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GOD GAME
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ゴキ、ゴキッ…!

怒り心頭のアドラメレクの背からはまた服を突き破ってクジャクの羽が現れる。そんな彼女らをフッ…と鼻で笑うマルコ。
「騙される方が悪いのですよアドラメレク。いえ、お嬢様?」
「マルコ!!」


バサッ!バサッ!

「!!何処へ行きますの御子柴!御子柴!!」
我を忘れた御殿×御子柴のキメラはマルコを肩に乗せたまま、破壊された天井から外へ飛び去っていってしまう。だからアドラメレクもクジャクの羽を羽ばたかせて追い掛ける。
「お待ちなさい!御子柴!御子柴!!」
「出でよ」


パラ、パラッ…!

マルコが聖書をパラ、パラッとめくれば、聖書からは巨大なドラゴンが現れ…


ドスンッ!!

「アドラメレク!!」
尾でアドラメレクを床に力強く叩き付けた。


















「アドラメレク!おい!大丈、」
「お待ちなさいマルコ!」
叩き付けられてもアドラメレクはすぐに立ち上がる。しかしもうマルコを乗せた御殿×御子柴のキメラは米粒程の大きさに見える即ち、それ程天高く飛び去っていってしまっていた。
「お待ちなさいマルコ!!御子柴に手出ししたら承知致しませんわよ!!御子柴!御子柴!」
そしてついに、マルコを乗せたキメラの姿は見えなくなってしまった。
「っ…!!」
アドラメレクは目を見開き、自分の頭を抱える。
「アドラメレク…」
「御子柴っ…貴女にもしもの事があったら…わたくしは…わたくしはっ…!」
「アドラメレ、」
「御子柴ァアアア!!」
初めてアドラメレクが哀の感情を剥き出しにした瞬間。ベルベットローゼは目を見開いてからすぐ、切なそうに目を垂れ下げるとアドラメレクをきつく抱き締めた。
「御子柴っ…、御子柴っ…!」
「っ…!そうだよな、お前も本当はオレらと同じで独りぼっちだったんだよなアドラメレク…。悪かった…悪かったよ。お前を裏切って…。もう、お前を独りにしねぇよ…。何てったってお前は独りぼっちのオレを助けてくれた親友なんだから…そうだろ?アドラメレク…」
「っ…、助けてなんておりませんっ…!貴女はわたくしの…ぐすっ…、調度良い下僕だったから…幹部に入れただけですの…ぐすっ、勝手に自惚れていなさい…ぐすっ、裏切り者っ…」
「だから…、…あ?おい。アドラメレク。清春が居なくねぇか?」
「何ですって!?」
バッ!!と後ろを振り向くが、確かに清春が忽然と姿を消していた。しかし、赤と青が混ざった血が、廊下へ点々と続いていたからそちらへ行った事が一目で分かる。
「まさか清春アイツ…」
「貴女と違ってあの子は裏切りません!!」
「あ!おい待てよアドラメレク!1人じゃ危ねぇって!」
「貴女と居ると吐き気がします!貴女はまだ基地に捕らわれている他の神々の救出に向かいなさい!」
アドラメレクはそう言うと、清春が去っていった方へ行ってしまった。
残されたベルベットローゼはポツリ…呟く。
「オレ…許してもらえたって事なのかなぁ…アドラメレクに…」

































その頃。アガレスとサトリが捕らわれた地下―――

「コイツの腕とコイツの脚とを合わせたキメラを作って…」
気絶しているアガレスとサトリの体を押さえつけたヴァリレアの科学者達が、2人の体のどの部分を切り取って掛け合わせてキメラにしようか?と話し合っていた。
その様子を少し離れた場所からニコニコ笑顔で眺めていたマリア。しかし…
「…!」
何か気配を感じ取ったマリアは、科学者達には秘密にスゥッ…と姿を消してしまった。
「…あれ?マリア神は何処へ行った?」
「そうだな?おかしい。たった今まで其処に居たはずだ」
「気紛れなマリア神の事だ。すぐ戻ってくるさ」
「案外敵の気配を感じ取って1人だけ逃げたりしてな」
「はっはっは!まさか」


ドゴォンッ!!

「うわああああ!!」
「うああああ!?」
そのまさかが的中。地下の天井が破壊され、ただの人間でしかない科学者達は吹き飛ばされる。


パァッ…!

破壊された天井からは、白い穏やかな光と共に天使の羽を羽ばたかせたバジリスクと、バジリスクに抱えられたメアが現れた。
「ふむ。そなたの友人達は未だキメラにされとらんようじゃぞ」
「アガレス君!サトリ君!」
そこで気絶している2人を見付けたメアが叫ぶ。
「ダーシー神。そなたは友人達の救出にあたれ。その間に余がヴァリレア共を叩きのめしておこう」
「ありがとう!バジリスク君!」
「ふふふっ。愛らしいそなたに感謝されると照れてしまうのう」
バジリスクとメアは二手に別れる。
「ああああ…!あいつは確か2年前に捕らえた天使じゃないか!?」
「あいついつの間に逃げ出していたんだ!?」


バサッ!

「ひぃ!」
科学者達の前に、羽を羽ばたかせて舞い降りたバジリスクは科学者達をビシッと指差す。
「余に対して何じゃその無礼な言葉遣いは。余は大天使ミカエル様の右腕じゃぞ」
「ひぃい…!天使…!!」
「その無礼な口、二度と利けなくしてくれよう。余を捕らえた天罰じゃ」
「ギャアアアアア!」




























一方のメア。
「うんしょ!うんしょ!」
まずはサトリを担いで外へ避難させていた。次に戻ってアガレスを…と思ったら。
「!?何やってるの貴方!!」
戻ってみたら、気絶しているアガレスの横で1人の科学者がギギギギ!とチェーンソーを鳴らして構えて立っていた。
「来るなァア!来ればアガレス神の腕と脚を切断する!来なくてもそうする!ヒャハハハハ!」
「やめて!!そんな酷い事をする為に神様は人間を創ったんじゃないんだよ!?」
「うるさァアい!何が神様だ!人間様を侮るなァ!アガレス神から切断した脚と腕を他の神に合成して俺は今までに誰も造った事の無いキメラを造るんだよォオ!」


ギギギギ!

チェーンソーの刃が振り上げられる。
「やめて!!」


スパン!

「うぎゃあああああ!痛い痛い痛い腕がァアア!脚がァアア!」
「…!!」
科学者の背後からチェーンソーを奪い取った者が、科学者の両腕両脚を躊躇い無く切断した。ビュンッ!と吹き飛んだ科学者の両腕両脚。倒れた科学者の後ろで奪ったチェーンソーを持っている者を見てメアの目が見開かれた。
「き、清春君…!?」
清春は据わった瞳でメアをギロリ睨むとチェーンソーを持ったまま、アガレスの隣に立つ。だから慌ててメアがアガレスを引き寄せ、清春を見上げながら睨み付ける。
「ダメ!やめて清春君!」
「悪魔のニオイがするから来てみたらビンゴじゃん…まさか親父も同じ場所に居たなんてな」
「清春君どうして此処に!?そ、それより!アガレス君に手を出そうったって無駄だよ!」
「…はっ。何が"無駄だよ!"だ。チョーうぜぇんだよあんた」
「…?!清春君…私の事覚えているの…?」
「はぁ?何言ってんのあんた。あんたみてーなチョーウザい奴忘れたくても忘れるわけねぇじゃんアホダーシー」
「え!?清春君私の事覚えてるんだ!?きゃっ!」


ドスッ!

メアを蹴れば、メアの手から落ちたアガレスの頭を踏みつける清春。
「やめて!アガレス君に乱暴しないで!」
「ピーピーうぜぇな。あんたは本ットうぜぇよ」
「っ…!清春君!いつまでも取り繕ったって無駄だよ!本当は…本当はアガレス君に連れ戻してほしいんでしょ!?本当はアガレス君と一緒に居たいんでしょ!?全部全部分かってるよ!?ならもうアドラメレクからは離れようよ!私達の所へ来て、アドラメレクを倒そう!アガレス君も待ってるんだよ!」
「……」
「清春君!!」


ドガッ!!

「きゃあ!?」
清春に掴まれてそのまま乱暴に外へ放り投げ出されたメア。そしてアガレス。清春は、まだ其処で科学者達を痛め付けているバジリスクの方を向く。
「むむ?そなた見ない顔じゃのう。名は何と申す?」
「あんたも…」
「むむ?な、ななっ!?余を掴むとは無礼じゃ、うわあああ!?」


ドガッ!!

バジリスクの事も掴んで外へ放り投げた清春。
すると…
「ハァ、ハァ…!清春!」
「……。アドラメレクの姉ちゃん」
アドラメレクが駆け付けて来た。あと1秒遅ければ、アガレスとメア、バジリスクはアドラメレクに鉢合わせていて…殺されていただろう。
























清春は、アガレスやメアが居た事は黙って、素知らぬ顔をしている。
アドラメレクはというと、辺りに転がるヴァリレアの人間達の亡骸を見回している。
「……。亡骸に混じって羽が散乱していますわ。これは…天使の羽…」
白いふわふわの羽を1枚手に取るアドラメレク。
「さっき居たし。すぐ逃げたけど。そいつのじゃね?」
「そのようですわね。ところで清春。貴方、勝手に居なくならないでくださいます?わたくしに貴方を探させるだなんて貴方も随分と偉くなりましたこと」


コツン!

「痛っつ…、」
皮肉を浴びせながら頭を軽く叩くとアドラメレクはぎゅっ…と、まるで我が子のように清春を抱き締めた。
「ちょっ…!?何っ!?キモいんだけどこーいうの!!」
「我が子を抱擁して何がいけませんの」
「あんたの子じゃねーし!!」
「清春…。御子柴がマルコに連れさらわれてしまいましたの」
「だから言ったじゃん。マルコのジジィは裏切り者だって」
「あの子は可哀想な人神ですのに…今頃また昔のように泣いておりますわ…」
「…?アドラメレクの姉ちゃん…?」
様子のおかしいアドラメレクの顔を首を傾げながら覗き込む。
「…!」
すぐに清春はパッ!とアドラメレクに背を向けると、両手をポケットに突っ込んだ。
「す、すぐに助けに行けるっしょ!そ、そんな顔するとか姉ちゃんらしくねーし!」
「…清春は居なくならないでくださいな」
「え?」
振り向くと、アドラメレクがこちらを見ていた。
「清春はわたくしの元から居なくならないでくださいな」
「…あ…、」
清春は目を泳がせる。だがアドラメレクは有無を言わさず。
「約束…ですわよ」
















































その頃、天界某所――――


「あ"ーーもうーっ!!」


グチャッ!!グチャッ!

キメラ達を次々と肉片に潰していくマリアは、青い返り血を頭からかぶって怒り心頭の様子。
バフッ!とソファーに腰を掛け、人差し指をギリギリ噛んでいる。血が滲む程。そんなマリアの前に、マルコが半ば呆れた笑みを浮かべて立つ。
「まあまあ。何もできなかったわけではありませんよ。御子柴神をキメラにして持ち帰れた。これは、御子柴神を妹のように可愛がっているアドラメレクには大打撃ですよ」
「うるさいわ。ちょっと黙っていてマルコ」
「フッ…。了解しました」


スゥッ…、

マルコは呆れて笑みながら姿を消す。
1人になったマリアはまだギリギリと指を噛んでいる。
「アドラメレクちゃんに負けるなんて絶対何かの間違いよ。そうよ。バッドマンのせいよ。人間風情が。それにダーシーにまで逃げられるなんてこれもバッドマンのせい。そうよ。私は何もヘマしちゃいないわ。全てはバッドマンやヴァリレア。人間共のせいよ!使えない駒だわ!」


ガンッ!

「ギャアッ!」
またキメラを踏み潰せば、キメラは割れたスイカのように潰れる。
「グルルル…」
「でも…マルコの言う通り収穫が無かったわけじゃ無いしね」
マリアの背後の巨大な檻の中で唸っている巨大な2頭の獣の方を向くと、マリアは微笑む。その檻の中には御殿×御子柴のキメラと、天人×椎名のキメラが。
「フッ…今に見ていなさい人間共…アドラメレクちゃん…。この世を司る大神はマリア・ルーダ神以外いないのよ…♪」


































イングランド某所―――

「ひぃイ…怖いヨ…怖いよォ…」
「何また子供の頃みたいに脅えているのよバッドマン」
ガタガタ震え、頭を抱えて脅えているバッドマンの背後に立つのはラズベリー。ラズベリーに気付いていないバッドマン。ラズベリーはバッドマンを後ろから優しく抱き締める。
「あたしはあんたが可哀想な人間だから助けてあげたのに、こんなに醜くて汚い人間になっちゃって。…でもそれはあんたを甘やかしたあたしのせいかもしれないわね。神や霊が見えて、周りから嫌悪されていた可哀想な少年バッドマンを助けて甘やかしたあたしのせい…」


ガタガタ…ガタガタ…

まだ震えているバッドマンの事を、鼻で笑う。
「アガレスが先に堕天されて良かった。でなきゃ、あたしとあんたがアガレスとキユミみたいになっていたかもしれないからね」























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