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GOD GAME
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イングランド某所――――

「フフフフ。やって来たようですネ。ヴァンヘイレンの者共ガ。資料は持ってきていますねミシェル君?」
「他人に頼むくらいなら自分で持って来れば良いだろ。僕は早くビアンキの元へ帰りた、」
「何か仰いましたカ?」
「いや、何も。…はぁ。これだろう資料は」
「おオ。分かっていらっしゃル!」
ガサッ。
シルクハットをかぶり、赤紫色の髪をした少年がバッドマンに資料を手渡す。資料には顔写真付きで名前と各々の詳細が書かれている。『リスト・ヴァンヘイレン』には椎名奏、アガレス、御殿。
『リスト・GOD』にはアドラメレク、ベルベットローゼ、御子柴の3人がヒトガタ時の姿で載っている。資料を眺めてバッドマンは金色の差し歯を覗かせてニィッ…と笑んだ。
「アドラメレク達神々もこちらへ向かっているとマルコ神からの情報でス。フフフ。彼らを私のペットにするのが楽しみで楽しみで疼きますネ」
楽しみを堪えきれず笑みながら巨体をプルプル震わせるバッドマンを横目で見る赤紫髪の少年『ミシェル・アヴァランシ』はバッドマンに溜め息を吐いていた。
「嗚呼。こんな仕事さっさと終わらせて早くビアンキの元へ帰りたい」
























その頃、
イングランドの街中―――

「そふへ、あはれすのやふはいふぁ、どふぉにひるわけ?ひゃなで?」
「天人…食べながら喋らないで…何言ってるか分かんない…し…汚い…」


ゴクン!

頬張っていた昼食を飲み込む天人。天人率いるヴァンヘイレンメンバーはイングランドに着いてからまずテラスがあるカフェテリアで昼食をとっていた。御殿は何も食べれないから食べず、天人と椎名だけが昼食をとっている。アガレスの姿だけ見当たらないが。
「っはー!このフィッシュアンドチップスうまー!料理がうまくない国とか嘘じゃーん!?ん、で!俺が奏に聞きたい事は!アガレスはどこに居るわけ?」
「僕が…知るわけない…じゃん…。あんな奴…自分から抜けてくれて…逆に…ラッキー…でしょ…」
「バカーーッ!だからそういうのやめなさいって何回も言ってるじゃん奏!任務だよ!?バトルだよ!?生死の境をさ迷うかもしれない任務で仲間割れしててどーすんのっ!」
「うざっ…」
「おい奏ぇえーー!!」
心底嫌そうに外方を向いて超絶不機嫌な椎名に、天人は御殿に泣き付く。御殿は苦笑い。
「うわーん!御殿っち〜!奏がウルトラハイパー反抗期だよ〜!どうにかして〜!」
「ははは…。そうですねぇ。でもまずアガレス君が何処へ行ってしまわれたのか。まずはそちらから解決するのが良いですね」
「だから…あんな奴…居なくて良い…ってば…」
「奏なぁ」
天人は深い溜め息を吐いてテーブルの上に頬杖を着く。















「何…」
「俺前もお前に言ったよな?ずっと一緒に居てやりたいけど俺も奏とずっと一緒に居れるわけじゃないんだから。友達くらい作れって。まあこの際友達じゃなくてもさ。御殿っちとアガレスを味方につけておけって。もしも俺に万が一の事があった時、奏ひとりぼっちじゃ無理だろ?その時の為にも仲良くやっておけって。な?お前は神様ってだけで嫌いかもしれないけど、御殿っちとアガレスは悪い神様じゃない事。よーく分かるだろ?」
「……」


ガタン、

立ち上がり、スタスタと店内へ歩いていく椎名を椅子に座りながら体ごと椎名の方を向く天人。
「うぉおーい!!俺の今の話聞いてた!?かなちゃん何処行くの!?」
「……。トイレ…」
スタスタ。
賑やかな昼下がりのカフェテリア。人混みに紛れて店内へ入っていった椎名を見て天人は本日既に10数回目の溜め息を吐く。
「はぁあ〜…。御殿っち〜神様パワーでうちの子良い子にできないの〜?」
「すみません尼子さん。僕はもう願い事を叶えられる神の力を失ってしまっていて…」
「はぁあ〜だーよね〜。あいつ、これ以上俺に白髪増やさせるなって感じだよ〜」
テーブルの上にうなだれる天人をオロオロ心配しながらも御殿は遠慮がちに尋ねる。
「あ、あの〜…。班長では無い僕がでしゃばるのは申し訳ないのですが、ど、どうしますか?椎名さんがお戻りになられたらアガレス君を探してからヴァリレアを探しますか?」
「OK!それでいこ!それで!御殿っちにも迷惑かけてごめんね〜。うちの奏さんが短気でさぁ〜」
「いえいえ!こちらもアガレス君が自由人過ぎてご迷惑をお掛けしてばかりですみません!」
「神様も人間みたいに十人十色なんだね〜…」


ポン…、

天人はやつれた笑顔で、御殿の肩を叩く。
「御殿っち…。俺達チョー苦労人だな…」
「あはは…」


















一方。カフェテリア内のトイレで手を洗う椎名。
「―で、だからー、そうね。ええ、ヴァンヘイレンが来ているわ」
「…?」
トイレの扉の向こうで女性が電話で話をしている声が扉越しに聞こえてきた。しかも"ヴァンヘイレンが来ている"という、聞き捨てならない会話。椎名は扉に耳をあてて、聞き耳をたてる。
「眼帯の子と黒髪おかっぱの子。青髪の子は居ないわね。でも白髪おかっぱの子が居るわよ。リストには載っていない子ね。ええ。でもリストに載っていないという事は要注意人物では無いという意味でしょうね。分かったわ。そっちの尾行もよろしく」


カツン、カツン…

電話を終えた女性の足音が扉から遠ざかっていく。
「……」
扉越しで聞き耳をたてていた椎名は、やはりいつもの無表情だった。


























一方。その頃のアガレスはというと。椎名達が昼食をとっているカフェテリアから少し離れた、ゴシック調のアパートが建ち並ぶ路地裏で、瓶の蓋を開けていた。瓶の中からは小さなコウモリが現れ、コウモリはたちまち大きくなると同時にヒトガタへと姿を変えた。ベルベットローゼのヒトガタ時の姿に。


ガタン!

出て来てすぐ路地裏の壁に両手と額を着き、ゼェゼェハァハァ呼吸を乱している。
「ハァ、ハァ!てんめぇ…アホ弟子ィイ!瓶の蓋を閉めるとはどういう事だ!!もう少しで窒息死するところだっただろうが!!わざとか!?それともいつもの天然かてめぇ!!」
ポン!と自分の手を叩く無表情なアガレス。
「ああ。そうだったな。つい蓋を閉めてしまった。悪気は無い。瓶といったら蓋を閉めるという反射的行動故の過ちだ。許せ」


ガッ!

眉間にピクピク痙攣する青筋をたててプルプル体を震わせ、笑っているのに怒りながらの表情でアガレスの胸ぐらを掴み上げる。
「てんめぇ…!オレが死の瀬戸際だったっつーのに"許せ"の一言で済ませようとするとは、分かっててやっただろ…!あぁ?」
「本当に悪気は無い」
「嘘つきやがれ!てめぇ無表情だから分かりにくいけどなぁ!嘘ついてるの見え見えなんだよアホ弟子!!」
ベルベットローゼは、胸ぐらを掴んでいない方の右腕をアガレスの顔面目掛けて大きく振りかぶる。


ピタッ…、

しかしスレスレのところで腕を止めるとパッ!と胸ぐらからも手を放す。途端、さっきまでの鬼の形相は消えて今は頬を赤らめ、外方を向きながら腕を組んでいるからアガレスは首を傾げる。
「どうした」
「ケッ!ぶん殴って顔面福笑いにしてやろうと思ったけどやーめた。だ、だってホラ。な?悲しむだろ?オレとお前がこんなくだらねぇ喧嘩してたら…なっ!」
「誰がだ」
「…!腹の中のガキに決まってるだろ!バ、バカ野郎!言わせんな!恥ずかしいだろアホ!!」


ドガンッ!

恥ずかしさで勢い余ってアガレスの顔面を殴ってしまい、アガレスの頭は壁にめり込むからベルベットローゼはハッ!として顔を真っ青にする。
「あ"…悪りぃアガレス…」
「全くもってな…!」
イライラ全開のアガレスにベルベットローゼは顔を真っ青にしながらも、ひきつり笑いを浮かべた。
「瓶の中で聞いてたけどよ。この任務は神々をキメラにして武器にしちまって世界征服を目論む人間共をぶっ殺す目的の任務なんだろ?」
「ああ」
「ふ、ふーん…。人間といえどてめぇの所のシイナっつー人間みてぇな神々並の力を持つ強ぇ人間もいるからくれぐれも…き、気を付けろよ!てめぇ悪魔堕ちして弱っちくなったんだから、やべぇ時はオレも戦ってやるし、よ…!」
「ああ」
ベルベットローゼは顔を赤らめ、また外方を向きながら頬をポリポリ掻く。
「で、で!さぁアガレス。コイツの名前…どうするよ?」
「俺には既に清春という子供が居る」
「あ?いや、清春は今関係ねぇだろ。お前会話もできねぇ程のアホかよ!清春じゃなくて、コイツの名前をどうするかって話をだな」
「悪いが、キユミの記憶が戻ったんだ。あとは清春さえ戻って来てくれれば俺にやり残した事は無い」
ブレザーのポケットに両手を突っ込み、ベルベットローゼと向かい合うアガレスが無表情で淡々とそう言うからベルベットローゼは目が点。

















口角をヒクヒクさせて苦笑いのベルベットローゼ。
「…は?お前…ふざけんなよ…?何だよそれ…それって…。人間の女の記憶が戻っただ…?それって…そいつの記憶が戻ったらオレはもう用無しだって言いてぇのかよ…?」
「……」
「何とか言えよ堕天野郎!」
プルプル震えて怒りと悲しみが混合した表情のベルベットローゼとは対照的にやっぱり無表情のアガレス。
「清春が悲しむ」
「そんなのてめぇが撒いた種だろ!じゃあこのガキは悲しまねぇって言いてぇのかよドアホ!!」
「貴様には悪いが、254年振りに再会できたんだあいつと」
「っ…!だからそっとしてくれってか…?はっ…、人間の女の記憶が戻るまでの…遊びだったのかよ…!」
「……。すまん」


ドガンッ!!

神々の中いや、神幹部の中でもトップを誇る腕力でベルベットローゼがアガレスを殴れば、アガレスは壁に全身めり込む。
「てめぇなんてアドラメレクにぶっ殺されちまえ!!」


タタタタ…、

捨て台詞を吐くとベルベットローゼは下を向いて走り去っていった。



























「クソが…!」


カンッ!カン、カン…

湖の脇の歩道を歩きながら石を蹴飛ばすベルベットローゼ。平日の昼間だからか辺りに人は居らず、ヨーロッパの美しく古風な街並みが広がっている暖かな陽射しの下の昼下がり。


ドスン!

ベルベットローゼは湖が眺められるベンチに1人腰掛けて下を向く。
「あいつ調子に乗り過ぎだろ…。昔の可愛かった弟子の頃と打って変わって師匠を弄びやがって堕天野郎…。アドラメレクの言う通りじゃねーか。……。アドラメレク…」

『男神なの?女神なの?気色悪い神ね!』
『うわーん!ひっく、ひっく!
『何を泣き喚いておりますの?』
『だっ…、ひっく。だってあいつら年長神々の連中がオレを男女だって馬鹿にしてオレが守り神に任命された土地に入れてくれねぇんだもん…ひっく…』
『はん!その程度の事で貴女は泣き喚いておりましたの?泣き喚く時間がありましたら、強くなって年長組を見返そうと思いませんの?女々しいですわね』
『ひっく、つーか…、ひっく…てめぇ誰だよ…?何処の神だよ…?』
『わたくしはいずれこの世を司る大神になるべくして産まれた神アドラメレクですわ。因みに今はハットフィールド家の神を務めておりますの。ベルベットローゼ。強くなりたければわたくしについてきなさい。わたくしが貴女に頂上を味わわせて差し上げますわ』

「アドラ…メレク…」
まだ産まれたばかりの神の頃。約30億年前の記憶を思い出していたベルベットローゼ。水面に映る自分の自分らしくない悲しみに満ちた顔。
「アドラメレク…てめぇはもうオレの事嫌って…いるよなぁ…。性悪だし短気だけど…お前の言う通りだったぜ…。やっぱり信頼できる神はお前だけだよアドラメレク…」


ポタ、ポタ…

湖の水面にベルベットローゼの涙が滴る。自分の腹を両手で押さえながら、涙を堪えようと唇を噛み締め、目を強く瞑る。
「アドラ、メレク…っ…親友に戻りてぇよ…、アドラメレ、…!!」


ガタンッ!!

突然背後からベンチごと何者かに引っくり返され、後ろへ倒れたベルベットローゼ。呆然としていると…。
「お久しぶりでス。先日は列車で席を譲ってくださりありがとうございましタ」
「…!てめぇはあの時の…!うぐあっ!?」
ベンチの背後から顔を覗かせたバッドマン。以前アガレスと乗っていた列車で相席をしてきたバッドマンの事を思い出したベルベットローゼは目を見開く。
その間にもバッドマンはベルベットローゼの首を絞める。
「ぐっ…!くっ、そっ…がぁ!!」


ガンッ!!

後ろへ足蹴りすればズザザーッ!と派手に吹き飛ぶバッドマン。その隙に逃げ出すベルベットローゼ。
「はぁ、はぁ!何だよあの人間!この前列車で会った時の優男と別人じゃねぇか!いきなり首を絞めやがって!」


バサッ!

「!?な、何だこの網は!?」
上から大きな網が落ちてきて、ベルベットローゼを捕獲してしまった。網が落ちてきた木の上からスタッ、と降りてきた1人の長い黒髪に朱色のチャイナ服を着た女性『劉 劉華(リウ・リーファ)』。
「逃げても無駄よ神様ベルベットローゼ」
「…!?てめぇ…オレの素性を知ってやがるのか!?…チッ!くそっ!」


バッ!

「あらあら」
ヒトガタの姿から本来の姿コウモリに変えたベルベットローゼ。コウモリの姿になってこの捕獲網の隙間から逃げる作戦だ。網と網の隙間から逃げてヒラヒラ飛べば、ベルベットローゼを捕獲に来たバッドマンと劉華の姿は遥か下に見える。見下ろしながらバサバサ飛ぶベルベットローゼ。
「へへっ!ザマァミロ!所詮てめぇら人間はその程度なんだよ!あばよ!」


ヒュンッ!
ザクッ!

「うぐあ"あ"あ"!!」
背後から飛んできたナイフがベルベットローゼの右羽に突き刺さった。悲鳴を上げ、そのまま地上へ落下するベルベットローゼ。
















ドサッ!

するとヒトガタの姿に戻り、今突き刺さった右羽の部分の右腕から青い血をドクドク流して倒れこんでいる。
「ふふ。やるじゃないミシェル。高慢ちきガキのクセに」
「ふん。早く仕事を終えて我が家に帰宅したいだけだ」
バッドマンと劉華の他に、赤紫色の髪にシルクハットをかぶった少年ミシェルが青い血の着いたナイフを片手に現れたからベルベットローゼはミシェルを睨み付ける。
「てめぇか…!今オレにやりやがった人間は…!」
「無駄口を叩くな。僕は今日の仕事を早々に切り上げたいんだ。おとなしくバッドマンのキメラにされろベルベットローゼ神」


ドスッ!

「うぐあああ!!」
ベルベットローゼの手の平にナイフを2本ダーツのように突き刺すミシェル。
「フフフフ。良いキメラが作れそうねMr.バッドマン」
「えエ。やはり力のある神で造るキメラは絶品でス。ベルベットローゼとの掛け合わせはどの神に致しましょウ?…嗚呼!そういえば同じく今この地に赴いているアドラメレク神との掛け合わせキメラに致しましょウ!良い案でしょうミシェル君?」
「ふぅ…。どうでもいい。僕はただビアンキの元へ早く帰れれば異論は無い」
ベルベットローゼを取り囲んで笑うバッドマン、ミシェル、劉華を睨み付けるベルベットローゼだが出血で視界が霞む。
「アドラメレク…、も…イングランドに…居んの…か…?くっ…、逃げろ…こいつら…普通の人間じゃねぇ…逃げろ…アドラメレク…!」
ベルベットローゼの視界がフッ、と真っ暗闇になった。




























「退屈ですわ」
その頃。イングランドへやって来ているアドラメレク、マルコ、御子柴、清春の4人。マリアを尋ねに来たのだがマリアは今イングランドには不在。晩にしか戻らない為彼ら4人は今ヒトガタ時の姿をしてイングランドの閑静な住宅街の隅にある公園で時間潰しをしていた。
ベンチに腰を掛けて口を三角にしたアドラメレクが退屈そうに呟いた一言。その一言にマルコは先日造り直しの儀を施した人間の無様な姿を笑い話にしてアドラメレクを笑わせようとしたり、御子柴は御殿やアガレスに見立てた藁人形を釘で打って笑わせようとしたり試行錯誤する。だがアドラメレクは全く笑わなくてご機嫌斜め。
「お嬢様お聞き下さい。先日私が造り直しの儀を施した人間。女性かと思いきや男性だったのですよ!確かに、女性にしては屈強な姿をしていると思ったのですがよもやスカートを履いた女装趣味の人間とは!居合わせた神々とそれはもう笑いの渦に包まれましたよ」
「お嬢見て見てこっちよ…!憎き御殿氏とアガレス氏に見立てた藁人形をね…この木にくくりつけてこの釘と金槌で…カーン!カーン!ヒヒヒヒ…!丑の刻参りの出来上がりィ…!…昼間だけど…」
「はぁ…。退屈ですわ」
「お、お嬢様!私の話がつまらなかったですか?」
「ガーン!お嬢ワタシの丑の刻参り昼バージョン…退屈だったかしら…!?」
せっかく試行錯誤をして笑わせようとしたのに"退屈"の一言で一蹴されたマルコと御子柴はショックを受ける。














チラッ…。
そんな2人の気も知らずアドラメレクは頬杖を両手で着きながらチラッと見る。3人から離れたブランコに1人乗っている清春を。
「お、お嬢?」
立ち上がるとアドラメレクは清春の前に立つ。冷たい青い瞳で見下ろして。だが清春は下を向いたまま。
「清春」
「……」
「先日から何ですのその態度。そんなに両親の元へ帰りたいなら今此処でわたくしを殺めたらどうですの?」
「……」
「フッ。でも貴方にわたくしを殺せるだけの力はありませんでしてよね?アハハハ!」
「……」


しーん…

全く無反応な清春に、高笑いをしたアドラメレクは無性に自分で自分が恥ずかしくなる。
怒りにプルプル震えるアドラメレクの背を眺めている御子柴が顔を青ざめてオロオロ。
「あわわわ…!お嬢がお怒りよ…!あのバカッ…!お嬢をシカトするなんて31億年早いのよ…!」
「ですから早目に始末しておけば良いものを…。お嬢様は何が良くてあのような化け物を飼っているのでしょうね」


















一向に顔を上げないし返事もせず沈んでいる清春に、アドラメレクは怒りでプルプル体を小刻みに震わせて右腕を清春目掛けて振り上げる。


バッ!

「清春!!これを見なさい!!」
「…?」
振り上げた右腕で殴る…かと思いきや。アドラメレクは鞄から取り出した1つの箱を清春に差し出す。隈の酷い目をしてゆっくり清春が顔を上げるのを見計らってアドラメレクは箱を開いた。


パカッ!

「…?何ソレ…」
「何ですって!?見て分かりませんの!?ハンバーガーでしょう!!」
箱の中には歪でとてもハンバーガーには見えないハンバーガーらしき食べ物がたくさん入っていた。
「……。アドラメレクの姉ちゃんが作ったの?」
「そそ、そんなはず無いでしょう!!わたくしが貴方ごときに作るはずありませんわ!それに料理だなんて人間の真似事をわたくしがす、するはずありませんでしょう!いいからこのハンバーガーを食べてシャキッとなさい!!わたくしの部下なのですからしっかりしなさい!わたくしに恥をかかせないでくれます!?」
箱を押し付けて顔をほんのり赤らめたアドラメレクが腕を組み、ぷんぷん怒りながら外方を向く。
清春はそのハンバーガーらしき食べ物を手に取る。…だがぐちゃぐちゃに崩れたパンとパンの間には得体の知れないウヨウヨ動く赤や紫の謎の生物が挟まっているから清春は真っ青になる。
「これ…何?」
「コホン!天界で長寿薬の成分として使用されるウルキマス虫と、健康促進薬の成分として使用されるホルミトロス虫ですわ!べ、別に清春の体の事なんて考えておりませんの!!」
――食えるわけねーじゃんこんな化け物バーガー!!――
体を気遣って作ったお手製ハンバーガーに自信満々なアドラメレクがチラチラ見てくる。

















――絶対食えねーし!アドラメレクの姉ちゃんチラチラ見んなだし!!――

『金出せば誰でも買えるハンバーガーなんて要らねぇんだし!!母さんが…母さんが俺の為に作ってくれた手料理が本当は食べたいんだよ!!たかがハンバーガーごときで俺をてなづけた気になんなよ!』

――…!もしかしてこの前俺があんな事言ったから…作ったワケ?いやいや…アドラメレクの姉ちゃんが作るわけ無いって!…けど…もしかして俺があんな事言ったから作ってくれたんだったら…――
仕方ないが鼻を摘まんで意を決して、ハンバーガーを食べる清春。


バクッ!

アドラメレクは目を輝かせる。
「清春!どうですの!味はどうですの?!早く感想を述べなさい!!」
顔を真っ青…いや紫にしてピクピク痙攣している清春。だが、紫の顔をして口を押さえながら苦笑いを浮かべる。涙さえ浮かべて。
「う…、うま…かった…よっ…、お"ぇ"…」
「まあ!そうでしょうそうでしょう!?実はわたくしが作ってあげましたのよ!ありがたく頂戴しなさい!ふふふふ!」
――溝食ってるみてぇだし!!つーか口の中でまだ何か動いてる…!お"ぇぇえ!!――
まさか超絶不味いと思われているとも知らず、美味しくできたと思い込んでルンルンなアドラメレクは、ぐったりしている清春の両手を握りながら、清春の顔を下から覗き込む。
「清春。これからはわたくしが食事を作ってあげますからもう両親の元へ帰りたいなんて言ってはいけませんわよ。貴方はあの人間の子供では無く、わたくしの子供。貴方の母親はあの人間では無く、254年貴方を育ててきたこのわたくしでしてよ」

















そんな2人の様子を離れた場所から見ていたマルコと御子柴。御子柴はギリギリギリギリと歯軋りをして、清春に見立てた藁人形を金槌で木に打ち付けていた。


カーン!カーン!

「キィイイイ!!あの子が来てから今までお嬢を独り占めできたワタシがすっかり蚊帳の外じゃないのォオオ!キィイイイ!!死ね死ね呪い死ね清春ゥウウ!」
「御子柴神そんなに怒らなくとも貴方は毎晩お嬢様のお部屋で遊んでおられるではありませんか」
「それはそれ!これはこれよォオオ!!ワタシ意外の輩がお嬢に気に入られるのが許せないのよォオオ!マルコ!貴方もよ!キィイイイ!」
「はいはい」
カーン!カーン!と藁人形を打ち付けている御子柴には聞こえないように。マルコは、清春と楽しげに会話をするアドラメレクを眺めて呟いた。口に手をあてて嘲笑いながら。
「ふっ…。これだから女性はいつの時代もどの種族も愚かで低能ですね」




























晩―――――

「さあ!マリアを探しますわよ!!」
月が顔を見せた晩。ようやくマリアがイングランドへ戻ってくる晩になった上、お手製料理を喜んでもらえたと盛大に勘違いしているアドラメレクは上機嫌で、清春の右手を高らかに上げて張り切っている。が、清春は先程の食べる兵器でげっそり。
アドラメレクと清春がイーストタウンを。マルコと御子柴がウエストタウンを、マリアを探す事にアドラメレクが決めた。御子柴に蹴りを喰らった清春だったが。
ルンルン遠足気分で上機嫌なアドラメレクは清春と繋いだ手をブンブン振りながら歩くが、まだげっそりしている清春。
イーストタウンは昼のお洒落なヨーロッパの街並みとはガラリ姿を変え、店は閉まっているし人っこ1人居ない。ホー、ホーという梟の鳴き声と川を流れる水のせせらぎしか聞こえてこない不気味さが漂う。だがアドラメレクは全く気にせず。
「ふんふふ〜ん♪マリア!わたくしに楯突こうだなんて30億年早いでしてよ愚かな女神!早く姿を現しなさい!ふんふふ〜ん♪…あ。清春!貴方ハンバーガーの他に好物はありますの?人間の食べ物になんて興味ございませんから詳しく教えてくださる?」
「えー…、好物かぁ。うーんと…。あ!オムライス!」
「何ですのそれは」
「黄色いやつに赤いやつがかかってるやつ!」
「やつやつ言われても分かりませんわ。もっと分かりやすく説明なさい!」
「だって黄色いやつと赤いやつ以外分かんねーし!」
アドラメレクは溜め息を吐きながら、繋いでいない方の手で自分の額に手をあてる。
「はぁ。呆れましたわ。貴方本当にお馬鹿さんですのね」
「ムッ」
「でも最近は字を読み書きできるようになって偉いですわ。御子柴か誰かに習いましたの?」


ギクッ!

カナの顔が浮かんでギクッ!としてしまった清春は外方を向く。が、アドラメレクはジーッ…と見る。
「…清春?」
「え!?べべ別に!?下界の本屋で辞典買って自分で勉強したんだし!」
「…貴方最近下界へ降りますけれど…もしや…人間から習ったわけじゃありませんわよね?」
「そんなわわわけないし!!」
それでもジーッと見てくるアドラメレクに、内心殺される覚悟は整っている清春。だが、アドラメレクは向かい合うと両手を強く握った。


キュッ…、

「…?アドラメレクの姉ちゃん…何?」
「貴方が下界や人間に憧れる気持ちは充分分かりましてよ。貴方は半分人間の血を引いている。それ故に天界で他の神々から半端者と罵られる毎日ならば常時ヒトガタの貴方が天界を嫌い、下界で人間として暮らしたくなる気持ちも分かりますわ。けれど、下界で人間に混ざって暮らしていても神でもある貴方は人間には成りきれませんの。どこかで必ずボロが出てしまいますわ。貴方の父親のように」
「……」


ホー、ホー…

川を流れる水のせせらぎと梟の鳴き声だけが聞こえる。
「神だと人間達に気付かれた時。神の力を半分しか受け継いでいない貴方ではヴァンヘイレンの人間にすら太刀打ちできませんのよ」
「……」
「貴方が下界に人間に憧れて、両親を想う気持ちは嫌という程分かっておりますの。でも貴方の居場所は下界でも両親の隣でも無いと何度も申しましたでしょう。貴方を助けにすら来てくれないアガレス氏の事をどうしてそんなにも父親だと思えますの?貴方を忘れた人間の事をどうして母親だと思えますの?どうしてそんなに傷付いてまで両親と居たいと思えますの?」
清春は口を開いたり閉じたり、言いたい事を言おうか言いまいか悩んでいる。
「俺、は…」


ギュッ…、

強く清春の両手を握る。
「貴方の事始めは大嫌いでしたわ。神と人間のハーフの貴方を良い道具にしようと目論んでいましたわ。けれど…あの日あの時の清春貴方の言動でわたくしは決めましたの。わたくしが貴方の母親になると」
「……」
清春を見上げて両手を強く握る。
「わたくしは貴方の両親のように貴方を泣かせませんわ。貴方を半端者と罵る神々が居てもわたくしについていればそんな神々怖くはありませんでしょう?清春。わたくしの子供で居なさい。わたくしの傍に居なさい」
「……」


パッ!

アドラメレクから手を放すから清春は顔を上げる。アドラメレクは自分の口に人差し指をたててウインク。
「今の話。みんなに内緒ですわよ」
「え?」
「だって大神アドラメレクが貴方ごときに懇願しているだなんて知られたらわたくしの地位が地に落ちてしまいますもの」
「ははっ。だよね」
















アドラメレクは後ろで手を組み、路地裏へスキップする。
「あれ?アドラメレクの姉ちゃん何処行く系?」
「わたくしはこっちを行きますわ。貴方はマルコと御子柴の元へ戻っていなさい」
「え!?でも俺と姉ちゃんとで行くって…あーあ。行っちゃったし。これだから女ってわけわかんねー」
路地裏へ姿を消してしまったアドラメレクに溜め息を吐きながらも、マルコと御子柴達が居るウエストタウンの方へポケットに両手を突っ込みながら歩いていく清春。
「でもチョー意外だなー。アドラメレクの姉ちゃんが…あ"。でも油断させる作戦なんじゃね?!だってさっき"良い道具にしようと目論んでいた"ってぶっちゃけてたし!油断できねー!!」



























アドラメレクが1人で入っていった路地裏―――――


グシャッ!グシャッ!

「ギャッ!」
「ギャア!」
黒いスーツにサングラスをかけた人間達10数人の首を斬り、赤い返り血を浴びるアドラメレクは、足元に転がった白目を向いた人間達の頭を冷めた目で見下す。
「路地裏に身を潜めてわたくし達を尾行していたってバレバレですのよ」
先程アドラメレクと清春が話をしていた様子を路地裏に隠れて尾行していたヴァリレアの人間達に気付いていたアドラメレクは、完膚無きまでに人間達を殺害。長い髪を後ろへ手でなびかせる。
「清春をマルコ達の元へ先に戻らせていて正解でしたわ。人間達だけではなくこんなキメラまでわたくし達を尾行していたのですから。ね?」
「グオオオ…!」
アドラメレクの背後から鹿と蛙と猿の姿をした神々3体のキメラが忍び寄っていた。
「グアアアア!」
キメラは背を向けているアドラメレクに襲い掛かる。


スパン!

「やめて下さいます?女性の背後から襲うだなんて紳士的じゃありませんわ」
キメラに背を向けたまま、キメラを八つ裂きにしたアドラメレク。


ドサッ!ドサッ!

顔、腕、胴体、足など八つ裂きにされたキメラの死体が転がる。
















アドラメレクはかつての同胞の死体を見下ろす。
「このキメラは恐らくライラック神、ナダル神、カイダック神で掛け合わされた合成獣ですわね。わたくしの事は覚えていない上、彼らをキメラにした主の命令しか利けないように調教してあるようですわ。…神々を弄べる人間が存在するだなんて許すまじ行為ですわ」
アドラメレクは路地裏を出て行く。


ドスッ!ドスッ!

路地裏を歩いて出るアドラメレクの両目と腹部、両足から青い血が噴き出す。


ドサッ…、

そのまま倒れ込むアドラメレク。
「ふふふ〜ん♪Hello高飛車インチキお嬢様アドラメレクちゃ〜ん♪」
「その…声は…マリア…!!」
青い血を両目からドクドク流して視力を失いながらも這い上がり、声のする後ろを向くアドラメレク。そこにはにっこり微笑むマリアの姿が。
「ダメじゃな〜い。キメラは完成までに膨大な時間が掛かるんだから、ものの数秒で殺さないでくれる?」
「マリア…!貴女ですわね…!わたくしが掌握する下界の…人間に…ダーシー氏の記憶を消させたり…わたくしが殺すはずの…人間達に…手を出し…わたくしに刃向かう愚か者は…!!」
「ふふふ。わたくしが掌握する下界?私の気配に気づけなかった分際で調子に乗るのも大概にしてね♪アドラメレクちゃん♪」
ヒトガタをしていたマリアの影がみるみるとヒヒ×爬虫類×触手の影へと変貌していく。
アドラメレクもまだボタボタ両目や腹部、両足から血を流して視力を失いながらもヨロヨロ立ち上がる。
「その可愛いお目々。視力が回復するのに1分はかかるわね〜♪ものの5秒で逆らえないようにしてあげる♪貴女はキメラ製造の大事な大事な材料なのよアドラメレクちゃ〜ん♪」
「わたくしに…向かって…無礼な口を…!」
アドラメレクのヒトガタをしていた影が、アドラメレク本来のラバ×クジャクの姿に変貌する。マリアがにっこり微笑めば、アドラメレクとマリアがぶつかり合う。


ドンッ!!

月明かりが照らす路地裏の壁に映った影は、ヒヒ×爬虫類×触手の姿をした影に打ちのめされ倒れ込むラバ×クジャクの影だった。

































2日前―――――

「明日からどんくらいか分かんねーけどしばらく姉ちゃんの用事で出掛けるから会えないけど、絶てー浮気すんなよ!!」
「するわけ無いよ〜!清春君何処にお出掛けするの?」
「いんぐらんど」
「そうなんだ!気を付けて行ってきてね」
2日前。清春との会話を思い出し、ヴァンヘイレンの図書室で読書をしながら微笑むカナ。
「しばらく会えないのは寂しいけど、清春君に心配されちゃった。嬉しいなぁ。私が一方的に好きだとばかり思っていたから…。こういうのが恋人同士っていうんだね」
「ナタリーさん」
「あ。ロイド君こんにちは」
向かいの席に読書サークル仲間の眼鏡の少年ロイドが腰を掛ける。カナはいつもの優しいニコニコした笑顔なのに対し、ロイドは神妙な面持ち。だからカナは首を傾げる。
「…?ロイド君どうかしたの?」
「……。ナタリーさん。夏休みにハッピーバーガーで一緒に居た人と先日文化祭に来ていた人は…ナタリーさんの恋人?」


ガターン!!

顔を真っ赤にして大照れのカナは思わずテーブルに膝をぶつける。前に出した両手を横にぶんぶん振る。
「えぇ!?え、違、ち…ち…違わなっ…!…こ、こいびとですっ〜…」
ぷしゅーと頭から湯気を出してようやく観念したカナは両手で真っ赤な顔を覆う。
「こう言ったら悪いかもしれないんだけど。ナタリーさん」
「は、はい〜」
「その恋人から離れた方が良いよ」
「え?」
舞い上がるカナとは対照的にいつまでも声色が低く淡々としていて怖ささえ感じるロイド。こんなロイドは初めてだから、カナはゆっくり顔を上げる。















「ロイド君どうして…?」
「ナタリーさん気付かないの?あの人からは人間ならざる者のニオイがする。でも普通とはちょっと違う…でも!微かにあの人からは神のニオイがするんだ!」
「…!」
静かな図書室にロイドの発言が響けば、ロイドはハッ!として立ち上がる。
「ハッ…!ごめんねナタリーさん。此処だと人が多いね。別の場所に移ろうか」
「……。ごめんねロイド君。私、急用を思い出しちゃったから…」
「え?ちょっと、あの!ナタリーさん?ナタリーさん!」
カナは下を向いて立ち上がると1人で図書室を出て行った。
「ナタリーさんは騙されているんだよ!あの人はきっと人間を装ってナタリーさんと親しくなった頃合いを見計らってナタリーさんに造り直しの儀を施そうとしている神に違いないよ!」



















1E教室―――――

「ロイド君どうしてあんな事言うのかな…」
ガラン…とした放課後の教室で1人、机の前に立ち下を向いているカナ。
「清春君が神様だなんて…私を狙う神様だなんてそんな事…」

『ま!待って下さい今手当てしますから!…あ、れ…?青い…血…?』
『見んな!!俺を見んじゃねぇ!!』
『でも驚きました。清春さん神様が見えて武器も出せるんですね。清春さんならヴァンヘイレンに入れるんじゃないですか?』
『嫌いな奴らが居るっつったじゃん』
『このくらい…はー、はー…あんたらと違って死なねーんだよ…俺は…』

「……」
清春とのやり取り。そして人間には珍しい渦巻いた青い瞳を思い返す。


ギュッ…!

カナは鞄の持ち手が皺になる程強く握り締めると、教室を出ようと後ろを振り向く。


バッ!

「わあ!?アイリーンちゃん!?」
「ご機嫌ようカナさん」
真後ろにはいつから居たのか気付かなかったが、アイリーンがいつもの天使のスマイルで立っていた。
「今から宿舎へお帰りですの?」
「うん。そうだよ」
「わたくし今から街へお買い物へ行くのですけれどカナさんもご一緒致しませんこと?」
「え…。えっと…」
――アイリーンちゃん笑顔だけど…サーカス任務の時キツい事言われちゃったから少し苦手なんだよね。でもせっかく誘ってくれたんだし…――
「う、うん!いいよ」
「まあ嬉しい!それでは早速行きましょう♪」
ニコニコ笑顔のアイリーンの後ろを少し苦笑いのカナがついて教室を後にした。
「……。ふーん…」
そんな2人の背中を、廊下の奥で1E担任ミカエルが眺めて呟いていた。


































同時刻、イングランド――

街外れの古びた小さな宿で天人・椎名、アガレス・御殿の2部屋に分かれて一先ず今日は宿泊している4人。
アガレスと御殿の部屋では…。
「アガレス君!もう勝手な単独行動は慎みましょうね」




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