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GOD GAME
ページ:1
「御子柴!御子柴!御子柴貴女なのでしょう!?何故こんな事になったのです!?御子柴!返事をなさい!!」
「オ嬢ッ…」
「御子柴…!」
化け物の体の腹部に埋まっている仮面のような御子柴の顔がズズッ…と現れてアドラメレクを見る。酷く辛そうに泣きながら。
「ゴメン…ナサイ…。憎キ御殿氏…ト掛ケ合ワセタ…キメラニサレチャッ…タ…」
「何をやっているのです御子柴!!貴女ともあろう神が!!とんだ失敗です!とんだおまぬけさんです貴女は!!」
「ゴメン、ナサッ…オ嬢ッ、」


ズズッ…、

白目を向いた御子柴の顔が化け物の体内に吸い込まれていく。アドラメレクは目を見開き呆然。
「御子柴…?御子柴…返事をなさい…御子柴…?」
「グオオオオ!!」
「危ねぇ!アドラメレク!!」


ドン!ドンッ!!ドン!

鷹×蛇のキメラ。即ち御殿×御子柴のキメラは我を失い、御子柴はアドラメレクの事を忘れると巨大な鷹の翼を羽ばたかせ、巨大な蛇の尾を振り回してアドラメレクを踏み潰す。
「アドラメレクゥウウ!!」
辺りに飛散するのは今の攻撃により破壊された壁の瓦礫。ベルベットローゼは瀕死ながらも、気力で立ち上がりアドラメレクの元へ駆け寄る。アドラメレクによって瀕死にされたのに。
「アドラメレク!!」
瓦礫の中からアドラメレクを探すベルベットローゼ。
「アドラメレク!おい!アドラメレク!」
「グオオオオ!!」
「…!しまっ、」


ドン!ドンッ!!ドン!

御殿×御子柴のキメラが、容赦無くベルベットローゼを攻撃する。
「あはははっ!アドラメレクちゃんってば〜良い親友をもったわね♪アドラメレクちゃんに殺されかけたにも関わらずアドラメレクちゃんを助けてくれるなんて!仲良しね♪仲良し同士、アドラメレクちゃんとベルベットローゼのキメラなんてどうかしら?良いわ!とーっても良い案!」
「低能とわたくしを一緒にしないでもらえますこと!!」
「!」
ハッ!としたマリアの正面にいつの間にかアドラメレクが現れた。


ドガンッ!!ドガンッ!

そのまま3部屋を突っ切って盛大に吹き飛ばされたマリア。


ガラ、ガラッ…

吹き飛ばされた衝撃で破壊された壁の瓦礫の中から姿を現すマリア。
「あーんもうーっ!アドラメレクちゃんのせいで傷だらけだし服が汚れちゃったじゃない!うふふ。怒ーこった♪私本当〜に怒ーこった♪」
マリアは立ち上がると、ニコニコ微笑みながら無線を手に取る。
「バッドマン。最後のアレ。もうやっちゃって♪」




























「ハァ…、ハァ…」
「アドラメレク!!」
アドラメレクのお陰でなんとかマリアから逃れられた。しかし、この難解ダンジョンのようなヴァリレア基地内を未だ脱出できずにいるアドラメレク。そしてベルベットローゼ。
基地内に充満する神々の弱点の食物性ガスの影響で、あのアドラメレクでさえも顔が青いし、壁に寄り掛かりながら足を引き摺って歩くので精一杯。
「ア、アドラメレク…!」
そんな彼女に半殺しにされても尚、彼女を心配して追い掛けてくるベルベットローゼ。


ギロッ!

「っ…!」
睨み付けるアドラメレク。
「アドラ、」
「わたくしの視界に入らないでくださります?目が腐ってしまいます」
「っ…!ア、アドラメレク!オレ…!」
「醜い…ハァ…、ハァ…出張った腹部の…ハァ…、奴など、わたくしの部下でも親友でもありませんわ!!」
「ア、アド、」
「消えなさい!即刻消え去りなさい!わたくしの前から消え去りっ、」


バタンッ…!

「アドラメレク!!」
言い欠けて倒れたアドラメレクにベルベットローゼが駆け寄る。アドラメレクは薄らと目を開け、真っ青な顔をして呼吸が荒い。
「お、おい…!どうしたんだよアドラメレク!?お前ともあろう大神がこんなガスごときで死にそうになるなんて…!…!?ど、どうしたんだよこの痣…!?」
アドラメレクの首や腕には黒い痣のようなものがじわじわと侵食している。
「何が…!?」


パシッ…、

力無い手でベルベットローゼの事を振り払う。
「お、おい!アドラメレク何だよこの痣!?お前どうしたんだよ!?」
「ハァ…、ハァ…。貴女…」
「おい!なぁ!アドラメレク!」
「腹部に宿した…ハァ…子の事は…ハァ…ハァ…、清春には…絶対…言ってはなりませんわよ…」
「なっ…!?何が…、」
「あの子が悲しむでしょう…、ハァ…、ハァ…。大好きな父親が…自分を悪神から助けに来ない間に…ハァ…ハァ…大嫌いな神との子を宿して…遊んでいるなんて…、あの子が知ったら悲しむでしょう…」
「…!アドラメレクお前…!?」


ドガンッ!!

「!?新手かよ!?」
壁が破壊され、ベルベットローゼはアドラメレクを抱き締める。自分もガスによる影響を受けているにも関わらずキッ!と目をつり上げて戦闘体勢に入る。
「アドラメレクの姉ちゃん達!?」
「…!」
「清春!てめぇもヴァリレアに捕まっちまったのか!?」
現れたのは敵では無く、清春。声がするとアドラメレクはムクッと上半身を起こす。

















「アドラメレクの姉…って何この痣!?大丈夫!?マジヤバくね!?」
「清春…、ハァ…、無事でしたのね…」
「無事のよーなそうじゃないよーな…。つーかベルベットの姉ちゃん裏切ったんじゃなかったっけ?」
「…!」
清春の一言にベルベットローゼはギクッ!として顔を反らす。そんなベルベットローゼの手から離れたアドラメレクは清春の頭を撫でる。
「嗚呼良かった…貴方は無事で良かったですわ清春…」
「貴方は…?…え?何?御子柴の姉ちゃんは…?」
「……」
「…!まさか…?!」
アドラメレクの表情で察した清春の顔も真っ青になる。
「マジかよ…ヤバイじゃん…ヤバイじゃんヤバ過ぎるじゃん!いくらマリアの姉ちゃんが居るっつったって人間ごときに御子柴の姉ちゃんがやられるとかヤバ過ぎるじゃん!!…ハッ!そうだ!そうだし!アドラメレクの姉ちゃん!」
「何ですの…ハァ…、ハァ…。というより貴方…このガスの中で随分元気ですわね…」
「俺?半分人間入ってるからじゃね?よく分かんないけどガスの効果とか全然無いし!」
あっけらかんとしている清春に、アドラメレクとベルベットローゼは呆れて肩を落とす。
「ヤバいんだって!マルコのジジィがアドラメレクの姉ちゃんを裏切ってたんだって!!」
「ハァ…ハァ…、またそんなつまらない嘘を…」
「嘘じゃねーし!!マルコのジジィはマリアと同期じゃん!?だから後輩のアドラメレクの姉ちゃんが世界を支配しているのが鼻についてて、ずっと姉ちゃんの側近を装ってずっと姉ちゃんを殺す機会を伺っていたんだって!!」
「……。清春。いくらマルコと不仲とはいえそれ以上デタラメを申すのでしたら許しませんわよ」
「本当だって!!」
「馬鹿な化け物の事を少しは信じてあげたらどうですお嬢様」
「その声は…!マルコ!?」


スゥッ…

清春の背後から現れたマルコ。いつものように優しい穏やかな神父の笑みを浮かべるマルコだ。
「マルコ貴方今まで何処に居りましたの!?」
「私ですか?私は今までこのヴァリレア基地内部でマリア神と幹部とずーっと策を練っておりましたよ。お嬢様を殺める為のね」
「…!?マルコ…貴方…!?」
「ほら言ったじゃん!マルコのジジィは裏切ったって!」
ニコッ。マルコは微笑む。
「お嬢様に忠実な部下を装うのは結構大変でしたよ」
「マルコ…貴方は!!」
「さあ。チェックメイトといきましょうか…高飛車で傲慢で低能な神アドラメレク」
「マルコ貴方もわたくしを裏切りましたわね!!」
「カチッ!といきましょウ〜!」


カチッ!

「!?」
天井から声がして、アドラメレク、ベルベットローゼ、清春が見上げる。其処にはバッドマンとマリアがニコニコ微笑みながらこちらを見下ろしていた。
「はぁ〜い♪アドラメレクちゃん♪あらあら〜マルコにも裏返らちゃったの?可哀想〜。ねぇねぇ。泣いてみせて?大神アドラメレクちゃんが、裏返られて悲しいよ〜!って可愛く泣いてみせて?私見てみたいなぁ〜アドラメレクちゃんが泣き喚く不様な姿♪あははっ!」
「わたくしを馬鹿にするのもいい加減に、」


ドクンッ…!!

「あ"ぁ"ッ…!」


ガクン…!

突然心臓が飛び出そうな痛みにみまわれたアドラメレク、ベルベットローゼ、清春は心臓を押さえながらその場に崩れ落ちる。その間も心臓はドクンッ!ドクンッ!と鳴り続ける。

















「あ"ぁ"…!ぁっぐ…!」


ドクンッ!ドクンッ!!

口端からだらしなく唾液を伝わせ、目は見開かれたまま体の自由が利かない3人を、ガスマスクを装着したマリアとマルコ、そしてバッドマンが楽しそうに笑う。バッドマンは自分の手の中にあるスイッチを差し出す。
「これをカチッとすれバ、貴方がた神々は自分の意思と関係無く体が動いてしまうのでス!このスイッチには神々が本来の姿を引き出す引き金となる興奮…つまリ、興奮剤が含まれているのでス!私のむかーし昔の彼女が発明してくれましタ!さア!変化して下さイ神々!さア!見せて下さイ神々貴方がたの本来の姿ヲ!」


バキッ!バキッ…!

アドラメレク達の意思とは関係無く、興奮剤の影響で無理矢理本来の姿を引き出される3人。
「ぅ"…、ア"ァ"ア"ア"!!」
アドラメレクの背からは本来の姿であるクジャクの羽が。ベルベットローゼの両手からは本来の姿であるコウモリの羽がバキバキと音をたてて無理矢理引き出される。
「ア"ァ"ア"ア"ァ"ア"!!」
「おヤ…?彼だけ今までの神々と違う姿をしていますネェ?」
呻く清春をバッドマンは指を指す。マルコとマリアはにっこり笑む。
「私も見るのが初めてですね。アドラメレクしか見た事が無いでしょう。清春君の神の姿は。でしょう?マリア神」
「そうそうー!アドラメレクちゃんったらちっとも見せてくれなかったもの。清春の神の時の姿。清春は本来の姿がいつもの人間の姿だからね。…ま♪清春を可愛がってたアドラメレクちゃんが見せたがらなかったのも頷けたわ♪清春があんな化け物の姿ならね〜♪」
巨大な化け物のような本来の姿を無理矢理引き出されたアドラメレク、ベルベットローゼ、清春。
「それでは始めましょウ!アドラメレク×ベルベットローゼ×清春のキメラ作製開始でス!」





























アドラメレクとベルベットローゼが会う少し前―――


「グオオオオ!!」


バサバサ!
ドスン!ドスン!

鷲の翼をばたつかせ。ライオンの脚で壁を破壊し、シマウマの胴体で暴れ狂うキメラを前に、赤い血を肩や腕…ブレザーに滲ませて座り込んでしまっている椎名が居た。
「グオオオオ!」
「…ないよ…、でき…ないよ…、」
「グオオオオ!」
椎名は鷲×ライオン×シマウマの巨大なキメラの脚に抱き付いてキメラの頭部を見上げる。彼らしくない目にいっぱいの涙を浮かべて。
「僕にはできないよ…できるわけないよ…天人を殺すなんてできるわけないよ…!!」
白目を向いた天人の頭部をしたキメラの目が顔が、いつもの優しい天人の顔に一瞬戻った。
「天人…!!」
いつもの優しくて明るいあの笑顔の筈なのに天人も椎名同様ボロボロ泣いていた。
「カナデ…ゴメン、ナ…」
すぐ一瞬でまた白目を向いた天人の頭部。鷲×ライオン×シマウマ×天人のキメラがグワッ!と口を開ける。
「天人!!」


ゴクン…、

キメラは、泣きじゃくる椎名を頭から丸飲みした。

































一方。
こちらも、アドラメレクとベルベットローゼが会う少し前のアガレスとメア――――

「コ"ケ"ェ"ーッ!」
「モモが良いか皮が良いか。いや軟骨も捨てがたいか」
「アガレス君!鶏さんで何やってるの!!」
14階で何故かついて来た鶏を連れて再びエレベーターに乗り込んだ2人。鶏の首を締め上げながらぶつぶつ呟くアガレス。
「可哀想だよ!」
バッ!とアガレスから鶏を奪い取るとメアは鶏を撫でる。
「よしよ〜し。可哀想に。あの子はいじめっ子だから近寄らない方が良いよ〜」
「コケ〜ッ」
最初から異常にメアになついている上、鶏からメアに飛び付いて甘えるからそれを見ているアガレスは眉間に皺を寄せて見るからにイライラしている。
「コッコッコ!」
「あははっ!くすぐったいよ〜」
ニヤリ。
「なっ…!?」
鶏はアガレスの方をニヤリ「どうだ!」と言わんばかりの勝ち誇った笑みを浮かべた。メアには見せない意地の悪そうな笑み。ビシッ!と鶏を指差す。
「おい!焼き鳥!べたべたするな!」
「コケッ〜」
「泣き真似をするな!貴様の本性は分かっているんだぞ!」
「アガレス君!どうして意地悪を言うの!こんな物騒な基地にたった1羽残されていた可哀想な鶏さんなんだよ!」
「どう見たってただの鶏では無かろう!それにヴァリレア基地に居たのならどこかの神の本来の姿の可能性が高い!」
「あ!そっか!」


ギクッ!

ギクッ!とした鶏を見逃さなかったアガレスは鶏の鶏冠を掴む。鶏は冷や汗ダラダラ。















「おい焼き鳥。貴様ただの鶏では無いだろう。何処の国の名はなんという神だ。貴様純粋な鶏を装い、ダーシー殿にべたべたべたべたと…」
「コ、コケ〜ッ?」
「コケコケ煩わしい!!」


ポーン、

「13階に…着いた?」
「む」
エレベーターのランプが13階に点けば、ゆっくり開かれる扉。扉の向こうからでも何だかザワザワした大勢の人間の声がする。キョトンとしているメアの前にすぐさまアガレスが出る。
「大勢の人の気配…?」
「下がっていろダーシー殿」
扉が完全に開くと13階フロアには異様な光景が広がっていた。
「きゃあ…!な、何あれ…!」


ザワザワ。ザワザワ。

ゴーグルと白衣を着用したまるで科学者のような大勢の人間達がテーブルに着き、捕らえた神々の腕や頭、脚をビーカーで液体と混ぜたり…怪しい実験を繰り広げていた。


ガンッ!

科学者達に気付かれぬようアガレスは慌ててエレベーターのcloseボタンを蹴り押す。しかし、エレベーターの扉はイラつく程ゆっくりとしか閉じていかないからもどかしい。
「早くしろ!使えない扉、なっ?!」


ぐいっ、

「アガレス君!!」
エレベーターに一番近い席に着いていた科学者の1人に腕を引っ張られたアガレスがエレベーターの外へ引き摺り出される。その間にも閉じていくエレベーターの扉の速度が今度はやけに速く感じられる。
「クフフ。青い髪に青い渦巻きの瞳。コイツはバッドマン様が探していた他に例を見ない悪魔堕ちした堕天神アガレスかなぁ?」
「くっ…!放せ木偶の坊!!」


ガッ!

「っ…!?」
ガッ!とアガレスの右目瞼を手で開かせれば、科学者の顔がアガレスの瞳に歪んで映る。
「おぉ素晴らしい!人間には見ない瞳の形をしている。コイツでキメラを製造すればさぞ有能なキメラが出来上がり、バッドマン様から認めてもらえる!」
「アガレス君!」
「くっ…!放、せ!木偶の坊…!ハァ…、ハァ…」
「おやおや。ガスの効果で力が出ないようだ堕天神。ならば今の内にこの睡眠薬を打てばおとなしくなるかな?」
ギラリ。
注射針を光らせて狂人のごとく笑む科学者。アガレスはガスが利いて、体が重たく身動きが取れなくなってきている。そんなアガレスに、メアはエレベーターを飛び出す。
「アガレス君今助けに行くよ!!」
「バッ…!お前は、ハァ…来るんじゃ…、ハァ…」
「ほほう。ソイツは確か天界を追放されたダーシー・ルーダ神かな?2人まとめて神が手に入るなんて好都合だ!」


ドスッ!

「うぎゃあ"!!」
すると突然科学者の顔面を蹴り上げた白装束を着た細い長身の者が、アガレスとメアを両脇に抱えてエレベーターの中へ飛び込んだ。
「サトリが逃げたぞ!」
「貴重な神を逃がしてたまるか!」
「捕まえろ!!」


バタン!

しかし科学者達の声も虚しく、エレベーターの扉は閉じた。
























ウィーン…
エレベーターは再び勝手に下へ下へ降りていく。
しん…としてエレベーターの機械音しか聞こえてこないエレベーター内。突然抱えて助けてくれた長身で細身、藤色の腰まである長い髪と左目を隠した長い前髪に白装束のヒト。男にも見えるし女にも見える。その者をまじまじ見ているメアが口を開く。
「あ、あの…。助けてくれてありが、」
「助けてくれてありがとう」
「え?」
メアが言おうとした事を先に言う白装束のヒト。メアが頭上にハテナをたくさん浮かべている間にも、白装束のヒトはペラペラ喋り出す。
「このヒト私が言おうとした事をどうして先に言ったんだろう?」
「えっ!?」
「何で?どうして?このヒト私の言いたい事をまた言っちゃったよ!」
「えぇえ!?」
メアが言おうと考えていた事を先に次々と喋り出してしまう白装束のヒトにメアが慌てふためいている。そんなメアを、長い前髪の隙間から覗く顔には怪しげな笑みが浮かんでいた。
くるり。
「む」
そして白装束のヒトは次にアガレスの方を向くと口を開いた。
「何だコイツ木偶の坊なのか雌豚なのか分からん奴だな」
「む」
「このヒトまさかアガレス君が言おうとしている事をアガレス君より先に言っちゃった!?」
メアが言う通り、白装束のヒトはアガレスが言おうとしていた事を喋り出す。まるで、アガレスの頭の中を悟っているかのように。
「アガレス君頭の中読まれちゃってるよ!」
「む。らしいな」
「皮も捨てがたいがやはり軟骨にするべきか」
「ちょっとアガレス君!この危機的状況の中、何考えてたの!!変な事を考えているのも読まれちゃってるよ!!」
「コケーッ!!」
アガレスが頭の中で考えている事をペラペラ喋る白装束のヒト。
「ギャーギャー煩わしいが可愛い奴だなダーシー殿は」
「えっ!?」
「そんな事考えとらん!!」
白装束のヒトの発言に真っ赤になるメアと、真っ赤になるが怒るアガレス。
「アガ、アガ、アガレス君緊張感無いよ!キメラにされるかもしれないって時に!!…で、でも嬉しいなっアガレス君に可愛いって思われちゃった!えへへ」
「わわ私そんな事考えてないよ!!」
「ふっ。何がえへへだ」
「カチーン。アガレス君ムカツ、」
「えへへとは何だ…コイツ他人に緊張感無いと言っておきながら可愛い奴め」
「だから俺はそんな事を考えとらん!!いい加減にしろ貴様!何者だ!!」
頭の中を読まれて真っ赤になって怒る2人を、クスクス笑う白装束のヒトは口を開く。
「サトリ…」
「サトリ?」
白装束のヒトが初めて他人の思考以外…つまり自分の言葉を発した。
「貴様サトリというのか」


ニィッ…

歯茎を見せてお歯黒の歯で笑う白装束のヒト『サトリ』に、後退りしてしまうアガレス。
「あ!サトリって私聞いた事あるよ」
「む。何だと」
「御殿さんから昔読んでもらった日本の絵本にね。サトリっていう名前の妖怪が出てきたの。サトリは他人の思考を読むから相手が言おうとしている事も喋るし、相手が言った言葉を復唱する妖怪なんだよ」
「貴様日本の妖怪か」
サトリはニィッとまた笑う。
「妖怪だったけど…永らく生きていたら祀られてね…神になったのさ…」
「何だかコイツの喋り方は何処かの誰かと似ている気がするな…」
「うん。私もそう思うよ」
アガレスとメアの頭上に椎名が思い浮かんだ。
「サトリちゃんは神様になったからヴァリレアに捕らわれて此処に居たんだね。でも今逃げてこれたんだ!助けてくれてありがとう!一緒に此処を出よう!」
「ちゃんじゃない…我は男さ…」
「ご、ごめんなさいサトリ君!」



















エレベーターは次々と勝手に降りてはフロアへ着いたが、襲い掛かるヴァリレアの人間はアガレス、メア、サトリで何とか退治。エレベーターが降りる階。残すは地下の階だけとなった。
「ハァ…、ハァ…」
「アガレス君顔色悪いよ!私のガスマスクあげるから…!」
「要らん。ハァ…、」
「でも!」
「お前…、ハァ…の方が弱いのだから…ハァ…お前が使え…」
「そんな事言われても私…!」
「万が一お前が死んだら自分が死ぬより辛い事も分からんのかコイツは!」
「えぇっ!?ア、アガレス君そう思ってたの!?」
「だからそんな事は考えとらんと言っているだろう木偶の坊!!」


ポーン、

「あ…。地下に着いたね」
「コケーッ!」
エレベーターは最後の階。地下フロアに着いた。
「行こうか鶏さん」
「コケーッ!」


ぐっ、

「あっ!」
鶏を引き剥がしてアガレスはメアの右手を掴んで引っ張りながらエレベーターの外へ出るから、鶏は「コケーッ!コッコッコ!」とバサバサ飛びながらお怒り。サトリはサトリでいつもの不気味な笑みをニィッと浮かべていた。
「鶏ごときに盗られてたまるものか。ククク…」



















ウー!ウー!

「マウイヒ神発見」
「ギャァ!」
「捕獲完了。ギナラ神発見」
「ギャッ!ギャア!」
「捕獲完了」
パトカーのサイレンのようなウーウー騒がしいサイレンが響く地下。レッカー車のようなクレーンを積んだ車が8台地下を行ったり来たりしており、逃げようとした神を感知すると赤いランプが点灯してサイレンが鳴り響き…そして車8台が神を囲み捕らえていく。
その繰り返される光景を地下の柱の陰に隠れて覗いているアガレス、メア、鶏、サトリ。
「見つかるとサイレンが鳴る仕組みかな…」
「いや。先程遠方からだがマウイヒ神が感知された。匂いか何かで遠方からでも神を感知する仕組みだろう」
「そんな…」
「上…」
「え?」
サトリが長い白い爪を生やした人差し指を天井にスッ…と向けると。張り巡らされた鉄筋の奥には小さな扉があるのが見える。
「あそこから我は来たのさ…」
「!?じゃああの扉が出口って事?サトリ君!」
「此処にだけ唯一…目に見える出口がある事を分かっているから…神々が此処に集まるのさ…」
「そうなんだ!じゃあ上へ登ろう!」
「ああ。取り敢えず外へ出てからヴァンヘイレンに救助を要請し、それから御殿殿と人間達を助ける必要があるな。ガスが充満する此処に長時間居て御殿殿達を探し回っていてはこちらが先にあの世逝きだ」
アガレスが先に柱を登り、天井を支える鉄筋の上に乗ると、鶏を抱えたメアの腕を引っ張る。最後にサトリが登る。


ウー!ウー!

「キノイ神捕獲」
「ギャア!」
「ダマラ神捕獲」
「クソォオ!人間共覚えていろォオオ!」
下ではサイレンと捕らえられた神々の喚き声が響いている。3人は細い鉄筋の上を四つん這いで進む。唯一見える出口を目指して。
「うわぁ…みんな捕らえらていっちゃうよ。人間なのに神様に敵うなんて」
「ガスの影響で神々が弱体化しているからだろう」
「そっか」
「急ぐぞ」


ウー!ウー!

「またサイレンだ。嫌だな次は…、」
「アガレス神、ダーシー神、サトリ神発見」
「!!」
「チッ」
サイレンはアガレス、メア、サトリを発見したサイレンだった。



















3人が這っていた鉄筋の下に車が集結する。
「でもこんな上に居る私達にヴァリレアの手は届かないよ!」
「それはどうかと思う…」
「え?サトリ君それはどういう、」


ガシャーン!!

「!!」
レッカー車の巨大クレーンを3人目掛けてぶつけてきたヴァリレア。寸の所でサトリが避け、アガレスはメアを抱えて避けた。
避けていなければ今頃真っ二つにプラン…と垂れ下がったこの鉄筋のようになっていただろう。ゾッ…!と顔を青くするメア。
「おい雌豚!」
「え?わっ!?」
メアの腕を引っ張る。


ガシャン!ガシャン!ガシャン!

鉄筋という鉄筋を端からクレーンで破壊していくヴァリレア。残っている鉄筋の上を走って逃げる3人。しかし…


ガシャン!ガシャン!ガシャン!

「くっ…!挟まれたか」
逃げていた反対側からもクレーンが襲い掛かってくるから挟まれてしまった。
「ど、どうしようアガレス君!」
「上さ…」
「ああ」
「う、上?きゃあ!?」


タンッ!タンッ!タンッ!

サトリ、鶏を抱えたメアを抱えたアガレスが跳び天井に逆さに走るから、天地が逆転した光景にメアはあわあわ。
「あわわわ!アガ、アガ、アガレス君逆さまに走れるの!?サトリ君も?!」
「このくらい当然だろう」
「下級神でもできるさ…」

タンッ!

クレーンをかわしてかわして、ようやく扉まであと50mのところまで来た。
「お前が先に行け雌豚」
「え!?アガレス君とサトリ君が先に、」
「ぐだぐだしている暇は無い。さっさと行け」
「わ、分かりましたっ」
メアは鉄筋の上を這って扉を開く。次に鉄筋をアガレスとサトリが這うと…


ガシャーン!!

「!?アガレス君!サトリ君!」
「コケーッ!」
あと寸の所で扉に手が届くまさにその寸前にクレーンが扉へ続く道を破壊してしまい、破壊された鉄筋ごとアガレスとサトリはヴァリレアの車が集結している地へ落下。
















「アガレス君!サトリ君!」


ガシャン!ガシャン!

まだ残るメアを捕らえようとクレーンが再び襲い掛かってくる。
「行け!雌豚!」
地上では集結したヴァリレアの人間達に両脇を抱えられて連行されるアガレスとサトリ。
「そんなのできないよ!2人を於いてなんてできないよ!」
「行けと言っているだろう!」
「やだ!!私も助けに、」
「お前が生きていなきゃ俺は生きてる意味が無いんだよ!!」
「…っ!!」


ブシュー!!

ヴァリレアの人間達に顔面にガスを吹き掛けられればアガレスとサトリは力無くダラン、としてしまい車内へ放り込まれてしまった。
「アガレス君!!」


ガチャッ…、

「…!!」
その車内から現れ、メアににっこり笑顔で手を振るマリア。
「お姉ちゃん…!!」
ギリッ!と歯を鳴らすとメアは躊躇いつつも…、


バタァン!!

マリアが追ってくる前に、扉から外へ脱出した。
























イングランド街外れ―――

「はぁ!はぁ!はぁっ…!」
ヴァリレア基地を脱出してから命辛々走って走って逃げてきた街外れは、ヴァリレアで起きている惨劇など他人ごとのように静かな夜の刻が流れていた。


ペタン…、

力無く道の真ん中に座り込んでしまった放心状態のメア。
「どう…しよう…。私…だけ逃げてきちゃった…。アガレス君に言われても…逆らって…助ければ良かったのに…。私…わた、しっ…」


ポタッ…ポタッ…、

涙の雫が地面に一つまた一つ増えていく。
「わたしっ…わたし何やってるんだろう…。御殿さんを…椎名君を…天人君を…アガレス君を於いてきたんだ…わたし…、」


バッ!!

顔を両手で覆い、泣き喚く。
「うわあああん!私なんて最低だ!最低最低最低だ!私みんなを於いて自分だけ生き延びたんだ!最低だ!私っ…、うわあああん!」


ホー、ホー…

梟の鳴き声を掻き消す程のメアの泣き声。
「うわあああん!うわあああん!」
傍では、メアが抱えていたから一緒に脱出できた鶏が珍しくおとなしく黙って立っている。
「うわあああん!御殿さんっ!アガレス君っ!アガレス君だけは私の事覚えていてくれたのにっ!なのに私は卑怯だ!うっ、うぅ!」
「そなたに泣いた顔は似合わんのう」
「え…?鶏…さん…?」
鶏から少年の高い声が聞こえ、振り向くと。パアッ!と鶏は真っ白く暖かい光に包まれる。眩しくて目を開けていられない程の。
「鶏さ、」


バサッ!バサッ!

「え…?」
ドラゴンの羽だった鶏の羽が真っ白く大きく純白の羽になり、バサバサと羽ばたけば、メアは目を丸める。其処に居た筈の鶏がミントグリーンの髪をして白い服、額には太陽の紋章、極めつけは真っ白い天使の羽を生やした少年の姿に替わっていたのだ。
メアはぱちぱち何度も瞬きをする。
「あ…貴方は…?」
少年は背中に生やした白い羽を自慢気に羽ばたかせて笑む。
「ヴァリレアにキメラの材料として永らく捕らわれていた天使じゃ」
「て、天使…?」
「名はバジリスク。大天使ミカエル様直属の部下の智天使じゃぞ」
「ミカエル…?先生が大天使ミカエル…!?」
少年バジリスクはニィッと笑む。
「アドラメレク神に逆らいし追放者ダーシー神よ。そなたのお陰でようやく外へ出れたのじゃ。感謝する」
「え?えっ?」
「そなたの優しさ、此度でしかと受け止めたぞ。愛らしいそなたに骨抜きな余が、助けてくれた礼も兼ねてそなたの仲間も助けてしんぜよう」


バサァッ!!

智天使バジリスクが羽を羽ばたかせれば、辺りはパアッ!と優しい白い光に包まれるのだった。












































日本―――――

「ねぇ…何?真っ黒い雲とあの真っ赤な空…」
夜にも関わらず日本の空はどこもかしこも、血を溢したような真っ赤な空に黒い雲が広がっていた。
「ニュース速報です!異常事態です!日本全国各地で今、奇っ怪な現象が起きております!政府はこの現象の原因を調査中!国民の皆さんは無闇に外へ出ないで下さい!繰り返します、」
京都の尼子寺では天人の弟や妹達そして両親が不安そうにニュースを見ていた。
「お兄ちゃん…大丈夫かなぁ」
「天人お兄ちゃん達は大丈夫だよっ!日本じゃない国に居るんだからっ!」
気丈に振る舞う弟と妹達。天人の母だけは目を見開き、カタカタ歯を震わせて呟いていた。まるで呪いのように。
「嗚呼…何という事なの…。これはまさしく日本の神に何か良くない事が起きている証拠…。土地神の体調の変化はその土地に影響する…。日本の神御子柴神に何かあったに違いありません…。嗚呼…日本が終わってしまう…」























同時刻イングランド―――


ヒュウゥ…

冷たい夜風が吹く夜分。ヴァリレア基地を木の上から見下ろしているのはベージュのトレンチコートに身を包んだラズベリー。
「…馬鹿ね。中級神々程度で留めておけば良かったのに。よりによってアドラメレクをキメラにしようだなんて馬鹿よ。馬鹿過ぎて笑えないわ」


ヒュン!

夜風に紛れてラズベリーは姿を消した。


ドォンッ!!

直後ヴァリレア基地の西側が爆発すると基地は真っ赤な火を噴いた。


























爆発が起きた
基地西側内では――――

「ぎゃああああ!」
「か、神が御乱心だぞ!逃げろ!直ちに逃げろ!」
「だから私は言ったんだ!他の神を捕らえても、アドラメレクに手を出すのだけはやめろって!」
「非常口を!ぎゃあああ!」


ドスッ!ドスッ!

炎の海と化した基地西側内部。他人を押し退けても我先にと逃げるヴァリレアの人間達を逃がすまいと、目にも止まらぬ速さで次々と彼らの頭を斬っていくのはラバ×クジャクの姿をしたアドラメレク。
辺りの壁にはべっとりとしたまだ新しく生暖かい真っ赤な血飛沫が飛散しているし、足元には白目を向いたヴァリレアの人間達の生首が何100と転がっている。その様はまるで地獄絵図。
バサッ、バサッと真っ赤な返り血に染まった羽を羽ばたかせるアドラメレクの隣で、コウモリの姿をしたベルベットローゼはパチン!と嬉しそうに指を鳴らす。
「やったぜ!さすがアドラメレクだな!」
ベルベットローゼの事は無視をしてアドラメレクはくるっ。と後ろを振り向く。其処にはこちらを天井に隠れて見ていたバッドマンが。
「ひィッ!」
「お待たせしましたわ。最後はヴァリレア創設者にして幹部の貴方の晴れ舞台」
「ひ、ひぃぃイ!!」


ダダダダ!

巨体でドスドス床を鳴らしながら走って逃げるバッドマン。しかし彼の前には…


バサッ、

「ひぃイ!!」
アドラメレクが立ち塞がる。後ろを振り向くバッドマンだが、後ろにはベルベットローゼ。下は炎の海。完全に逃げ道を塞がれてしまったバッドマンはぺたん…、と座り込んでしまう。
「あ、あァ…あア…何て事でしょウ…あァ…」
「怖じ気付くんなら最初からオレらに楯突くんじゃねぇよ人間!」
「このわたくしを捕らえ尚且つ低俗なキメラに仕立てようとした愚かな人間。貴方のような低俗な人間には造り直しの儀を施す価値もありませんわ」
「あ…あァ…あ…、」


バサッ!

アドラメレクはそのクジャクの羽をバッドマンに向けて、悪魔のような鋭い目で彼を睨み付けた。
「下がれ。薄汚い人間が」
「ひぃいイ!!」


スパンッ!!



















しかし…。
「!?何故貴女が此処に居るのですラズベリー氏!!」
バッドマンの首をアドラメレクが切る寸前。突如現れたラズベリーがバッドマンを抱えて回避。突然の彼女の登場にアドラメレクは驚くがそれも一瞬の内で、すぐさまキッ!と目をつり上げると羽を羽ばたかせ、ラズベリーをバッドマンもろとも攻撃。


ドン!ドンッ!ドン!

しかしラズベリーはバッドマンを抱えたまま、まるで蜃気楼のようにユラユラ揺れながら姿を消していく。
「お待ちなさいラズベリー氏!貴女もわたくしを裏切るのですわね!!」
「裏切るもなにも、言ったはずよ。私は誰の味方でも無い一匹狼だ、って。でも…この人だけは見逃してあげてほしいと思っている時点で私もダメよね」


スゥッ…、

「ラズベリー氏!お待ちなさい!ラズベリー氏!」


ヒュン!

ラズベリーはバッドマンを抱えたまま姿を消してしまった。


ダンッ!

「くっ!」
苛立つアドラメレクが壁を殴っただけで壁は4部屋を突き抜けて破壊される。それ程の力。
「アドラメレク!」
興奮剤の効き目が切れてヒトガタに戻ったアドラメレク達。ベルベットローゼがアドラメレクに駆け寄るがアドラメレクはヒラリ、と彼女を避けてしまう。
「ア、アドラメレク…!」
アドラメレクは、其処で踞ってウーウー唸っている清春の背をさする。
「うぅ…、うっ…、やだ…、何で俺がこんなっ…」
「清春。もう大丈夫ですわ。興奮剤の効き目が切れて貴方はいつもの貴方の姿に戻っておりましてよ」
「うっ…、本、当…?」
「ええ。そうでしょう。ほら。御覧なさい貴方の両の手を」
アドラメレクは清春の両手を手に取り、清春に見せる。いつもの人間の手をしていた。
「本当だ…」
「ね?」
その様子を、離れた場所から顔を青くして見ていたベルベットローゼ。
――さっきヴァリレアの興奮剤?の影響でオレらの本来の姿が強制的に引き出されたけど…。まさか、半神の清春もあんな化け物の姿を持っていたなんてな…。通りで今までアドラメレクしか見た事がねぇ…いや、見せなかったわけだ。あのまま興奮剤が効いていたら半神のアイツじゃ自分を制御できずに…――
















「裏切り者」
「!」
いつの間にか前に立っていたアドラメレク。"裏切り者"と冷たい瞳で睨まれながら呼ばれてしまい、ベルベットローゼは唇を噛み締めてから下を向く。
「ア、アドラメレク。オレ…」
「御託は後ですわ。今は御子柴の救出。そしてマルコとマリアを肉片にする事が先です」
アドラメレクはベルベットローゼの脇を通り過ぎていく。
「そ、それって…。ア、アドラメレク!オレもその救出とぶち殺すのに参加しても良いって事かよ!?」
「……」


カツン、コツン…

ダメとも良いとも言わず、アドラメレクは歩いていってしまう。だが、拒否をされなかった事に喜んだベルベットローゼはアドラメレクの元へ駆け出す。満面の笑みで。
「アドラメレク…!ありが、」


ドガンッ!!

「…!?」
天井を突き破ってまた新手の登場。
「アドラメレク!!」
ベルベットローゼはすぐさまアドラメレクの前に両手を広げて立つ。彼女らの前に現れた新手は鷹×蛇のキメラの姿をした…
「御子柴!!」
御殿×御子柴のキメラ。その巨大キメラの右肩にはヒトガタのマルコが座っているからアドラメレクは目を見開き、怒りを爆発させる。
「マルコ!!御子柴に何をしたのです!この裏切り者!!」




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