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■本編3-10* プール事情

 七月に入ってからというもの、太陽がこれでもかと、ぎらぎら町中を照らしつけていた。
 悟は暑いときには部屋に籠もるのに限る、と言ったが室内も二十六度くらいだろうか……。クーラーをつけているのに、少し動いただけで玉の汗が噴き出す。

「あーっつい!!」
 さっきまで沈黙していたはずの悟に、悠斗はびくついた。
「何もしてなくても暑い!」
「あっじゃあ、プール行こう、プール」
 水に入った瞬間を思い出しては、目を輝かせている。
「……」
 それとは反対に、じろりと薄目でこちらに目を向けられていた。何か不味い事を言っただろうか、と小首を傾げる。
「はぁ」
「何」
 呆れた態度に悠斗は分からず、むっとした。
「何度言わせるつもりなんだ、悠斗」
「だから何が?」
「学校は百歩……いや何千歩も譲ってやってるが。市民の皆さんにエロい乳首をわざわざ公開する必要はないだろ」
「ばか! 変なこと言うから僕まで暑くなってきたでしょ」
「はは……あ」
 悟は閃いた。
「家で疑似プールってのはどうだ?」

***

 悟は部屋から出ると、プールの準備をしに、風呂の浴槽に水を張りに行った。それを見た悠斗は、本気なのかと思いながら一度水着を取りに家に帰る事を告げる。
「え〜海パン必要かぁ?」
「プールなんでしょ? 必要だよ」
 意見を押しきって、足早に取りに行った。帰ってきた頃には、悟は既に水着を着て待っていた。
 後は悠斗が着替えるのを拝むだけだ。しかし、平気な顔で脱衣していく様を見て、恥ずかしくなくなったのかと思ったが、ズボンを脱いだ瞬間、青地の布が出て来た事に心の中で舌打ちをしてしまう。
「さて、疑似プールだし、体操から入ってみっか」
 二人しかいないのに、本当にプールに行ったようにし出す悟に思わず笑ってしまう。泳ぐ為には手首、足首を良く動かせよと準備運動を念入りにした後、悟がシャワーを手に取る。
「かけるぞ」
「冷たっ!! 冷た過ぎるっ」
 油断していた所にだったから、余計にそう感じた。
「うわ、確かに冷たいな、これ」
 そう言って笑いながら、悟もシャワーを頭から浴びる。
「もう……心臓から遠いとこじゃないの? あ」
 悠斗は悟の顔を見た途端、固まってしまった。
「何だよ?」
 悟が髪を降ろす事がそんなにないので、見る度に別人みたいでどきどきする。
「ううん、早く入ろ」
 そう言って、悠斗は足を水につけた。浅いので、すぐに底に足がついてしまうが、まずは全身をゆっくり浸かるようにする。それに続いて、悟も入った。
「……んー」
「銭湯の水風呂だな」
 二人だと、浮く事はもちろん、狭くて足も伸ばせない。予想はしたつもりだが、どこか期待をしてしまっていた分、悠斗は残念な気持ちが大きかった。
「大丈夫、大丈夫」
 また何か閃いたのか、悟は立ち上がると、浴槽の縁に座った。
「頭を縁にかけて力抜いてみ?」
 悟の言う通りにしてみると、背泳ぎは流石に出来ないが、体が気持ち浮いた。悠斗なら、ギリギリ浴槽にはまる背丈なのだ。
「凄い、ちょっとだけプールっぽくなった」
 喜ぶ悠斗を眺める、しかし……。
「はやっぱりけしからん乳首だっ」
「うわっ!?」
 浮かんだ悠斗の上にダイブした所為で、水が大量に溢れ流れてしまった。
「んっ……んんっ!」
 悠斗の口を塞ぎつつ、爪の先で乳首をかりっと引っ掻く。
「ん!」
 目で睨んだが、悟は楽しそうで効果は全くなかった。
「んっ、あ、ふ」
「ん……っ」
 優しく見つめながら浴槽の端に体を押し付け、更に指の力を込めて、くりくりとまさぐる。
「にぃっちゃ、んっ」
「すまんすまん、つい可愛いくて」
 もっと怒る前に、素早く手離した。
「もう」
 まだ、退いてくれない悟に困った顔をする。ずっと見てくる視線に、いつも悠斗は耐えられない。自分より大人っぽい体付きにも、意識してしまうしで、心臓は爆発しそうだった。
「悠斗」
「だ、だめっ」
 もう一度、キスを迫ったが、我に返った悠斗は顔を背ける。
「ここ、プールなんでしょ?」
「違うって思ってんだろ?」
 逃れさせるかと、悟の攻めは続く。
「プールだったとしても人いねぇし」
「それでもっ」
「夏の思い出、作ろうぜ」
 首にキツく吸い付き、痣を一つ作る。見える場所にしてきた為、二つ目を付けられる前に、手のひらで塞いだ。
「風呂をプール代わりにして、兄ちゃんとエッチなことしてましたって」
「んん!」
 今度は耳を舐られ、腹部からぞくぞくとしたものが駆け巡り、体を震わす。
「あ、っ……もぅ」
「それから、乳首弄られて、肉の棒を何度もケツに突っ込まれて、白いの沢山出――」
「っ、しない!」
 頑なな悠斗に舌打ちをする。せめてものと悠斗の後ろに回り込み、抱き締めた。

「はぁ、こうしてるのが一番だなぁ」
 そう言いながら、悟は悠斗の指で遊ぶ。
「……さっきはやらしい事しようとしてた癖に」
「そうだけどよ、一応気は遣ってるんだぞ」
「嘘だぁ」
 ペチンと軽く悟の手を叩いた。
「本当、本当。夏は汗かいてるから、べたべたするだろ? 嫌がると思って接触は減らしてたつもりだけど?」
 そうだったかなぁ……と思い出してみたが、好意を明かしてからというもの、悟が助平だという印象が強すぎた。
「でも、そんな事、気にしてたんだ?」
「そ、だからここだったら気兼ねなくやらしい事出来るだろ」
 悟が今、何をしたいのか、指先で教える。
「もう……本当に気を遣ってるのかなぁ」
 悠斗は渋々、悟の方へ向き合うと、唇を差し出した。
「従順で宜しい」
 かぶり付くように貪り、舌がぬると唇を割って口内を犯す。
「あ……んっ」
 舌をくすぐられると、項がざわつき、上顎を撫でられると、頭が痺れたような感覚になった。
 悠斗も求めて、悟の舌に吸い付く。
「悠斗、キス上手くなったな」
「ばか……っ、んん!」
 次第に悟の舌の動きが激しくなり、口では上手いと言った癖に、敵わないと思わされるくらいに攻め込まれてしまう。
「ん、ん、ん? んん、んん〜〜っ!」
「っはぁ」
「もっ、意地悪!」
「はは……?」
 悟の顔をじっと見て、悠斗は小さく呟いた。
「勃ってるし……」
「悠斗だって」
「……」
 悠斗は無言で悟の水着を腿まで下げた後、自身の水着はペニスが半分出るくらいに降ろす。その行動に悟は驚いたが、静かに見守る事にした。
 悟の首に抱き付くと、肌と肌を密着させ、ゆっくり腰を動かす。擦り合って抜いてくれるらしい。
「あ……ああっ……あ、やっあ、あ」
「っかわい……」
 自ら煽り、喘ぐ悠斗に悟が興奮しない訳がなく、再び口を塞いだ。
「! んんっんっんっ」
「んっ、ん」
 離せば、酸素を欲し、開いた口から舌が赤くぬらぬらと蠢いていやらしい。
「ん……んんっ」
 悠斗の舌で遊んでいると、口からだらしなく溢れ出る涎が、悟の喉の奥へと流れ落ち、受け止める。
「……は、っ」
 舌の方が気持ち良くなってきたのだろう、腰の動きは緩やかになっていた。
「っふあ……!」
 急に邪魔だと悠斗の水着を取り去り、足を持ち上げられる。そして、悟も加勢して、腰を突き上げるように煽った。
「あああ、兄ちゃん、兄ちゃんん」
 与えられる快感が強く、巻き付いている腕に力が入り、悠斗の肌が近付く。
「ああ、ぁ、あ、あ」
 目の前には美味しそうに熟れた、桃色の小さな果実が揺れている。……やっぱり、自分以外の奴には見せたくない、悟はそう思った。
 ちゅ、と乳首にキスをされた瞬間、ドクンと血が脈打った。
「んああっ」
 先から放ったものは、白い糸のようになり、浴槽をさ迷っている。
 熱に浮かされ息を整える様を、まだ艶めかしい目で見つめていると、それに気付いた悠斗は恥ずかしがって立ち上がろうとした。
「お預けか?」
「……え?」
「ひでぇなぁ、まだ終わってねぇけど?」
 水の中でも分かるくらい、ギンギンに反り立っているのが見えていた。
「あ……うわっ」
 浴槽に引き戻され、一瞬で悟の腕の中にすっぽり収まった。
「一人満足しちゃって」
「ごめんなひゃい」
 頬を軽くつねられる。
「忘れてた罰はなんにしようかねぇ……」
「……」
 不安気に見てくる悠斗に、ついにやけそうだった。
「そうだな」
 耳打ちしてきた言葉に、悠斗は真っ赤にするが、自分が乗った手前、否定も出来ないまま困った顔になる。
「ほら」
 悟が誘導しながら、二人は膝立ちになると、腰を引き寄せ、今度は悠斗のお腹で挟んで擦る事に。
 そして、
「本当、こういう事に素直になったよな」
「んん」
「抵抗がなくなった? それともケツが弛くなったとか」
「違う」
「流されてる?」
「違う」
「俺の事が好きだから」
「違、う」
「違うのか?」
 低い声で残念そうに言われ、びくつきながらも首を横に振った。
「嫌いなのにこんなことするのか?」
「ん〜」
 イエスともノーとも言い難い質問に、困り果てる悠斗。
「好きだから、こんなにエロい汁を出してるんじゃないのか」
 どちらのものか分からない程、二人の腹部は、粘液でびちゃびちゃになっていた。悠斗も知っていたが、指摘されると余計に恥ずかしさは増す。
「どっち?」
「ゃ……すき」
「やっぱ嘘ついたな」
「!?」
 勢いよく舌を滑り込ませ、窒息してしまいそうな程、激しく交わす。水は冷たいはずなのに、体は火照り出し、下腹は特に熱が集中していた。
「ん、ん、はっ、あ、兄、ちゃん」
 もう、自分の力では立てなくて、悟に寄り掛かった。しかし、悟は、くっと股間を更に圧迫してきて、悠斗は切なく喘ぐ。
「は、あ、あ、あぁ」
「さっき出したばっかなのに、また喜んでるし……いやらしいな」
「や、ああっも、だめ」
 悟が射精するまで、耳の側で囁かれる、という罰だったが、それまでに、悠斗がもう一回出す羽目になってしまう。

2016.06.02 完成

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あきゅろす。
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