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■本編10*

「ここらの猫か?」
 ミナトより体格の良い、知らないオス猫がマコの目の前に立ち、警戒心を剥き出しにする。
「あぁ、なるほど。怖がらなくても大丈夫だ。俺は黒だとかで差別する猫じゃあない」
 マコの眉間の皺は取れない。そんな事を言われても、半信半疑な面持ちだった。まぁ良いか、とオス猫は話を続けた。
「この前エッチしてたろ? しかも、オスと」
「えっち?」
 首を傾げる。
「そんな事も知らないで……やっぱり身売りか?」
「ん? 何??」
「黒い奴と川辺で裸になって色々してたろ」
「……にゃ」
 思い出して警戒心も吹っ飛び、顔は一気に真っ赤になった。
「え、えっちって、いやらしい事をする意味?」
「そそ。……言葉は知らなくて、行為は知ってるのか」
 ミナトからは聞いた事がない言葉を教えてくれそうな気がして、マコはオス猫に興味を持ったようだ。証拠に尻尾が微妙に揺れている。
「いけない事なの?」
「駄目じゃないが、オス同士ではなあ、普通は繁殖の為にメスとあれやこれとするもんだぜ」
 そういえば、最中にミナトも『繁殖』という言葉を言っていたのを思い出した。
「はんしょく?」
「俺達の種族や意思が途絶えないように、交尾をして子孫を残す事だ。メスからしか子供は産まれないから、オスとしても意味がない」
 難しい言葉がいくつもあり、マコは混乱してしまったが、オス猫は分かりやすく教えてくれた。
「理由はどうであれ、お前も母親の腹の中から産まれて来たんだろ」
 他の猫との関わりもなく、世間を殆ど知らない上に、親の記憶もないし、義理の親には聞けないし、もちろん教わっていないマコにとって、子供はどこから産まれるかだとか、どうしたら正しいのかなんて疑問すら浮かばなかった。
「じゃあ何でマコにいやらしい事をするの?」
「気持ち良いからだ。お前みたいな、ちっせー黒いオス猫はメスに振られた奴か、助平な奴らの慰みもんにされてエッチだけの道具扱いだろ」
「そ、そうなの?」
「あぁ、実際そうじゃねぇのか? あの黒い奴と毎日してるんだろ?」
 首を横に振ろうとするが、ふと最近、いやらしい事をする事が多いような気がした。
「まだ大事にされてるのか。黒同士だから仲良くしてるのか。そろそろ捨てられちまうんじゃねぇ?」
「にゃ!?」
「早く逃げた方が良いかもなぁ。いや、逃げても他の奴に捕まって二の舞かね……俺と一緒に来るか?」
 オス猫の怪しい目にも気付かず、言葉だけに不安を煽られマコの表情は曇り空に。
「お兄ちゃんは何も言わなかったよ?」
「当ったり前だ。エッチしたいから言う訳……って、お兄ちゃん!!!?」
「そのお兄ちゃんだけど。あんた……誰? 俺の弟に何か用」
 いつの間にいたのか、オス猫の背後に立っていた。毛を逆立て、明らかに敵意を剥き出しにしている。
「オス同士で何が悪い。俺が慰みもんにする? 弟にヘンな事、吹き込まないで欲しいな」
 言葉からして、随分と前から聞いていたようだ。
「吹き込んでるのはお前だろ。しかも、エッチまで仕込んで」
「両思いだから自然な流れだけど」
 そう言って、見せ付けるようにマコの肩を抱き寄せる。
「にゃっ」
「兄弟でやるとか頭おかしいんじゃね?」
「好きに種族や性別はないよ。誰かれ構わず人身売買をするあんたには分からないと思うけど」
 バレてたか、と舌打ちをする。
「そろそろ邪魔なんだけど」
 ミナトの手がいやらしく顎をくすぐる。焦るマコにも気にせず続けた。
「そんなに大事なら一人にさせてんじゃねぇよ。ああ、損した」
 オス猫は悪態をついて去って行った。

 姿が見えなくなると、手を退けて、マコと同じ目線になるようにしゃがむ。
「ふー……何で知らない猫なんかの話を聞いたの」
「だって、マコの知らない事沢山教えてくれるから」
 色々な事に興味を持つ年頃だから仕方がないのかも知れないが、前から知らない猫には関わるなと言っているのに。
「また酷い目に合っても知らないよ」
「にー」
「俺は心配でならないよ」
「ごめんなさい。……お兄ちゃんマコの事、捨てちゃうの?」
 耳と尻尾を垂れさせ、涙が沢山溢れ出ていた。
「まったく、あのクソ猫」
「やだよぉ」
 顔を挟み、ミナトを真っ直ぐ向き合うようにすると、微笑をして囁いた。
「俺がどれだけ好きか教えてあげるよ」
 きょとんとしたマコの可愛い顔が歪む事に……。

「にぃにぃ」
 いつも食事をするテーブルにマコはうつ伏せになり、お尻を突き出している。
 そして、尻尾とは違うものがもう一本、生えていた。それは、ゆっくり出たり入ったりして、マコは違和感を覚えた。
「お兄ちゃん、それやだ」
「何言ってるの? マコってば吸い付いて、本当は人指し指が気に入った?」
 意地悪な問いに、首をブルブルと振る。
「そうなの? 残念だな。でも次は気に入るよ」
 中指で肛門をくすぐり、狭い入り口を拡張してゆく。中では二本の指を交差したり小刻みに壁を突いたり、少し強く撫でた。
「にゃうんっ」
「ん……ここが気持ちい?」
 もう一度、指に力を入れて押す。
「ふにゃあ」
 力が抜けて指が根元まで簡単に入ってしまった。
「おにぃちゃん。これがマコを好きって分かるの?」
「そうだよ、俺なりの愛情表現。でもまだ序の口……だからマコ、もうちょっと拡げるね」
 三本目の指を増やそうとしたときだった。マコが急に訴え出す。
「……ムズムズする」
「どこが?」
「お腹辺り」
 目を潤ませながら見つめるマコの頭を撫で付け、ミナトはどれどれ、と腹部を軽く掻いてやる。
「ん〜ちがう」
 不満そうに訴えるマコ。
「じゃあどこ?」
「もっと下ぁ」
 陰茎の辺りを直にさすり、マコはぶるっと身震いをした。ここだね? と、問いかければ素直に頷く。
「マコはどうして欲しい?」
「分かんない」
「ふふ、じゃあ俺の好きにするね」
 三本の指でマコが喘いだ場所を再三、強く撫でれば尻尾を揺らし、身悶える。
「にゃん……!」
 何度も撫で付けていく内に、机に全身を預け、足で支えているのが辛そうだった。
「お布団行こっか?」
「にゃ」
 そう言って、すぐ側にある布団へと移動した。

 横にさせた後、ミナトの服のボタンを外しているとマコから質問が。
「マコはエッチだけの道具?」
「……まだ不安?」
 頷く。
「捨てちゃわない?」
「そんな事言わないで、俺まで悲しくなる」
「に、ごめんなさい」
 苦笑をしながら優しくキスをする。
「何年も色んな場所を当たって、やっと再会出来て、俺は本当に嬉しかったんだよ?」
 スルっと下着が落ちて、屹立した陰茎が露に。
「こうする事もずっと」
「に?」
 マコの片側の足を直角に上げ、ミナトは腿の間に腰を降ろすと、先程まで三本の指が入っていた部分に亀頭をくっ付けた。
「にゃっにゃ!?」
「好きだよ、マコ」
 腰の辺りにもう片方の手を付くと、傷付けないように慎重に進めてゆく。
「凄いね……。あんだけ拡げたのに、先だけでいってしまいそうだ」
「あ、あ!」
 更なる未知の世界にマコは混乱した。何をされ、何が自身の中に入っているのか。優しく笑うミナトが見つめている事はぼんやりと分かったが、恥ずかしがる余裕はなかった。
 気が付けば、十センチは飲み込んでしまっている。
「大丈夫? 後少しだよ……」
 普段なら排泄物を出す場所なのに、硬いものが逆流し、自ら押し上げてくる。
「に、にっ」
 腰を中心に神経に電気が走るような感覚に襲われる。
「んんっ。……ふふ、入ったよ」
 嬉しそうにキスをする。
「マコも、喜んでくれてると嬉しいんだけど。まだ、ムズムズする?」
「……ん、ちょっ、と、だけ」
 陰茎を入り口辺りまで引き抜き、亀頭で前立線を何度も擦れば、マコは体をピクンピクンと跳ねさせた。
「あ、お兄ちゃん、やめ、て」
 真っ赤にしてこちらを見てくる様はミナトからすれば、堪らなく興奮するであろう。
「何で?」
「わ、分かんないよ」
「おかしなマコ」
 笑いながら続行した。
 後にマコの陰茎は勃起し、体と一緒に痙攣を起こした。
「……いったね」
 マコは酸素を求め、金魚のように口をパクパクとさせていた。
「ふふ、でも射精はまだか」
 マコの中に収まっていた陰茎をズルっと抜いてしまう。
「にぃっ!」
「マコの可愛い顔が見れたし、今日はここまでかな。今度はもっと濃いセックスしたいね」
 新たな言葉が出て来たが、何となく分かったようだ。さっきより更にいやらしい事をされるのかと、想像をして布団に潜るマコだった。

2012.03.26 完成

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あきゅろす。
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