちゃ……怖いよぉ」
言われて昂ってしまっていたことに気が付いた。
「ごめん、怖がらせた?」
「にーにー」
泣きそうな顔で何度も頷く。
(特訓って言った方が良かったかな)
そうしたらもっと触れたかな、と考え込むミナト。
「お兄ちゃん?」
「……ちょっと熱でどうかしてたみたい」
「か、風邪だったの!?」
それを聞いた途端、急いで小屋へと引っ張り、布団へ勧められ、寝かし付けられてしまった。
「さっきの、許してくれる?」
「え? 熱でどうかしてたって。マコも気付かなかったし、怖がってごめんなさい」
また、そんな純粋で一所懸命なマコにムラムラして来る。布団に連れ込んでさっきの続きがしたくなったが、今度こそ嫌われてしまうと思い、妄想だけに留めておいた。
2011.03.19 完成
2012.01.03 加筆