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症候群-追放王子ト亡国王女-
ページ:3
「謝らなくて良いから…」
「そうだな。こうして謝るくらいなら始めから、」
「謝らなくて良いから他に何もしなくて良いから、姐さんを返してくれよ…!!」
「……」


ザザン…

真っ黒い夜の海が静かに波打っていた。

































焚いた火も消えてしまい真っ暗な砂浜でウィルバースはまるで息子に昔話を聞かせるかの様にバッシュに話す。
「部下のトーマスが君とロゼッタの偽りの情報を軍に流し、イギリス軍内で彼女を裏切り者に仕立てあげた話を聞いた時に君の名を初めて知ったよ。君の名は出さなかったが以前からロゼッタはアンデグラウンド代表の話を毎日の様に私に聞かせていたが君の事だったんだな」
「毎日?」
「おっと勘違いしないでくれ。彼女とは年も近く古くからの軍友故に食事もよくしていた時に聞かされていた。だが友人としてだ。勘違いしないでくれよ。今はもうどちらも亡くしたが私には妻と息子が居る」
「何だよそれ」
「君の目が一瞬私を睨んでいたからさ」
「オッサン変な奴だな」
「そうか。それは初めて言われた台詞だな」
ははっ、と笑って膝に顔を乗せて話を聞くバッシュに、年の近かった息子を重ねて見るウィルバースの目が穏やかで父親の目をしている。
――まだ若い。女王陛下に従う事が私の職務では無く、彼の様な若者の未来と平和の為に戦う事が私の真の職務なのではないかと気付かされるな…――
「でさ」
「何だい」
先程までの警戒心は何処なバッシュもまるで父親と話す子供の様にウィルバースに話し掛ける。
「毎日ってそんなに話す事無いだろ」
「先週聞いた同じ話を何回かに分けて繰り返し聞かされていたから話は尽きない様になっていたな」
「マジかよ。姐さんらしいなぁ。姐さんどんな話してた?」
ウィルバースは顎髭に手を添える。
「そうだな。アンデグラウンド代表はまだ若いが故に言葉遣いも態度もそこらのダメな若者そのままで、遅刻はするし寝坊したのか会議にも関わらず寝癖のままだし」
「全部悪口じゃん!」
ショックそうに目を見開いてから不貞腐れたのか口を尖らせ、膝に顔を埋めるバッシュを横目で見てやはり父親の様に笑むウィルバースは満天の星空を見上げる。
「確かにそうだがその何十倍も君を褒めていた」
「え」
「同年代の人間は大学院進学に友人や恋人と遊び青春を謳歌しているというのに、一国の代表そして軍人として国の為に生きている君を年下ながらに尊敬すると言っていた。と同時に心配もしていたな。君の一度きりの人生を国に捧げて終わりだなんてあまりにも可哀想だ、早くこんな戦乱の世が終わり、君が普通の若者として生きれる世界になれば…と」
「……」
「そうだな、とあの時ロゼッタに言っておきながら結局私は平和を築くどころか陛下の暴挙を認め、罪無きアンデグラウンドを殺めた」



























ウィルバースは自分の右手拳をきつく握り締める。拳が震えていた。
「自分が情けない。私は一体何を志して軍人になったのか。イギリス国民の…いや、全世界の人間の平和の為に軍人になったのではないか。…なんて君の仇の私が言ったところで口先だけの偽善者に過ぎないか」
「オッサンは」
「?」
バッシュの方を向く。一方のバッシュは真っ直ぐ海だけを見ていたが。
「そう自覚してるだけマシだよ。エリザベス女王と違って」
「しかし…」
「アンデグラウンドの事。姐さんの事。謝ったって何も戻ってきやしないけど。謝る奴がイギリスにも居るんだって知れてちょっと良かった。女王が女王だからイギリスの奴ら全員エリザベス女王みたいな考えだと思っていたから」
「そうか…。陛下がそうだと国民全員そう思われてしまうのだな」


ガーッ、ガガーッ、

「通信か」
ウィルバースのトレンチコートの内ポケットから通信機のノイズが聞こえ出せばウィルバースは立ち上がる。帽子をかぶって。
「君と話せて良かった。君は私の顔など見たくも無かっただろうけれど。長居してすまなかったな。先程話した様に陛下に君達の位置は偽りの情報を流してある。しかし陛下の事だ。いつ勘付かれてしまうか分からない。李君と共に近々この島から離れる事を勧める」
「オッサンは大丈夫なのかよ」
「何がだ」
「嘘の位置情報を流したんだろ。もしバレたらあのエリザベス女王だからオッサンも姐さんみたいに…」
「はは。心配御無用。私はもう腹を括ったさ。ロゼッタが成し遂げたかった事を気付けなかった私が今度は彼女の代わりに成し遂げると決めたからな」
「それって…」


ガーッ、ガガーッ、

「おっと。通信の催促だ。では私はこれで失礼する。何度申しても足りないが、君には本当に悪い事をした。すまなかったな。だが毎日軍務に没頭し女性らしい事を何一つさせてあげられなかった古くからの軍友ロゼッタに平和を求める君という恋人が居たと知り、あいつの人生も少しは良い物だったのかなと知れて、彼女の友人として良かったよ」
「こっ?!恋人じゃねーし!!」
耳まで真っ赤にして思わず立ち上がったバッシュににこやかな笑顔を浮かべて手を振り、海岸へ続く真っ暗な森林へと去って行くウィルバースだった。


ザザーン…

再び海の波打つ音だけとなった砂浜。バッシュはまた座ると真っ赤に染まった顔を膝に乗せる。
「そんなんじゃねーし!り、両思いだけど正式に付き合ったわけじゃないからそんなんじゃ…!」

『私の方が先…お前に…惚れていたんだから…な…』

「…!」
血塗れで残した彼女の最期の言葉と姿がハッ!と脳裏を過れば、今まで火照っていた顔の熱が一瞬にして引く。眉間に皺を寄せた険しい表情を浮かべ、ギュッ…と右手拳を握り締めた。
「好きな奴を手にかける俺が恋人なわけねぇよ…」
顔を膝に乗せた。


ザッ…、ザッ…、

砂に吸収されるが砂を踏むしめる僅かな足音が彼の背後から聞こえた。バッシュは顔を上げ、振り向く。
「さっきのオッサンか?何だよまだ何か用があ、」
「ご機嫌ようバッシュちゃん!あの日以来ですね!」
「…!!エリザベス女王…!!」
銀色の長髪をポニーテールで束ね、黒と金色の軍服を着た、彼女の妹によく似た顔のエリザベス20世が満面の笑みで其処に立っていた。


カチャッ、

瞳孔を開ききった鬼の形相のバッシュと。楽しそうに満面の笑みを浮かべるエリザベス。互いに一丁の拳銃を構えた。互いに同じ様な言葉を一寸のズレも無く同時に発しながら。
「ではおとなしくわたくしに」
「おとなしく俺に」


カチャッ、

「殺されなさい」
「殺されろ!!」


パァン!



































町中―――――

「?あれ程何度も催促をしていた通信が切れた?ルーベラ少尉…か」
先程、通信に出ないウィルバースに何度も何度も催促する様に通信を繋げていたルーベラ。ウィルバースがこの町を去る為、町の駅に着いてからルーベラに通信を繋げる。しかし今度はルーベラがウィルバースの通信に出てくれなくなってしまった。
「一方通行の繰り返しだな。しかしそれ程急用では無いのか」


プアァン…

駅に、空港までの列車が汽笛を鳴らして入ってきた。ウィルバースは通信機を内ポケットへしまいながら、満足気に笑む。
「しかし良かった。彼と話せて。謝罪をしたいというのは私のエゴでしかないが。彼と話せた事で今まで揺らいでいた気持ちに決心が着いた。彼の様な若者が毎日笑って暮らせる争いの無い世界を造ろう。ロゼッタ安心しろ。お前の大事なあの若者の未来は私が築き上げる。…私はもう死をも恐れず、過ちを繰り返さない」
眉をキッ!とつり上げたウィルバースはコートの上から自分の左胸を叩き、決意に満ちた表情を浮かべる。
「私はイギリス国民と世界平和の為、女王陛下に刃を向けよう」


ドォンッ!!

「な…何だ!?」
爆発音と共に、駅に着いた列車は勿論、駅や地面が大きく横に揺れた。この小さな島ではあるが駅にはそれなりに人が居た為、皆が動揺を隠しきれない。
「何だあれは!炎が上がっているぞ!」
「!」
1人の男性が指差した先には、満天の星空を明るく照らす真っ赤な炎が上がっている光景が見えた。此処からそう遠くは離れていない場所だ。
「…!!」
その時、ウィルバースは気付いてしまった。上がる炎の上に青色の1機の見慣れた戦闘機が浮かんでいる姿を。
「くっ…!まさか…!」
ウィルバースはトレンチコートを靡かせて駅の30段以上はある階段を3回に分けて跳び降りる。
町へ出れば真っ暗な小さなこの町の住人達が外へ出て、たった今爆発した建物の方を不安そうに見ている。
「何が起きたんだ!?」
「火事?」
「そんなものじゃない!大爆発だったぞ!」
「ガス爆発かしら…」
「ホテルが爆発したらしい!近隣住民は避難できたのか?!」
野次馬達の間を駆けるウィルバースの顔が真っ青で冷や汗が伝っているのは、闇夜に紛れたせいか彼等は気付いていないが1機のイギリス軍戦闘機が浮かんでいるのをこの目でしっかりと見付けてしまったから。


ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!

ウィルバースの鼓動がこの上ない程早く大きく鳴る。
――あれは間違いなく我軍の戦闘機だ!陛下の愛機はルネの捕虜になった際奪取されたから一般兵の戦闘機でやって来たのか!それにしても…くっ…!もう来てしまったのか!やはり陛下には…!いや何をまた迷っているんだ!私はもう決めただろう!私は…!――


ガーッ、ガガーッ

「通信!」
通信相手が誰かも見ずにすぐに出る。


































「こちらウィルバース大将!」
「こちらルーベラ少尉」
「少尉か!先程は通信に出れずすまない。悪いが今、所用が入った。後でこちらから再度通信をする!」
「その必要はございません大将」
「…?何を言っているんだ少尉」
「陛下に嘘の位置情報を教え敵を逃がす手解きを行った大将にもう用は無いとの陛下からの伝言を伝えたかっただけですから」
「なっ…?!少尉まさか君は今…!!」


ブツッ!!


ガーッ、ガガーッ、

「く…!くそっ!」
一方的に切られた通信にウィルバースは顔を歪める。



ドドドド!!

「なっ…!?」
「きゃあああ!」
「な、何故何処とも戦争をしていないリザノワ諸島に軍隊が攻撃しているんだ!?」
「に、逃げろー!!」
何と先程の1機のイギリス軍戦闘機はホテルのみならず上空からマシンガンを放ち、この小さな町を火の海と化させていくのだ。イギリスの敵国でも無く、何処の国とも交戦していないこの小さな小さな島国を。最初は、"何故こんな島国を攻撃する必要がある?李君とソーンヒル君を殺めれば陛下の気が済むのでは?"と思ったウィルバース。しかしもう30年以上エリザベスの側近を務めている彼にはすぐに分かった。
――李君とソーンヒル君を殺める為だけにこのリザノワ諸島を攻撃したのがイギリス軍だったと伝聞され世界に広まらぬよう、目撃者を誰1人残さず皆殺しにする為か…!!――
「くっ…!陛下…!!」
となれば何故ホテルを最初に攻撃したかも予想がつく。
「先程バーに居た李君はソーンヒル君の元に居なかった…とすれば李君がホテルに居ると情報を得た陛下が最初にホテルを攻撃したと考えるのが妥当か…!」
戦闘機ではなく飛行機と列車でこの諸島へ訪れたウィルバースは、戦闘機で現れた相手にこちらには戦闘機が無い事を不利に思い心配しながらも、もう堅く決まった決心は揺らがなかった。
「どうか無事でいてくれ!彼等を平和な未来へ生かす事がロゼッタへのせめてもの償いなのだから…!」
ウィルバースは生身で、大炎上するホテルへと駆けて行くのだった。





































その頃、
件のホテル――――


パリン!
ガシャアン!!

爆発の炎で勝手に割れていくホテルの窓。火花が咲く廊下には逃げ遅れた客や従業員の性別が分からぬ程焼け焦げた遺体が転がっている。


カツン…、コツン…

その遺体にすら動揺を見せない劉邦と、黒と金色の軍服を着たルーベラが互いに向き合っている。


ドドドドドドドド!!

ぽっかり空いたホテルの天上から見える空には、ルーベラがオートで周辺を攻撃させている戦闘機が見える。
「この島は軍事力が無い故、迎撃される心配が無いから戦闘機を無人で攻撃しているのか」
「私の今作戦最大の任務は貴様等の抹殺だ。逃がしてたまるものか」
「話が通じない様だ」


パァン!パァン!

ルーベラが発砲。しかし持ち前の身体能力で銃弾を壁を伝いながら避ける劉邦にルーベラは驚愕。
「速い…!?」
「皮肉だな。あの施設へ売られたせいでこうして生き延びる能力が身に付いたとは」


パァン!パァン!

「貴様何者だ!!」


ドガッ!

「ぐあっ!!」
壁を伝い避けながらそしてルーベラに近付きながら。劉邦は壁を伝い、ルーベラを蹴飛ばす。吹き飛ばされたルーベラだが、床にうつ伏せになりながらも劉邦に発砲を止めない。


パァン!パァン!

「大した女だな」
「馬鹿にするな!売国奴の仲間風情が!!」
「売国奴の…?」
ピクッ…、
ルーベラの一言に反応した劉邦の表情は相変わらずポーカーフェイスで変化無しだが瞳に静かに怒りの灯火が灯っている。
「陛下を裏切り我軍の戦略を敵軍へ譲渡した少将…ロゼッタの事だ!」
「成程な。だから戦争に無関係のこんな小さな島国でイギリス軍が私に攻撃をしてきたという事か。何処から此処に居る情報を得たかは知らないが」


パァン!

「ぐあっ…!」
素早く。目にも止まらぬ早さで繰り出した拳銃でルーベラの右脚を撃てば、真っ赤な血が噴く。


パァン!パァン!

「ぐあ!ぐあぁ!!」
左右の脚を執拗に発砲する劉邦。
「これで立てまい。施設でよく学んだ。体が4つに裂けんとばかりの激痛を伴う投薬や血へどを吐く惨たらしい訓練を受けたその先には突如襲う後遺症に一生苦しめられる。それから比べたら一瞬で息の根を止められる事の方がどれだけ幸せか」
「ぐっ…、さっきから1人で何をゴチャゴチャと…!」


パァン!

「ぐあっ!」
次は右腕を発砲。
「何を?人間はじわじわと傷め苦しめられた方が一瞬で殺されるよりも幸せだと言っている。…ロゼッタ姉さんを売国奴呼ばわりした貴様には最高の最期を与える」
「くっ…!売国奴の仲間風情が!だが貴様がこうしている今頃、陛下がもう1人を殺しているだろうな!」
「何…?」
劉邦の目尻がピクッと動く。



























「ロゼッタが戦略を譲渡するきっかけとなった人間だ!アンデグラウンドに居る恋人の命を優先した売国奴のせいで我軍は散々な目に合った!私情を用いた売国奴も売国奴の仲間の貴様も大概だが、陛下を侮辱した売国奴の恋人も大罪人だ!ははは…!今頃陛下にどう八つ裂きにされているだろうな貴様の仲間は!」
「あの様な奴、どうなろうと構わない」
「何?」
下を向いた劉邦の顔が彼の長い前髪に隠れて見えない。
「国際連盟軍の仲間と聞いていたが違うのか?」
返事は返さない。
「ははは!貴様等に何があるのかは分からないが貴様がもう1人の仲間を助けに行く気が無いのであれば陛下に邪魔が入らずこちらとしても幸いだ!」
ガクガク震えて血もダラダラ流れる両足だが立ち上がるルーベラは劉邦に銃口を向けて笑む。
「ならば私が貴様の首を陛下へ献上し、」


パァン!


カランカラン!

「くっ…!?」
下を向いたまま、ルーベラの右腕を発砲すればルーベラの拳銃が床へ吹き飛ぶ。それを直ぐ様拾いに駆け出すルーベラ。
「あの様な殺人者などどうなろうと構わない。…いや国際連盟軍などただの軍務上での繋がりにしか過ぎない」
下を向きながらそう呟く劉邦の脳裏で駆け巡る両親や官宦や施設の人間達の声と顔。

『8人も子が居れば1人くらい親孝行させると思って』
『嗚呼、李さんの家は特に貧しいからそれが良さそうだな』
『私達貧困層じゃ一生かけても得られない金額を、1人子供を売っただけで毎年支給されるならこれ以上ない最高な話じゃないか!』
『じゃあ誰を売ろうか?』
『毎回捕まるか見つかって満足に盗人も出来やしないし気弱な劉邦を売ろう』
『実験の時間だモルモット!』
『モルモットの分際で脱走を企てる等余計な知能を付けた様だな。所詮親に家族に棄てられたガキの分際で!』
『劉邦よ。貴方は我軍の為に生き、そして死に絶えなさい』

「くそっ…!」
ドクドクと血が流れる右腕を押さえながらルーベラの右手があと少しで拳銃に触れる。


カンッ!

「ぐっ…!貴様ァ!」
その拳銃を劉邦は蹴り飛ばした。
「血の繋がりがある家族でさえ腹の底では何を考えているのか分からない。血の繋がりの無い他人など尚更。他人とは軍務でしか関わらないと決めた。裏切り裏切られるこんな戦乱の世ならそれで調度良い。国際連盟軍同士も同様にただの軍務上での繋がりでしかない…なかったんだ。だが…」

『まだ残っていたのか劉邦!?お前は生真面目過ぎだ!仕事は多くやれば良いというものじゃない。体を壊すぞ。今日はもう良いから私と飲みに行こう。奢ってやるぞ!』
『連盟、軍なんて…赤の他人…だ、と言っていたお、前…が…身体…を張って…私を"…助けてくれだ…礼…だ…。っを…頼…んだ、ぞ…』
『アジアと違い欧米諸国の料理はお前には合わぬじゃろう。いつも中華料理を振る舞ってもらっている礼じゃ。今日はお前の体を考えた料理を作ってやろう!』
『これから共に戦い、平和を導いていこう。今日からお前は私の弟分だ。よろしくな劉邦!』
『兄さんそーんなにイライラばっかりしていると体と心に悪影響なんすよ?兄さんがぶっ倒れたらこれから誰が俺の喧嘩相手になるんすか!』
『お願いだ!!兄さんを助けてほしい!酷い怪我なんだ!出血が多過ぎてさっきまで息してたのに今はもうしていないんだよ…!俺はどうでも良い!兄さんだけ頼む!お願いだ…!』

ジェファソン、ロゼッタ、バッシュの声と顔が浮かべば。
「私は貴様を倒し、暴君女王の元へ向かう事に決めた」
劉邦は顔を上げる。
施設へ売られてから人間らしさを奪われ瞳の輝きも奪われ、いつもポーカーフェイスで表情を滅多に崩さない人間にされてしまい後遺症を残され未来の希望すら奪われた劉邦の力強い瞳が人間らしく輝き、ルーベラを睨み付けていた。
「あの3人は私の家族だ!!」























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