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症候群-追放王子ト亡国王女-
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「私は皆が一丸となり悪のルネを倒そうなどというつまらん戦隊ごっこには興味が無い」
「そんな!何故ですか、ルネさえ消えて下さればこの世界は…」
「平和になる、か?現に今イギリスは聖マリア他諸国に攻め込まれている。ルネがいようがいまいが戦争の無い世界など訪れない」
「確かにその通りですね。ルネを理解させた後我々国際連盟軍は解散し、再び新たな戦闘に身を投じるだけ…。しかしわたくしは…!」
女王が声を張り上げたその時だった。


ギィッ…、

宮殿裏の重たい鉄の扉が開かれたので女王と青年がそちらに顔を向ける。扉の向こうからはよくは見えないが長身の男性兵士2人に肩を支えられた軍人のショートボブの少女が1人生気の感じられない真っ青な顔をして俯き歩いてくる。
その少女を、目を細めて青年が見たと同時に少女がゆっくり顔を上げる。
「なっ…!?」
青年と少女の視線が合ってすぐ青年は目を見開き、車から降りた。
青年のその行動に女王はポカン…としている。
























一方の兵士2人と少女は女王を見付けたのでこちらへ駆けてくる。
「…!!」
だがしかし、少女の虚ろな緑色の瞳が青年をしっかりと捉えた瞬間少女の目は見開かれ、顔には狂気が満ち溢れる。途端、今まで兵士2人に支えられていなければ歩けなかったのが嘘のように、青年目掛けて駆け出したのだ。これには兵士2人と女王と青年は呆然。少女が青年の前に現れ、俯いたまま肩で呼吸をしている。
一方の青年は驚いた様子で…しかし切な気な雰囲気で少女に声をかける。
「…通信が取れなくなったと聞き万が一を想定していたが、まさかこのような異郷に居たとはな」
「…ルド」
少女が俯きながら何かを呟いたが、聞き取れず青年は首を傾げ、少女の顔を覗き込もうとしたその時。


ドサッ!

「っぐ…!」
「!!」
少女は何と突然青年を押し倒し馬乗りになると、青年の首を両手で締め付けたではないか。これには女王も兵士2人も呆然。
一方の青年は衝撃で眼鏡が吹き飛んでしまうし、元から血色の良くはない顔を更に青ざめさせ苦しそうに顔を歪めながらも、霞む視界で少女を見る。青年の瞳に映る少女は目が開ききっておりまさに狂者。まるで薬物中毒者の様。

























「ぐあっ…!ああ…!」
「両親の事も兄弟の事も私自身の事も覚えていない…けど!お前の事だけは覚えているんだ!」
口調を荒げた少女は何と、軍服の内ポケットから小型ナイフを取出し大きく振り上げたものだから、これには女王は両手で口を押さえるし、兵士2人が駆け付けてきた。
「ルーベラ少尉!何をしようとしているんだ!」
「軍人の少尉が理由も無く民間人に手を出すなど、」
「理由ならある!こいつは私の仇なんだ!」
キッ!と目を見開き、兵士2人に両手を押さえられながらも睨み付ければ、その狂気に兵士2人も怖気付いてしまう程。
少女ルーベラが再び青年に顔を向ければ、鬼の形相で青年を睨み付ける。振り下ろしたいナイフは兵士に取り上げられてしまったから下ろせないけれど。
一方の青年はただただ感情の無い青の瞳で少女を見つめるだけ。抵抗はしない。
「お前だ!お前が私の家族を殺した!それだけは…それしか私には記憶が無い!」
「……」
少女の狂気に満ちた瞳から大粒の涙が流れ、青年の頬に落ちる。
「お前は私の家族を殺した仇なんだ!ダミアン・ルーシー・カイドマルド!!」
泣き叫ぶルーベラの首元に青く光る宝石を見付けた青年ダミアン・ルーシー・カイドマルドだった。











































































ルネ王国深夜、
クルーレ町バー内―――


ドン!

丸めた新聞をカウンターテーブルに叩きつけた大柄の農夫を、隣で頬杖を着ききながら微笑んで見ている女性レイラ・ユスハ・リーラ。
「御機嫌斜めねアンディー」
「あったりめぇだぁ!国王殺しの王子が捕まったなんざどうだって良い!けどなぁ!問題あんのはそいつに課せられた刑だ!」
「世界引き廻しとかいう意味の分からないアレ?」
農夫はヴィヴィアンが捕らえられた記事を広げてみせる。
「そう!それだ!その世界連れ回す費用は何処から出ると思う!?俺達の懐からなんだよ!ちっくしょう!」
新聞を床に叩きつけてすぐウイスキーを一気に飲み干しカウンターに顔を伏せながらも、ヒクヒクしゃっくりする農夫。レイラをはじめとするバー内に集まった庶民は互いに目を合わせ、頷き合う。
「どうすんだい。このままじゃルヴィシアンの奴、あたしらにまた増税するつもりだよ!」
「そんな事をされたら私の家は食べていけなくなってしまうわ…」
「職を失った私は妻子を養えなくなってしまいますね…」
人々は次々に不満を洩らす。だが、レイラはいたってニコニコ微笑んでいる。
「どうにかしてくれるわよ。ねぇ、ヴィクトリアン王子様?」
くるりとレイラが後ろに顔を向ければ、人々もそちらを向く。人々の視線の先には紅色のスーツを着用したヴィクトリアン・ルイス・ルネ。1年前までの陽気で子供のような表情は無く、とても険しい表情を浮かべている。


ガタッ、

ヴィクトリアンは立ち上がる。
「そうです。僕達革命軍はルネ王室の国民に対する不条理な行いを改善させる為立ち上がった民間人軍隊。よって、刑罰にかかる資金を民間人の増税に充てるのを防ぐ為、僕はヴィヴィアン・デオール・ルネの奪還に向かいます!」


パチパチパチ!

拍手喝采。ヒュー!ヒューと!農夫達から口笛まで聞こえてくる。だがしかしどこか切な気なヴィクトリアンの表情を、レイラは微笑んで見つめていた。










































1時間後――――――


カラン、

ウイスキーの氷がグラスの中で音をたてて溶ける。農夫や婦人など、人々がカウンターテーブルや丸テーブルでいびきをかきながら夢の中。
その中でレイラだけはまだグラス片手にワインを口にしている。そんな彼女の隣の隣の席でテーブルに握り締めた拳を置き、難しそうな顔をするヴィクトリアン。
「増税を防ぐ為に弟を奪還?フフ、違うんじゃない?弟を奪還するついでに増税も防ぐ。そうでしょ王子様?」
「ち、違います!僕は…」
「あはは!その必死な顔がまさにそうです、って言っているじゃないの!可愛い坊や!」
「…っ」
酔っているからだろうかレイラはやけに楽しそうだ。そんなレイラの言葉に詰まってしまうヴィクトリアン。何を隠そう、実際のところレイラに言われた事は図星だからだ。
テーブルにばかり視線を落としてはいるが、脳裏では色々な事が交差している。1年前日本で再会を果たした弟ヴィヴィアンに騙されてしまったというのに、日本でマリーが言ったダビド国王殺害の真犯人ルヴィシアンの事を考えると…根が優しいヴィクトリアンはヴィヴィアンを救いたいという、兄の心情なのだ。
――もしもマリーちゃんが言っている事が事実ならヴィヴィアンは今どんな想いなんだろう…。今回ヴィヴィアンに課せられた罪は戦争でたくさんの人を殺したという事じゃないんだ。お父様を殺した殺人犯という罪なんだ。…もし僕がヴィヴィアンだったら…――


ガタ、

音をて立ち上がったヴィクトリアンを見上げるレイラの目は虚ろ。相当酔いが回っているようだ。
そんな彼女は眼中に無く、ヴィクトリアンは壁に掛けられた紅色のマフラーと深いブラウンのロングコートを着用し、バーのドアノブを握り締めた。
「王子様もう行っちゃうの?何なら農夫達を叩き起こしてあげるけど?」
「大丈夫です。僕1人で行きますから」
振り向かず、ドアの向こうへ消えていった。


バタン…、




















































深夜の闇夜に降り始めた純白の雪。次第に天気は荒れ、ヴィクトリアンのマフラーやコートが風になびく。
向かい風に苦戦しマフラーに顔を埋める彼は鼻を赤くさせながらも、歩いて行くのだ。車で向かった方が早いのは確か。しかし、ルネ城の設備を把握しているヴィクトリアンは車で向かうのは自殺行為だと考えたのだ。不審車両が近付けば、遠方からでも城内オペレーター室と軍本部に車の拡大図が表示される。しかし生体反応はレーダーも感知しない。不審者は警備の人間に任せているのだ。
「寒っ…」
人っこ1人居ない町の中風に吹かれながらしばらく歩き、ふと顔を上げてみれば、まだまだ距離はあるが見えてきた。深夜にも関わらず光々としたライトに照らされたルネ城。
優しいヴィクトリアンの目も鋭くつり上がる。自分で自分に言い聞かせるように頷くと、再び歩き出す。


ギシッ、ギシッ、

積もり出した雪をしっかり踏み締める1人分の足音だけが、闇夜に響いていた。






















































同時刻、
ルネ城脇の地下監獄――――

灰色の汚れた壁。天井から滴る雨漏りの雫が落ちる定期的な音だけならまだ良い。牢の向こうに居る薄汚れたベージュの服を着た罪人達が、爪が無くなるまで血を流し、壁を引っ掻き続け外の世界を待ち望んだり、自分の頭を床や壁に打ち付けて狂乱状態だったり。
「ああぁああ出してくれ出してくれぇ此処から出してくれぇええ」
「あああああ」
そんな罪人達から聞こえてくる人間の悲鳴とも叫びともとれないただの獣の雄叫びが、不気味に響き渡る監獄。
その一番奥で1人、体育座りをしている青年ヴィヴィアン。頭の出血だけは手当てを施してもらい包帯を巻いてはいるが、彼が着用している薄汚れた服には乾いた血痕が生々しいし腕や脚、首の痣も生々しい。これらは舞踏会で負った傷だけではない事が容易に想像できるだろう。


ガシャン!ガシャン!

「アアアア!早く早く!俺を此処から出してくれぇええ!」
前の牢に居る大柄の男性罪人が叫び、牢の鉄格子を大きく揺さ振りながら暴れているその様を、ゆっくり顔を上げて見るヴィヴィアンの赤の左目は感情が無い。視界は霞んでいるし、虚ろでまるで死んだ魚にも似ている。
いつもの彼ならば目の前で暴れ狂う罪人を鼻で笑い罵声を飛ばすのだが、もうそんなご身分ではなくなってしまった。
























逃げて逃げて逃げて…逃げ続けていたのにとうとう捕まってしまった。思い返せば、王室を追放されてまだ1年しか経っていなかった事に気付く。この1年間はヴィヴィアンにとって、10年にも20年にも感じられる長い長い1年間だった。
――そう考えると、これからも一生追われる身ならいっそ今此処で殺された方が楽なのかな…――
そんな考えが過るが、ルヴィシアンのあの笑みを思い出した瞬間、目を力強く見開く。
――いや、おかしい。おかしいよ。何故僕が無実の僕が真の殺人犯に殺されなければいけないんだ!何故僕が!でも…――
思いが詰まるとヴィヴィアンは自分の歯と歯で舌を挟む。口が小刻みにカタカタ震える。
――でも…でももう無理だ。今までは奇跡的に逃げられていたけど、僕は捕まった。捕まったんだあいつらに。もう時期僕に過去最高の残虐な刑罰が下されるだろう。いや、もう下されたかな。国民は世界はそれを聞いてどう思っただろうか。どちらにせよ、殺される事に違いない。なら最後の僕の自尊心。…あいつに殺されるくらいなら――
「自分で自分を殺す」
舌を挟んだ歯と歯に力を込めた。


ガリッ…、


























ガクン…!

「うぅ…っ…!」
前に倒れる。四つん這いになり、手首や足首に錆付いた手枷が跡となって食い込もうともそんなもの痛みにもならない程、肉体的より精神的苦痛の方が勝っていたのだ。
結局、歯で舌を噛み千切り自ら命を絶つ事はできなかったし、もしかしたら端から絶とうとは考えていなかったのかもしれない。高過ぎる自尊心に己がついていけず於いてけぼり故に、死ぬ事ができなかった。


ピチャッ…、

肩を上下にひくつかせるヴィヴィアンの光を失った右目から滴る赤の涙が、汚らしい床に溜まりとなる。
「っぐ…、う…、何で…何で僕なんだよ…何故神は僕を見放した?僕が何をしたって言うんだよ…!」
周りの罪人達から降り注がれているように聞こえた
「己だけが悲劇の主人公だと思うな」
「自分だけが被害者だと思うな」
この声は実際罪人達は口にしてはいない。ヴィヴィアンの脳内で勝手に鳴り響いている声なのだ。ヴィヴィアンの心の奥底何処かでは、自分を傍観する自分が居る。
「マリー…エミリー…僕は…僕は…」
頬を伝う赤の涙。その時だった。声がした。
「ヴィヴィアン!」
「…!?」
ゆっくりゆっくり顔を上げれば、鉄格子の向こうで自分を優しく見つめる1人の青年が立っていた。青年の姿をヴィヴィアンの瞳が捉えると、すぐ目が見開かれる。助けが来た事を脳が理解する。
「兄上…!」
呼ばれて、微笑みかけてきた兄ヴィクトリアンは全身返り血塗れの衣服に身を包んでいた。


























何故ヴィクトリアンが?どうやって此処へ?という疑問も渦巻く。
しかし、彼の浴びた返り血の量からして警備の人間の目をどう掻い潜ってきたのかという事くらい想像がつく。平和主義の彼ヴィクトリアンらしくないその姿に、ヴィヴィアンはただただ呆然とすると同時に、知ったのだ。
――この世の人間達は堕ちるところまで堕ちてしまったんだね――


パン!パァン!

ヴィヴィアンを離れさせ、ヴィクトリアンは鉄格子を何発か発砲。焼け焦げた箇所を力を込めて蹴れば、人1人分脱出できるスペースが出来上がる。
「いいないいないいなぁああ!」
「お前だけ助けが来るなんて許せねぇえ!俺も此処から出せぇええ!!」
助けがやって来たヴィヴィアンに対し、周囲の罪人達から怒鳴り声にも似た雄叫びが聞こえてくるが、気にしない。
頬も痩け病的な姿となった弟を前に、ヴィクトリアンは眉尻を垂れ下げて切な気に見下ろす。
「兄上…何故僕を…」
「弟だからだよ」
「…はっ。ありがとう…ございます」
「僕はやっと気付いたよ。馬鹿で、国の役に立つ事一つもできない僕だけど気付いたんだ。どうしたら国民の暮らしは豊かになり、戦争は終わるのか」
普段のヴィクトリアンからは想像もつかない別人振りにヴィヴィアンは目が点になるも、平和主義者が気付いた事というものが気になり、鼻で笑う。
「はっ…。それは一体何ですか。兄上は何にお気付きになられたのですか。宜しければ僕に御聞かせ下さい」
――どうせろくでもない事に決まっている。皆で協力しようだとかどうせそんな低レベルな事…――
ヴィクトリアンは薄らと希望に満ち溢れた笑みを浮かべ、顔をしっかり上げた。
「ルネ王室の崩壊だよ」
「…!」

























その一言にヴィヴィアンは目が点だ。何故ならば自分もそれが最も有力で、最も残されたただ一つの手段だと思っていたからだ。
まさかあの平和主義者で馬鹿なヴィクトリアンが…?そう思い、しばらく呆然としていたヴィヴィアンを前に、ヴィクトリアンは、ははっと頭を掻いて照れ笑い。
「はは…駄目かな?ヴィヴィアンは頭が良いからもっと他の良い案を考えているんだろうけど…」
「いえ。僕も同じ事を考えていましたよ兄上」
「え!ほ、本当!?」
フッ…と不敵に笑むヴィヴィアンに対し、ヴィクトリアンはまるで子が親に褒めてもらえた時のように目をキラキラ輝かせて喜ぶのだ。そんな素直なところはヴィヴィアンの知っているヴィクトリアンらしさがある。まだ。しかし、次に彼から発せられる言葉に、ヴィヴィアンは驚愕せざるを得ないのだった。
「良かった…なら僕がした事は間違っていなかったんだね?僕は罪を償わなくて良いんだね?」
「…?兄上、仰る意味が僕にはよく分かりま、」
「僕はデイジー王妃を殺したんだ」
「なっ…!?」
まさかだった。ニュースでも取り上げられていなかったデイジーの死。



























目の前には母親を殺害した犯人が立っていて、自分を助けた。いや、それより何よりあのヴィクトリアンが。航海王子という皮肉な渾名まで付けられた子供のように無邪気なあのヴィクトリアンが、デイジー王妃を殺害していたなんて。さすがのヴィヴィアンも口は開いたまま呆然とするから、ヴィクトリアンは不安になり慌て出してしまう。
「え?え…!?ヴィヴィアン、僕何か間違えていたのかな?や、やっぱり僕がした事は間違えていたんだね…!?う…うああ…!」
半狂乱になったヴィクトリアンは頭を抱え、その場に四つん這いで屈み込んでしまう。どうしようどうしよう!そう足下で喚く兄ヴィクトリアンを、顔を引きつらせながら見下ろすヴィヴィアン。
――まさか…まさかヴィクトリアンが…母上を…。しかしルネ王室崩壊を目論むならば、王室の人間を殺害する事は合理的…――
しかしやはりあの平和主義のヴィクトリアンが殺害した事は信じられなくて、しばらく呆然としていたヴィヴィアン。
だがそうこうしてはいられないし、ヴィクトリアンが助けに来てくれた瞬間から浮かんでいた案…いや、戦略を実行するには合理的過ぎる展開に、ヴィヴィアンは思わず笑いが込み上がってしまうのだ。























「ふっ…ははは!あははは!」
「ヴィ、ヴィヴィアン…?」
まるで悪魔の高笑いをする弟を、虚ろな赤の瞳で見上げるヴィクトリアン。そんな彼の背丈に合わせて身を屈めるヴィヴィアンの表情は満面の笑みだ。
「兄上!素晴らしいですよ兄上!」
「え?え?僕は…」
「民衆を世界を苦しめるルネ王室の崩壊。それには王室の人間全員の抹殺しか方法はありません。兄上貴方は素晴らしい事をやってくれました!僕は感動のあまり涙が溢れそうです!」
まるで演劇練習のように胸に手をあててまでのオーバーな演技をするヴィヴィアン。しかしヴィクトリアンはそんな弟の素振りを少しも怪しまず、喜ぶのだ。
「よ、良かった…良かった!僕は間違えていなかったんだね!そうだよねヴィヴィアン!」
「ええ、勿論です!」
ふう〜…と大きく息を吐き、肩の荷が降りたヴィクトリアンは安堵の笑みを浮かべる。そんな彼を、ヴィヴィアンは嗤う。
「では兄上。ルネ王室崩壊の為、共に力を合わせましょう」
ヴィヴィアンが右手を差し出せば、ヴィクトリアンはキラキラ輝く笑顔でその手を握ってしまった。
「うん!頑張ろうねヴィヴィアン!」
「ご協力大変感謝致しますよ兄上…」
ヴィヴィアンの悪魔の笑みが、浮かんだ。
































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