[携帯モード] [URL送信]
■本編3-06*

 この場合、背の高い者が前で、低い者が後ろ、という状態のはず……。悠斗の後ろに悟がいるのがバレバレである。しかも、にやけていた。
「おう、裕也」
「っ!」
 顔を歪ませ、悟を睨む。
「悠斗と仲良くやってるか、裕也」
「兄ちゃん!」
「……」
 眉間の皺を更に深く作っては、裕也なりに顔の熱っぽさを隠そうとしていた。
「裕〜也」
「馬鹿にしないで下さい!」
「ただ名前呼ぶのに、馬鹿になんてする訳がないだろ?」
「はは…………?」
 あれ、と悠斗は疑問に思った。さっきまで普通だったのに、胸の辺りがもやもやしている。
「悠斗、悠斗?」
「あ、ごめん」
 悟に呼ばれて視界がクリアになるが、裕也はもういなくなっていた。
「どうした?」
「ううん、何でもない」
「そっか? 次に会ったらどんな意地悪してやろうかなぁ」
 考えている内に楽しくなったのか、悟の顔はにやついている。
 帰り道もああしてやろう、こうしてやろうかと色んな提案をされては苦笑で返す。家の駐輪所に付いた頃には、もやもやが膨れ上がっていた。
「なぁ、悠斗?」
「駄目だよ」
 その言葉を発した悠斗は、じっと悟を見つめて訴えている。自分の中にこんな感情があるなんて、少し嫌になるが、もやもやはなくなってくれない。
「冗談だろ? 何怖い顔して……」
 口に出して、悟もようやく気付いたようだ。
「……嫉妬?」
「ん」
 ぶっきらぼうに返事をする。
「兄ちゃんのばか」
 悠斗の顔が夕日より真っ赤に染まった。
「まじか」
「僕だって……嫉妬くらい」
「いや、まぁえらく素直に認めたなって」
 恥ずかしがりながら、口を尖らせている悠斗を見て、どうやって機嫌を取り戻そうかと考えた。頭を撫でるとか、いきなり抱き締めるのも良いが、それだといつものパターンだなと思ったが、しかし、可愛い……。

 いつものように、悟の家に連れ込むことにした。

「ほれ」
 両腕を広げて悠斗が来るのを待つ。
「……」
 悠斗は、顔を隠すように抱き付くと、安心して小さく息を吐いた。いつもこの温かさに助けられ、守られ、色んな事を教えてくれる。
「悠斗は欲張りだな」
 ちらっと悟を見た。
「毎日こんなに悠斗が好きだって滲み出てるってのに、まだ足りないんだろ?」
「滲み出てるかな?」
「だだ漏れだろ」
「……分からない」
 悟に甘えたい悠斗は素っ気なく答える。
「じゃあ、大人の好きの確かめ合いをしようか」
「?」
 案の定の反応に、苦笑しながら悟は言った。
「セックスだよ」
 悠斗は俯いてしまう。やはり、思い出すのは悟の誕生日の光景である。
「な、なんでそうなるの……」
「スキンシップの意味もあるって前に言っただろ?」
「だからって――」
「相田にはしない行為だし」
 今は一番効く、悪魔の囁きだった。

 抵抗しない悠斗に、合意をしたと捉えた悟は、逃げないよう念の為に早々と制服を脱がし、一糸纏わぬ姿にさせてしまう。そして、隠す暇も与えず、ベッドへ押し付けた。
 拘束するように両手の指を絡ませ、口付けると口を薄く開いて舌の侵入を許す。
「っ……どこもかしこも可愛いな」
「んっ」
 腰を密着させて、服で悠斗のペニスを煽る。本気なのだと思った。
「ん…………あ、う」
 手の感触でもなく、肌の滑らかさとも違う、繊維の質感にゾクゾクとした。
「気持ち良いだろ」
 擦り付けながらも、良がる悠斗の顔を窺い、悟も悦に入る。
「はぁ……悠斗」
「あ、ぁっ」
 完全に頭が持ち上がったペニスの先から少量の透明な液が溢れている。気付いたときには、既にそれが悟のスラックスに付いてしまっていた。
「っごめんなさい」
「気にすんな」
 そう言って、自身のシャツのボタンを片手で器用に外した後、スラックスの前を寛げる。締め付けられていたものが、開放されて質量が増した。
「……」
 ぴったりとしたボクサーパンツの所為で形が既に浮き出ている。
「脱がして」
「ん……うん」
 股間が悠斗の手が届く所まで近付き、パンツのゴムに片手をかけて降ろしたが、亀頭が引っ掛かってしまい、何とも言えない気分になる。
「はは、下手くそ」
「うぅ」
 再び催促され、今度は両手で掴まされる。ペニスを避けて腿まで降ろす。一瞬視界に入ったが、すぐに目を反らした。……何度見ても、自分のより立派だ。
「今更恥ずかしがるなよ」
 ついこの間も見た上に、触ったのに。
「だって」
 普通は服で隠れているものである。元々耐性がないのに、慣れるのも時間がかかるに決まっているではないか。それ以前に慣れるのかも分からないし……と、もんもんとした。
「じゃあ毎日セッ――」
「いや」
 やれやれと溜め息を吐きながら悟は下着を取り去り、適当に放ってしまう。悠斗の足元に移動をして、悟の手で両足を開くと、ペニスにキスをしてから口に含む。
「あぁ、ん」
 じゅると水音がする度に悠斗の腰が反応し、口の中のものは大きく膨らんでゆく。
「……ん、んん」
 悟のいやらしい舌の動きが直に伝わる。
「は、あっだめ」
 亀頭の割れ目をほじるように舌先で撫で付けられると、中心が痺れを起こし、じんわりと熱いものを感じた。
「でっ出ちゃ」
「ん、んっ……んっ」
「ああっ!!!!」
 しっかりと受け止められ、綺麗にねぶられる。
「は、は、はっ」
 悠斗の呼吸が忙しないまま、悟はお構い無しに続けた。
 口に含んだ精を双丘の中心に垂らし、一番細い小指で蕾を割ったが、奥には届かなくて、くすぐる程度にしかならない。
「は……ぁ」
 しかし、悠斗には小指だけでも肉の壁を押し退けるように、自身の中を拡げようとしているのが充分伝わっていて、吐息が時折漏れている。指を回すと入り口を擦られ、腰を少し反らした。
「んっ」
 薬指が増えた途端、眉間に皺を寄せてしまう。悟の枕を抱き締めて、顔の半分を埋めた。
「……悠斗、もしかして感覚戻ってるか?」
「そ、かも、でも兄ちゃんの匂いで怖くないよ?」
 その匂いのお陰で、悟が側にいると思わせてくれるのだろう。
「ん、あぁっ」
 ぐり、と二本の指を急に折り曲げる。さすがの悠斗でも分かった。意地悪だ。
「あっ……も、あっだめ」
 枕を取り上げようとしたが、悠斗は離そうとしない。
「本人がいるのにそれはないだろ?」
 また悟はムッとして、無理矢理ずらすとキスをした。
「んーっ! んっんっ」
 その間も、下の指は動かしたまま煽り続ける。
「ん、んっ、悠斗」
「ふ、ぅんっんんっ」
「っは……俺じゃ物足りないか?」
「あっ、あ……んっ。そんな事ない」
 そう言うつもりで枕を手にしたのではない、と首を横に振る。
「じゃあ、離しても良いよな」
 枕を奪われてしまい、少し残念な表情だった。
「……怖かったら俺を求めろ、俺にしがみつけ、俺が忘れさせてやる」
 一瞬きょとんとしたが、悠斗は頬を染めて笑う。
「ん、そうする」
 しかし、しばらくしても悠斗は笑ったままだったので、悟は気になって集中出来なかった。
「何だよ?」
「んん……兄ちゃんが枕に嫉妬するんだって思ったらおかしくって」
「だから滲み出てるっつったろ」
「本当だ。だだ漏れだね」
 幸せそうに言う悠斗にどきっとさせられる。
「だろ? ……悠斗、好きだ」
 耳に囁かれると、全身に甘い痺れが伝わる。
「僕も好き。んっ」
 唇を貪られながら、三本目の指が差し込まれた。

「……さっきはああ言ったけど、本気で駄目なら引っ張たけよ」
 なんの事かと思ったが、ペニスを手にしたのを見て、かっと頬が熱くなった。
 足を開かれ、蕾に亀頭が触れる。
「あ…………あっ」
 指とは明らかに違う容量のものが中に入ろうとしている。急に汗が滲み出てきた。
「や、こわ、い」
「止めるか?」
「んんっ、だめっ」
「……」
 続けると言ったが、少し苦しそうだ。悟は声をかけながら進めて行く。
「ふぅ、んっ」
「キツいのも、まんまだな…………は、っ」
 久し振りという事もあり、先が少し入っただけで悟は達してしまいそうになる。
「ああっ」
 ペニスの笠が先陣を切るように、狭い道をゆっくり割って奥へと進み、同時に頭を仰け反らせながら喘いだ。
「っ中、熱い」
「ん、んあっ……ぁっ、ぁ」
 埋った。まだ慣れない二度目の行為に二人は長く息を吐いた。
 呼吸を整えながら、悟は実感するように結合部分を眺めた。真っ白な肌に自身のペニスが咥え込まれている。その繋ぎ目が綺麗だと思った。
「……動くな?」
 頷いたのを確認して、更に足を開いてからゆっくり穿つ。
「あ、あっ、ん」
「はぁっ……はぁっはぁ」
 悠斗の体は一向に硬く、緩まる気配がしない。
「悠斗、止めよう」
 嫌だと再び拒否をする。
「引っ張たいてないもん」
 手を拡げ、それを悟の首に絡ませた。
「兄ちゃんが忘れさせてくれるんでしょ?」
「今日はどうした」
「だめだった?」
 潤んだ目が悟を誘惑する。
「いや、いつも以上に可愛い過ぎて……」
「過ぎて?」
「手加減出来るか分かんねぇ」
「あっ……あっあ、んっんっ……んんっ」
 再び腰を動かし出し、同時にしつこく熱いキスを送る。
「んあっあっ」
「んっはぁっ悠斗っ」
 感じているのか、時折きゅうっと締まるのが気持ち良い。背中に手を差し込み、悠斗は起こされる。
「あ、あ……っ」
 深く刺さって抜けない。それが、離さないと言われているように思えて、悠斗は恥ずかしくなった。
「んっあっあっあっあっあ」
 下から突き上げられ、奥に何度も悟の亀頭がぶつかる。
「あっああっあっ」
 悠斗の手首を掴み小刻みに揺さぶると、今度は擦りつけてきた。
「あっあっあ、ぅっあっあっだっめっ」
 それぞれを繰り返し続ける内に、熱くて蕩けそうな程、悠斗の頭は快感でいっぱいになる。
「だめっ……? 痛いか」
 と言いつつ、腰の動きを止めない。悟の顔を見るとにやけていた。
「もっ、ばか」
「はぁっはぁっはぁっ、あ、出るっ」
「あっあっあっあ、あ、あ……あっあ!!」
 顔を見つめながら、ほぼ同時に達してしまった。恥ずかしくて下を向くと、自分の出した精が悟のお腹を汚していて、更に真っ赤になる。
「……はは」
 いつの間にか、硬かった表情も柔らかくなって悟は嬉しそうに笑う。悟は起き上がり、ちゅうっと唇に吸い付いた。
「悠斗」
 何? と声にはせず、目で言う。虚ろな表情で息を整えている様も可愛いらしい。
「中……気持ち悪くないか?」
「?」
 夢中になって、つい中で出してしまったが、悠斗には何のことか分かっていないようだ。
「俺の精液」
「も、大丈夫。って、ちょっと」
 慌てる悠斗の尻を鷲掴みにして、蕾を拡げる。が、悟はそのまま何もせず、悠斗の顔を見てはこんな事を言った。
「……自分で掻き出すか?」
「へ?」
 朧気な意識がどんどん引き戻される。
「やっやだ」
「何で」
「恥ずかしいでしょ……!?」
「恥ずかしいから良いんだろ?」
「無理っあっ」
 尻を揉まれ、悠斗は体をびくっとさせた。
「見たい」
「いや」
「恥ずかしがってるとこ見たい」
「っばか!!」

 しかし、折れるのは悠斗の担当だ。

「は……あ」
 悟によって拡げられた蕾に指を一本差し込むと、ぐちゅと卑猥な音と粘液の滑った感触が手にまとわりつく。そして、悟の精液を外へと掻いた。
「……やらしくて良い顔」
「もう」
 ご機嫌な悟は、調子に乗って股関同士を密着してくる。
「あおらないで……」
「そんな眼差しで言われてもな」
 そう言って、悟は控え目に腰を何度か浮かしては、ペニスを擦れさせた。
「はぁ……ぁ」
 気持ち良くなったのか、悠斗の手が止まってしまった。
「はは、ちゃんと出してるか?」
 悠斗の手に悟の手を重ねさせる。しかし、そこからが衝撃だった。
「え、えっ!?」
 重ねただけでなく、悟の指も蕾へと入れてしまった。しっかり掴まれて、手は振りほどけず。
「ほら、出さねぇと」
「あ、ぁ……っちょっと!」
 ぐりっと肉壁を押された部分が熱くなる。悠斗より少し長い指がリードした。
「温かいだろ、自分の中は。気持ち良いと締め付けてくるんだぜ?」
「あっ」
 言った通り、蕾が一瞬閉まった。精液を出すつもりが、自身の弱い場所を教えられる羽目に。
 そうしていく内に、ペニスは膨らんで、涙を浮かべながら睨んだ。
「どんな表情も可愛くなるだけだって」
「あ……はぁ、あっ」
 蕾が幾度と開閉しては、きゅうきゅうと二人の指を締め付ける。
「っ、出て来た」
 精液と思われるものが、とろりと指を伝って流れてきた。
「……出たよ?」
「そうだな」
 悟は手を離してくれず、指をまだ動かす。ペニスの丁度裏側辺りを押した時だった。
「ああっ!!」
 ……また、悟のお腹に撒き散らしてしまい、泣きたくなる。
「は、はぁっばかぁ」
「ばかって、吐き出さねぇと辛いだろ? しかし、べとべとだな、風呂入るか、一緒に」
「いい」
 どうせ、いやらしい事をされるに決まっている。きっぱり拒否をされた悟は苦笑をした後、悠斗をベッドへ仰向けに寝転ばせた。
 断っても、まだまだ離してくれなさそうな雰囲気に、悠斗は困った顔をする。
「いっぱい出たな」
「あ……ひ、ゃ」
 悠斗のお腹にも、精液が飛んでいたらしく、悟は舐めとる。
「風呂入らねぇんだろ?」
「ティッシュで良いでしょ」
「だめだ、勿体ない」
 舌でくすぐられ、綺麗に唾液まみれて帰された。

 翌日、悠斗は信じられないと言わんばかりの顔をしている。

「あ! 裕也だ」
 昨日のあれはなんだったのかと、もやもやが湧き出た。
「やっぱり嫌いです」
「嫌いで結構めりけん粉だ」
「むかつく!」
 チラと悟は悠斗を見てはにやりとしている。
(……え!?)
 悟がこんなに意地悪だと思わなかった。だんだん裕也には罪悪感を覚えてしまう。
 裕也と別れて悟が近付いて来た。
「次、嫉妬したら一セックスな」
「ばか!!」

2016.02.13 完成

* 前 / 一覧へ 0 / 次 #




あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!